電気代の燃料費調整額とは?仕組みや今後の見通し、安くする方法をわかりやすく解説
※この記事は2024年11月18日に最新の情報に更新されました。
燃料費調整額とは、石油や石炭、天然ガス(LNG)といった「燃料費の変動分」を毎月の電気代に反映させたものである。
電気代は2022年に過去最高値となったが、高騰の原因となったのが燃料費調整額だ。この燃料費調整額をよく知り、適切に対策することで電気代を安くできるため、ぜひ詳しく理解しておこう。
この記事では、しろくま電力の電力小売事業部監修のもと、燃料費調整額の概要や計算方法、今後の見通しについて説明し、最後に燃料費調整額を安くする方法を解説する。
この記事でわかること ・燃料費調整額とは?この項目ができた背景とは? |
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燃料費調整制度とは?
結論をまとめると ・1996年より、電気代に「燃料費調整額」が含まれるようになった。 ・燃料費調整額は、燃料費調整制度という名のもとに成り立っている。 |
燃料費調整制度とは、火力発電で使用する化石燃料(石炭、石油または原油、天然ガス)の価格変動分を、月々の電気料金に反映させる制度のことだ。
燃料費調整制度は1996年にスタートした。今では大手電力会社や大半の新電力がこの燃料費調整制度を導入している。
なぜ燃料費調整制度があるのか
燃料費調整制度が設けられた理由は、電力会社の経営状態を安定させるためだ。
日本の電気は約7割が火力発電でつくられている。そして火力発電で使用する石炭や石油(原油)、天然ガス(LNG)といった化石燃料は、9割近くが海外から輸入されたものだ。
この化石燃料の価格は世界情勢や為替レートによってこまめに変動する。そのため電気代を完全に固定すると、燃料費が大幅に高騰した場合に発電コストが上がり、電力会社が損失を被ってしまう。
こうした事態を避けるために燃料費調整制度がはじまり、以下のように電気代に「燃料費調整額」が組み込まれることになった。
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燃料費調整額とは?わかりやすく解説!
結論をまとめると ・燃料費調整額 = 燃料費調整単価 × 電力使用量 ・燃料費調整額は、平均より上なら「プラス調整」、下なら「マイナス調整」。 ・燃料費調整額は、3~6ヶ月前の燃料費が2ヶ月後に反映されるなど、仕組みが複雑。 |
ここまで燃料費調整制度について解説してきた。ここからは燃料費調整額について解説していく。
燃料費調整額とは?
燃料費調整額とは、燃料費の変動分を毎月の電気代に反映させたものだ。以下の数式で算定できる。
燃料費調整額(円)= 燃料費調整単価(円/kWh)× 電力使用量(kWh)
燃料費調整単価は毎月変動する。詳しくは後述するが、各電力会社ごとに「基準」を設けており、過去数ヶ月の平均額がその基準を上回った場合は電気代に上乗せされ、下回った場合は電気代が値引きされる仕組みだ。
最近では電力会社が燃料費調整額の上限を撤廃するニュースが話題になったが、上限があるのは低圧(家庭向け)の規制料金メニューだけである。低圧(一部)・高圧・特別高圧の燃料費調整額には上限が設定されていない。
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燃料費調整額の算定方法とは?
燃料費調整額は「燃料費調整単価×電気使用量」で求められることを説明した。そして燃料費調整単価は、以下の計算式で算定できる。
燃料費調整単価 =(「平均燃料価格」ー「基準燃料価格」)÷ 1000(× 基準単価)
平均燃料価格とは、過去3ヶ月分の化石燃料の貿易統計価格の平均値のことだ。基準燃料価格は、各電力会社が定めた燃料費の基準である。そして、もし平均燃料価格が1キロあたり1,000円変動した場合は、電力会社が定めた基準単価も含めて単価を計算する。
平均燃料価格、基準燃料価格、基準単価それぞれに算定方法が存在するが、かなり複雑かつ特に必要な知識ではないため、ここでは割愛する。詳しい算定方法を見たい方は、各電力会社の約款などを確認しよう。
燃料費調整額のプラス・マイナス調整とは?
昨今、電気代高騰の原因として「燃料費調整額の値上がり」が叫ばれているが、燃料費調整額は電気代にプラスされるだけではない。
先述したように、平均燃料価格が基準を超えるかどうかで決まるため、燃料費が下がった場合、燃料費調整額もマイナスになることがあるのだ。これらをプラス調整、マイナス調整と呼ぶ。
プラス調整となるのは、実際の燃料価格が各電力会社の基準燃料価格を上回った場合だ。この場合、燃料費調整単価はプラスとなるため、電力量料金が値上がりする。
一方で、実際の燃料価格が各電力会社の基準燃料価格を下回った場合、燃料費調整単価はマイナスとなる。その場合はマイナス調整として、電力量料金が安くなる。
実際に東京電力の高圧の燃料費調整額を見てみると、2021年5月分の燃料費調整単価は-3.52円/kWhだった。しかし2023年2月分は12.59円/kWhと大幅なプラス調整になっている。
燃料費調整額が反映されるタイミング
燃料費調整額は過去数ヶ月の燃料費の平均額をもとに決まる、という話をした。このように燃料費調整額は若干のタイムラグが生じるため、算定期間についても説明しておきたい。
上図は燃料費調整額が実際に電気代に反映されるまでの期間をまとめたものだ。
燃料費調整額は、基本的に過去3ヶ月分の平均燃料価格をもとに決まり、その約2ヶ月後に電気代に反映されるケースが多い。例えば、10月分の燃料費調整単価は5〜7月分の燃料費をもとに反映される。かなり時間差があるのだ。
(出典:経済産業省「燃料費調整制度について」)
だがこれはかなり時間差が短縮された方で、燃料費調整制度がはじまった当初は、上図のように2半期前の燃料費を算定期間とし、その平均値をもとに単価が決められていた。しかも単価が4半期ごとにしか変わらなかったため、4〜6月の燃料費をもとに10〜12月の燃料費調整単価が決まるなど、かなりタイムラグがあったのだ。
だが2008年に原油価格が高騰したことで、1ヶ月早めて2ヶ月後に反映すること、燃料費調整単価は毎月変動すること、などの変更がとられている。この結果、実際の燃料費に少し近い単価を反映できるようになった。
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燃料費調整額の推移
結論をまとめると ・燃料費調整額は2023年の初めにピークに達した。 ・2024年現在は若干下がったものの、高止まりが続いている。 ・高騰のもっとも大きな要因は「ロシア・ウクライナ問題」 |
ここまで燃料費調整額の仕組みを解説してきた。それでは次に実際の燃料費調整額の推移を見ていく。
(新電力ネット「燃料費調整単価の推移」をもとに弊社作成)
上図は、東京電力の高圧の燃料費調整単価の推移である。
2020年12月の燃料費調整額は-4.84円/kWhだったが、2023年2月分に12.59円/kWhとなるなど、燃料費調整額は大幅に値上がりした。それ以降は下落が進んだものの、2024年に入っても高止まりが続いている。
なぜ燃料費調整額は値上がりしているのか?
ここまで、2022年に燃料費調整額が過去最高値をつけたこと、2024年に入っても高止まりが続いていることを説明した。それでは、2020年以降、なぜ燃料費調整額はここまで値上がりしているのだろうか?
燃料費調整額が値上がりしている主な理由として、以下の3つが挙げられる。
・脱炭素の促進による化石燃料への投資撤退
・急激な円安ドル高の進行
・2022年ロシア・ウクライナ問題
化石燃料を手掛ける企業や火力発電所からの投資撤退(ダイベストメント)、さらにロシアが西側諸国の経済制裁に反発し化石燃料の輸出を制限した結果、世界的な化石燃料の供給量が大幅に減少した。
その一方、コロナ禍からの景気回復に向けて化石燃料の需要が増加したこと、また急激な円安ドル高が進行したこともあり、以下の図のように燃料費が高騰しているのだ。
(各種統計データをもとに弊社作成)
燃料費が上がると、数ヶ月遅れて燃料費調整額も上がる。このようにして、私たちが支払う燃料費調整額は値上がりしているのだ。
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燃料費調整額の今後の見通しは?まだ値上がりする?
結論をまとめると ・燃料費調整額が以前のように安くなる可能性は低い。 ・「ロシア・ウクライナ問題」が解決すれば下がる可能性もある。 |
ここまで燃料費調整額の推移と、なぜ燃料費調整額が値上がりしているかを説明してきた。2024年現在も高止まりが続いているが、今後、燃料費調整額は2020年以前の水準まで安くなるのだろうか?
結論からいうと、その可能性は限りなく低いといえる。2022年に発生した「ロシア・ウクライナ問題」がいまだに収束の目処が立っていないからだ。
ロシアは2020年度の天然ガス輸出量が第1位、石油輸出量が第2位、石炭輸出量で第3位にランクインするなど、世界トップクラスの資源大国である。そのロシアがウクライナ侵攻をやめず、経済制裁が終わらない限りは燃料費が下がる可能性は低いといえるだろう。
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燃料費調整額が上がると考えられるリスクとは?
結論をまとめると ・燃料費調整額のもっとも大きなリスクは電気代が高くなること。 ・燃料費調整額が上がると、将来的に固定単価まで高くなるリスクがある。 |
今後も燃料費調整額が以前の水準まで安くなる可能性は低いことを説明した。それでは、燃料費調整額が上がるとどういったリスクがあるのだろうか? ここでは考えられる3つのリスクを解説する。
リスク①:電気代が高くなる
まず1点目が、月々の電気代が高くなる点だ。先述したように、燃料費調整額がプラス調整されると、その分だけ月々の電気代に上乗せされることになる。燃料費調整額が上がってしまうと電気代が高くなるのだ。
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リスク②:電気代の基本料金・電力量料金も値上がりする
2つ目のリスクが、燃料費調整額だけでなく、基本料金や電力量料金といった他の項目も値上がりする点だ。
2023年4月より、大手電力会社は電気代の「基本料金」「電力量料金」を大幅に値上げしている。これは2022年度の決算で大手電力10社のうち9社が数百億円〜数千億円の赤字を記録したからだ。
なぜ大手電力会社がここまで赤字となったのか。それは燃料費高騰にうまく対応できなかったからだ。
先述したように、燃料費調整額は実際の燃料費が反映されるまでにタイムラグがある。燃料費の値上げが続くと、どれだけ電気を売っても赤字になってしまうのだ。
このように大手電力は大赤字となってしまい、その赤字分を補填するために電気代を値上げした。今後も燃料費の高騰が続くと電気代の固定部分が上がる可能性は十分に考えられる。
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リスク③:新電力の倒産が増える
3つ目のリスクが、新電力の倒産が増える点だ。新電力とは、2016年以降に設立された新興の電力会社のことである。
2021年4月までに登録された新電力の会社数は706社だが、2024年3月時点でこのうち119社が「倒産・廃業」「事業撤退」している。この理由はリスク②と同じで、燃料費の高騰が続いたことで会社が赤字となったからだ。
大手企業が運営する新電力の場合、リスク②のように電気代の固定部分を値上げし、倒産はしないという可能性はあるだろう。だが資本力のない新電力の場合、赤字が続くと倒産せざるを得ないことを知っておこう。
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燃料費調整額による高騰・倒産リスクをなくすなら市場連動型プラン
結論をまとめると ・市場連動型プランとは、30分ごとに単価が変動するプランのこと。 ・市場連動型プランには燃料費調整額が含まれない。 ・「電力会社の倒産リスクを避けたい」場合も市場連動型プランがオススメ。 |
ここまで、燃料費調整額が上がった場合に考えられるリスクをいくつか説明してきた。こうしたリスクを避けたい法人が知っておきたいのが「市場連動型プラン」である。
市場連動型プランとは、30分ごとに電気代の単価が変動する電力プランだ。
新電力はJEPXという市場から仕入れた電気を供給している。JEPXからの電気の仕入れ値を「市場価格」というが、市場価格は需要と供給に応じて30分ごとに変動する仕組みだ。この市場価格をもとに、以下の電力量料金が決定するのが「市場連動型プラン」である。
市場連動型プランは電気の仕入れ値に基づいた料金設定のため、電力会社が大赤字となり倒産する、というリスクはほとんどない。また市場価格が決まる要素として「燃料費」が含まれるため、このプランには「燃料費調整額」がない。
さらに市場価格は、晴れて太陽光発電の導入量が増える時間帯や電力需要が少ない時間、燃料価格が安い時期などは大幅に安くなる。市場価格は最安0.01円/kWhとほぼ0円のため、電気代を大幅に安くできる可能性があるのだ。
市場価格が0.01円/kWhをつけた時間数 | |||||||||
北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | |
2018年
|
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.5 | 0 |
2019年
|
0 | 0 | 0 | 51.5 | 51.5 | 51.5 | 51.5 | 78.5 | 186.5 |
2020年
|
22.5 | 26 | 13 | 208.5 | 208.5 | 208.5 | 215.5 | 220 | 476.5 |
2021年
|
84.5 | 84.5 | 34 | 108.5 | 108.5 | 108.5 | 114 | 114 | 702 |
2022年
|
370 | 556 | 113 | 267.5 | 293 | 292 | 293 | 293 | 880 |
2023年
|
367.5 | 352.5 | 176 | 464 | 642.5 | 648 | 659 | 717 | 1174 |
上図は弊社電力事業部の担当者が計測した、市場価格が0.01円/kWhとなった時間数の推移だ。
全国的に再生可能エネルギーが増加したことで、最安値をつける時間が増えている。特に2023年の九州エリアでは、年間1,174時間、年間の総時間数(8,760時間)の約13%が0.01円/kWhとなった。
市場連動型プランでは、昼間の電気代が安くなる傾向にあるため、日中に稼働が多い工場やオフィスなどでは、電気代を下げられる可能性が高い。以下は市場価格が0.01円/kWhをつけた際の、2つのプランの価格イメージ図だ。
倒産リスクがほとんどなく、しかも電気代を安くできる可能性が高いため、市場連動型プランを選択するのも一つの手だといえるだろう。
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<法人向け>しろくま電力の市場連動型プランは
電気代削減・脱炭素を手厚くサポート まずはかんたんお見積もりから
しろくま電力では、高圧・特別高圧の法人向けに市場連動型プランを提供している。新電力ネットが実施した販売量増加率ランキングでは第3位を獲得。2022〜2023年にかけてお問合せ件数は約40倍に増加している(出典はこちら)。
しろくま電力では、翌日の市場価格を、毎日午前中にメールで共有。これによって、市場価格の高騰が見込まれる際には、従業員に在宅勤務を促したり、工場の稼働を減らしたりでき、電気代の節約をサポートする。個別での相談にも対応可能だ。
電気を切り替えるだけで脱炭素ができるのも、しろくま電力の強みだ。私たちが提供する電気は、実質再生可能エネルギー100%であり、CO2を一切排出しない。カーボンニュートラルの実現もサポートする。
以下のように、しろくま電力は多くの企業・自治体に導入いただいている(PPAも含む)。
以下は、実際にしろくま電力の市場連動型プランを導入した企業様の声だ。
お見積もりについては、他の電力会社や最終保障供給を契約した場合の電気代との比較もできる(比較を希望した法人のみ)。年間のお見積もりだけでなく、毎月の電気代を算出するため月ごとの料金比較も可能だ。以下は、レポートとお見積書の例である。
お見積もりは「しろくま電力の市場連動型プランページ」または下記バナーからすぐに完了できる。市場連動型プランに切り替えると電気代がどうなるのか、他社と比較して安くなるのかを試算したい方はぜひお申し込みを。お急ぎの見積もり依頼にも対応できる。契約上のご相談や不明点などにも対応可能だ。
<家庭向け>大手電力会社より最大25%安い
しろくまプランなら大幅に家庭の電気代が下がる可能性がある
家庭向けの場合、電気代を安くしたい方におすすめなのが、しろくま電力が家庭・小規模法人向けに提供する「しろくまプラン」である。
「しろくまプラン」は大手電力会社より電気代の単価を安く設定している。さらに「燃料費調整額」でなく「電源調達調整費」を含んでいるため、切り替えることで大手電力会社よりも約25%も電気代が安くなる可能性がある。
電源調達調整費とは、燃料費調整額の市場価格バージョンだ。市場価格は燃料費に加え、天候条件や電力の需給状況など、さまざまな条件をもとに30分ごとに変動する。燃料費は0.01円/kWhになることはないが、市場価格は晴れると最安で0.01円/kWhになる。
上図は4人世帯の場合の、大手電力との電気料金を比較したものだ。大手電力会社は2023年6月に大幅に電気代を値上げしており、エリアによっては電気代が1.5倍も上がっている。
しかし「しろくまプラン」は単価が大手電力の「値上げ前」よりも安く、値上げも実施していない。そのため、電気の使用状況によっては3割近く安くなる可能性がある。
また「しろくまプラン」の電気は、発電の際にCO2を出さない「実質再生可能エネルギー」だ。ただ安いだけでなく、電気を切り替えるだけで環境改善にも貢献できる。
「電気代を安くしたい、でもサーキュレーターや扇風機は思い切り使いたい」とお考えの方は、「しろくまプランお申し込みページ」または以下のバナーよりお申し込みを。
お申し込み方法はとても簡単。現在の電力会社との解約など、面倒な手続きは一切ない。スマホからもお申し込み可能である。
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