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電気代の燃料費調整額とは?仕組みや今後の見通し、安くする方法をわかりやすく解説

電気代の燃料費調整額とは?仕組みや今後の見通し、安くする方法をわかりやすく解説※この記事は2024年10月1日に最新の情報に更新されました。

2022年に過去最高値を記録した電気代。2024年現在、電気代の高騰は多少落ち着いたものの、それでも高止まりが続いている。

この電気代高騰の原因となったのが、電気代に含まれる「燃料費調整額」だ。この燃料費調整額をよく知り、適切に対策することで電気代を安くできるため、ぜひ詳しく理解しておこう。

この記事では、しろくま電力の電力小売事業部監修のもと、法人に向けて、燃料費調整額の概要や計算方法、今後の見通しについて説明し、最後に燃料費調整額を安くする方法を解説する。

※一般家庭、個人の方向けの解説は後半で行っています。こちらから読むことができます。

関連記事:電気代は安くできる!内訳と計算方法、基本料金の下げ方、法人がすべき対策を解説!
関連記事:【2024年最新】電気代値上げを徹底解説!推移と料金が高い原因、今後の見通し、法人ができる高騰対策とは

目次

燃料費調整制度とは?
 なぜ燃料費調整制度があるのか

燃料費調整額とは?わかりやすく解説!
 燃料費調整額とは?
   燃料費調整額の算出方法とは?
   燃料費調整額のプラス・マイナス調整とは?
   燃料費調整額が反映されるタイミング

燃料費調整額の推移
 なぜ燃料費調整額は値上がりしているのか?

燃料費調整額の今後の見通しは?まだ値上がりする?

燃料費調整額が上がると考えられるリスクとは?
 リスク①:電気代が高くなる
 リスク②:電気代の基本料金・電力量料金も値上がりする
 リスク③:新電力の倒産が増える

燃料費調整額による高騰・倒産リスクをなくすなら市場連動型プラン

しろくま電力の市場連動型プランは電気代削減・脱炭素を手厚くサポート
まずはかんたんお見積もりから

燃料費調整制度とは?

燃料費調整制度とは、火力発電で使用する化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の価格変動分を、月々の電気料金に反映させる制度のことだ。

この制度は1996年にスタートし、今では大手電力会社や大半の新電力がこの燃料費調整制度を導入している。

なぜ燃料費調整制度があるのか

燃料費調整制度が設けられた理由は、電力会社の経営状態を安定させるためだ。

日本の電気は約7割が火力発電でつくられている。そして火力発電で使用する化石燃料(石炭、石油、天然ガス)は、9割近くが海外から輸入されたものだ。

この化石燃料の価格は世界情勢や為替レートによってこまめに変動する。そのため、電気代を完全に固定すると、燃料費が大幅に高騰した場合に発電コストが上がってしまい、電力会社が損失を被ることになってしまう。

こうした事態を避けるために燃料費調整制度がはじまり、以下のように電気代に「燃料費調整額」が組み込まれることになった。

この料金プランは一般的な料金体系の内訳

関連記事:電気代の基本料金とは?仕組みと種類、電気料金を安くする方法をわかりやすく解説
関連記事:【2024年最新】再エネ賦課金とは?仕組みや役割をわかりやすく解説!

 

燃料費調整額とは?わかりやすく解説!

ここまで燃料費調整制度について解説してきた。ここからは燃料費調整額について解説していく。

燃料費調整額とは?

燃料費調整額とは、燃料費の変動分を毎月の電気代に反映させたものだ。以下の数式で算出できる。

燃料費調整額 = 燃料費調整単価 × 電力使用量

燃料費調整単価は毎月変動する。詳しくは後述するが、各電力会社ごとに「基準」を設けており、過去数ヶ月の平均額がその基準を上回った場合は電気代に上乗せされ、下回った場合は電気代が値引きされる仕組みだ。

最近では電力会社が燃料費調整額の上限を撤廃するニュースが話題になったが、上限があるのは低圧の規制料金メニューだけである。低圧(一部)・高圧・特別高圧の燃料費調整額には上限が設定されていない。

関連記事:【図解】新電力とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説!
関連記事:市場価格調整単価とは?電気代がまた上がる?仕組みと対策をわかりやすく解説
関連記事:電源調達調整費とは?独自燃調の仕組みと特徴をわかりやすく解説

燃料費調整額の算出方法とは?

燃料費調整額は「燃料費調整単価×電気使用量」で求められることを説明した。そして燃料費調整単価は、以下の計算式で算出できる。

燃料費調整単価 =(「平均燃料価格」ー「基準燃料価格」)÷ 1000(× 基準単価)

平均燃料価格とは、過去3ヶ月分の燃料費の平均価格のことだ。基準燃料価格は、各電力会社が定めた燃料費の基準である。そして、もし平均燃料価格が1キロあたり1000円変動した場合は、電力会社が定めた基準単価も含めて単価を計算する。

平均燃料価格、基準燃料価格、基準単価それぞれに計算式が存在するが、かなり複雑かつ特に必要な知識ではないため、ここでは割愛する。詳しい数字を見たい方は、各電力会社の約款などを確認しよう。

燃料費調整額のプラス・マイナス調整とは?

昨今、電気代高騰の原因として「燃料費調整額の値上がり」が叫ばれているが、燃料費調整額は電気代にプラスされるだけではない。

先述したように、平均燃料価格が基準を超えるかどうかで決まるため、燃料費が下がった場合、燃料費調整額もマイナスになることがあるのだ。これらをプラス調整、マイナス調整と呼ぶ。

プラス調整となるのは、実際の燃料価格が、各電力会社の基準燃料価格を上回った場合だ。この場合、燃料費調整単価はプラスとなるため、電力量料金が値上がりする。

一方で、実際の燃料価格が各電力会社の基準燃料価格を下回った場合、燃料費調整単価はマイナスとなる。その場合はマイナス調整として、電力量料金が安くなる。

実際に東京電力の高圧の燃料費調整額を見てみると、2021年5月分の燃料費調整単価は-3.52円/kWhだった。しかし2023年2月分は12.59円/kWhと大幅なプラス調整になっている。

燃料費調整額が反映されるタイミング

燃料費調整額は過去数ヶ月の燃料費の平均額をもとに決まる、という話をした。このように燃料費調整額は若干のタイムラグが生じるため、その点においても説明をしておきたい。

燃料費調整額が反映されるタイミングについても注意しておきたい。燃料費調整単価は過去3ヶ月分の平均燃料価格をもとに決まるが、電気料金に反映されるのは2ヶ月後である

上図は燃料費調整額が実際に電気代に反映されるまでの流れをまとめたものだ。

燃料費調整額は、基本的に過去3ヶ月分の平均燃料価格をもとに決まり、その約2ヶ月後に電気代に反映されるケースが多い。例えば、10月分の燃料費調整単価は5〜7月分の燃料費をもとに反映される。かなり時間差があるのだ。

燃料費調整制度がはじまった当初は、上図のように2半期前の燃料費をもとに単価が決められていた。しかも単価が4半期ごとにしか変わらなかったため、4〜6月の燃料費をもとに10〜12月の燃料費調整単価が決まるなど、かなりタイムラグがあったのだ。(出典:経済産業省「燃料費調整制度について」

だがこれはかなり時間差が短縮された方で、燃料費調整制度がはじまった当初は、上図のように2半期前の燃料費をもとに単価が決められていた。しかも単価が4半期ごとにしか変わらなかったため、4〜6月の燃料費をもとに10〜12月の燃料費調整単価が決まるなど、かなりタイムラグがあったのだ。

だが2008年に原油価格が高騰したことで、1ヶ月早めて2ヶ月後に反映すること、燃料費調整単価は毎月変動すること、などの変更がとられている。これにより、より実際の燃料費に基づいた単価を反映できるようになった。

関連記事:【図解】電力自由化とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

 

 

燃料費調整額の推移

ここまで燃料費調整額の仕組みを解説してきた。それでは次に実際の燃料費調整額の推移を見ていく。

スクリーンショット 2024-09-27 18.29.07
(新電力ネット「燃料費調整単価の推移」をもとに弊社作成)

上図は、東京電力の高圧の燃料費調整単価の推移である。

2020年12月の燃料費調整額は-4.84円/kWhだったが、2023年2月分に12.59円/kWhとなるなど、燃料費調整額は大幅に値上がりした。それ以降は下落が進んだものの、2024年に入っても高止まりが続いている。

なぜ燃料費調整額は値上がりしているのか?

ここまで、2022年に燃料費調整額が過去最高値をつけたこと、2024年に入っても高止まりが続いていることを説明した。それでは、2020年以降、なぜ燃料費調整額はここまで値上がりしているのだろうか?

燃料費調整額が値上がりしている主な理由として、以下の3つが挙げられる。

・脱炭素の促進による化石燃料への投資撤退
・急激な円安ドル高の進行
・2022年ロシア・ウクライナ問題

化石燃料を手掛ける企業や火力発電所からの投資撤退(ダイベストメント)、さらにロシアが西側諸国の経済制裁に反発し化石燃料の輸出を制限した結果、世界的な化石燃料の供給量が大幅に減少した。

その一方、コロナ禍からの景気回復に向けて化石燃料の需要が増加したこと、また急激な円安ドル高が進行したこともあり、以下の図のように燃料費が高騰しているのだ。

化石燃料費(石炭・天然ガス・石油)の輸入価格の推移(各種統計データをもとに弊社作成)

燃料費が上がると、数ヶ月遅れて燃料費調整額も上がる。このようにして、私たちが支払う燃料費調整額は値上がりしているのだ。

関連記事:【2024年最新】電気代はどれくらい値上げした?推移と今後の予測、電気料金の高騰対策を解説!
関連記事:【法人向け】電気代を安くする方法とは?原因と対策を解説」

 

燃料費調整額の今後の見通しは?まだ値上がりする?

ここまで燃料費調整額の推移と、なぜ燃料費調整額が値上がりしているかを説明してきた。2024年現在も高止まりが続いているが、今後、燃料費調整額は2020年以前の水準まで安くなるのだろうか?

結論からいうと、その可能性は限りなく低いといえる。その理由として、2022年に発生した「ロシア・ウクライナ問題」がいまだに収束の目処が立っていないからだ。

ロシアは2020年度の天然ガス輸出量が第1位、石油輸出量が第2位、石炭輸出量で第3位にランクインするなど、世界トップクラスの資源大国である。そのロシアがウクライナ侵攻をやめず、経済制裁が終わらない限りは燃料費が下がる可能性は低いといえるだろう。

関連記事:カーボンニュートラルとは?意味や背景、実現に向けた世界の取り組みをわかりやすく解説
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燃料費調整額が上がると考えられるリスクとは?

今後も燃料費調整額が以前の水準まで安くなる可能性は低いことを説明した。それでは、燃料費調整額が上がるとどういったリスクがあるのだろうか? ここでは考えられる3つのリスクを解説する。

リスク①:電気代が高くなる

まず1点目が、月々の電気代が高くなる点だ。先述したように、燃料費調整額がプラス調整されると、その分だけ月々の電気代に上乗せされることになる。燃料費調整額が上がってしまうと電気代が高くなるのだ。

関連記事:【2024年】電気代が高いのはなぜ?電気料金の平均額と値上げする理由、安くする方法を解説
関連記事:【2024年】今後も電気代は値上げする?高い原因と予測、法人・家庭でできる電気代削減方法を徹底解説!

リスク②:電気代の基本料金・電力量料金も値上がりする

2つ目のリスクが、燃料費調整額だけでなく、基本料金や電力量料金といった他の項目も値上がりする点だ。

2023年4月より、大手電力会社は電気代の「基本料金」「電力量料金」を大幅に値上げしている。これは2022年度の決算で大手電力10社のうち9社が数百億円〜数千億円の赤字を記録したからだ。

なぜ大手電力会社がここまで赤字となったのか。それは燃料費高騰にうまく対応できなかったからだ。

先述したように、燃料費調整額は実際の燃料費が反映されるまでにタイムラグがある。燃料費の値上げが続くと、どれだけ電気を売っても赤字になってしまうのだ。

このように大手電力は大赤字となってしまい、その赤字分を補填するために電気代を値上げした。今後も燃料費の高騰が続くと電気代の固定部分が上がる可能性は十分に考えられる。

関連記事:【2024年】電気代を値上げする電力会社一覧!電気料金はどれくらい高くなる?
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リスク③:新電力の倒産が増える

3つ目のリスクが、新電力の倒産が増える点だ。新電力とは、2016年以降に設立された新興の電力会社のことである。

2021年4月までに登録された新電力の会社数は706社だが、2024年3月時点でこのうち119社が「倒産・廃業」「事業撤退」している。この理由はリスク②と同じで、燃料費の高騰が続いたことで会社が赤字となったからだ。

大手企業が運営する新電力の場合、リスク②のように電気代の固定部分を値上げし、倒産はしないという可能性はあるだろう。だが資本力のない新電力の場合、赤字が続くと倒産せざるを得ないことを知っておこう。

関連記事:新電力の倒産や撤退が相次ぐ理由とは?電力会社の切り替え方などをわかりやすく解説!

 

燃料費調整額による高騰・倒産リスクをなくすなら市場連動型プラン

ここまで、燃料費調整額が上がった場合に考えられるリスクをいくつか説明してきた。こうしたリスクを避けたい法人が知っておきたいのが「市場連動型プラン」である。

市場連動型プランとは、30分ごとに電気代の単価が変動する電力プランだ。

新電力はJEPXという市場から仕入れた電気を供給している。JEPXからの電気の仕入れ値を「市場価格」というが、市場価格は需要と供給に応じて30分ごとに変動する仕組みだ。この市場価格をもとに、以下の電力量料金が決定するのが「市場連動型プラン」である。

値上げが続く今、市場連動型プランなら電気料金高騰リスクを軽減できる

市場連動型プランは電気の仕入れ値に基づいた料金設定のため、電力会社が大赤字となり倒産する、というリスクはほとんどない。また市場価格が決まる要素として「燃料費」が含まれるため、このプランには「燃料費調整額」がない。

さらに市場価格は、晴れて太陽光発電の導入量が増える時間帯や電力需要が少ない時間、燃料価格が安い時期などは大幅に安くなる。市場価格は最安0.01円/kWhとほぼ0円のため、電気代を大幅に安くできる可能性があるのだ。

弊社電力事業部の担当者が計測した、市場価格が0.01円/kWhとなった時間数の推移だ。全国的に再生可能エネルギーが増加したことで、最安値をつける時間が増えている。特に2023年の九州エリアでは、年間1,174時間、年間の総時間数(8,760時間)の約13%が0.01円/kWhとなった。

上図は弊社の担当者が計測した、市場価格が0.01円/kWhとなった時間数の推移だ。全国的に再生可能エネルギーが増加したことで、最安値をつける時間が増えている。特に2023年の九州エリアでは、年間1,174時間、年間の総時間数(8,760時間)の約13%が0.01円/kWhとなった。

市場連動型プランでは、昼間の電気代が安くなる傾向にあるため、日中に稼働が多い工場やオフィスなどでは、電気代を下げられる可能性が高い。以下は市場価格が0.01円/kWhをつけた際の、2つのプランの価格イメージ図だ。

一般的なプランと市場連動型プランの料金を比較したものだ。

倒産リスクがほとんどなく、しかも電気代を安くできる可能性が高いため、市場連動型プランを選択するのも一つの手だといえるだろう。

関連記事:市場連動型プランとは?電気代の仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
関連記事:電力需給ひっ迫とは?なぜ起きる?いつまで続く?電気代値上げに備えて法人がすべき対策を解説

 

<法人向け>しろくま電力の市場連動型プランは
電気代削減・脱炭素を手厚くサポート まずはかんたんお見積もりから

しろくま電力では、高圧・特別高圧の法人向けに市場連動型プランを提供している。新電力ネットが実施した販売量増加率ランキングでは第3位を獲得。2022〜2023年にかけてお問合せ件数は約40倍に増加している(出典はこちら)。

しろくま電力では、翌日の市場価格を、毎日午前中にメールで共有。これによって、市場価格の高騰が見込まれる際には、従業員に在宅勤務を促したり、工場の稼働を減らしたりでき、電気代の節約をサポートする。個別での相談にも対応可能だ。

電気を切り替えるだけで脱炭素ができるのも、しろくま電力の強みだ。私たちが提供する電気は、実質再生可能エネルギー100%であり、CO2を一切排出しない。カーボンニュートラルの実現もサポートする。

以下のように、しろくま電力は多くの企業・自治体に導入いただいている(PPAも含む)。

しろくま電力を導入した法人のロゴ

以下は、実際にしろくま電力の市場連動型プランを導入した企業様の声だ。

お見積もりについては、他の電力会社や最終保障供給を契約した場合の電気代との比較もできる(比較を希望した法人のみ)。年間のお見積もりだけでなく、毎月の電気代を算出するため月ごとの料金比較も可能だ。以下は、レポートとお見積書の例である。

しろくま電力のお見積書とデイリーレポートの例。しろくま電力は翌日の各エリアの市場価格を毎日午前中にメールで共有。これにより、市場価格の高騰が見込まれる際には、従業員に在宅勤務を促したり工場の稼働を減らしたりでき、電気代の節約をサポートする。個別での相談にも対応可能だ。  お見積もりについては、他の電力会社や最終保障供給を契約した場合の電気代との比較もできる(比較を希望した法人のみ)。年間のお見積もりだけでなく、毎月の電気代を算出するため月ごとの料金比較も可能だ。

お見積もりは「しろくま電力の市場連動型プランページ」または下記バナーからすぐに完了できる。市場連動型プランに切り替えると電気代がどうなるのか、他社と比較して安くなるのかを試算したい方はぜひお申し込みを。お急ぎの見積もり依頼にも対応できる。契約上のご相談や不明点などにも対応可能だ。

 

 

 

 

 

<一般家庭・個人の方向け>電気代を左右する燃料費調整額とは?
仕組みや今後の見通し、安くする方法をわかりやすく解説

2022年に過去最高値を記録した電気代。2024年現在、電気代の高騰は多少落ち着いたものの、それでも高止まりが続いています。

この電気代高騰の原因となったのが、電気代に含まれる「燃料費調整額」というものです。この燃料費調整額をよく知り、適切に対策することで電気代を安くできるため、ぜひ詳しく理解しておきましょう。

この記事では、しろくま電力の電力小売事業部監修のもと、燃料費調整額の概要や計算方法、今後の見通しについて説明し、最後に燃料費調整額を安くする方法を解説します。

※後半は一般家庭・個人の方に向けた内容となっています。法人の方に向けた解説はこちらから読むことができます。

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関連記事:【2024年最新】電気代値上げを徹底解説!推移と料金が高い原因、今後の見通し、法人ができる高騰対策とは

目次

「燃料費調整制度」とは?わかりやすく解説!
 なぜ燃料費調整制度があるのか

燃料費調整額とは?わかりやすく解説!
 燃料費調整額とは?
   燃料費調整額の算出方法とは?わかりやすく解説!
   燃料費調整額のプラス・マイナス調整とは?
   燃料費調整額が反映されるタイミングは?

燃料費調整額の推移
 なぜ燃料費調整額は値上がりしているのか?

燃料費調整額の今後の見通しは?しばらくは高騰が続く?

燃料費調整額が上がると考えられるリスクとは?
 リスク①:電気代が高くなる
 リスク②:電気代の基本料金・電力量料金も値上がりする
 リスク③:新電力の倒産が増える

燃料費調整額のリスクを避けるには?

<大手電力会社より最大25%も安い>
しろくまプランなら大幅に家庭の電気代が下がる可能性がある

「燃料費調整制度」とは?わかりやすく解説!

燃料費調整制度とは、火力発電で使用する化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の価格変動分を、月々の電気料金に反映させる制度のことです。

この制度は1996年にスタートし、今では大手電力会社や大半の新電力がこの燃料費調整制度を導入しています。

なぜ燃料費調整制度があるのか

燃料費調整制度が設けられた理由は、電力会社の経営状態を安定させるためです。

日本の電気は約7割が火力発電でつくられています。そして火力発電で使用する化石燃料(石炭、石油、天然ガス)は、9割近くが海外から輸入されたものです。

この化石燃料の価格は世界情勢や為替レートによってこまめに変動します。そのため、電気代を完全に固定すると、燃料費が大幅に高騰した場合に発電コストが上がってしまい、電力会社が損失を被ることになってしまいます。

こうした事態を避けるために燃料費調整制度がはじまり、以下のように電気代に「燃料費調整額」が組み込まれることになりました。

この料金プランは一般的な料金体系の内訳

関連記事:電気代の基本料金とは?仕組みと種類、電気料金を安くする方法をわかりやすく解説
関連記事:【2024年最新】再エネ賦課金とは?仕組みや役割をわかりやすく解説!

 

燃料費調整額とは?わかりやすく解説!

ここまで燃料費調整制度について解説してきました。ここからは燃料費調整額について解説していきます。

燃料費調整額とは?

燃料費調整額とは、燃料費の変動分を毎月の電気代に反映させたものです。以下の数式で算出できます。

燃料費調整額 = 燃料費調整単価 × 電力使用量

燃料費調整単価は毎月変動します。詳しくは後述しますが、各電力会社ごとに「基準」を設けており、過去数ヶ月の平均額がその基準を上回った場合は電気代に上乗せされ、下回った場合は電気代が値引きされる仕組みです。

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関連記事:市場価格調整単価とは?電気代がまた上がる?仕組みと対策をわかりやすく解説
関連記事:電源調達調整費とは?独自燃調の仕組みと特徴をわかりやすく解説

燃料費調整額の算出方法とは?

燃料費調整額は「燃料費調整単価×電気使用量」で求められることを説明しました。そして燃料費調整単価は、以下の計算式で算出できます。

燃料費調整単価 =(「平均燃料価格」ー「基準燃料価格」)÷ 1000(× 基準単価)

平均燃料価格とは、過去3ヶ月分の燃料費の平均価格のことです。基準燃料価格は、各電力会社が定めた燃料費の基準をさします。そして、もし平均燃料価格が1キロあたり1000円変動した場合は、電力会社が定めた基準単価も含めて単価を計算します。

平均燃料価格、基準燃料価格、基準単価それぞれに計算式が存在するが、かなり複雑かつ特に必要な知識ではないため、ここでは割愛します。詳しい数字を見たい方は、各電力会社の約款などを確認することをおすすめします。

燃料費調整額のプラス・マイナス調整とは?

ここまで燃料費調整額の算出方法と、電力会社によって単価が異なることを説明しました。この記事を読んでいる方の中には「燃料費=高い」「燃料費調整額=高い」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

確かに、最近電気代が高い原因の一つが「燃料費調整額の値上がり」です。しかし、燃料費調整額は月々の電気料金にプラスされるだけではありません。

もし燃料費が安くなった場合、それに応じて燃料費調整額もマイナスになることがあるのです。電力業界では、これらをプラス調整、マイナス調整と呼んでいます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

まず、プラス調整となるのは、実際の燃料価格が各電力会社の基準燃料価格を上回った場合です。この場合、燃料費調整単価はプラスとなるため、そのプラス分が電気代に上乗せされます。

一方、実際の燃料価格が、各電力会社の基準燃料価格を下回った場合、燃料費調整単価はマイナスとなります。その場合はマイナス調整として、電気代からマイナス分が引かれて電気代が安くなるのです。

実際に東京電力の高圧の燃料費調整額を見てみると、2021年5月分の燃料費調整単価は-3.52円/kWhとかなり安かったことがわかります。しかし、2023年2月分は12.59円/kWhと大幅なプラス調整になっています。

 

 

燃料費調整額が反映されるタイミング

燃料費調整額は、ただ電気代にプラスされるだけでなく、場合によってはマイナス調整されることがわかりました。

それでは、燃料費調整額はどの期間の燃料費をもとに決まり、いつ反映されるのか、ご存知でしょうか?

参考にする期間、反映する時期は電力会社ごとに異なります。しかし一般的には、燃料費調整単価は過去3ヶ月分の平均燃料価格をもとに決まり、その2ヶ月後に反映される場合がほとんどです(下図参照)。

燃料費調整額が反映されるタイミングについても注意しておきたい。燃料費調整単価は過去3ヶ月分の平均燃料価格をもとに決まるが、電気料金に反映されるのは2ヶ月後である

例えば、10月分の燃料費調整単価は、5〜7月分の燃料費をもとに反映されています。ここからわかるのは、燃料費調整額は最新の燃料価格が反映されるまでに、タイムラグがあるということです。

燃料費調整制度がはじまった当初は、上図のように2半期前の燃料費をもとに単価が決められていた。しかも単価が4半期ごとにしか変わらなかったため、4〜6月の燃料費をもとに10〜12月の燃料費調整単価が決まるなど、かなりタイムラグがあったのだ。(出典:経済産業省「燃料費調整制度について」

だがこれはかなり時間差が短縮された方で、燃料費調整制度がはじまった当初は、上図のように2半期前の燃料費をもとに単価が決められていました。

しかも単価が4半期ごとにしか変わらなかったため、4〜6月の燃料費をもとに10〜12月の燃料費調整単価が決まるなど、かなりタイムラグがあったのです。

しかし2008年に原油価格が高騰したことで、1ヶ月早めて2ヶ月後に反映すること、燃料費調整単価は毎月変動すること、などの変更がとられています。これにより、より実際の燃料費に基づいた単価を反映できるようになりました。

 

燃料費調整額の推移

ここまで燃料費調整額の仕組みを解説してきました。それでは、実際に燃料費調整額の推移を見ていきましょう。

スクリーンショット 2024-09-27 18.29.07
(新電力ネット「燃料費調整単価の推移」をもとに弊社作成)

上図は、東京電力の高圧の燃料費調整単価の推移です。

2020年12月の燃料費調整額は-4.84円/kWhでしたが、2023年2月分に12.59円/kWhとなるなど、燃料費調整額は大幅に値上がりしています。それ以降は下落が進んだものの、2024年に入っても高止まりが続いています。

なぜ燃料費調整額は値上がりしているのか?

ここまで、2022年に燃料費調整額が過去最高値をつけたこと、2024年に入っても高止まりが続いていることを説明しました。それでは2020年以降、なぜ燃料費調整額はここまで値上がりしているのでしょうか?

燃料費調整額が値上がりしている主な理由として、以下の3つが挙げられます。

・脱炭素の促進による化石燃料への投資撤退
・急激な円安ドル高の進行
・2022年ロシア・ウクライナ問題

化石燃料を手掛ける企業や火力発電所からの投資撤退(ダイベストメント)、さらにロシアが西側諸国の経済制裁に反発し化石燃料の輸出を制限した結果、世界的な化石燃料の供給量が大幅に減少しました。

その一方、コロナ禍からの景気回復に向けて化石燃料の需要が増加したこと、また急激な円安ドル高が進行したこともあり、以下の図のように燃料費が高騰しているのです。

化石燃料費(石炭・天然ガス・石油)の輸入価格の推移(各種統計データをもとに弊社作成)

燃料費が上がると、数ヶ月遅れて燃料費調整額も上がります。このようにして、私たちが支払う燃料費調整額は値上がりしているのです。

関連記事:【2024年最新】電気代はどれくらい値上げした?推移と今後の予測、電気料金の高騰対策を解説!
関連記事:電気代を無料で安くする方法とは?原因と対策を解説」

 

燃料費調整額の今後の見通しは?まだ値上がりする?

ここまで燃料費調整額の推移と、なぜ燃料費調整額が値上がりしているかを説明してきました。2024年現在も燃料費は高止まりが続いていますが、それでは今後、燃料費調整額は2020年以前の水準まで安くなるのでしょうか?

結論からいうと、その可能性は限りなく低いといえます。その理由として、2022年に発生した「ロシア・ウクライナ問題」がいまだに収束の目処が立っていないことが挙げられます。

ロシアは2020年度の天然ガス輸出量が第1位、石油輸出量が第2位、石炭輸出量で第3位にランクインするなど、世界トップクラスの資源大国です。そのロシアがウクライナ侵攻をやめず、経済制裁が終わらない限りは燃料費が下がる可能性は低いのです。

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燃料費調整額が上がると考えられるリスクとは?

今後も燃料費調整額が以前の水準まで安くなる可能性は低いことを説明しました。それでは、燃料費調整額が上がるとどういったリスクがあるのでしょうか? ここでは考えられる3つのリスクを解説します。

リスク①:電気代が高くなる

1点目が、月々の電気代が高くなる点です。先述したように、燃料費調整額がプラス調整されると、その分だけ月々の電気代に上乗せされることになります。

また、電力プランでは「規制料金プラン(2016年まで契約できた大手電力会社の電力プラン)」だけ、燃料費調整額に上限がありましたが、今回の電気代値上げに合わせて上限が撤廃されています。

一応電力会社から通知がなされていると思いますが、見落としていて、多くの電気代を支払っているケースがあるため、一度確認することをおすすめします。

リスク②:電気代の基本料金・電力量料金も値上がりする

2つ目のリスクが、燃料費調整額だけでなく、基本料金や電力量料金といった他の項目も値上がりする点です。

大手電力10社のうち9社が、燃料費高騰が原因で、2022年度の決算で数百億円〜数千億円の赤字を記録しています。これにより、2023年6月より、以下のように電気代が値上げされました。

各電力会社の値上げ幅

図を見ると、特に北陸電力は値上げ幅が大きく、プラン内容によっては44〜46%近く値上がりする可能性があることがわかります。

「大手電力会社=安心」というイメージがあるかもしれませんが、その神話は崩れつつあります。先述したように北陸地方は地域別で見ると電気代が最も高いため、特に注意が必要です。

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リスク③:新電力の倒産が増える

3つ目のリスクが、新電力の倒産が増える点です。2021年4月までに登録された新電力の会社数は706社ですが、2024年3月時点でこのうち119社が「倒産・廃業」「事業撤退」しています。この理由はリスク②と同じで、燃料費の高騰が続いたことで会社が赤字となったからです。

大手企業が運営する新電力の場合、リスク②のように電気代の固定部分を値上げし、倒産はしないという可能性はあるかと思います。だが資本力のない新電力の場合、赤字が続くと倒産せざるを得ないことを知っておきましょう。

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燃料費調整額のリスクを避けるには?

ここまで燃料費調整額が上がることで電気代の値上げ・電力会社の倒産リスクがあることを説明しました。

こうしたリスクが怖い方におすすめしたいのが、燃料費調整額でなく「電源調達調整費」を含む電力プランへの切り替えです。

新電力(2016年以降に新規参入した電力会社)は、大半が自社の発電所を所有していない。基本的にJEPXという卸市場から電気を仕入れて、それを一般家庭や法人などの需要家に供給している。  このJEPXで取引される電気の価格を市場価格というが、市場価格はさまざまな条件に応じて30分ごとに変動する仕組みだ。そのため電気代を固定してしまうと、市場価格が上がった場合は電力会社が、市場価格が下がった場合は需要家が損してしまう。  発電事業者から電気を仕入れる際も、購入費用は条件に応じて変動するため、市場価格と同様の影響が出てしまう。  そういった事態を防ぐために、新電力は市場価格などの変動分を1kWあたりの単価に落とし込み、電源調達調整費として請求している。

電源調達調整費とは、電気の仕入れ値の変動分を電気代に組み込んだものです。上図のように、多くの新電力は自社で発電所をもたず、電気をJEPXという市場から仕入れて提供しています。

JEPXが販売する電気の価格(市場価格という)は30分ごとに変動するため、この変動分を「電源調達調整費」として請求する電力会社もあるのです。

市場価格を決める要素として「燃料費」「天候状況」「時間帯」などが挙げられます。例えば燃料費が高い状況でも、晴れて太陽光発電が増えれば、市場価格は最安の0.01円/kWhとなる可能性があるのです。

弊社電力事業部の担当者が計測した、市場価格が0.01円/kWhとなった時間数の推移だ。全国的に再生可能エネルギーが増加したことで、最安値をつける時間が増えている。特に2023年の九州エリアでは、年間1,174時間、年間の総時間数(8,760時間)の約13%が0.01円/kWhとなった。

上図は弊社の電力チームが集計した、市場価格が0.01円/kWhとなった時間数です。燃料費の高騰や電気代が高いと叫ばれる中でも、市場価格は安定して安くなっていることがわかります。

そして今後、まだ太陽光が増える見込みであることから、市場価格は安定して安くなっていく可能性が非常に高いです。こういった点からも、高騰リスクの高い「燃料費調整額」でなく、今後さらに安くなる可能性が高い「電源調達調整費」を含む電力プランへの切り替えをおすすめします。

 

<大手電力会社より最大25%も安い>
しろくまプランなら大幅に家庭の電気代が下がる可能性がある

ここまで電源調達調整費は今後安くなっていく可能性が高いことを解説しました。

そこで電気代を安くしたい方におすすめなのが、しろくま電力が家庭・小規模法人向けに提供する「しろくまプラン」です。

「しろくまプラン」は大手電力会社より電気代の単価を安く設定しています。さらに「燃料費調整額」でなく「電源調達調整費」を含んでいるため、切り替えることで大手電力会社よりも約25%も電気代が安くなる可能性があります。

4人世帯の場合の、大手電力との電気料金を比較したもの

上図は4人世帯の場合の、大手電力との電気料金を比較したものです。大手電力会社は2023年6月に大幅に電気代を値上げしました。エリアによっては電気代が1.5倍になるケースもあります。

しかし「しろくまプラン」は大手電力の「値上げ前」よりも単価が安く、値上げも実施しません。そのため、電気のご使用状況によっては最大3割近く安くなる可能性があります。

また「しろくまプラン」の電気は、発電の際にCO2を出さない「実質再生可能エネルギー(※)」です。ただ安いだけでなく、電気を切り替えるだけで環境改善にも貢献できます。

「電気代を安くしたい、でもサーキュレーターや扇風機は思い切り使いたい」とお考えの方は、「しろくまプランお申し込みページ」または以下のバナーよりお申し込みください。

お申し込み方法はとても簡単。現在の電力会社との解約など、面倒な手続きは一切ありません。スマホからもお申し込みいただけます。

 

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