燃料費高騰や電力不足などの影響で電気代の高騰が続いている。今後のことを考えて、電力会社の見直しを検討中の法人も多いのではないだろうか。
そこでこの記事では、電力会社を乗り換えるメリットとデメリット、乗り換えの流れ・手順、契約を切り替える上での注意点を解説。最後に法人ができる、電気代を安くしたい法人がすべき対策について解説していく。
この記事を読んでわかること ・なぜ電力会社を乗り換えられるのか? ・法人が電力会社を乗り換えるメリットは本当にあるのか? ・法人が電力会社を乗り換える方法と注意すべきポイントとは? |
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結論をまとめると ・電力自由化により、法人は2000年から電力会社を乗り換えられるようになった。 |
電力会社といえば、東京電力EPや関西電力などの「大手電力会社」をイメージする場合がほとんどではないだろうか。
確かに2000年まで、家庭も法人も各地域にある大手電力会社としか契約ができなかった(例えば、大阪なら関西電力、東京なら東京電力EP、福岡なら九州電力など)。
なぜ電力契約が大手電力に限られたのか? それは戦後、インフラが整っていない時期に電気を安定供給するためだ。大手10社に絞ることで、日本は安定した電気供給の仕組みを構築し、復興を遂げてきたのである。
しかし大手10社に電力事業を独占させることには問題もあった。例えば「電気代」。電気代は国が決めていたので安くなりづらかったのだ。さらに大手電力が事業を独占していたため、非常時などにエリアを跨いだ送電ができなかった。こういった問題の解決が叫ばれるようになり、インフラが整備されたこともあって電力自由化が実施されている。
電力自由化により「新電力」という新興の電力会社が続々と誕生し、私たちは電力会社を自由に選び、乗り換えることが可能となった。
新電力は参入にあたって国から審査を受けるが、母体企業の業種は問われない。そのためガス会社や石油会社、太陽光発電を扱う企業から、通信会社や住宅メーカーまで多種多様だ。大半の新電力は自社で発電設備を持っておらず、JEPXから電気を仕入れて提供している。
電力自由化によって私たちは電力会社を自由に選択できるようになったと説明したが、実は電力自由化は以下のスケジュールで2000年から段階的に実施されていた。
電気は使用する規模によって「低圧」「高圧」「特別高圧」にわかれている。
低圧
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契約電力が50kW未満。家庭や個人経営の店舗など。法人でない場合がほとんど。
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高圧(小口)
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契約電力が50〜500kW未満の法人。ショッピングセンターやスーパー、小さいオフィスビル、小さい工場など。
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高圧(大口)
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契約電力が500〜2,000kW未満の法人。大型のショッピングセンターやモール、大規模なオフィスビル、工場など。
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特別高圧
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契約電力が2,000kW以上の法人。大型ショッピングモール、広い敷地を持つ工場施設など。
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まず2000年に「特別高圧」が自由化され、次に2004年と2005年に高圧が自由化の対象となった。そして2016年に低圧が自由化されたことで、電力の全面自由化が完了した。
低圧の自由化によって「新電力」は多くの人に知られることとなったが、実は、一部の法人は2000年から電力会社を切り替えることができたのだ。
ここまで、電力自由化について簡単に説明してきた。ここからは、法人が電力会社を乗り換える際の流れや手順を解説していく。
結論をまとめると 電力会社を乗り換える流れは次の4ステップ。 ①電力会社に見積もりを依頼 |
まずは電力会社の候補をいくつか出し、各社に見積もりを依頼しよう。電力会社によっては急ぎの見積もりに対応できたり、他社や最終保障供給などの電気代と比較した見積もりを作成できたりする場合がある。
見積もりの場合、「自社の契約電力数」や「月々の電気使用量の回答」が必要となるケースがあるため、検針表や月々の請求書を用意しておくといいだろう。
見積もりが上がってきたら、それぞれの数字を確認し電力会社を決定する。どの電力会社と契約するかに悩んだ場合は、次の項目で述べる注意点や、下記記事の重視すべきポイントを参考にしていただきたい。
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電力会社が決まったら、次に申込書を作成し、提出する。手続きの場合、口座やクレジットカードの情報が必要となる場合もあるため注意が必要だ。申込書が電力会社に受諾されれば、無事に契約締結となる。
決定した日時より、新しい電力会社から電気の供給が開始される。大体、これらの手続きは短くて1ヶ月、長くて2ヶ月はかかる場合がほとんどだ。個人と違い、法人が電力会社を乗り換える場合は時間がかかることを頭に入れておこう。
結論をまとめると ・法人が電力会社を乗り換えるメリットは4つ。 ・電気代やCO2の削減はもちろん、複数エリアの支払いを一本化できるメリットもある。 |
ここまで電力自由化と、実際の電力会社の乗り換え方について説明してきた。それでは次に、なぜ法人が電力会社を乗り換えた方がいいのか、新電力のメリットを4つ紹介する。
法人が電力会社を乗り換える最大のメリットが、今よりも電気代が安くなる可能性がある点だ。
電力自由化が「価格競争による電気代の下落」を目的としているように、多くの新電力は「大手電力よりも電気代が安い」点をウリにしている。実際にしろくま電力では、以下のように電気代の削減に成功してきた(2023年度実績)。
施設 | 削減前の電気代 | 削減後の電気代 | 削減額 | 削減割合 |
宿泊施設(四国) | 約34,900万円 | 約19,077万円 | 約15,823万円 | 45% |
オフィス(中国) | 約88,200万円 | 約61,900万円 | 約26,300万円 | 30% |
娯楽施設(東京) | 約9,600万円 | 約7,296万円 | 約2,304万円 | 25% |
このように、新電力なら電気代を今よりも安くできる場合があるのだ。
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2つ目のメリットが、CO2排出量を削減できる点だ。
新電力の中には、再生可能エネルギー由来の電気(グリーン電力という)を供給している企業がある。そういった電力会社に切り替えることで、CO2ゼロの電気を使うことができるのだ。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、国内企業では脱炭素の動きが求められている。しかし太陽光発電所を導入しようとしても、中小企業やベンチャー企業の場合、資金や与信がないことで設置を断られるケースも少なくない。
そういった課題を、電力会社を乗り換えるだけでクリアできるのだ。
グリーン電力にすることで、既存取引先との関係を維持できるだけでなく、RE100への加盟や新規顧客や投資家、消費者へのアピール材料にもなり、ビジネスチャンスを拡大できるメリットもある。
3つ目のメリットが、複数エリアの支払いや管理を一社にまとめられる点だ。全国に拠点がある企業の場合、これまでは各エリアの大手電力会社と契約する必要があった。
しかし新電力は全国に電力を供給しているケースが多い。そういった新電力と契約することで、全国の複数エリアに拠点があったとしても、電気料金の支払いや管理を一本化することができる。
4つ目のメリットが、自社のニーズにあった電力プランを選べる点だ。「CO2ゼロプラン」や「市場連動型プラン」「電気の地産地消プラン」など、大手電力にはないプランを供給している新電力は多く存在する。
電気代を安くしたいのか、CO2排出量を削減したいのか、地域貢献したいのかなど、自社のニーズに合ったプランを選べるのも大きなメリットと言えるだろう。
結論をまとめると ・法人が電力会社を乗り換えるデメリットは4つ。 ・確実に電気代が下がるわけではないので注意が必要。 |
次に、法人が別の電力会社に乗り換える場合に考えられる4つのデメリットを解説する。
まず1つ目が、電力会社を乗り換えたからといって必ずしも電気代が安くなるとは限らないということだ。それどころか逆に電気代が高くなってしまうケースもあるため注意しよう。
この対策としては、一社に絞るのでなく、複数社から相見積もりを取ることが大切だ。単価などを比較した上でどの電力会社と契約するかを決めることをおすすめする。
2つ目のデメリットが、電力会社によって違約金や解約手数料を請求される場合がある点だ。法人の場合、多額の違約金を請求されるケースが多い。
最悪の事態を防ぐためにも、契約する前に「契約期間はどれくらいあるのか」「違約金は発生するのか」「発生する場合、いくら発生するのか」を把握しておこう。
3つ目のデメリットが、新電力の対象エリアでない可能性がある点だ。新電力の中には限られたエリアだけを対象とするケースがある。
複数拠点を一括契約しようとして、契約直前に「この拠点は供給できない」と断られるケースがあるため、事前に対象エリアかどうかを確認するようにしよう。
4つ目のデメリットが、新電力には倒産リスクがある点だ。
新電力は経産省の許可さえ得られれば事業を始めることができ、基本的に母体企業の業種や規模は問われない。その中には経営状況が良くない場合もあるため、ちゃんと「母体企業は信用できる会社か」を確認することをおすすめする。
結論をまとめると ・電気代に加えて、契約期間や違約金の有無、契約可能エリアも確認しよう。 ・料金体系が異なるプランにすると電気代が安くなる可能性がある。 |
電力会社の乗り換えにあたって、会社選びの際に重視すべきポイントを解説する。
新電力との契約にあたってよくあるのが「新電力は電気の質が悪いのではないか」「新電力はすぐに停電するのではないか」という質問だ。
最初の質問について、電気には質という概念がないため心配する必要はない。また、新電力は大手電力会社と同じ送配電線を使用して電気を需要家に供給している。停電のリスクは大手電力会社と同じなのだ。
特にいくつかの県や地域に拠点がある法人の場合、それらすべてをカバーできるかを把握すべきだ。もし対象外のエリアがあった場合、別の電力会社と契約する必要があり、支払いや管理などに手間がかかってしまう。
電力会社を検討する際、支払い方法についても確認すべきだ。電力会社の中には、口座振替(引き落とし)や払込書での支払いだけでなく、高圧・特別高圧の法人の電気代でもクレジットカードで支払いができるケースがある。
支払い方法にクレジットカードを選択するメリットは2つ。クレジットカードのポイントが貯まることと、支払い期間を1ヶ月先延ばしにできる点だ。特に後者の場合、キャッシュフローの改善にも役立てることができる。
高圧・特別高圧の電力会社を探すにあたって、「契約期間」と「違約金の有無」も確認すべきだ。
燃料費が高騰する今、電気代が突然高騰するリスクは当然ある。いつでも他の電力会社に乗り換えられるようにするためにも、契約期間は長すぎないか、契約を途中で破棄した場合に違約金はあるのかを把握しておくといいだろう。
一般家庭の場合、違約金は2,000〜10,000円程度だ。しかし、高圧や特別高圧といった法人向けの電気となると、違約金も一気に跳ね上がる。電力会社によっては、1〜3ヶ月分の電気代を請求するケースもあるので要注意だ。
契約後に後悔しないためにも「契約期間はどのくらいなのか」「途中で解約をすると違約金は発生するのか。それはいくらなのか」「更新する際に費用は発生するのか」を確認しよう。
見積もりを取る場合、必ず一社でなく、複数社から相見積もりをとるようにしよう。一社だけではその新電力の電気代が本当に安いのか、判断することは難しい。
必ず複数社から見積もりをとって電気代を比較し、どの電力会社と契約するか決めることをおすすめする。また、電気代の中に「燃料費調整額」や「再エネ賦課金」を含まず、わざと安く見せているケースもあるため注意しよう。
6つ目のポイントが、その電力プランが自社に合っているかどうかだ。
例えば、
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など、法人によって選ぶべき電力プランは異なるのである。
現在、大手電力あるいは新電力が提供する「法人向け電力プラン」を契約中の法人が多いのではないだろうか。実はこのプラン、法人によって多少単価に違いがあるものの、基本的にはどの法人に対しても電気代の仕組みは同じである。
「大手電力=安心」というイメージがあったり、現状から電力プランを見直すのは怖い、と感じるかもしれない。だがこれからは「自社にあった電力プランを選んで効率よく電気代を下げていく」取り組みが非常に重要なのである。
電力会社によっては「プランを会社ごとにカスタマイズできる」「適切な電力プランを提案してくれる」会社もあるため、電力会社選びが面倒な場合は、こうした法人から見積もりをとるのも一つの手だろう。
先述したように、多くの新電力には倒産リスクがあるが、しろくま電力は電力事業以外にも、系統用蓄電池やPPAモデルなど、多くの再生可能エネルギービジネスを手掛けており、そのどれもで収益を上げている。今後も継続して成長する見込みで、倒産リスクは低いといえるだろう。
そして「しろくま電力」では、高圧・特別高圧の電力を使用する法人向けに電力プランを提供している。しろくま電力の強みは「電気代の安さ」と「業界トップクラスのプラン数」だ。
電気代が大手電力より安いのはもちろん、「電気代をとにかく安くしたいから市場連動型プラン」「価格の安定性も重視したいから燃調リンクプラン」など、ニーズに合わせて電力プランを選ぶことができる。中には電気代を45%(1.5億円)削減したプランもある。プランをカスタマイズし、御社だけの電力プランを作ることも可能だ。
以下はしろくま電力を導入する主な企業・自治体である。
しろくま電力は、入札制(価格が安い場合に導入が決まる)を実施する数多くの自治体に対しても電力供給を行っている。多くの法人からも低価格であることが好評で、契約更新率は92%を超えた。
また、しろくま電力の電気は全てCO2を一切排出しない実質再生可能エネルギーだ。電気を切り替えるだけで御社のCO2削減量を減らすことができる。
見積もりは「複数のプランの電気代の提示」や「現在の契約先との電気代・CO2削減量の比較」にも対応している。「どれがいいかわからない」法人にはこちらからプランを提案することも可能だ。
見積もりだけでなく「プランについて説明してほしい」「なぜ安いのか、本当に倒産しないか知りたい」といった面談も行っている。切り替えを検討中でなくとも、気軽にお問い合わせいただきたい。