※この記事は2024年3月22日に最新の情報に更新されました。
【図解】太陽光発電の出力制御とは?なぜ必要?今後も増える?わかりやすく解説!
※この記事は2024年3月22日に最新の情報に更新されました。
2022年になって、全国各地で太陽光発電に対する出力制御(出力抑制)の回数が増えている。出力制御中、発電事業者は売電ができなくなるが、対応しないとFIT認定取消など、重いペナルティが課されるので要注意だ。
この記事では、出力制御の概要と制御が実施される背景を説明し、発電事業者が具体的にどう対応すべきなのかを解説する。
出力制御を行わないと電子機器が故障し、大規模停電が発生するおそれがある
出力制御とは、電力の需要と供給を一致させるために、電力の供給(出力)を一時的にコントロール(制御)することを意味する。
電力の需給バランスを一致させる理由は2つ。1つは電力は蓄えられず、余るとエネルギーが無駄になるからで、もう1つは電力の需給バランスを一致させないと、電圧や周波数に影響が出るからだ。
電力供給量が需要量を上回ると電圧や周波数が上昇し、逆に少ないと低下する。大幅に変動すると、電子機器の故障や、故障を防ぐために送電線などの系統が自動的に接続解除され、大規模停電が発生する恐れがあるのだ。
そのため電力会社は電力が余りそうになると、発電事業者に対して「この時間帯は電気が余りそうなので発電しても買えません」という通達を出す。これが出力制御だ。出力制御は、電力が余りそうな場合だけでなく、送電線などの系統の容量が上限を超えそうになった場合にも実施される。
ちなみに、出力制御の対象は太陽光発電だけではない。火力発電や水力発電なども対象で、下図のように国が定める優先給電ルールをもとに、火力発電のように供給量をコントロールしやすいものが優先して実施される。
出力制御中は売電ができないため、売電収入が減ってしまう。できれば対応したくないが、出力制御は再エネ特措法で定められており、発電事業者は出力制御の実施に同意することを前提条件にFIT認定を受けているため、必ず対応しなければいけない。
2018年より出力制御を実施している九州電力では、上記画像のように、出力制御の手続きに対応しなかった発電事業者に向けて催促状を送るなど、警告を行っている。各電力会社のHPでも、必要な書類を提出しなかったり、当日に対応しないとFIT認定を取り消すという注意書きがあるので、必ず対応する必要がある。
太陽光の発電量が増えたことで、出力制御の頻度が増加
出力制御はこれまで、九州電力でしか実施されていなかったが、2022年に入って北海道電力、東北電力、四国電力、中国電力でも行われている。なぜこれだけ出力制御が増えているのかというと、太陽光発電の導入量が増えているからだ。
太陽光発電の導入量は、この10年で約11倍に増加した。まだ国が定める導入目標量には達してはいないが、太陽光発電は晴れの日に発電量が一気に増え、さらに火力発電のように発電量を細かく調整できないため、制御する必要が生じる。こういった理由から、出力制御が増加しているのだ。
出力制御は年末年始やGWなど、電力需要が少ない時期にしか行われない、とされていたが、今後は時期に関係なく、発電量が過剰になるたびに出力制御が実施されるのだ。
2022年度から、10kW以上の発電所全てが出力制御の対象に
出力制御にあたって知っておくべきなのが、出力制御の3つのルールだ。太陽光発電所は、管轄の電力会社や、電力系統への接続申込をした時期によって「旧ルール」「新ルール(360時間ルール)」「指定ルール」と、3つのルールに分類されている。
発電所にどのルールが適用されるかで、電力会社が出力制御を無保証で要請できる日数や時間、出力制御に対応したパワコンの設置義務の有無が変わるため、注意が必要だ。簡単にまとめると、以下の図のようになる。
旧ルールの対象となるのは、FIT制度が導入された当初(2012年〜2015年ごろ)に運転を開始した発電所だ。当時は出力制御は滅多にないと言われ、電力会社が発電事業者に要請できる日数も年間30日間だけだった。制御対象の発電所も500kW以上の発電所に限られ、出力制御やインターネット接続に対応したパワコンの設置義務もなかったのだ。
しかし、太陽光の発電量が増加するにつれ、旧ルールでは需給バランスの調整が困難に。そこで2015年に再エネ特措法が改正された。2015年1月26日以降に運転開始した発電所(一部例外あり)に対しては、年間360時間分まで依頼できる、新ルール(360時間ルール)が適用されている。新ルールでは、インターネット上の出力制御に対応したパワコンの設置が義務化された。
2015年以降も太陽光発電所数が増加し続け、電力系統の接続可能量をオーバーする可能性が生じている。そこで国は電力会社に対して「電力系統への接続申込量が接続可能量を上回った時点から、それ以降に接続申込をした発電所に対しては、日数の上限なしで出力制御を要請できる」許可を出した。このルールは国から指定を受けた電力会社だけが対象となるため、「指定ルール」といわれている。
例えば北海道電力や東北電力、九州電力は、再エネ特措法が改正された時点で接続申込量が接続可能量を上回っていたため、旧ルールからそのまま指定ルールに移行した。それ以外の電力会社も当初は新ルールが適用されていたが、以下のように、今では全てが指定ルールの対象となっている。
・四国電力
⇨2014年12月3日〜2016年1月22日までに運転開始した発電所は新ルール。それ以降は指定ルール。
・北陸電力
⇨2015年1月26日〜2017年1月23日までに運転開始した発電所は新ルール。それ以降は指定ルール。
・中国電力
⇨2015年1月26日〜2018年7月11日までに運転開始した発電所は新ルール。それ以降は指定ルール。
・東京電力、中部電力、関西電力、沖縄電力
⇨2015年1月26日〜2021年3月31日までに運転開始した発電所は新ルール。それ以降は指定ルール。
改めてまとめると、これまでの出力制御の対象となるのは、以下の2つでした。
①500kW以上の旧ルール事業者
②10kW以上の新ルールまたは指定ルール事業者
つまり、従来は「10kW以上500kW未満の旧ルールの事業者」は制御対象外だった。しかし、2022年4月1日に施行された改正再エネ特措法によって「10kW以上500kW未満の旧ルール事業者」も出力制御の対象に含まれている。まとめると、出力制御の対象にならないのは「10kW未満の発電事業者」だけだ(下図参照)。
出力制御には、固定と更新の2種類がある
次に、出力制御のスケジュールについて説明する。出力制御には「固定スケジュール」と「更新スケジュール」という、2つの日程がある。
固定スケジュールとは、あらかじめ電力会社が決めた出力制御の日程のこと。年に1回以上、電力会社が出力制御のスケジュールを発表するので、発電事業者はそのデータを発電所のパワコンに直接登録する必要がある。固定スケジュールはインターネットを使用しないため、オフライン制御ともいわれる(下図参照)。
一方、更新スケジュールとは、出力制御の日時が変更された際に電力会社が発表する、最新版の日程のことだ。
出力制御は固定スケジュールによって日程が決まるが、必ずしもその通りに実施されるわけではない。天気予報や日射量予測などをもとに需給バランスを予測し、状況によっては「実施の必要なし」「予定よりも短時間で実施する」となることもある。
変更の可能性がある場合は3日前までに電力会社から連絡があり、最終的に当日の2時間前までに決定される。変更がある場合、発電事業者はオンライン上で更新スケジュールを登録しなければいけない。更新スケジュールはインターネットを使用するため、オンライン制御とも呼ばれる。
オンライン制御のメリットは、下図のように出力制御が未実施、時間短縮となった場合、売電ロスを最小限にできる点だ。
現状、市場に出回るパワコンは、ほとんどが通信機能を持っている。しかし、FIT初期のパワコンの一部は後付けオプションを含め、出力制御に未対応のものがある。この場合、PCSの交換が必要になるケースもあるので注意が必要だ。O&M会社では、品番かパワコンの写真があれば、出力制御対応かどうかを確認できる。
また2022年度内には、固定スケジュールだけの事業者の損失を防げるよう、スケジュールが更新された際に、オンライン制御できる事業者が代理で制御を行う、経済的出力制御(オンライン代理制御)がスタートする。詳しくはこちらの記事から。
出力制御の具体的な流れとは?
最後に、出力制御への対応と流れを説明する。
①実施前:書類の提出と出力制御に対応したインフラ・機器の設置
初めて出力制御が実施されるエリアの発電所では、以下のように、まずは電力会社に対して書類の提出や機器の設置が必要だ。
・「出力制御機能付PCS仕様確認依頼書」を提出
・電力会社から「ご契約情報」と「発電所ID」を受け取る
・インターネット回線契約
・出力制御に対応したPCS(パワコン)の設置
・出力制御ユニットの設置
・「発電所ID」の登録などの設定
・「切替完了届」を提出
インターネット回線は、電波が届きにくい山間部などでは通信設備を設置したあとの契約になり、時間がかかる場合もあるので要注意だ。また途中で回線接続が切れると、更新ではなく固定に自動的に変更され、1日分の売電収入がゼロになる。安定した回線を用意しよう。工事の際、初期設定で固定スケジュールを登録できるので、初年度は直接登録する必要はない。
②実施直前(3日〜当日2時間前):電力会社からの連絡対応
スケジュールに変更がある場合は、予定日時の3日〜当日2時間前までに、電力会社からメールまたは電話にて連絡が来る。オンラインで対応できる場合は、更新スケジュールを登録しよう。
③実施後:発電が再開されたかの確認
出力制御が終わり次第、自動的に発電が再開される。
しろくま電力は高い施工品質で、CO2排出量・電気代の削減を実現
補助金の煩雑な申請も担当者が手厚くサポート
しろくま電力は太陽光発電所の適地探しから土地開発、資材調達、施工までを一気通貫で行っている。発電設備の導入にあたって、PPAモデル・自社所有型モデルともに対応可能だ。
しろくま電力で太陽光発電設備するメリットは以下の3点だ。
・大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績
・設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力
・日射量データとAIを駆使した適地探し
しろくま電力のPPAのメリット①大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績
しろくま電力は、国内にある発電所の施工を数多く担当してきた。メガソーラーをはじめとする大規模発電所や、店舗の駐車場に設置するソーラーカーポートなど、施工実績が豊富だ。
土地開発から施工にいたるまで、ほぼ全ての業務を内製化する中で培った独自のノウハウを活かし、高品質の太陽光発電所を設置する。
参考:オンサイトPPAとは?オフサイトPPAとの違い、メリットデメリットをわかりやすく解説
参考:オフサイトPPAとは?オンサイトPPA・自己託送との違いをわかりやすく解説
しろくま電力のPPAのメリット②設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力
2つ目のメリットが技術力の高さだ。しろくま電力は施工に加え施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。3D設計により、100m横の敷地に立った左の発電所よりも22%も発電量を増やすことに成功した。
また太陽光発電設備は、屋根上や遊休地はもちろん、水の上や遠隔地、駐車場にも設置できる。特に駐車場に設置するソーラーカーポートには強いこだわりがあり、一級建築士監修のもと、2年もの歳月をかけて改良を重ねてきた。
上図左側のように、従来のソーラーカーポートは4本足で、駐車や扉の開閉がしづらく、相場も高い。しかししろくま電力では、前方に足がない2本足タイプを開発。これによって駐車しやすく、扉の開け閉めが容易になった。
(実際にケーヨーデイツー姉崎店に設置されている、2本足のソーラーカーポート)
ソーラーカーポートの価格についても、資材の大量輸入や業務効率のいい工法の開発などにより、業界トップクラスの低価格で対応する。PPAモデルを活用すれば、初期費用0円でソーラーカーポートや太陽光発電設備を導入することもできる。
参考:【図解】ソーラーカーポートとは?価格相場や導入メリットデメリット、補助金情報を解説!
参考:しろくま電力「しろくまカーポート事業ページ」
しろくま電力のPPAのメリット③日射量データとAIを駆使した適地探し
しろくま電力には土地開発チームがあるため、オフサイトPPAモデルを行う場合、土地探しから土地開発、施工までを一貫して実施できる。
土地探しの際は、自社で開発した「再生可能エネルギー適地検索システム」を活用。日射量データや該当エリアの系統の空き容量、土地の情報などのデータを学習したAIが、152万に分割した日本の土地の中から発電所の適地を見つけだす。
しろくま電力では、豊富な実績と高い技術力を活かし、国内企業の脱炭素や電気料金の高騰リスク軽減を全力でサポートする。太陽光発電設備の導入(PPAモデルまたは自社所有型モデル)に関するお問い合わせやご相談は「太陽光発電設備の導入に関するお問い合わせフォーム」または下記のバナーから。