燃料費高騰や電力不足などの影響で電気代の高騰が続いている。今後のことを考えて、電力会社の見直しを検討中の法人も多いのではないだろうか。
そこでこの記事では、電力会社を乗り換えるメリットとデメリット、乗り換えの流れ・手順、契約を切り替える上での注意点を解説。最後に法人・一般家庭ができる、電気代を安くしたい法人がすべき対策について解説していく。
※この記事は法人向けと個人向けの2部構成となっています。法人(高圧・特別高圧)の方はこのまま、一般家庭など個人(低圧)の方はこちらからお読みください。
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電力会社といえば、東京電力EPや関西電力などの「大手電力会社」をイメージする場合がほとんどではないだろうか。
確かに2000年まで、家庭も法人も各地域にある大手電力会社としか契約ができなかった(例えば、大阪なら関西電力、東京なら東京電力EP、福岡なら九州電力など)。
なぜ電力契約が大手電力に限られたのか? それは戦後、インフラが整っていない時期に電気を安定供給するためだ。大手10社に絞ることで、日本は安定した電気供給の仕組みを構築し、復興を遂げてきたのである。
しかし大手10社に電力事業を独占させることには問題もあった。例えば「電気代」。電気代は国が決めていたので安くなりづらかったのだ。さらに大手電力が事業を独占していたため、非常時などにエリアを跨いだ送電ができなかった。
こういった問題の解決が叫ばれるようになり、インフラが整備されたこともあって電力自由化が実施されている。
電力自由化により「新電力」という新興の電力会社が続々と誕生し、私たちは電力会社を自由に選び、乗り換えることが可能となった。
新電力は参入にあたって国から審査を受けるが、母体企業の業種は問われない。そのためガス会社や石油会社、太陽光発電を扱う企業から、通信会社や住宅メーカーまで多種多様だ。大半の新電力は自社で発電設備を持っておらず、JEPXから電気を仕入れて提供している。
電力自由化によって私たちは電力会社を自由に選択できるようになったと説明したが、実は電力自由化は以下のスケジュールで2000年から段階的に実施されていた。
電気は使用する規模によって「低圧」「高圧」「特別高圧」にわかれている。
低圧 |
契約電力が50kW未満。家庭や個人経営の店舗など。法人でない場合がほとんど。 |
高圧(小口) |
契約電力が50〜500kW未満の法人。ショッピングセンターやスーパー、小さいオフィスビル、小さい工場など。 |
高圧(大口) |
契約電力が500〜2,000kW未満の法人。大型のショッピングセンターやモール、大規模なオフィスビル、工場など。 |
特別高圧 |
契約電力が2,000kW以上の法人。大型ショッピングモール、広い敷地を持つ工場施設など。 |
まず2000年に「特別高圧」が自由化され、次に2004年と2005年に高圧が自由化の対象となった。そして2016年に低圧が自由化されたことで、電力の全面自由化が完了した。
低圧の自由化によって「新電力」は多くの人に知られることとなったが、実は、一部の法人は2000年から電力会社を切り替えることができたのだ。
ここまで、電力自由化について簡単に説明してきた。ここからは、法人が電力会社を乗り換える際の流れや手順を解説していく。
まずは電力会社の候補をいくつか出し、各社に見積もりを依頼しよう。電力会社によっては急ぎの見積もりに対応できたり、他社や最終保障供給などの電気代と比較した見積もりを作成できたりする場合がある。
見積もりの場合、「自社の契約電力数」や「月々の電気使用量の回答」が必要となるケースがあるため、検針表や月々の請求書を用意しておくといいだろう。
見積もりが上がってきたら、それぞれの数字を確認し電力会社を決定する。どの電力会社と契約するかに悩んだ場合は、次の項目で述べる注意点や、下記記事の重視すべきポイントを参考にしていただきたい。
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電力会社が決まったら、次に申込書を作成し、提出する。手続きの場合、口座やクレジットカードの情報が必要となる場合もあるため注意が必要だ。申込書が電力会社に受諾されれば、無事に契約締結となる。
決定した日時より、新しい電力会社から電気の供給が開始される。大体、これらの手続きは短くて1ヶ月、長くて2ヶ月はかかる場合がほとんどだ。個人と違い、法人が電力会社を乗り換える場合は時間がかかることを頭に入れておこう。
ここまで電力自由化と、実際の電力会社の乗り換え方について説明してきた。それでは次に、なぜ法人が電力会社を乗り換えた方がいいのか、新電力のメリットを4つ紹介する。
法人が電力会社を乗り換える最大のメリットが、今よりも電気代が安くなる可能性がある点だ。
電力自由化が「価格競争による電気代の下落」を目的としているように、多くの新電力は「大手電力よりも電気代が安い」点をウリにしている。実際にしろくま電力では、以下のように電気代の削減に成功してきた(2023年度実績)。
施設 | 削減前の電気代 | 削減後の電気代 | 削減額 | 削減割合 |
宿泊施設(四国) | 約34,900万円 | 約19,077万円 | 約15,823万円 | 45% |
オフィス(中国) | 約88,200万円 | 約61,900万円 | 約26,300万円 | 30% |
娯楽施設(東京) | 約9,600万円 | 約7,296万円 | 約2,304万円 | 25% |
このように、新電力なら電気代を今よりも安くできる場合があるのだ。
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2つ目のメリットが、CO2排出量を削減できる点だ。
新電力の中には、再生可能エネルギー由来の電気(グリーン電力という)を供給している企業がある。そういった電力会社に切り替えることで、CO2ゼロの電気を使うことができるのだ。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、国内企業では脱炭素の動きが求められている。しかし太陽光発電所を導入しようとしても、中小企業やベンチャー企業の場合、資金や与信がないことで設置を断られるケースも少なくない。
そういった課題を、電力会社を乗り換えるだけでクリアできるのだ。
グリーン電力にすることで、既存取引先との関係を維持できるだけでなく、RE100への加盟や新規顧客や投資家、消費者へのアピール材料にもなり、ビジネスチャンスを拡大できるメリットもある。
3つ目のメリットが、複数エリアの支払いや管理を一社にまとめられる点だ。全国に拠点がある企業の場合、これまでは各エリアの大手電力会社と契約する必要があった。
しかし新電力は全国に電力を供給しているケースが多い。そういった新電力と契約することで、全国の複数エリアに拠点があったとしても、電気料金の支払いや管理を一本化することができる。
4つ目のメリットが、自社のニーズにあった電力プランを選べる点だ。「CO2ゼロプラン」や「市場連動型プラン」「電気の地産地消プラン」など、大手電力にはないプランを供給している新電力は多く存在する。
電気代を安くしたいのか、CO2排出量を削減したいのか、地域貢献したいのかなど、自社のニーズに合ったプランを選べるのも大きなメリットと言えるだろう。
次に、法人が別の電力会社に乗り換える場合に考えられる4つのデメリットを解説する。
まず1つ目が、電力会社を乗り換えたからといって必ずしも電気代が安くなるとは限らないということだ。それどころか逆に電気代が高くなってしまうケースもあるため注意しよう。
この対策としては、一社に絞るのでなく、複数社から相見積もりを取ることが大切だ。単価などを比較した上でどの電力会社と契約するかを決めることをおすすめする。
2つ目のデメリットが、電力会社によって違約金や解約手数料を請求される場合がある点だ。法人の場合、多額の違約金を請求されるケースが多い。
最悪の事態を防ぐためにも、契約する前に「契約期間はどれくらいあるのか」「違約金は発生するのか」「発生する場合、いくら発生するのか」を把握しておこう。
3つ目のデメリットが、新電力の対象エリアでない可能性がある点だ。新電力の中には限られたエリアだけを対象とするケースがある。
複数拠点を一括契約しようとして、契約直前に「この拠点は供給できない」と断られるケースがあるため、事前に対象エリアかどうかを確認するようにしよう。
4つ目のデメリットが、新電力には倒産リスクがある点だ。
新電力は経産省の許可さえ得られれば事業を始めることができ、基本的に母体企業の業種や規模は問われない。その中には経営状況が良くない場合もあるため、ちゃんと「母体企業は信用できる会社か」を確認することをおすすめする。
電力会社の乗り換えにあたって、会社選びの際に重視すべきポイントを解説する。
新電力との契約にあたってよくあるのが「新電力は電気の質が悪いのではないか」「新電力はすぐに停電するのではないか」という質問だ。
最初の質問について、電気には質という概念がないため心配する必要はない。また、新電力は大手電力会社と同じ送配電線を使用して電気を需要家に供給している。停電のリスクは大手電力会社と同じなのだ。
特にいくつかの県や地域に拠点がある法人の場合、それらすべてをカバーできるかを把握すべきだ。もし対象外のエリアがあった場合、別の電力会社と契約する必要があり、支払いや管理などに手間がかかってしまう。
電力会社を検討する際、支払い方法についても確認すべきだ。電力会社の中には、口座振替(引き落とし)や払込書での支払いだけでなく、高圧・特別高圧の法人の電気代でもクレジットカードで支払いができるケースがある。
支払い方法にクレジットカードを選択するメリットは2つ。クレジットカードのポイントが貯まることと、支払い期間を1ヶ月先延ばしにできる点だ。特に後者の場合、キャッシュフローの改善にも役立てることができる。
高圧・特別高圧の電力会社を探すにあたって、「契約期間」と「違約金の有無」も確認すべきだ。
燃料費が高騰する今、電気代が突然高騰するリスクは当然ある。いつでも他の電力会社に乗り換えられるようにするためにも、契約期間は長すぎないか、契約を途中で破棄した場合に違約金はあるのかを把握しておくといいだろう。
一般家庭の場合、違約金は2,000〜10,000円程度だ。しかし、高圧や特別高圧といった法人向けの電気となると、違約金も一気に跳ね上がる。電力会社によっては、1〜3ヶ月分の電気代を請求するケースもあるので要注意だ。
契約後に後悔しないためにも「契約期間はどのくらいなのか」「途中で解約をすると違約金は発生するのか。それはいくらなのか」「更新する際に費用は発生するのか」を確認しよう。
見積もりを取る場合、必ず一社でなく、複数社から相見積もりをとるようにしよう。一社だけではその新電力の電気代が本当に安いのか、判断することは難しい。
必ず複数社から見積もりをとって電気代を比較し、どの電力会社と契約するか決めることをおすすめする。また、電気代の中に「燃料費調整額」や「再エネ賦課金」を含まず、わざと安く見せているケースもあるため注意しよう。
電力会社はどうやって電気を仕入れているか、ご存知だろうか。
大手電力会社は自社の発電所があり、そこで電気をつくっている。一方で新電力はほとんどが自社で発電所を持っていない。下図のようにJEPXから買った電気を、大手電力会社と同じ送配電線を通して、需要家に提供しているのだ。
JEPXが販売する電気の価格は市場価格という。市場価格は「燃料費」「気象条件」「電力需給状況」の3つの要素に応じて30分ごとに変動する。
例えば燃料費が高いとしても、晴れて太陽光発電の導入量が増えて需給に余裕が出れば、市場価格は0.01円/kWhになることもあるのだ。燃料費・市場価格の高騰が叫ばれるが、2022年11月27日の12:00にも市場価格は0.01円/kWhとなっている。
当然その逆もしかりで、条件が悪いと市場価格が50円/kWhとなる場合もあるが、2009年度から2022年度までの市場価格の平均を見ると、0.01円/kWh~30円未満/kWhが95%を占めている。電力会社はこのように電気を仕入れて、需要家に提供しているのだ。
一方で電気代の売り値、つまり料金プランには、冒頭で内訳を説明した一般的なプランに加えて、市場連動型プランというものがある。どちらのプランを選ぶかで、電気代高騰リスクや電力会社の倒産・撤退リスクが変わってくるため、しっかり検討すべきだ。
まず最初に一般的な料金プランについて解説していく。再掲するが、このプランの料金内訳は下図である。
こちらのプランのメリットは「電気代の単価が24時間同じ」「月々の電気代が計算しやすい」点である。なかには時間別・季節別の料金もあるが、それらも規定の時間・時期の中では単価が同じだ。基本的には8時に使おうが20時に使おうが単価は変わらない。そのため、月々の電気代が計算しやすいメリットがある。
このプランのデメリットは「今後も突然電気代が高騰するリスクがあること」「新電力の場合、倒産・撤退リスクが高まっていること」だ。
このプランにある燃料費調整額は、過去3ヶ月の燃料費をもとに毎月変動する仕組みである。これまでは燃料費が高くなかったため、電力会社は過去の平均値をもとに請求しても利益を出すことができた。
しかし燃料費が高騰し、市場価格が高値をつけることもある今、燃料費調整額は最新の燃料費に追いつけない状況が続いているのだ。その結果、電力会社は赤字が続く事態となり、大幅に値上げするか、倒産・撤退するかを選ばざるを得ない状況が続いている。
2023年3月28日時点で、新電力は全体の約30%である195社が倒産・撤退する事態となった。これらの企業の大半が提供していたのは、一般的な電気料金プランである。
また、このプランを提供する大手電力会社10社も苦戦を強いられている。いずれも2022年度の経常利益は数百億円から数千億円の赤字となる見込みだ。これを踏まえて2023年4月より大幅値上げを決定する大手電力会社が相次いでいるが、それでも利益が出せない場合、さらに高騰する可能性は十分に考えられる。
次に市場連動型プランについて説明する。市場連動型プランの料金内訳は以下である。
市場連動型プランのメリットは「電気代の高騰リスクを削減できる」「電力会社の倒産・撤退リスクがかなり低いこと」が挙げられる。このプランでは、市場価格に経費を上乗せしたものが電力量料金になる。先述したように市場価格には燃料費が含まれるため、このプランには燃料費調整額はない。
電気代が仕入れ値に基づいた価格となるため、電力会社が赤字になることはほとんどなく、赤字を補うために大幅な値上げをしたり、倒産・撤退したりするリスクを限りなくゼロにできるのだ。
一方で、市場価格が高騰した場合、電気代が高くなるリスクもある。2022年度の冬は電力需給のひっ迫が予想されており、市場価格が高騰する可能性もあるのだ。さらに市場連動型プランの場合、天候などで電気代が変動するため、月々の予想が立てづらいデメリットもある。
それでも市場価格が下がった場合、一般的な料金プランでは単価が変動しないが、市場連動型はその分だけ価格の下落メリットを享受できる。以下は二つのプランの価格のイメージ図だ。
電気代の急激な高騰リスクを軽減でき、電力会社の倒産や撤退を気にせず電気を使用できる。燃料費高騰が続く現在において、電気代を安くしたい法人は市場連動型プランを検討すべきだろう。
しろくま電力では、高圧・特別高圧の法人向けに市場連動型プランを提供している。新電力ネットが実施した販売量増加率ランキングでは第3位を獲得。2022〜2023年にかけてお問合せ件数は約40倍に増加している(出典はこちら)。
しろくま電力では、翌日の市場価格を、毎日午前中にメールで共有。これによって、市場価格の高騰が見込まれる際には、従業員に在宅勤務を促したり、工場の稼働を減らしたりでき、電気代の節約をサポートする。個別での相談にも対応可能だ。
電気を切り替えるだけで脱炭素ができるのも、しろくま電力の強みだ。私たちが提供する電気は、実質再生可能エネルギー100%であり、CO2を一切排出しない。カーボンニュートラルの実現もサポートする。
以下は、実際にしろくま電力の市場連動型プランを導入した企業様の声だ。
お見積もりについては、他の電力会社や最終保障供給を契約した場合の電気代との比較もできる(比較を希望した法人のみ)。年間のお見積もりだけでなく、毎月の電気代を算出するため月ごとの料金比較も可能だ。以下は、レポートとお見積書の例である。
お見積もりは「しろくま電力の市場連動型プランページ」または下記バナーからすぐに完了できる。市場連動型プランに切り替えると電気代がどうなるのか、他社と比較して安くなるのかを試算したい方はぜひお申し込みを。お急ぎの見積もり依頼にも対応できる。契約上のご相談や不明点などにも対応可能だ。
また、しろくま電力では「市場連動型プランはどうしても不安だ」という法人に向けて「固定単価型プラン」も提供している。このプランは大手と違って「3〜6ヶ月前の燃料費の平均価格」でなく「前月の市場価格」を1kWhあたりの単価に落とし込むため、不透明な値上げリスクがない。
さらに、以下の2点により電気代が大手電力会社よりも「最大25%安くなる」可能性がある。
①基本料金と電力量料金が大手電力会社より安い
②燃料費調整額でなく、電源調達調整費を電気代に組み込んでいる
①について、しろくま電力では電気代の基本料金と電力量料金を大手電力会社よりも低くなるように設定した。そのため月々の電気代を安く抑えることができる。
②については、大手電力や新電力が電気代に燃料費調整額(化石燃料費の変動分だけ)を組み込む一方、しろくまプランでは電源調達調整費を含んでいる。電源調達調整費は、先述したJEPXの市場価格を1kWhあたりの単価に落とし込んだものだ。
燃料費調整額は化石燃料だけを価格に反映するため、燃料費が高騰すると燃料費調整額も上がってしまう。2020~2022年にかけて電気代が高騰したが、この原因は燃料費調整額だった。しかし市場価格は前述したように燃料費以外も参考にされるため、電気代の高騰リスクを軽減できる(当然、電源調達調整費が高騰するリスクもある)。
このように内訳を変更することで、大手電力よりも最大25%安くすることが可能となった。ちなみに市場連動型プランと固定単価型の価格の違いは以下である。
・市場連動型プランは電力量料金が市場価格を元に決まる ・固定単価型プランは従来の電力プランと同じく電力量料金は一定。 ・市場価格は賢く電気を使えば電気代が大幅に安くなる。しかし市場価格高騰時はリスクもある ・固定単価型プランは市場連動型よりも市場価格の影響を受けづらい。安心して電気代を下げたい。 |
「市場連動型だと不安だ」「安心して安い電気代を使いたい」という企業様は、ぜひ下記からお見積もりを。
前半部分では、法人(高圧・特別高圧)に向けた電力会社の切り替え方法を解説してきました。
後半からは一般家庭や個人の方に向けて、電力会社を乗り換えるメリットやデメリット、乗り換える人は増えている理由、乗り換えにあたって注意したいポイント、乗り換えの手順について解説していきます。
※この記事は法人向けと個人向けの2部構成となっています。一般家庭など個人(低圧)の方はこのまま、法人(高圧・特別高圧)の方はこちらからお読みください。
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目次 |
電力会社といえば、東京電力EPや関西電力などの「大手電力会社」をイメージする場合がほとんどではないでしょうか。確かに、2000年までは各地域の大手電力会社10社としか契約できませんでした。
しかし2000年から2016年にかけて電力自由化が行われたことで「新電力」という新興の電力会社が続々と誕生。これにより、法人・家庭問わずに電力会社を自由に選び、乗り換えることが可能となったのです。
新電力は参入にあたって国から審査を受けるが、母体企業の業種は問われません。そのためガス会社や石油会社、太陽光発電を扱う企業から、通信会社や住宅メーカーまで多種多様なのが特徴です。
2022年4月時点では、全体の約2割の供給量を新電力が占めています。大半の電力会社が自社で発電設備を持っておらず、JEPXから電気を仕入れて提供しています。
「大手電力会社の方が電気代は安い、安心だ」とついつい考えがちですが、2023年6月より大手電力は12〜46%の値上げを行うなど、そういった神話は徐々に崩壊しつつあります。
そこで電気契約の選択肢が増えた今、別の電力会社に乗り換えるメリットとデメリットを解説していきます。
電力会社を乗り換える1つ目のメリットは、何より「今よりも電気代が安くなる可能性がある」点です。新電力の中には、大手電力会社よりも電気代の単価を安く設定しているケースがあります。
そういった電力会社をうまく見つけて契約すれば、今よりも電気代をさらに安くすることができるのです。
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電力会社を乗り換える2つ目のメリットが、CO2を排出しない「環境にやさしい電気」を使える点です。
電力会社の中には太陽光や風力など、再生可能エネルギー由来の電気(グリーン電力という)を供給している企業があります。そういった電気は発電時にCO2を排出しないため、切り替えるだけで地球環境の改善に貢献できるのです。
今後、カーボンニュートラルの実現のためにも再エネの普及は欠かせません。電力会社によっては、地球温暖化の防止にも貢献できるのです。
3つ目のメリットが、電力会社によってはお得なプランの特典が利用できる点です。新電力は母体企業がさまざまなため、ポイント還元や、動画のサブスクリプションを無料で使用できる場合があります。
電気料金だけで判断せず、特典と合わせて電気代がお得になるのか、を検討するのも一つの手でしょう。ただし、電気代の単価が割高で結果的に電気代が上がってしまう場合もあるため、あくまでも電気代の単価で比較することが一番大切です。
次に電力会社を乗り換える場合に考えられる2つのデメリットを解説する
電力会社を乗り換えるデメリットがあるとすれば、電力会社選びを誤ると今よりも電気代が上がってしまう点です。電気代は、電力会社を乗り換えれば必ず安くなるわけではありません。
電力会社が公開している単価を比較したり、電力会社のシミュレーションを使うなどして、電気代が安くなるのを確認した上で契約するようにしましょう。
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2つ目のデメリットが、電力会社によって違約金や解約手数料を請求される場合がある点です。1,000円程度で済む場合もありますが、場合によっては数ヶ月分請求される、ということもあり得ます。
こうした最悪の事態を防ぐためにも、契約する前に「契約期間はどれくらいあるのか」「違約金は発生するのか」「発生する場合、いくら発生するのか」を把握しておきましょう。
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2016年の電気小売の全面自由化以降、新電力に乗り換える方が増えています。経済産業省の発表によると、2017年度の新電力の売上比率は全体の5%程度でしたが、2022年9月には約30%まで上昇しているのです。
それでは、どうしていま電力会社を乗り換える方が増えているのでしょうか?ここでは、考えられる2つの理由を解説します。
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乗り換えが増えている1つ目の理由が、2023年6月より大手電力会社が電気代を値上げしているからです。
上図は、2023年6月より電気代を値上げした電力会社の「値上げ前後の電気代」と「電気代の値上げ幅」を図にしたものです。
このように、大手電力会社は電気代を大幅に値上げしています。燃料費が上がるとさらに電気代が高騰するため、そういったリスクを軽減するために新電力に切り替える方が増えているのです。
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2つ目が、選べる料金プランが増えているからです。これまでは大手電力会社と契約し、プランの選択肢も少なかったのですが、新電力の登場によって「時間によって単価が変動する」「環境にやさしい」など、様々な料金プランが登場しました。
これによって、世帯人数や住居環境など、ライフスタイルや自分の価値観に応じて料金プランを選べるようになったため、大手電力会社から新電力に切り替える方が増えているのです。
ここまで、電力会社を乗り換えるメリット・デメリットと、なぜ新電力の契約数が増加しているのかを解説しました。それでは、電力会社を変えたい場合、最適なタイミングなどはあるのでしょうか?
ここからは、電力会社の乗り換えに適したタイミングを4つご紹介します。
まず1つ目のタイミングが「電気代が高い」と感じているときです。電気代は、節電して電気の使用量を減らせば多少は安くできます。
しかし、最も効果的なのは電気代の単価自体を安くすることです。今よりも単価の安い電力会社へと切り替えることで、節電をしなくても電気代が安くなる可能性は十分にあります。
大抵の電力会社は、Webサイトにて料金シミュレーションを掲載しています。まずはシミュレーションを実施し、どれだけ電気代が安くなるのかを確認しましょう。
2つ目のタイミングが、家族構成が変わったタイミングです。
上図は、総務省が発表している「世帯別の電気代平均額(1ヶ月あたり)」です。子供が生まれたり、独立したり、親と同居することになったりと、世帯人数が増えれば、それだけ電気代も変動することがわかります。
さらに子供が生まれた場合、育児などで在宅時間が増えると、冷暖房や照明などの電気使用量も増えるでしょう。親を介護する場合も同様です。そのため、家族構成に変化があるタイミングで電力会社を乗り換えるのも一つのタイミングであるといえます。
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3つ目のタイミングが、ライフスタイルに変化があった場合です。ライフスタイルの変化としては、以下のパターンが挙げられます。
<ライフスタイルの変化の例>
・新型コロナウイルス感染症の流行でリモートワークが推奨され、在宅時間が増えた
・会社の業務内容が変わり、残業が減って家にいる時間が増えた
・子供が成長し、それぞれ別の部屋で過ごす時間が増えた
・住居を改装し、電気とガス併用からオール電化に切り替えた
このようにライフスタイルが変わると、電気を使う時間帯に変化が生じるケースがあります。そういった場合、使用量の多い時間に電気代が割安になるプランを選べば、今よりも電気を下げられます。
新居に引越すタイミングも電力会社の乗り換えに適しています。引越し時は、電力会社やガス会社、水道局に住所変更手続きをする必要があります。
契約をそのままにするとしても住所変更の手間がかかるため、「どうせ住所変更するなら、単価が安い会社に切り替えよう」と考える方が多いようです。そのため、引越しは電力会社を乗り換える一つのタイミングだといえます。
ここまで、電力会社の乗り換えに適したタイミングを解説しました。それでは、電力会社選びで重視したいポイントとはどういったものなのでしょうか?ここからは、電力会社選びの参考にしたい5つのポイントを解説します。
環境価値とは「CO2を排出しない」など、環境面の付加価値のこと。例えば、太陽光のような再生可能エネルギーは発電時にCO2を出さないため、環境価値があるといえます。
昨今は地球温暖化が進んでおり、日本では台風が巨大化し、さらに豪雨の回数が増えるなど、気候変動の影響が出つつあります。
地球温暖化の進行を食い止め、自然災害の発生を抑えるためにも、CO2を出さない、環境にやさしい電気を使うことが大切です。新電力の中には再エネ由来の電気を供給する企業があるので、切り替えるだけで環境にやさしい電気が使用できます。
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次に重視したいポイントが、電力会社の対象エリアです。電力会社によっては契約できるエリアに限りがあるため、もしかすると契約をできない場合があります。
せっかく安い電力会社を見つけ、契約しようと思ったのに対象外だった、ということにならないためにも、電力会社の供給エリアを確認するようにしましょう。
関連記事:電力会社の乗り換えで法人の電気代は安くなる?切り替え方とメリット・デメリットを解説
電力会社の切り替えにあたっては「契約期間」と「違約金の有無」も確認しましょう。電気代は今後も上がるリスクがあり、他の電力会社に改めて切り替えたくても、契約の縛りによって違約金を支払う必要が生じるからです。
一般家庭・個人向け電力の場合、違約金は2,000〜10,000円が一般的です。会社によっては電気代の1ヶ月分近い違約金を支払うことになるため、後悔しないためにも「契約期間はどれだけあるのか」「途中解約の場合、違約金はいくらなのか」「更新費用やオプション費用などが発生するのか」を確認しましょう。
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4つ目のポイントが電気料金の支払い方法です。電力会社によってはクレジットカードだけを受け付けていたり、口座振替やキャッシュレスでの支払いも選べたりと、支払い方法が異なります。
口座振替にすると、電気代が年間数百円安くなる場合がありますが、ポイント還元率によってはクレジットカードで支払った方がオトクなケースもあります。どちらがお得になるのか、電気代をとことん安くしたい方は計算してみるといいでしょう。
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5つ目のポイントが電気料金プランです。大抵の場合、電気代の内訳は以下のようになっています。
・基本料金:電気の使用量に関係なく、毎月定額で発生する料金のこと
・電力量料金:使用した電力量に応じて請求される料金のこと
・燃料費調整額:数ヶ月前の化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の価格変動分を、1kWhあたりの電気代に反映させたもの
・再エネ賦課金:電力会社がFIT制度を通して買い取った「再生可能エネルギーの費用」を、電気代に落とし込んだもの
※FIT制度とは、太陽光や風力で発電した電気を、電力会社が一定期間、国が決めた固定価格で買い取る制度のことです。これによって収益性が安定するため、日本の再エネ導入量が増加しています。
あまり知られていませんが、電気代は上記4つの要素から成り立っている場合が多いです。電気代は以下の数式をもとに計算することができます。
電気料金 = 基本料金 +(電力量単価 ± 燃料費調整単価 + 再エネ賦課金)× 電力使用量
ほとんどの電力会社は「基本料金」と「電力量単価」が固定されており、月ごとに「燃料費調整単価」が、年度ごとに「再エネ賦課金」が変動します。
しかし、電力会社の中には「時間によって電力量単価が変動するプラン」や「基本料金が無料のプラン」、燃料費高騰を考慮して「燃料費調整額でなく別の項目を含んだ電力プラン」を提供しているケースもあります。
2022年に電気代は過去最高値を記録しましたが、その原因は燃料費の高騰です。ロシア・ウクライナ問題などが原因で、2020〜2022年の間に化石燃料は5〜8倍値上がりしました。
2023年に入って燃料費の高騰は一旦落ち着いている状況ですが、ロシア・ウクライナ問題は解決の見通しがついておらず、今後も燃料価格が上がる可能性は十分に考えられます。
ただでさえ2023年6月より、大手電力会社は家庭向けの電気料金を15~45%近く値上げしています。さらに燃料費調整額が上がるリスクがあるため、電気代の高騰対策をしたい場合は燃料費調整額以外の項目を含む電力プランを選ぶといいでしょう。
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ここまで電力会社選びのポイントを解説しました。それでは最後に、実際に電力会社を乗り換える流れについて詳しく見ていきましょう。電力会社の乗り換えとなると、面倒な手続きが多いように思えますが、実は簡単なので、ぜひ参考にしてください。
まず最初に、どの電力会社に乗り換えるかを選んでいきます。ここまで述べたポイントを重視した上で、必ず料金シミュレーションを行い、電気代が安くなる電力会社を選ぶといいでしょう。
どの電力会社に乗り換えるかを決めたら、切り替えに必要な情報を用意します。とはいっても、書類を取り寄せるような手間は必要ありません。以下の情報があれば、電力会社を切り替えることができます
・契約名義
・お客様番号
・供給地点特定番号
これらは検針票やWebページで確認できますが、契約中の電力会社に問い合わせれば教えてもらうことができます。すぐにわからない方は、電話で契約中の電力会社に連絡するといいでしょう。
最後のステップが、新しい電力会社への契約申し込みです。新電力はWebで簡単に申し込めるケースが増えており、乗り換え手続きは簡単に完了することができます。
また現在の契約先との解約手続きは新しく契約する電力会社が行うため、こちらで何か対応は必要ありません。以上3ステップにより、新しい電力会社への契約手続きは完了です。
ここまで、電力会社を選ぶ上で重視したいポイントや乗り換えの流れを解説しました。電気代は今も値上がりが続いていますが、オトクな電力会社を選べば電気代は手軽に下げられます。
しろくま電力では、大手よりも最大25%電気代が安くなる「しろくまプラン」を提供しています。しろくまプランの主なメリットとして以下の2点があります。
①電気料金が大手電力会社の値上げ後より最大3割も安い
②還付金制度があるので、電気料金の急激な上昇を防げる
それぞれのメリットについて説明していきます。
1点目が、大手電力会社の値上げ後より、電気料金が最大で3割も安くなる点です。しろくまプランは、電気料金の業界最安値を実現すべく、単価を安く設定しています。
上図は4人世帯の場合の、大手電力との電気料金を比較した図です(契約アンペア数が40A、月間電力使用量が450kWhの場合)。
先述したように、大手電力会社は2023年6月より電気料金を大幅に値上げしました。
一方、「しろくまプラン」の電気料金は大手電力の値上げ前よりも安く、便乗値上げも実施しないため、場合によっては約3割も電気代を安くできるのです。
しかし「電気代が大幅に安くなる」と言われても、信じられない方も多いのではないでしょうか。なぜ「しろくまプラン」は大手電力よりも安いのか?その理由は電気料金の内訳にあります。
上図は双方のプランを比較した図です。まずしろくまプランは大手よりも基本料金と電力量料金を安く設定しています(再エネ賦課金の単価は国が定めるため、全ての電力会社で同じです)。
また東京電力の燃料費調整額としろくま電力の電源調達調整費を比較してみましょう。
2023年5月度における東京電力の燃料費調整額が5.13円(政府の7円/kWhの補助金を除いた場合)なのに対し、しろくま電力の電源調達調整費は、政府の補助金を含んでいない状態で1.95円です。
このように大手電力会社よりもお手頃な料金設定にしているため、しろくまプランにすれば電気代を安くできるのです。
2つ目のメリットが、電気料金高騰時に還付金を適用するため、電気料金の急激な上昇を防げる点です。
電源調整調達費は、燃料費ではなく、JEPXの市場価格をもとに決まります。市場価格が平均よりも高いと電源調整調達費はプラスになりますが、平均より安いとマイナスになることもあります。
通常、プラスの場合は電力会社は電気料金にプラス分を上乗せし、マイナスの場合はマイナス分を値下げして請求するのが一般的です。しかしそうすると、電気料金の上下の幅が大きくなってしまいます。
そこでしろくまプランでは、電源調整調達費がマイナスの場合、上図の①のようにマイナス分を「料金高騰準備金」として蓄えます。
そして③のように市場価格が高騰した際、①で貯めたお金を還付金として充てることで、電気料金の急激な上昇を防ぎます。これによって、電気料金の激しい浮き沈みを抑えることができ、しろくまプランなら、年間を通して電気料金を安く抑えられるのです。
またしろくまプランの電気は、発電の際にCO2を出さない「実質再生可能エネルギー(※)」です。ただ安いだけでなく、電気を切り替えるだけで環境改善にも貢献できます。
「電気料金を安くしたい」「電気料金値上げの通知がきた」など、ご家庭・小規模法人で電気料金にお悩みの方は、「しろくまプランお申し込みページ」または以下のバナーよりお申し込みください。
またしろくま電力では、電気料金の高騰に悩む法人(高圧・特別高圧)に向けて、昼間の電気使用量が多いほどお得になる電力プランを提供しています。気になる方は、ぜひ「市場連動型しろくまプラン」をご覧ください。
※実質再生可能エネルギーとは、電気に環境価値証書(CO2を出さないという証明書)を組み合わせたもののこと。