2022年度の冬も電力需給はひっ迫する?逼迫の背景と電気代高騰・倒産対策を解説!
※この記事は2024年8月30日に最新の情報に更新されました。
2022年6月末、東京エリアにおいて発表された「需給ひっ迫注意報」。政府による節電の呼びかけや電力会社の運用などもあり、最悪の事態を免れることはできた。しかし2022年度の冬は、夏以上に電力需給がひっ迫するといわれている。
2022〜2023年冬のひっ迫状況の厳しさと、電気代高騰・電力会社の倒産リスクに備えて企業が取るべき対応について、電力環境エネルギージャーナリストとして活動し、EnergyShift編集マネージャー・しろくま電力研究所研究コーディネーターを務める本橋恵一が解説する。
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目次・2022年6月の電力需給ひっ迫の主な原因は「火力発電所の点検・補修」 ・2022〜2023年の冬は日本各地で電力の予備率が不足する ・節電ポイントの活用で、需給ひっ迫対策だけでなく電気料金も抑えられる |
2022年6月の電力需給ひっ迫の主な原因は「火力発電所の点検・補修」
冬の電力需給ひっ迫に対する懸念について解説する前に、2022年6月末の需給ひっ迫について述べておきたい。電力ひっ迫注意報が発令されたのは、6月27日から6月30日までの4日間だ。
6月27日は関東甲信越地方が観測史上最速の梅雨明けとなり、以降は東京地方の最高気温が連日35℃から37℃と猛暑日が続いた。この影響もあり、2022年6月中の電力需要は過去10年間で最大となっている。
通常、7〜9月であれば、これだけの猛暑日が続いても需給にはもう少し余裕がある。しかし6月末時点では、本格的な夏に備えて定期点検・補修を行い、稼働していない火力発電所が多かった(下図参照)。その結果、十分な電力の供給力がなく、電力需給がひっ迫する事態となった。
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「2022年度の電力需給対策について」)
しかし、7月以降は補修中の火力発電所の運転が再開したほか、休止中だった火力発電所も運転を再開させるなど、電力の供給力が増えたため需給ひっ迫の可能性は小さくなった。また電気料金の値上がりによって様々な場所で節電が行われたことも事態を好転させた。スーパーなどで飲料品の陳列棚の照明が落とされていたり、テレビのニュース番組などで照明を落としていたりする光景は今でもよく見られる。
火力発電所の運転再開、節電の継続。主にこの2つの取り組みによって東北エリアから九州エリアまでの電力供給の予備率が大幅に改善(下図参照)。これによって需給ひっ迫が遠のいた。
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「2022年度の電力需給対策について」)
ここで予備率について簡単に説明する。予備率とは、予想される電力の最大需要に対する供給力の余剰分の割合を指す。例えば、900万kWの電力需要に対し、発電所からの供給力が1,000万kWの場合、予備率は10%となる。
予備率は、通常であれば8%以上あるのが望ましい。予備率が3~5%の場合に需給ひっ迫注意報が出され、3%を下回る場合に需給ひっ迫警報が出される。2022年は「10年に一度の猛暑」といわれており7月分の予備率は3.7%だったが、前述の取り組みもあり、ひっ迫の事態はなんとか免れた。
2022〜2023年の冬は日本各地で電力の予備率が不足する
それでは、2022年から2023年にかけて、冬の電力予備率はどうなっていくのだろうか。2022年11月1日時点では、2022年12月〜2023年3月までの予備率は以下のように想定されている。
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「2022年度冬季の電力需給対策」)
2022年7月の発表では、北海道・沖縄エリアを除く全国のエリアでは、2023年1月の予備率が2%を切っている状況だった。しかし復旧見込みの火力発電所が増えたこと、今後さらに休止中の火力発電所を再開すること、前もって電気を公募したことで供給力を確保し、上図まで予備率は改善されている。
これだけ改善されたなら大丈夫そうにも思えるが、安心はできない。2022年3月に需給ひっ迫警報が発令されたが、これは3月としては異例の厳寒で、降雪量も多かった。さらに3月16日の福島県沖地震によって東北・東京エリアの火力発電所が被災したことで発電量が一気に減少し、電力需給がひっ迫したのだ。
2023年1〜2月も2022年同様、厳しい寒さが続くと言われている。そのため想定よりも需要が増加する可能性はゼロではない。また火力発電所の稼働が増えたが、これらは老朽化が進んでいるものが多い。事実、2022年12月1〜12日の間に、故障などで火力発電所の稼働が停止するケースは200件にも上っている。
運転を再開する予定の火力発電所も老朽化のために休止していたものである。運転再開後、震災のように何かしらのトラブルによって火力発電所の計画外停止が起こりうるのだ。そうなると、電力需給が一気にひっ迫することとなる。
節電ポイントの活用で、需給ひっ迫対策だけでなく電気料金も抑えられる
2022〜2023年の冬にかけて、火力発電の供給量は増える見込みだ。それでも需給ひっ迫リスクに備えて、積極的に節電を行い、少しでも需要を減らす必要がある。
そこで政府が発表したのが「節電ポイント」だ。詳しくは「【図解】節電ポイントとは?法人にメリットはある?仕組みや注意点を解説!」で解説しているが、企業などの法人(50kW以上の高圧電力を使っている事業所)が電力会社の節電プログラムに登録するだけで20万円分の節電ポイントが付与され、節電状況によっては、さらにポイント還元やキャッシュバックが実施される。
節電した結果得られるのが20万円というのは、少ないと感じる人もいるだろう。だが電気料金は値上がりしており、冬はさらに高騰する見込みだ。そのため、節電すれば光熱費を安くでき、さらに2000円ないし20万円が戻ってくることとなる。考え方によっては非常に有益な取り組みであるといえる。オフィスの節電方法については「【すぐできる】法人・企業の電気代削減・節電方法を徹底解説!(オフィス編)」で解説している。
今のところ、極端な節電要請は予定されていない。しかし極端な厳寒となり、多くの発電所が計画外停止する事態となれば、電力の供給力が大幅に不足してしまう。そうなった場合の最終手段として、計画停電が実施される可能性もゼロとは言い切れない。その事態を避けるためにも、日頃から節電する必要がある。
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電力需給ひっ迫により、電気代高騰・電力会社の倒産のリスクがさらに高くなる
電力需給ひっ迫は、大規模停電のリスクを高めるだけではない。電力卸市場に出回る電力量も減少するため、電力の市場価格が高騰してしまうのだ。2022年6月末の需給ひっ迫の際、東京エリアではそれまで1kWあたり20円前後だった市場価格が200円/kWまで値上がりした。予備率から考えても、冬のひっ迫時には市場に出回る電力量はさらに減少すると考えられ、その分だけ市場価格は値上がりする見込みだ。
ほとんどの電力会社はJEPXから電力を仕入れて需要家に供給しているが、JEPXの市場価格は30分ごとに変動する。しかし、一般的な電気契約のプランは電気料金の単価が固定されているため、市場価格をタイムリーに反映できない。現状では月ごとに大幅な値上げを行う必要が生じるが、その際、ほとんどの電力会社が価格の参考にするのは前月のデータだ。
燃料価格の高騰が続く現在において、前月の数字をもとに電気料金を値上げをしても、今月のJEPXの市場価格の方が高かった、というケースも発生している。赤字が続くと事業の継続が困難になり、倒産や事業撤退、一方的な契約解除が発生してしまう。現状、多くの電力会社が新規受付を停止しており、契約を受け付けている会社も、一般的な契約プランの場合は通常よりも高額な電気料金を提示している。
電力会社の契約先が見つからない場合、一時的に最終保障供給契約を結ぶ必要が生じる。これまではラストリゾート契約ともいわれた最終保障供給だが、2022年9月1日より料金体系が変更され、電気料金が大幅に値上がりすることが決まっている。最後の受け皿だった最終保障供給が大きく値上がりする今、一般的な電気契約プランの継続は、非常にリスキーになりつつある。
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これからは自社に合った電力プランを選ぶことが重要
ここまで、電気代の推移と値上がりする理由、電気代が今後どうなっていくのかを解説してきた。今後も電気代が上がる可能性が高いが、法人はどう対応すべきなのか?
それは、自社のニーズに合った電力プランを選び、電気代のコストパフォーマンスを高めることだ。
例えば、
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など、法人によって選ぶべき電力プランは異なるのである。
現在、大手電力あるいは新電力が提供する「法人向け電力プラン」を契約中の法人が多いのではないだろうか。実はこのプラン、法人によって多少単価に違いがあるものの、基本的にはどの法人に対しても電気代の仕組みは同じである。
「大手電力=安心」というイメージがあったり、現状から電力プランを見直すのは怖い、と感じるかもしれない。だがこれからは「自社にあった電力プランを選んで効率よく電気代を下げていく」取り組みが非常に重要なのである。
電力会社によっては「プランを会社ごとにカスタマイズできる」「適切な電力プランを提案してくれる」会社もあるため、電力会社選びが面倒な場合は、こうした法人から見積もりをとるのも一つの手だろう。
<業界トップクラスのプラン数!電気代を45%削減した例も>
御社に最適なプランで電気代・CO2を削減しよう
しろくま電力では、高圧・特別高圧の電力を使用する法人向けに電力プランを提供している。
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電気代が大手電力より安いのはもちろん、「電気代をとにかく安くしたいから市場連動型プラン」「価格の安定性も重視したいから燃調リンクプラン」など、ニーズに合わせて電力プランを選ぶことができる。中には電気代を45%(1.5億円)削減したプランもある。プランをカスタマイズし、御社だけの電力プランを作ることも可能だ。
以下はしろくま電力を導入する主な企業・自治体である。
しろくま電力は、入札制(価格が安い場合に導入が決まる)を実施する数多くの自治体に対しても電力供給を行っている。多くの法人からも低価格であることが好評で、契約更新率は92%を超えた。
また、しろくま電力の電気は全てCO2を一切排出しない実質再生可能エネルギーだ。電気を切り替えるだけで御社のCO2削減量を減らすことができる。
見積もりは「複数のプランの電気代の提示」や「現在の契約先との電気代・CO2削減量の比較」にも対応している。「どれがいいかわからない」法人にはこちらからプランを提案することも可能だ。
見積もりだけでなく「プランについて説明してほしい」「なぜ安いのか、本当に倒産しないか知りたい」といった面談も行っている。切り替えを検討中でなくとも、気軽にお問い合わせいただきたい。