系統用蓄電池とは?仕組みと収益を生む3つの市場、参入時の注意点をわかりやすく解説
系統用蓄電池とは、電力系統(送配電網)に直接接続して充放電を行う大型の蓄電池のことだ。再エネの拡大で「昼に余り、夕方に足りない」電気の調整役として需要が急増しており、全国の契約申込容量は約2,400万kWと、この1年で約3.9倍に膨らんでいる(2025年9月末時点・沖縄除く)。
この記事では、系統用蓄電池の仕組みと他の蓄電池との違い、収益を生む3つの市場、そして参入前に知っておくべき2026年4月からの接続ルール強化までわかりやすく解説する。
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この記事を読んでわかること ・系統用蓄電池とは?普通の蓄電池と何が違う? ・なぜ今、系統用蓄電池の申し込みが急増しているのか? ・系統用蓄電池はどうやって収益を得るのか? ・参入する際の壁やリスクには何がある? |
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系統用蓄電池とは、電力系統に直接つなぐ大型蓄電池のこと
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結論をまとめると |
系統用蓄電池とは、電力系統(発電所・送電線・変電所・配電設備のネットワーク)に直接接続して充放電を行う大型の蓄電池である。電気が余ったときに充電し、足りないときに放電することで、電力の安定供給を支えている。 |
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系統用蓄電池とは、電力系統や再生可能エネルギー発電所などに接続する蓄電池のことである。電力系統とは、発電所・送電線・変電所・配電設備の総称で、再生可能エネルギー発電所は、太陽光発電所や風力発電所をさす。以下の仕組みで成り立っている。
日本は2050年カーボンニュートラルの実現に向け、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの導入量を積極的に増やしている。しかし、これら太陽光や風力による発電方法は、発電量が天候や時間などに左右されてしまう。火力や原子力のような発電方法とは異なり、発電量を人の手でコントロールすることができないのだ。発電量が多すぎると、電気が余ってしまうことになる。
電気は多ければ多いほどいいように思えるが、電気はそれ単体では蓄えることができない。さらに需要と供給をつねに一致させないと、電圧や周波数が変動してしまう。これらが大幅に変動すると、電子機器が一斉に故障するだけでなく、電力系統が危険を察知して接続を自動的に解除してしまい、大規模停電が発生するリスクがあるのだ。
実際、再エネの導入が進んだ結果、日によっては太陽光による発電量が需要を大きく上回り、出力制御が実施されるケースが全国で増えている。出力制御とは、電力会社が発電所のオーナーからの買電をストップする制度だ。もし出力制御が行われた場合、せっかく発電した電気はそのまま捨てることになる。2024年度には、全国で約21.2億kWhもの再エネ電気が制御された(出典:資源エネルギー庁)。
だが、電力系統や再生可能エネルギー発電所に蓄電池を接続すれば、電気が余った場合に貯めることができるようになる。そして電気が不足した際に、その貯めた電気を供給することが可能となる。電気を無駄にせず、安定して供給するためにも系統用蓄電池は非常に効果的なのだ。
系統用蓄電池と他の蓄電池の違いは「用途」と「接続場所」

蓄電池と聞くと、会社や家庭の敷地内に設置するタイプを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。
蓄電池は用途や接続場所によって名称が異なる。敷地内に設置するタイプは需要地併設型蓄電池といわれるものだ。この蓄電池は、日中に自社または自宅で発電した電気を蓄え、夕方や夜間などに使用する目的で設置される。
また、太陽光発電所に併設する蓄電池を、発電所併設型蓄電池という。これは系統用蓄電池と似ているが、この場合、蓄電池は電力系統ではなく発電所に接続する。発電したが送電線に流せない電気を、この蓄電池に貯めるのだ。
太陽光発電の導入量を増やすには、いずれの蓄電池も非常に重要な存在である。その中でも特に系統用蓄電池は、これからの世界には欠かせないものなのだ。
これまでの蓄電方法は揚水発電が主流だった
電気はそれ単体では貯められないと先述した。それでは、これまでは余った電気をすべて捨てていたのかというと、そうではない。今の日本では、電気を蓄えるために揚水式水力発電(以下:揚水発電)が行われている。揚水発電の仕組みは下図だ。
揚水発電はその名の通り、水力発電の一種である。貯水池を上下につくり、水を上から下に落としてポンプ水車を回転させ、発電する仕組みだ。使用された水は下側の貯水池に貯められる。そしてポンプ水車を逆回転させて水を下から上に運び、必要になればまた落として発電する。
この逆回転は、太陽光発電の導入量が多い昼間や、電気の使用量が少ない夜間など、電気代が安いときに行われるケースがほとんどだ。電気を一旦水の位置エネルギーに変換し、必要になればそれを電気に変える。揚水発電は蓄電池のような役割を担っているのだ。
現在、日本には42地点、約2,700万kW分の揚水発電所がある。だが日本政府は2025年2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画で、2040年度に再生可能エネルギーの比率を4〜5割程度へ高める方針を示した。再エネの導入量がここからさらに増えていけば、揚水発電だけでは賄いきれない。揚水発電所を増やそうとしても、大幅なコストと時間が必要となってしまう。
そこで出番となるのが系統用蓄電池だ。これまで蓄電池はコストが高かったが、技術の革新によって価格が大幅に下がりつつある。再エネを増やしながら安定して電力を供給するためにも、系統用蓄電池は今後主流になっていくだろう。
系統用蓄電池が急増している3つの理由
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結論をまとめると |
系統用蓄電池が急増している理由は、①再エネの出力制御が全国に拡大し「電気の受け皿」が必要になったこと、②2023年4月施行の改正電気事業法で蓄電池からの放電が「発電事業」に位置付けられたこと、③収益を得られる電力市場が整備されたこと、の3つである。 |
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ここまで、系統用蓄電池がどんな設備なのかを解説してきた。ここからは、なぜ今この設備への参入が急増しているのかを見ていく。理由は大きく3つある。
①出力制御が増えているから
1つ目が、出力制御の深刻化だ。出力制御は2018年度に九州エリアで初めて実施されたが、その後は東京エリアを除く全国に拡大した。制御された電気の量は2024年度に全国で約21.2億kWhにのぼり、2025年度も20億kWhを超える見通しである。せっかく発電したクリーンな電気が、行き先がないまま捨てられ続けているのだ。この「余った電気の受け皿」として、国は系統用蓄電池の導入を後押ししている。
②法整備でビジネスとして成立するようになった
2つ目が、法律の整備だ。2022年に電気事業法が改正され、2023年4月から、出力1万kW以上の系統用蓄電池から放電する事業が「発電事業」として位置付けられた。よりわかりやすくいうと、蓄電池が発電所と同じ立場で電気を売れるようになったのである。事業としてのルールと権利が明確になったことで、ビジネスの見通しが立てやすくなった。
③ビジネスとして収益が期待できるから
3つ目が、収益を得られる市場の整備である。後ほど詳しく解説するが、卸電力市場に加えて、需給調整市場や容量市場といった複数の市場が整備され、蓄電池が「電気の売買」以外でも収入を得られるようになった。国も補助金で導入を支援しており、2025年度は約363億円・37件が採択されるなど、支援の規模は年々拡大している。
こうした背景から、電力会社だけでなく商社・不動産・金融など異業種からの参入が相次いでいるのが現在の状況だ。
関連記事:【図解】太陽光発電の出力制御とは?なぜ必要?今後も増える?わかりやすく解説!
系統用蓄電池は3つの市場を組み合わせて収益を得られる
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結論をまとめると |
系統用蓄電池は、①卸電力市場(安い時間に充電し高い時間に放電する)、②需給調整市場(電気の過不足を埋める調整力を提供する)、③容量市場・長期脱炭素電源オークション(供給力の維持に対して原則20年間の固定収入を得る)の3つを組み合わせて収益を得られる。 |
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系統用蓄電池が急増している背景を解説してきた。ただ、ここまで読んで「電気を貯めるだけの設備が、なぜそんなに儲かるのか?」と疑問に思われた方も多いのではないだろうか。そこでここからは、系統用蓄電池がどうやって収益を生むのか、3つの市場を1つずつ見ていく。
①卸電力市場(JEPX):安いときに充電し、高いときに放電する
結論からいうと、最も基本となる収益源は「電気の安いときに買って、高いときに売る」ことだ。
揚水発電では、電気代が安いタイミングで水を上の池に移動させ、電気が必要になれば下に落とすことを説明した。電気が足りていないということは、その間、取引される電気の価格は値上がりしている。揚水発電は安い電気を水に変えて、高くなったタイミングで発電するため、うまく運用すれば多額の利益が見込めるのだ。
これは系統用蓄電池でも同じことがいえる。電気を購入する場合、取引するのはJEPX(日本卸電力取引所)だ。JEPXが販売する電気の価格を市場価格とよぶが、市場価格は「気象条件」「電力需給」「燃料費」に合わせて30分ごとに価格が変動する。
例えば、晴れた日は太陽光発電の発電量が増え、市場価格が0.01円/kWhになることもある。一方で夕方になれば太陽光発電がストップし需要も増えるため、10円/kWhや50円/kWhまで上がることもあるのだ。
電力需給で考えると、市場価格が安くなるのは電気が余るタイミングで、高くなるのは不足するタイミングである。つまり、系統用蓄電池は揚水発電と同様に、電気が安いときに購入して蓄電し、高くなるタイミングで売電すれば多額の利益が見込めるのだ。

上図は、2022年9月14日分の北海道エリアにおけるJEPXの市場価格の推移である。12時から14時にかけて、晴天で太陽光発電の発電量が増えたため、市場価格は0.01円/kWhまで下がった。一方、太陽光発電ができず、電気需要が増える夕方(16時)の市場価格は64円/kWhまで高騰している。
この日の昼間に電気を仕入れて夕方に売却した場合、単純計算すると粗利率は99.98%となり、大きな利益を見込めるのだ。この「昼が安く、夕方が高い」という構造は今も変わっていない。2026年8月のJEPXでも、夕方17〜20時の平均価格は約30円/kWhと、昼間の2倍近い水準で推移している週があった。
その一方、曇りや雨など、市場価格があまり変動しない場合に利益が出ないので要注意だ。いつ仕入れて、どのタイミングで売るのか。この運用方法によって利益が見込める。
アメリカなどでは、購入した電気に付随する再生可能エネルギーの環境価値も売却できる場合がある。しかし日本では、電気を購入するのはJEPXだ。JEPXで取引される電気には火力や水力由来の電気も含まれており、環境価値はない。そのため日本で系統用蓄電池を運用する場合は、いつ仕入れていつ売却するかが非常に重要となる。
関連記事:【図解】JEPXとは?取引の仕組みや市場価格の決まり方をわかりやすく解説!
②需給調整市場:電気の過不足を埋める「調整力」を提供する
需給調整市場とは、電気の需要と供給のズレをリアルタイムで埋める「調整力」を売買する市場である。
電気は需要と供給をつねに一致させる必要があると先述した。この調整を担う一般送配電事業者は、「要請に応じてすぐ充放電できる能力」を外部から調達しており、その取引の場が需給調整市場だ。
系統用蓄電池は応答速度が速いため、この調整力の提供に向いている。要請に応じて充放電することで、待機していること自体への報酬と、実際に放電した電気への報酬の両方を得られる仕組みだ。卸電力市場の値差だけに頼らない、もう1つの収入源になる。
もっとも、この市場は制度の見直しが続いており、2026年度からは入札の上限価格が引き下げられる見込みである。需給調整市場の収入だけを当てにした事業計画には注意が必要だ。
③容量市場・長期脱炭素電源オークション:原則20年間の固定収入を得る
容量市場とは、「実際に発電した電気」ではなく「必要なときに電気を供給できる能力(供給力)」に対価が支払われる市場である。蓄電池がそこに存在し、いざというときに放電できる状態を保つこと自体が収入になる。日々の市場価格に左右されない、安定した収入源だ。
さらにこの枠組みの中には、脱炭素電源への新規投資を対象とした「長期脱炭素電源オークション」が2023年度から設けられている。落札した電源は原則20年間、固定費水準の容量収入を得られるため、数億円規模の初期投資でも回収の見通しを立てやすい。実際、このオークションには系統用蓄電池の応札が殺到しており、募集枠を大きく上回る激しい競争が続いている。
ここまでの話をまとめると以下のようになる。
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市場 |
何を売るか |
収入の性質 |
|---|---|---|
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卸電力市場(JEPX) |
電気そのもの(安く買い高く売る) |
値差次第で大きいが変動する |
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需給調整市場 |
電気の過不足を埋める調整力 |
待機と放電の両方に報酬 |
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容量市場・長期脱炭素電源オークション |
供給できる能力そのもの |
固定的・長期(原則20年) |
実際の事業では、この3つを組み合わせて収益を安定させる運用が主流になりつつある。事業としての組み立て方は、以下の記事で詳しく解説している。
関連記事:系統用蓄電池事業のビジネスモデルとは?
関連記事:容量市場とは?電力取引の仕組みや開始される背景をわかりやすく解説!
系統用蓄電池の契約申込は1年で約3.9倍。ただし「接続の壁」に注意
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結論をまとめると |
全国の系統用蓄電池の契約申込容量は約2,400万kWと1年で約3.9倍に急増している(2025年9月末時点・沖縄除く)。一方で申し込みの殺到により系統への接続待ちが発生しており、2026年4月からは保証金の増額など接続ルールが厳格化されている。 |
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収益の仕組みを解説してきた。ここからは、実際の導入がどこまで進んでいるのかと、参入前に知っておくべき壁を見ていく。系統用蓄電池の契約申込は、まさに殺到という状況だ。
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エリア |
件数 |
容量(万kW) |
|---|---|---|
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北海道 |
81 |
176.0 |
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東北 |
325 |
492.0 |
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東京 |
927 |
516.7 |
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中部 |
771 |
344.0 |
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北陸 |
56 |
59.0 |
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関西 |
421 |
240.0 |
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中国 |
358 |
413.0 |
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四国 |
43 |
38.0 |
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九州 |
777 |
590.1 |
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沖縄 |
0 |
0.0 |
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全国 |
3,759 |
2,868.8 |
資源エネルギー庁によると、全国(沖縄を除く)の契約申込容量は2025年9月末時点で約2,400万kWとなり、前年比で約3.9倍に膨らんだ。同じ期間の太陽光発電が約1.1倍であることと比べると、蓄電池への注目度の高さは際立っている。その後も申し込みは増え続け、2025年12月末時点では全国3,759件・約2,869万kWに達した。
参入しているのは電力会社だけではない。2022年には九州電力とNTTアノードエナジー・三菱商事の3社による設置検討や、関西電力とオリックスによる和歌山県内への設置発表など、大手企業の参入が始まった。現在では商社・不動産・金融をはじめとする異業種の参入が全国に広がっている。
申し込みの殺到で「空押さえ」が問題化、2026年4月から接続ルールが厳格化
また申し込みの急増によって、事業化の見込みがないまま系統の接続枠だけを確保する「空押さえ」が問題になっている。
系統用蓄電池を動かすには、電力会社の送配電網に接続する枠(系統容量)を確保する必要がある。ところが、実際に設置するかどうかわからない案件が枠だけを押さえてしまうと、本気で事業を進めたい事業者が「空き容量なし」として接続を待たされてしまう。エリアによっては接続までに年単位の時間がかかるケースも生じている。
この事態を受けて、国は接続ルールの厳格化に動いた。2026年4月以降の契約申込からは、申込時の保証金額が増額され、送電網の増強にかかる工事費負担金の分割払いも厳格化される。あわせて接続検討の運用も見直され、事業者が希望する条件に合わない場合は早期に回答される仕組みが始まっている(出典:資源エネルギー庁)。事業用地の権利を示す書類の提出を求める要件化も進められており、「とりあえず申し込む」ことは難しくなった。
裏を返せば、土地と資金の裏付けを持つ本気の事業者にとっては、確度の低い案件が整理され、接続しやすくなる環境が整いつつあるということでもある。
市場価格と制度変更のリスクにも備えが必要
系統用蓄電池は「設置すれば自動的に儲かる」設備ではない。収益の柱である卸電力市場の値差は天候や燃料価格によって日々変動する。曇りや雨が続けば価格差が縮まり、シミュレーション通りの収益が出ない期間もありうるだろう。
さらに、電力市場の制度そのものが今も見直しの途中にある。先述した需給調整市場の上限価格引き下げのように、制度変更が収益性に直接影響することもある。だからこそ、1つの市場に依存せず複数の市場を組み合わせること、そして制度動向を追い続けられる専門的なパートナーと組むことが、事業の成否を分けるのだ。
なお、数億円規模になりやすい初期投資に対しては、国の補助金制度が用意されている。詳しくは以下の記事で解説しているため、あわせて読んでいただきたい。
関連記事:系統用蓄電池補助金を徹底解説!
系統用蓄電池の市場規模は世界・国内とも拡大が続く
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結論をまとめると |
定置用蓄電池(ESS)の世界市場規模は2024年に出荷容量ベースで約29.4万MWhに達した。国内でも蓄電池を市場で運用して収益を得る「蓄電所ビジネス」の市場規模が、2024年度の450億円から2030年度には約4,240億円へ拡大すると予測されている。 |
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参入時の注意点を解説してきた。それでは、市場そのものは今後どこまで伸びるのだろうか。
矢野経済研究所の調査によると、系統用蓄電池を含む定置用蓄電池(ESS)の世界市場規模は、2024年にメーカー出荷容量ベースで約29.4万MWh(293,992MWh)に達した。再エネ発電設備の導入拡大に加え、各国政府の支援制度の強化を背景に、市場は大幅な成長を続けている。
国内に目を向けても、同研究所は、蓄電池を電力市場で運用して収益を得る「蓄電所ビジネス」の市場規模が2024年度の450億円から2030年度には約4,240億円程度まで拡大すると予測している。わずか6年で約9倍という成長見通しだ。
日本政府も第7次エネルギー基本計画で再エネの主力電源化を掲げており、その実現には変動する再エネを受け止める蓄電池が欠かせない。系統用蓄電池の市場は、今後も政策と実需の両輪で拡大していくと考えられる。
しろくま電力は系統用蓄電池の土地開発から運用までを自社で対応

しろくま電力では、大規模な太陽光発電所の土地探しから土地開発、資材調達、施工、運用管理と、すべての工程を一社で手掛けてきた。また揚水発電所の運用も手がけており、多額の収益を上げることに成功している。

現在はこのノウハウを系統用蓄電池の分野で活かしており、2026年4月時点で11.4Gwh分の系統用蓄電池を導入した。どの蓄電所も、土地探しから土地開発、資材調達、施工、運用管理と、すべての工程を一社で手掛けている。
現在も全国各地で蓄電所の開発工事を手掛けており、今後続々と運転開始していく予定だ。日本のカーボンニュートラル実現に向けて、しろくま電力は「蓄電」の分野においても貢献できるよう、引き続き事業を加速させていく。