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新電力の倒産や撤退が相次ぐ理由とは?電力会社の切り替え方などをわかりやすく解説!

作成者: しろくまぱわー編集部|2022/09/14 9:49

※この記事は2024年11月7日に最新の情報に更新されました。

2016年からスタートした電力小売自由化により、新電力と呼ばれる新しい小売電気事業者が続々と新規参入した。

2022年4月には新電力の売上が全体の約2割を占めるなど、規模の拡大を続けていたが、2022年以降、さまざまな原因によって新電力の倒産や事業撤退、新規申し込みの受付停止が相次いでいる。

中には「契約していた電力会社が倒産した。どうすればいいの?」「新電力との契約を考えていたが倒産リスクが不安だ」という方も多いのではないだろうか?

そこでこの記事では、新電力の倒産・撤退が相次ぐ理由を説明し、新電力が倒産した場合に取るべき対応や、電力会社の切り替え方、倒産リスクがほとんどない電力プランについてわかりやすく解説していく。

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目次

新電力はどれくらい倒産している?

なぜ新電力の倒産や撤退が相次いでいるのか?
   ①2020〜2021年の冬に電力市場価格が高騰したから
 ②2022年に燃料費が過去最高値を記録したから
 ③大半の新電力の料金体系に問題があるから

現在契約している電力会社が倒産・撤退したらどうする?
 家庭・法人ともに電気がすぐに止まることはない

 ①最終保障供給と契約する
 ②他の新電力と契約する

やばい新電力を選ばないためのポイント
 ①供給エリア
 ②新電力を運営する企業
 ③契約期間と違約金
 ④料金プラン

市場連動型プランは倒産リスクがほとんどゼロ
しかも電気代が大幅に安くなる可能性が高い

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新電力はどれくらい倒産している?

最初に、何社の新電力が倒産しているのかを説明する。

上図は倒産・廃業または事業撤退した新電力の推移(累計)だ。

2021年4月までに登録された新電力の数は706社で、2024年9月12日時点でこのうち119社が「倒産・廃業」「事業撤退」している。この2年で倒産した会社数は7倍も増えているのだ。

また2024年3月時点で69社が新規契約の受付を停止している。これはピークの112社(2023年3月)から減ってはいるものの、依然として経営状態が改善できず、多くの新電力が契約できない状況が続いている。

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なぜ新電力の倒産や撤退が相次いでいるのか?

新電力の倒産や事業撤退が相次ぐ理由として、以下の3つが考えられる。

①2020〜2021年の冬に電力市場価格が高騰したから
②2022年に燃料費が過去最高値を記録したから
③大半の新電力の料金体系に問題があるから

①2020〜2021年の冬に電力市場価格が高騰したから

新電力の倒産や撤退が相次ぐ理由の1つが、2020〜2021年の冬にかけて電力市場価格が高騰したからだ。

電力市場価格とは、JEPX(日本卸電力取引所)という「電力の卸市場」で電気が売買された際の価格を意味する。ほとんどの新電力は自社で発電所を所有していない。JEPX(日本卸電力取引所)で電気を調達し、それを需要家に供給している。


(出典:経済産業省「2021年初頭、電力供給が大ピンチに。どうやって乗り切った?(前編)」

上図は電力市場価格の推移だ。一日の平均価格は2021年1月13日に、一日の最高価格は1月15日に最高値をつけていることがわかる。帝国データバンクによると、電力市場価格が高騰した影響で多くの新電力の採算性が悪化し、小売電気事業者14社が倒産したという。

ここで断っておきたいのは、市場価格がここまで高騰したのは1回だけしかない、ということだ。

歴史的寒波によって天然ガスが不足したこと、トラブルの発生で多くの石炭火力発電所が停止したこと、化石燃料を運ぶ船が輸送中に事故を起こしたことなど、多くの要因が積み重なり、電力市場価格が高騰した。しかし2023年以降は安定して安くなっている。



②2022年に燃料費が過去最高値を記録したから

新電力の倒産が相次ぐ理由の2つ目が「燃料費の高騰」だ。2022年、「ロシア・ウクライナ問題」や「急激な円安の進行」などの影響により、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料費が過去最高値を記録した。

現状、日本は電力のうち7割を火力発電に頼っており、火力発電で使う化石燃料は9割近くが輸入されたものである。エネルギー価格が高騰した結果、原材料の調達コストも大幅に上がってしまい、電気の仕入れ値が売り値を超える事態となってしまった。

この結果、大手電力会社や大半の新電力は「電気を売れば売るほど赤字になる」事態となり、経営状態が悪化。資本力のない新電力や他業種がメインの新電力は倒産や事業撤退を選ぶケースが増えたのだ。

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③大半の新電力の料金体系に問題があるから

3つ目の理由は、大半の新電力の料金プランは燃料費高騰に対応できない仕組みになっているからだ。

上図は、大手電力会社や大半の新電力が提供する電力プランの料金内訳である。このプランの場合、定額の「基本料金」があり、そこに「電力量料金」「燃料費調整額」「再エネ賦課金」が電力使用量に応じて加算され、月々の電気代となる。

まず、新電力は大手よりも自社の利益を削って「基本料金」「電力量料金」を安くしている場合が多い。

さらに、エネルギー価格の変動分を電気代に反映するために「燃料費調整額」があるが、燃料費調整額は過去3〜6ヶ月前の燃料費の平均額をもとに算出するのが一般的である。もし燃料費の高騰が続いた場合、その値上げ分を電気代に組み込めないのだ。

これまでは燃料費が安かったため、このビジネスモデルでも利益を出すことができた。しかし、2022年以降、燃料費の高騰の影響によって多くの新電力が打撃を受け、倒産や事業撤退が相次いでいるのだ。

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現在契約している新電力が倒産・撤退したらどうする?

ここまで新電力の倒産が相次ぐ理由を説明してきた。それでは、現在契約中の電力会社が倒産や撤退した場合、法人はどうすればいいのだろうか?

法人ができる対処法として、主に以下の2つが考えられる。

①最終保障供給と契約する
②他の新電力と契約する

それぞれについてわかりやすく解説する。

①最終保障供給と契約する

まず1つ目の対策が最終保障供給の契約である。

最終保障供給とは、電力会社と契約していない法人でも常に電力供給を受けられる制度だ。契約中の新電力が倒産や事業撤退した場合、最終保障供給の契約が可能となる。

しかし、上図のように2022年から最終保障供給は料金体系が変わり、電気代が大幅に値上がりしている。最終保障供給の電気代は最低でも「大手電力の電気代の1.2倍」で、もし電気の仕入れ値が上がった場合、その分がさらに上乗せされるのだ。

2023年4月より大手電力が電気代を値上げしていることから、最終保障供給はさらに電気代が上がっている。そのため、私たちとしては最終保障供給との契約はおすすめしていない。

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②他の電力会社と契約する

2つ目が他の電力会社との契約だ。冒頭でも述べたように、2024年時点では契約可能な新電力も増加傾向にある。最近はCO2がないプランや単価が大手より大幅に安いプランを提供する企業も増えているため、ニーズにあった電力プランを契約するといいだろう。

しかし契約できる新電力の中には料金プランを全く変えていないケースがあり、燃料費が上がるとまた倒産や事業撤退する可能性がある。そういった事態を防ぐためにも、ただ電気代が安いだけでなく、料金プランの内訳に工夫がなされた電力会社と契約すべきだ。

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やばい新電力を選ばないためのポイント

ここまで、契約している電力会社が倒産・撤退した場合の対処法を解説してきた。次に、やばい新電力を引き当てないためにも、電力会社選びのポイントを6つ紹介する。

①供給エリア

まず1つ目に確認すべきが供給エリアだ。新電力の中には対象エリアを限定しているケースがある。

複数の県や地域に支店がある法人の場合、全てのエリアに対応している新電力を選ぼう。そうしないと複数の新電力と契約する必要があり、管理に手間がかかってしまう。

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②新電力を運営する企業

2つ目に注意すべきが、その電力サービスはどんな会社が運営しているのか、ということだ。

新電力の運営企業はガス会社や石油会社、太陽光発電を扱う企業から、通信会社や住宅メーカーまで多種多様である。新電力の運営会社がしっかりしている場合、倒産するリスクはあまり考えられないだろう。

しかし、その企業のHPが検索しても出てこない、何をやっている会社なのかわからない場合、燃料費が上がった場合などに倒産してしまう可能性がある。こうした事態を避けるためにも、新電力の母体企業を必ず確認するようにしよう。

③契約期間と違約金

法人が新電力と契約する場合、「契約期間」と「違約金の有無」も確認しよう。契約期間が必要以上に長いと、他の電力会社に切り替えたい場合にできない、あるいは違約金が発生する場合がある。

違約金は、一般家庭の場合は2,000〜10,000円程度だが、高圧や特別高圧の法人となると価格が一気に跳ね上がる。新電力によっては、1〜3ヶ月分の電気料金を違約金として請求すると定めている場合もあるので要注意だ。

契約期間がない、あるいは違約金が無料の新電力も存在するため、契約後に後悔しないために「契約期間はどれだけあるのか」「途中解約の場合、違約金はいくらなのか」「更新費用やオプション費用などが発生するのか」を確認しよう。

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④料金プラン

そして最も重視したいのが「新電力の料金プラン」だ。電力会社が提供するプランは以下の2種類がある。


・一般的な料金プラン:単価は1ヶ月間固定。電気の仕入れ値が安くても電気代に反映されない。
・市場連動型プラン:単価が30分ごとに変動する。電気の仕入れ値が安いと電気代も安くなる。

先述したように、大半の新電力は一般的な料金プランを提供している。しかし、このプランは料金設定が電気の仕入れ値に基づいていないため、燃料費が上がると倒産してしまうリスクがある。

また一般的な料金プランは単価が固定されるため、電気代を安くしたい場合、節電して電気の使用量を減らすか、電力会社が電気代を下げるのを待つしか方法がない。しかし2024年現在、電気代は安くなるどころか値上がりが続いている。

こうした状況から、「倒産リスク」や「電気代の値上げリスク」を軽減したい法人が検討すべきなのが「市場連動型プラン」だ。

 

市場連動型プランは倒産リスクがほとんどゼロ
しかも電気代が大幅に安くなる可能性が高い

市場連動型プランとは、30分ごとに電気代の単価が変動する電力プランだ。

新電力はJEPXという市場から仕入れた電気を供給している。JEPXからの電気の仕入れ値を「市場価格」というが、市場価格は需要と供給に応じて30分ごとに変動する仕組みだ。この市場価格をもとに、以下の電力量料金が決定するのが「市場連動型プラン」である。

市場連動型プランは電気の仕入れ値に基づいた料金設定のため、電力会社が大赤字となり倒産する、というリスクはほとんどない。また市場価格が決まる要素として「燃料費」が含まれるため、このプランには「燃料費調整額」がない。

さらに市場価格は、晴れて太陽光発電の導入量が増える時間帯や電力需要が少ない時間、燃料価格が安い時期などは大幅に安くなる。市場価格は最安0.01円/kWhとほぼ0円のため、電気代を大幅に安くできる可能性があるのだ。

上図は弊社の担当者が計測した、市場価格が0.01円/kWhとなった時間数の推移だ。全国的に再生可能エネルギーが増加したことで、最安値をつける時間が増えている。特に2023年の九州エリアでは、年間1,174時間、年間の総時間数(8,760時間)の約13%が0.01円/kWhとなった。

市場連動型プランでは、昼間の電気代が安くなる傾向にあるため、日中に稼働が多い工場やオフィスなどでは、電気代を下げられる可能性が高い。以下は市場価格が0.01円/kWhをつけた際の、2つのプランの価格イメージ図だ。

倒産リスクがほとんどなく、しかも電気代を安くできる可能性が高いため、市場連動型プランを選択するのも一つの手だといえるだろう。

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