低圧電力とは、契約電力50kW未満・供給電圧が100Vまたは200Vの電力区分のことだ(出典:e-Gov法令検索「電気事業法施行規則」)。対象となるのは小規模な店舗・事務所・飲食店、一般家庭などで、この低圧電力には電灯(照明など)と動力(業務用エアコンなど)の2つの契約形態がある。
意外にも「低圧電力を使っているはずだが、自社が従量電灯なのか動力なのかわからない」という担当者は多い。また、電力使用量が増えてきたとき、低圧のままでいいのか、高圧に切り替えた方が電気代が安くなるのかを判断できずにいる方も少なくないだろう。
そこでこの記事では、低圧電力の定義から従量電灯と動力の違い、電気代の計算方法、高圧との電気代差、そして低圧のまま電気代を下げる方法までわかりやすく解説していく。
|
この記事を読んでわかること ・低圧電力とは何か?高圧・特別高圧との違いとは? ・従量電灯と動力はどう違う?自分の事業所はどちらか? ・低圧と高圧で電気代はどれだけ違うのか? ・低圧のまま電気代を下げるためにできることとは? |
|---|
|
結論をまとめると |
低圧電力とは契約電力50kW未満・供給電圧が100Vまたは200Vの電力区分のこと。主に小規模な店舗・事務所・飲食店、一般家庭などが対象である。 |
|---|
前提として、日本の電力は供給規模によって「低圧」「高圧」「特別高圧」の3区分にわかれている。まずは低圧電力の定義と、3つの区分の違いを理解しておこう。
関連記事:【法人向け】高圧電力と特別高圧と低圧の違いとは?動力・業務用電力も含む電力区分をわかりやすく解説
先述したように、低圧電力とは契約電力50kW未満・供給電圧が100Vまたは200Vの電力区分のことである。低圧電力の対象となるのは、小規模な店舗・事務所・飲食店・一般家庭などだ。
低圧電力は、電柱に取り付けられた柱上変圧器(トランス)が電圧を安全な数値まで落とし、その後、電線を通して各施設に供給されている。低圧の契約電力の上限は50kW未満で、同時に使える最大電力が50kWを超える場合は「高圧電力」への切替が必要になる。
電力区分には低圧電力以外にも「高圧電力」と「特別高圧電力」があると説明した。低圧と高圧・特別高圧の違いは、「契約電力(kW)」と「供給電圧(V)」である。
|
区分 |
契約電力 |
供給電圧 |
受変電設備 |
主な利用施設 |
|---|---|---|---|---|
|
低圧 |
50kW未満 |
100〜200V |
不要(電力会社が設置) |
家庭・小規模店舗・小工場 |
|
高圧 |
50〜2,000kW未満 |
6,000V |
キュービクルが必要 |
中規模ビル・工場・学校 |
|
特別高圧 |
2,000kW以上 |
22,000V〜 |
特高受変電設備が必要 |
大規模工場・空港・鉄道 |
上図は低圧と高圧、特別高圧の違いをまとめたものだ。
電力区分は、電圧・契約電力が大きくなるにつれて「低圧→高圧→特別高圧」と変化していく。供給対象となる施設も、低圧の場合は小規模な施設が多いが、特別高圧となると大規模な工場や商業施設が大半を占めている。
低圧電力の最大の特徴は、高圧・特別高圧で必要な「キュービクル」などの受変電設備の導入が不要な点だ。キュービクルは初期費用だけでなく、点検費用や電気主任技術者の人件費が固定コストとして発生する。低圧はそのコストが一切かからないため、電気使用量が少ない施設にとっては合理的な選択といえるだろう。
関連記事:高圧電力とは?低圧や特別高圧との違い、契約の注意点もわかりやすく解説!
関連記事:特別高圧とは?電気代の仕組み、低圧や高圧との違いをわかりやすく解説!
|
結論をまとめると |
低圧電力は「従量電灯」と「動力」の2種類に分かれる。従量電灯は照明・一般家電向けの単相100〜200V、動力は業務用機器(大型エアコンなど)向けの三相200Vの電圧である。 |
|---|
ここまで低圧電力の概要を解説してきた。冒頭で述べたように低圧電力には「従量電灯」と「動力」の2つがあるが、この2つの違いを正しく理解できていない担当者も少なくないだろう。ここからは、低圧電力の従量電灯と動力について解説していく。
従量電灯は、主に一般家庭や小規模な店舗・オフィスで使われる電力供給の形態だ。供給電圧は100Vまたは200Vで、コンセントの穴が2つある「単相」という方式で電気が送られる。照明・パソコン・一般的な冷蔵庫・小型エアコンといった機器に適している。
従量電灯プランの特徴は、使えば使うほど1kWhあたりの単価が上がる「3段階料金制」を採用している電力会社が多い点だ。基本料金は契約アンペア数または契約容量(kVA)で決定する。電力使用量が多くない施設にとっては比較的リーズナブルに設計されている電力プランと言える。電力会社によって従量電灯A・B・Cと区分が分かれているため、自社の区分が気になる方は検針票で確認するといいだろう。
動力プランは、業務用の大型機器を動かすために設計された電力プランだ。供給電圧は200Vで、コンセントの穴が3つある「三相」という方式で電気が送られる。三相は単相より多くの電流を安定して流せるため、業務用エアコン・大型冷蔵庫・エレベーター・工場の動力設備といった業務用設備の運転に適している。
動力プランの従量電灯プランとの違いは料金体系だ。動力プランは基本料金が高めに設定されている一方、電力量料金の単価は従量電灯より低く抑えられている。つまり、大量に電気を使う設備があるほど動力プランの恩恵が大きくなるのだ。なお、夏季(7〜9月)とその他の季節で電力量料金単価が異なる点も把握しておこう。
関連記事:動力とは?電気料金の仕組みや電灯との違いをわかりやすく解説!
従量電灯と動力はプランが異なるように、それぞれの契約が必要になる。そのため、飲食店やコンビニでは「照明・レジ・一般家電は従量電灯プラン」「業務用エアコン・冷蔵庫・冷凍ショーケースは動力プラン」というように、用途別に2つのプランを契約しなければならない。
ただし両プランの同時契約には注意点がある。従量電灯と動力では配線工事が別途必要で、既存の設備に動力契約を追加する場合は電気工事の費用が発生するため、電気代が変動する可能性があるのだ。また、契約は別々になるため、それぞれに基本料金がかかることも覚えておこう。とにかく、いきなり契約せず、まずは事前に電力会社に見積もりを取ることをおすすめする。
|
結論をまとめると |
電気代は「基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金」の4項目で構成される。このうち毎月変動するのは燃料費調整額、毎年変更するのは再エネ賦課金。 |
|---|
ここまで低圧電力の従量電灯と動力について解説してきた。電気代に関する話が多く出たが、低圧電力の電気代はどのように構成されているのだろうか? ここからは「どこを変えれば電気代が下がるか」ということを理解するためにも、低圧電力の電気代の内訳を解説していく。
低圧電力の電気代は主に上図の4項目で成り立っている。
基本料金は、毎月固定で発生するコストだ。従量電灯プランの場合は契約アンペア数(A)または契約容量(kVA)で決まり、動力では契約電力(kW)に応じて決定する。基本料金は電力使用量がゼロでも必ず発生するため、電力使用量が少ない事業所では見直しの余地がある。
電力量料金は、実際に使ったkWh分だけ発生する費用だ。従量電灯プランは前述のように3段階制が大半で、動力プランは使用量に関わらず一定単価(ただし夏季・その他季で異なる)となるケースが多い。
燃料費調整額は、電力会社が発電に使う燃料(石炭・LNG・原油)の価格変動を毎月の電気料金に反映させる仕組みだ。わかりやすくいうと、原油が高くなれば電気代も上がり、安くなれば下がる仕組みである。2022〜2023年のエネルギー価格高騰時には、この項目だけで大幅なコスト増となった事業者が続出した。
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、太陽光などの再エネ由来電力をFIT制度(固定価格買取制度)で買い取るために必要な費用を、全需要家で広く薄く負担する仕組みだ。毎年4月に政府が単価を改定するため、全ての電力会社で単価は同じである。
関連記事:電気代の内訳とは?法人向けに計算方法をわかりやすく解説
関連記事:燃料費調整額とは?仕組みなどをわかりやすく解説
ここまで説明したように、従量電灯か動力かによって電気代の上がり方のパターンが全く異なるため、どう違うのかを正しく理解しておこう。両者の料金体系を、以下の表にまとめた。
|
比較項目 |
従量電灯 |
動力(低圧電力) |
|---|---|---|
|
基本料金の性質 |
契約アンペア or kVA × 単価 |
契約電力(kW)× 単価 |
|
電力量料金の構造 |
3段階制(使うほど単価が上がる) |
定額単価制(夏季・その他季で異なる) |
|
季節変動 |
基本的になし |
あり(夏季の方が単価が高い) |
|
向いている用途 |
使用量が少ない・照明・一般機器 |
使用量が多い・業務用大型機器 |
まず、従量電灯は電力量料金が3段階制のため、電気を使うほど電気代の単価が上がっていく。一方、動力プランは単価が一定のケースが大半のため、電力使用量の増減で電気代が割高になることはない。しかし、季節によっては単価が上がるなど、割高になるケースが多いため注意しておこう。
|
結論をまとめると |
東京エリアでは、低圧(電灯)の電力量料金単価は高圧よりも27〜36%ほど単価が高い場合がある。使用量が多い事業所ほど、この差が電気代に大きく影響する。 |
|---|
ここまで低圧電力の電気代の内訳と、プランごとの電気代の傾向を解説してきた。それでは、低圧の電気代はいくらくらいなのか、具体的な数字をもとに解説していく。
まずは、実際の東京エリアの単価がいくらなのかを見ていこう。以下は、新電力ネットが公表している東京エリアの平均電力量料金単価(2026年1月実績)だ。
|
区分 |
平均電力量料金単価(2026年1月) |
|---|---|
|
特別高圧 |
16.72円/kWh |
|
高圧 |
20.43円/kWh |
|
電灯(低圧) |
25.98円/kWh |
|
動力(低圧) |
27.79円/kWh |
この数字を見ると、低圧は高圧に比べて単価が27〜36%ほど高いことがわかる。これは高圧や特別高圧は変電を自社で行っており、また電力使用量に関しても低圧よりも多いケースが大半だからだ。
このように電力量料金だけでも低圧は高圧・特別高圧よりも単価が高くなるケースが大半だ。場合によっては、低圧電力だとしても高圧電力を契約した方がいい可能性があるのだ。
実は「契約電力50kW未満なら低圧しか選べない」と思っている担当者も多いが、それは誤解だ。低圧電力であっても、キュービクルを導入すれば高圧電力向けの電力プランを契約することができる。その結果、電気代を削減できる可能性があるのだ。
コンビニやファミレスを例に考えてみよう。最大同時使用電力が40kWで、たとえ低圧の範囲内であっても、24時間365日稼働していると月間使用量は膨大になる。こうした施設では、電力量料金単価が安い高圧受電を選ぶことでトータルの電気代が低圧より安くなるケースがあるのだ。
キュービクルの設置費用は数百万円以上するため、必ず「月間の使用量がどれくらいか」「高圧にした場合、電気代はどれくらい削減できるのか」を確認しよう。「毎月の電気代の削減額 > キュービクルの分割費用」であれば、高圧電力への変更を検討してもいいだろう。逆に電力使用量が多くない低圧法人は、低圧電力のまま契約することをオススメする。
|
結論をまとめると |
2016年の電力自由化以降、低圧でも新電力への切り替えが可能になった。コストパフォーマンスを重視する法人は電力会社の変更がオススメ。 |
|---|
ここまで、低圧電力の電気代の特徴を解説してきた。電力使用量が多い法人に関しては、キュービクルを導入して高圧電力に切り替えるのも手だが、そういった手間をかけずに電気代を安くしたい場合に知っておきたいのが「電力会社の切り替え」だ。
これまで、私たちは東京電力や関西電力といった「各地域の大手電力会社」としか契約できなかった。しかし、2016年の電力小売全面自由化により、低圧電力であっても「新電力(小売電気事業者)」という新興の電力会社と契約できるようになっている。
新電力に切り替える主なメリットは3つ。「電気代が安くなる可能性が高いこと」「CO2ゼロなど環境に配慮した電力プランを選べること」「契約を一本化することで管理の手間を減らせること」だ。
新電力の切り替えにあたって工事などは必要ない。既存の配線・メーターをそのまま使い、手続きはオンラインや電話で完結でき、1〜2ヶ月程度で切り替えられる。現在の契約を維持しながら比較検討できるため、リスクなく検討できる点が大きなメリットだろう。
関連記事:新電力とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
関連記事:電力会社の乗り換えとは?法人向けに手順や注意点を解説
関連記事:電力会社の選び方とは?法人向けに比較ポイントをわかりやすく解説
しろくま電力は低圧法人向けに電力プランを提供している。このプランの特徴は、電気代が大手より安いこと、そしてどれだけ電気を使っても電気代の単価が変わらない点だ。電灯・動力をまとめて契約できるため、電気代を効率よく削減できる。
上図のように、電気代を年間の電気代150万円を108万円に削減したり(28%削減)、15拠点の電気代を一気に削減することで年間の電気代を1,740万円から1,293万円に抑えたり(26%削減)、低圧法人の電気代を数多く削減している。
また日本全国に供給しているため、複数拠点の一括契約もできる。これにより請求書を一つにまとめるなど、管理の手間を省くことが可能だ。こうしたメリットを踏まえ、現在、しろくま電力では以下の法人・自治体を含む3,200拠点以上に電力を供給している(高圧・特別高圧も含む)。
このプランは電気の使用量が多いほど電気代が割安になる。そのため、店舗や事務所が複数ある法人や、一拠点の電力使用量が多い法人は電気代を今より安くできる可能性が高い。ぜひ、「しろくま低圧法人向けプラン」か以下のバナーより見積もり依頼いただきたい。
関連記事:法人の電気代削減方法とは?すぐできる対策をわかりやすく解説