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系統用蓄電池は需給調整市場でも利益が出せる?市場の構造と利益が出る仕組みを解説!

系統用蓄電池を運用するにあたり、取引を行える市場は「JEPX(卸電力取引市場)」「容量市場」「需給調整市場」の3つがある。利益を上げるためにも、これらの市場の特徴を理解しておくべきだ。

この記事では、需給調整市場の概要と、市場が持つ役割について詳しく解説していく。

 

 

需給調整市場は、突然の電力不足などの事態に欠かせない

需給調整市場は、いきなり電力不足に陥った場合などに対応するための市場である。

例えば、発電所にトラブルが発生した場合、発電をストップせざるを得ない。そうなった場合、その分だけ他の電源を用意する必要がある。また太陽光発電や風力発電のように気象条件によって出力が変動する電源についても、変動が大きい場合には電源による対応が必要だ。

蓄電池はこうした急な電力の需要にも対応することができる。このようなトラブルに対応するために設けられた市場を、需給調整市場という。仕組みは下図のようになっている。

(出典:資源エネルギー庁の資料をもとに弊社作成)

 

 

発電所は工場同様にトラブルが発生することがある

工場などにある一般的な生産設備と同様、電気の生産設備でもトラブルは避けられない。設備の故障といったケースだけではなく、クラゲの大量発生によって冷却水(海水)が使えなくなるといったケースもあるのだ。

また、予想外の猛暑や寒波によって、前日の需給予測にくらべて、電気の需要が想定外に増えるといったこともある。前述のように、再生可能エネルギーの出力の予想外の変動も起こる。こうした場合、調整力となる電源が必要となる。

調整力として使われるのは、現在では主に出力調整が可能な火力発電と揚水式水力発電だ。

また、必要とされる調整力は、現在は45分前に応答可能なものと、15分前に応答可能なものが取引されているが、今後は、5分前、10秒前といったより早い応答が必要な調整力の取引も予定されている。

 

 

電気が不足する場合に需給調整市場では取引が行われる

取引を簡単に紹介すると、次のようなものになる。北海道から九州までのそれぞれのエリアの送配電会社は、前日までに必要な調整力を算出する。すなわち、天候やイベントなどから、どのくらいの確率で電気が不足するかということだ。

そして、必要な調整力に対し、発電事業者が応札し、当日にスタンバイする調整力となる発電所を決める。必要に応じて調整力の要請をオンラインで行い、電気を供給してもらう。もちろん、電気が不足しなければ、落札した調整力といっても追加で発電することはない。

取引市場となるのは、全国9エリアの送配電事業者でつくる、電力需給調整力取引所だ。送配電事業者の業務を代行することで、エリアをまたいだ取引も可能になる。

(出典:資源エネルギー庁「需給調整市場について」

では、どのくらい取引されているのか。2021年度は282億kWh分の調整力が取引された。販売電力量に対して、3.4%に相当する。

気になるのは価格だが、1kWの調整力を30分間(=0.5kWh)提供するのに、1日あたりの平均で2円から10円、時間によっては200円を超えることもある。仮に、1kW(0.5kWh)あたりの調整力を6円とすると、年間およそ3300億円の市場ということになる。

また、今後は気象予測の精度が高まっていくことが予想される上、より効率的な取引が増えていくので、45分前と15分前の調整力の市場規模は小さくなる可能性が高い。一方、これから5分前、10秒前の調整力の市場のスタートが予定されている。

系統用蓄電池はどのようにして需給調整市場でどのように利益を出していくのか。おそらく、市場価格が値上がりしそうな時間帯を中心に取引していくことになるだろう。メインは卸電力取引市場にしておいて、調整力のニーズがたかまるときには、一部を「需給調整市場に応札する、ということだ。

また、将来、10分前から5秒前といった短い時間での応答が求められる市場がスタートした場合、そこでも応札することになる。市場規模は小さいが、より価格が高いことが見込まれている。

系統用蓄電池の利益のうち、およそ1割が、このような電力需給の調整力としての役割によるものになると考えられている。

需給調整市場は、発電と需要のバランスをとるための市場なので、決して大きな市場ではない。しかし、電気を安定して使うためには必要不可欠なものだ。小さくとも価値ある市場で利益を出していくというのも、系統用蓄電池ならではのことだといえよう。