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カーボンニュートラルとは?意味や背景、実現に向けた世界の取り組みをわかりやすく解説

カーボンニュートラルとは?意味や背景、実現に向けた世界の取り組みをわかりやすく解説

※この記事は2024年3月22日に最新の情報に更新されました。

メディアやネットなどで取り上げられる機会が増えた「カーボンニュートラル」。だが、これは一体どういう意味で、なんのために必要なのか、どうすれば実現できるのかをご存知だろうか。

そこでこの記事では、カーボンニュートラルの意味や必要な理由、世界と日本の現状、実現のために個人や企業ができること等を解説していく。

目次

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

カーボンニュートラルとは?意味をわかりやすく解説

カーボンニュートラルの概要

カーボンニュートラルとは、CO2などの温室効果ガスの排出量を「プラスマイナスゼロ」にすることである。

まずここで注意したいのは、カーボンニュートラルは決して「温室効果ガスの排出量をゼロにするわけではない」ということだ。

CO2をはじめとする温室効果ガスは排出量をゼロにするのは難しい。そこで温室効果ガスを「減らす」と同時に「森林で吸収する」「技術で除去する」取り組みを通して、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにしよう、というのがカーボンニュートラルだ。同義語として、ネットゼロという言葉も使われている。

また最近では脱炭素という言葉を耳にする機会も増えているが、脱炭素は「二酸化炭素の排出量を完全にゼロにする」という意味だ。少しニュアンスが異なるため、違いを知っておこう。

カーボンニュートラルとは、CO2などの温室効果ガスの排出量を「プラスマイナスゼロ」にすることである。  まずここで注意したいのは、カーボンニュートラルは決して「温室効果ガスの排出量をゼロにすることではない」ということだ。CO2をはじめとする温室効果ガスは、排出量をゼロにするのは難しい。  そこで温室効果ガスを「減らす」と同時に「森林で吸収する」「技術で除去する」取り組みを通して、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにしよう、というのがカーボンニュートラルだ。同義語として、ネットゼロという言葉も使われている。

温室効果ガスとは?

では、カーボンニュートラルの削減対象となる温室効果ガスとは何なのか? 温室効果ガスとは、大気中に含まれるガスの総称だ。太陽から放出される熱を地球に閉じ込め、地球を温める働きをしている。

温室効果ガスとは、大気中に含まれるガスの総称だ。太陽から放出される熱を地球に閉じ込め、地球を温める働きをしている。(出典:環境省「IPCC第5次評価報告書」

上図は、温室効果ガスの総排出量を種類別にまとめたものだ。「温室効果ガス=二酸化炭素(CO2)」と捉えがちだが、メタンや一酸化炭素、フロンガスなども温室効果ガスの一種である。

 

なぜカーボンニュートラルが必要なのか?

それでは、なぜ地球を温める効果を持つ温室効果ガスの排出量を「プラマイゼロ」にする必要があるのか?ここからはカーボンニュートラルが重要視される理由・目的を解説していく。

地球温暖化を食い止めないと、平均気温が5〜8.5℃も上昇してしまう

カーボンニュートラルが必要な理由は、地球温暖化を食い止め、安心安全な社会を実現するためである。

世界のCO2排出量の推移と、世界の平均気温推移を図にしたもの(出典:JCCCA「世界の二酸化炭素排出量の推移」を含む資料もとに弊社作成)


上図は、左が世界のCO2排出量推移を表したもので、右が世界の平均気温推移を示したものだ。図を見ると、産業革命以降はCO2排出量の増加が続いており、同時に世界の平均気温も約1.09℃上がっていることがわかる。温室効果ガスが増えた結果、熱が地球から放出されづらくなり、地球温暖化が発生していると考えられるのだ。

IPCCが2021年に発表した、今後の世界平均気温のシュミレーションを図にしたもの(出典:気象庁「IPCC第6次評価報告書(AR6)」


上図は、IPCCが2021年に発表した今後の世界平均気温のシュミレーションだ。IPCCは、今後もし地球温暖化対策をしなかった場合、世界の平均気温が2100年に5〜8.5℃も上がるとしている。東京で考えると、2100年の夏は最高気温が42℃になり、真冬でも25℃を超える日が出てくるのだ。

なぜ地球温暖化を食い止める必要があるのか?

温室効果ガスが増加すると熱が宇宙に逃げず、地球の平均気温が上がることがわかった。では、なぜ地球温暖化をストップする必要があるのか?ここでは「暮らし」と「経済」の2つの観点から、地球温暖化がもたらす影響を見ていく。

①自然災害の増加や干ばつなどで、戦争につながるリスクがある

まずは「暮らし」の観点から地球温暖化を見ていく。地球温暖化がもたらすリスクとして、主に下記が挙げられる。

海面上昇、降水量増加と減少の二極化、台風の巨大化、干ばつの発生、水不足、農作物収穫量の減少、

蚊の大量発生による伝染病の増加、生態バランスの破壊など

日本で見ると、地球温暖化が続いたことで台風の巨大化や豪雨による洪水の増加など、気候変動による自然災害が相次いでいる。

気象庁が発表した、日本における豪雨の年間発生回数をグラフにしたもの(出典:環境省「~日本の気候変動とその影響~」

上図は気象庁が発表した、日本における豪雨の年間発生回数をグラフにしたものである。赤い線は平均値の推移を表しているが、地球温暖化により、半世紀の間に豪雨の回数が2倍近く増加しているのだ。

年平均降水量の変化を表した図。1986〜2005年の平均降水量と2081〜2100年の予想降水量を表している。(出典:環境省「~日本の気候変動とその影響~」

では世界全体の降水量が増えるのかというと、実はそうではない。上図は年平均降水量の変化を表した図だが(左が1986〜2005年の平均、右が2081〜2100年の予想)、今後、雨が増える地域と減る地域の二極化が進むと考えられているのだ。

特に雨が減る地域では干ばつが発生し、水・食料不足が発生するリスクがある。そうなった場合、それらをめぐって争いが起こる可能性があるのだ。

さらにIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書では「気温が1〜3℃上がることで20〜30%の生物種が絶滅する」ことがわかっている。地球温暖化を放置すると、生態系のバランスが崩れてしまう。安心安全な暮らしをこの先も続けていくためにも、地球温暖化対策は大切なのである。

②地球温暖化によって多額の経済損失が発生する

地球温暖化は経済にも悪影響を及ぼす。国連の調査では、1998年から2017年のうち、地球温暖化が原因の自然災害がもたらした世界の経済損失額は約252兆円となった。日本でも、2019年の台風19号によって1兆6,000億円の損失が発生している。そして国際労働機関の発表では、2030年までにさらに約250兆円の経済損失がある見込みだ。

これまで「環境保護と経済成長は相反する」というのが一般的な考えだった。しかし、こういった損失リスクを踏まえ、世界では「経済成長のために環境保護は必要不可欠」という見方が広がっている。

世界のESG投資残高の推移をグラフ化したもの(出典:日興リサーチセンター「世界の責任投資市場に関するレポート」

実際に投資家の世界では「環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)」の観点から投資を行う、ESG投資が増加している。ただ利益を上げるだけでなく、その企業がいかに社会的使命を果たすかについても、投資の判断材料になっているのだ。

GSIA(世界持続的投資連合)によると、上図のように2020年のESG投資額は35.3兆ドル(約4,589兆円)となった。これは投資総額の35.9%を占めており、2025年には53兆ドル(約6,890兆円)となる見込みだ。

またRE100など、使用する電気を全て再生可能エネルギーでまかなうことを目指す企業連合などが発足したり、再エネ技術への開発が進んだり、経済界でもカーボンニュートラルに向けた動きが活発化している。

関連記事:RE100とは?特徴やメリット、日本の加盟企業などをわかりやすく解説!


このように地球温暖化は私たちの「暮らし」「経済」の両方に悪影響を及ぼす。そこで日本やアメリカをはじめとする多くの国が「2050年のカーボンニュートラル達成」を目指し、技術の開発や法整備を進めているのだ。

 

なぜ「2050年」までにカーボンニュートラルを目指すのか?

多くの国がなぜカーボンニュートラルの実現目標を2050年に設定しているのか。その理由は、IPCCが科学的に実証したからである。


ここまでカーボンニュートラルがもたらす悪影響と、世界各国が2050年までにカーボンニュートラル達成を目指していると説明した。

では、なぜ多くの国が2100年や2200年でなく「2050年までの実現」を目標にしているのだろうか?

 

これは、IPCCが2018年に発表した「IPCC 1.5℃ 特別報告書」にて、

・人類が安全に暮らすには、気温上昇を産業革命以前から1.5℃以内に抑える必要がある
・1.5℃以内に抑えるには、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする必要がある

上記2点を科学的に明らかにしたからだ。

もともとIPCCは2014年に「気温上昇を産業革命前から2℃に抑えようとしても、2050年までに温室効果ガスの許容量を超えてしまう」ことを発表していた(IPCCの第5次報告書)。

2015年にフランス・パリで開催されたCOP21では、この調査を受けてパリ協定が締結された。パリ協定では「世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」ことを約束している。

しかしこのときはまだ世界各国が2030年までの削減目標を明らかにしただけだった。その後、2018年のIPCCの報告書の発表を経て、世界的に「2050年までにカーボンニュートラルを実現する必要がある」との見方が広がり、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す国が続出したのだ。

 

世界各国におけるカーボンニュートラルの目標・政策

2021年時点で154カ国、1地域が2050年のカーボンニュートラルの実現を目指している。それでは世界ではカーボンニュートラルの実現に向け、どういった取り組みをしているのだろうか?ここからは、主要国のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを見ていく。

世界で温室効果ガスを多く排出しているのはどの国?

主要国の取り組みについて説明する前に、まずは2018年度における世界の温室効果ガス排出量の内訳を見ていこう。

2018年における世界のCO2排出量の割合を示したもの(出典:EDMC「エネルギー・経済統計要覧 2021年版」

上図は2018年における世界のCO2排出量の割合を示したものだ。世界では年間約335億トンもの温室効果ガスが排出されており、うち中国とアメリカが全体の約4割を占めている。日本の排出量は、インド、ロシアに続いて世界で5番目に多い。

それでは、主要国はどういった取り組みをしているのだろうか?

アメリカのカーボンニュートラル実現に向けた取り組み

アメリカは2050年にカーボンニュートラルの実現を目指している。そのために2030年までに2005年と比較して50〜52%の温室効果ガス削減を達成する目標を掲げている。

具体的な政策として、風力や太陽光など再エネ技術の開発や、電気自動車を普及させるために4年間で約260兆円の投資を行う予定だ。同時に、頻発する山火事や洪水など自然災害対策としてインフラの整備強化にも約250億円を投資している。

中国のカーボンニュートラル実現に向けた取り組み

中国は2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指している。中間目標として、2030年に2005年と比較して65%の温室効果ガスを削減をする予定だ。

中国では、有害物質を排出しない電気自動車や燃料電池車の開発など、脱炭素技術の産業育成に力を入れている。また2030年までにエネルギー消費に占める非化石燃料の割合を25%に高めるため、再エネ技術の開発に取り組んでいる。

EUのカーボンニュートラル実現に向けた取り組み

EUは2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。そのために2030年までに温室効果ガスを少なくとも1990年比で55%削減する予定だ。

EUは2019年に「欧州グリーンディール(European Green Deal)」を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを法で定めた。そしてカーボンニュートラルを産業として定着させるために、10年間で約150兆円投資することを決定している。

2021年には「Fit for 55」と呼ばれる法案を発表。この法案では、再エネ技術への投資や電気自動車の充電スタンドの整備などの内容が盛り込まれている。

 

日本におけるカーボンニュートラルの目標・政策

日本もアメリカやEU同様、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指しているが、いったいどのような政策を掲げているのだろうか。次に日本におけるカーボンニュートラルの動きを見ていく。

日本の温室効果ガス排出量は?

日本の温室効果ガス排出量の推移をグラフ化したもの(出典:国立環境研究所「2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出・吸収量(確報値1) について 」


上図は日本の温室効果ガス排出量の推移をグラフ化したものだ。日本の温室効果ガス排出量は2013年度にピークを迎え、2020年度までは減少が続いた。

2021年度は、新型コロナウイルス感染症で落ち込んでいた経済活動の再開などでエネルギー消費量が増加している。しかし2013年度と比較すると、2021年度の排出量は20.3%も減少しており、温室効果ガスの排出量自体は着実に減少していることがわかる。

日本のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みとは

日本はパリ協定を受けて「2030年度に温室効果ガスを26%削減し、2050年までに80%削減する(2013年度比)」という目標を掲げていた。

しかし2020年10月、菅前内閣総理大臣が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と宣言したことで、日本もカーボンニュートラルの実現に向けて本格的に動き出している。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、日本が打ち出したのが「2030年目標」と「グリーン成長戦略」という2つの政策だ。ここからはそれぞれの政策を解説する。

①2030年目標とは

2030年目標とは、2030年までに温室効果ガスの排出量を46%削減するという目標だ。これは元々の削減目標だった26%から約70%以上も引き上げた数字で、達成は容易ではない。そこで政府は、以下の取り組みを積極的に行っていくことを発表した。

・太陽光や風力など再生可能エネルギーの最大限の活用
・投資を促すための景気刺激策(脱炭素に取り組む企業への税制優遇など)
・地域の脱炭素化への支援(助成金制度の実施など)
・グリーン国際金融センターの創設
・アジア諸国をはじめとする世界の脱炭素移行への支援

上記の取り組みを通して、発電の際にCO2を出さない再生可能エネルギーの導入を進めつつ、脱炭素に取り組む企業を優遇することで、国内のカーボンニュートラルを促進させようとしている。

さらに2023年度にはCO2の排出量に応じて課税を行う炭素税や、排出量を売買する排出量取引制度などが始まる予定だ。

②グリーン成長戦略(2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略)

もう一つの政策がグリーン成長戦略だ。グリーン成長戦略とは、カーボンニュートラル実現のために経済産業省が中心となって策定した産業政策である。

この政策では、今後も成長が期待でき、かつ温室効果ガス排出の削減が重要となる14の産業をピックアップし、それぞれに高い目標を設定。政府が目標のクリアを支援することで、カーボンニュートラルを実現すると同時に国際競争力を強化するのが狙いだ。対象となる14の産業は以下である。

<エネルギー分野>


① 洋上風力・太陽光・地熱産業

② 水素・燃料アンモニア産業

③ 次世代熱エネルギー

④ 原子力産業

<輸送・製造関連産業>


⑤ 自動車・蓄電池産業

⑥ 半導体・情報通信産業

⑦ 船舶産業

⑧ 物流・人流・土木インフラ産業

⑨ 食料・農林水産業

⑩ 航空機産業

⑪ カーボンリサイクル・マテリアル産業

<家庭・オフィス関連産業>


⑫ 住宅・建築物産業・

  次世代電力マネジメント

⑬ 資源循環関連産業

⑭ ライフスタイル関連産業

政府は上記に当てはまる企業に対して、2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにするロードマップを提示し、必要となる技術の研究開発や実験に対してはグリーンイノベーション基金を通してサポートする。グリーンイノベーション基金は2兆円が設定されており、適用対象となったプロジェクトには10年間の支援が行われる。

それと同時にカーボンニュートラル実現の障害となる規制の改革や、脱炭素に効果的な製品の導入や投資に対する税制優遇の適用など、さまざまな支援を通してカーボンニュートラルの取り組みを促進させていく。

これらの取り組みによって、主に14の産業を成長させながらカーボンニュートラルを実現する予定だ。

日本と世界各国のカーボンニュートラルの目標・政策を図にすると?

日本とアメリカ、中国、EUにおけるカーボンニュートラルの目標・取り組みを図にまとめたもの

日本とアメリカ、中国、EUにおけるカーボンニュートラルの目標・取り組みを図にまとめると上図のようになる。

 

<企業・法人向け>カーボンニュートラルに取り組みメリットとは?

ここまで世界各国のカーボンニュートラルに関する目標と取り組みを解説した。国内企業でもCO2削減に取り組む企業が増えているが、はたして法人がカーボンニュートラルに取り組むメリットはあるのだろうか?ここでは、法人がカーボンニュートラルを実現するメリットを2つ、解説していく。

メリット①:再エネを導入することで、電気代が安くなる可能性がある

1点目が、太陽光発電システムなどを自社に導入することで、電気代が安くなる可能性があることだ。私たちが電力会社から購入する電気は、大半が火力発電である。

化石燃料費は社会情勢に左右されやすく、2022年には「ロシアウクライナ問題」などの影響を受けて化石燃料費が過去最高値を記録、電気代も2倍以上値上がりした。

一方、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは社会情勢の影響を受けない。特に太陽光の場合、導入方法によっては発電した電気を無料で使用できる。再エネは環境に優しいだけでなく、コストメリットもあるのだ。

関連記事:【2023年最新】電気代を値上げする電力会社一覧!電気料金はどれくらい高くなる?
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メリット②:ブランディングになり、ビジネスチャンスが広がる

2つ目が、カーボンニュートラルへの取り組みがブランディングになる点だ。まず脱炭素の取り組みはESG投資を考えている投資家にとって格好のアピールポイントとなる。大手企業の場合、RE100などに加盟すればグローバル企業とつながるチャンスにもなるだろう。

またApple社のように、取引条件としてCO2排出量削減を求める企業も増えている。そのため、カーボンニュートラルに取り組むことで、既存取引を継続できるだけでなく、新規開拓のチャンスに繋げることもできるのだ。

 

個人や企業がカーボンニュートラルのためにできることとは?

ここまでカーボンニュートラルについて説明してきた。それでは、カーボンニュートラルを実現するために、個人や企業ができることはあるのだろうか?ここでは私たちができる取り組みを3つ紹介する。

①節電の実施・省エネ設備の導入

1つ目が節電の実施や省エネ設備の導入である。これらの取り組みによって無駄なエネルギーの消費を減らし、CO2排出量の削減が可能だ。

節電でいうと、エアコンは温度を1℃上げれば約13%、暖房温度を1℃下げることで約10%の節電効果が期待できる。さらに温水トイレの場合、便器のふたを閉めるだけで10〜20%も節電できる。

省エネ設備でいうと、照明をLEDにすれば蛍光灯や白熱電球と比較して使用電力を約80%のカットが可能だ。個人の場合、ZEH住宅(高断熱の壁材や省エネ設備、太陽光発電システムを搭載した住宅のこと)を選ぶケースも増えている。最新家電は従来のものより省エネ効率がいいため、家電を買い換えるのも手だろう。

法人の場合、業務用エアコンの部品を薬品などで洗う「オーバーホール」が効率的だ。季節ごとに実施した結果、電気代を40%削減したケースがある。オフィスや工場の節電方法については、下記記事を読んでいただきたい。

関連記事:【2023年最新】オフィスですぐできる電気代削減・節電方法を解説
関連記事:【2023年最新】工場の電気代削減・節電方法を徹底解説!

②森林保全・植林活動の実施

2点目が、植林活動である。これまで説明したように、カーボンニュートラルを実現するには「温室効果ガスを減らす」だけでなく「吸収する」動きも必要だ。

森林などからの吸収量の推移を表したもの(出典:環境省「2021年度温室効果ガス排出・吸収量(確報値)概要」


上図は森林などからの吸収量の推移を表したものだ。2021年度の吸収量は2020年度から増加したが、それでも2014年よりは減少している。

近年、CCS(CO2を回収して地下に埋める技術)やCCUS(CO2を油田に閉じ込める技術)の開発が進んでいるが、コスト面から実用には至っていない。比較的手軽かつ効果的であることから、森林保全や植林活動をするのも1つの手である。

③再生可能エネルギーの導入

3つ目が、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入だ。

2022年度における日本の電源構成比を図にしたもの。現状は化石燃料(石炭やLNG、石油)が約70%、再生可能エネルギーが約20%を占めている。(出典:環境エネルギー制作研究所「2022年の自然エネルギー電力の割合」

上図は2022年度における日本の電源構成比だ。現状は化石燃料(石炭やLNG、石油)が約70%、再エネが約20%を占めている。しかし政府は2021年に策定した「第6次エネルギー基本計画」にて、2030年には36~38%まで引き上げる目標を打ち出している。あと7年の間に再エネの導入比率を2倍にする必要があるのだ。

メリットでも先述したように、再エネは化石燃料と違って価格が極端に上下することはない。電気代を安くしたい家庭・法人は電気代という観点からも非常に有益であると言える。

関連記事:再生可能エネルギーとは?メリット・デメリット、種類の一覧を簡単に解説!

 

 

再生可能エネルギーを導入する方法とは?

それでは、再生可能エネルギーを導入するには具体的にどうすればいいのだろうか?最後に、再エネを導入する方法を2つ紹介する。

再エネ導入方法①:再エネ100%の電力会社と契約する

再生可能エネルギーの導入方法の1つが、再エネ100%の電気プランを提供する電力会社との契約だ。

電力会社の中には、実際に再生可能エネルギー由来の電気や、環境価値証書を組み込んだ「実質再生可能エネルギー」由来の電気を供給している場合がある(再生可能エネルギーは電気と環境価値を切り離して取引されており、環境価値の証書を購入することで「この電気はCO2を出していない」という証明になる)。

そういった電気プランに乗り換えるだけで、使用する電気をCO2を排出しないものに変えることが可能だ。

関連記事:非化石証書とは?仕組みや価格、種類や購入方法などをわかりやすく解説
関連記事:【図解】JEPXとは?取引の仕組みや市場価格の推移をわかりやすく解説!

<法人向け>しろくま電力の市場連動型プランは実質再エネ100%
賢く使えば脱炭素に加え、大幅な電気代削減も期待できる

再エネの導入方法の一つである、再エネ電力100%プランへの電気の切り替え。しろくま電力では、非化石証書を組み込んだ、実質的に再エネ100%の電気を供給している。

しろくま電力に切り替えるだけで「電気の脱炭素」が可能だ。2023年4月より改正された「省エネ法」にも対応できる。

またしろくま電力は市場連動型プランだ。市場連動型プランは、JEPX(日本卸電力取引所)が販売する電気の取引価格(市場価格)に基づいて、30分ごとに電気代の単価が変動する。

大手電力会社などが提供する一般的なプランは固定単価で、1日の間に電気代が安くなることはない。しかし市場連動型プランは時間帯や天候状況によって大幅に単価が下がるのだ。

当然、市場価格が高値をつけ、一般的なプランより単価が高くなるリスクもある。しかし実際に市場価格を見ると、下図のように市場価格が0.01円/kWhとなる時間帯が増えている。特に2022年の九州エリアでは、年間の総時間数の約10%が0.01円/kWhとなった(下図参照)。

市場価格が0.01円/kWhを記録した時間数

市場連動型プランでは、昼間の電気代が安くなる傾向にあるため、日中に稼働が多い工場やオフィスなどでは、電気代を下げられる可能性が高い。

さらに蓄電池を導入し、安い時間帯の電気を蓄えて高い時間帯に使うなどの対策をすることで、さらに電気代を下げられる可能性がある。以下は市場価格が0.01円/kWhをつけた際の、2つのプランの価格イメージ図だ。

市場価格が0.01円/kWhを記録した際の、2つのプランの価格イメージ図

しろくま電力は全国エリアに対応している(沖縄・離島を除く)ため、全国に拠点がある法人も一括で契約できる。お見積もりは簡単にでき、しかも他の電力会社との電気代比較も可能だ(比較を希望した法人のみ)。年間のお見積もりだけでなく、毎月の電気代を算出するため月ごとの料金比較もできる。

簡単お見積もりは「しろくま電力の市場連動型プランページ」または下記バナーから。「CO2・電気代の削減効果を知りたい」方はぜひお見積もりを。

 関連記事:【2023年】電気の市場連動型プランとは?特徴とメリット・デメリットをわかりやすく解説!電気代高騰を防げる?
関連記事:【2023年最新】省エネ法とは?改正の変更点と法人がすべき対策をわかりやすく解説!

 

<法人向け>大手より最大25%も安い
安心して電気を安く使いたい法人は「固定単価型プラン」がおすすめ

また、しろくま電力では「市場連動型プランはどうしても不安だ」という法人に向けて「固定単価型プラン」も提供している。このプランは大手と違って「3〜6ヶ月前の燃料費の平均価格」でなく「前月の市場価格」を1kWhあたりの単価に落とし込むため、不透明な値上げリスクがない。

さらに、以下の2点により電気代が大手電力会社よりも「最大25%安くなる」可能性がある。

①基本料金と電力量料金が大手電力会社より安い
②燃料費調整額でなく、電源調達調整費を電気代に組み込んでいる

①について、しろくま電力では電気代の基本料金と電力量料金を大手電力会社よりも低くなるように設定した。そのため月々の電気代を安く抑えることができる。

一般的な料金プランとしろくまプランの料金内訳の比較図


②については、大手電力や新電力が電気代に燃料費調整額(化石燃料費の変動分だけ)を組み込む一方、しろくまプランでは電源調達調整費を含んでいる。電源調達調整費は、先述したJEPXの市場価格を1kWhあたりの単価に落とし込んだものだ。

燃料費調整額は化石燃料だけを価格に反映するため、燃料費が高騰すると燃料費調整額も上がってしまう。2020~2022年にかけて電気代が高騰したが、この原因は燃料費調整額だった。しかし市場価格は前述したように燃料費以外も参考にされるため、電気代の高騰リスクを軽減できる(当然、電源調達調整費が高騰するリスクもある)。

このように内訳を変更することで、大手電力よりも最大25%安くすることが可能となった。ちなみに市場連動型プランと固定単価型の価格の違いは以下である。

・市場連動型プランは電力量料金が市場価格を元に決まる
・固定単価型プランは従来の電力プランと同じく電力量料金は一定。

・市場価格は賢く電気を使えば電気代が大幅に安くなる。しかし市場価格高騰時はリスクもある
・固定単価型プランは市場連動型よりも市場価格の影響を受けづらい。安心して電気代を下げたい。


「市場連動型だと不安だ」「安心して安い電気代を使いたい」という企業様は、ぜひ下記からお見積もりを。

 

 

 

<家庭向け>大手電力より最大25%も安い
しろくまプランなら大幅に電気料金が下がる可能性がある

しろくま電力では、家庭・小規模法人向け電力プラン「しろくまプラン」を提供している。この電気は実質再生可能エネルギーのため、CO2を一切排出しない。

また2023年6月より、大手電力は電気料金を14〜42%値上げしたが、しろくまは値上げ前よりも安く価格を設定しているため、大手電力の値上げ後より最大28%も電気代を安くすることができる。

「電気料金を安くしたい」「電気料金値上げの通知がきた」など、ご家庭・小規模法人で電気料金にお悩みの方は、「しろくまプランお申し込みページ」または以下のバナーよりお申し込みを。

 

 

再エネ導入方法②:太陽光発電設備を自社に導入する

2つ目の再エネ導入方法が、太陽光発電設備の導入である。太陽光発電は風力や水力などの発電方法と比較すると、低コストかつ短期間での導入が可能だ。また太陽光発電設備は屋根上だけでなく、遊休地や駐車場、自社敷地外にも設置することができる。

太陽光発電設備の導入方法については、PPAモデルと自社所有モデル、リース契約の3つがある。PPAモデルの場合、初期費用0円での導入が可能だ。それぞれの違いについては、以下の記事で解説している。

関連記事:自家消費型太陽光発電とは?種類やメリット、補助金情報、注意点をわかりやすく解説!PPAと自己託送の違いとは?
関連記事:【図解】太陽光発電のPPAモデルとは?仕組み・メリット・デメリット・発電量を増やす方法をわかりやすく解説!

 

しろくま電力は高い施工品質で、CO2排出量・電気代の削減を実現

太陽光発電システムは、低コストかつ短期間で導入できることを説明したが、太陽光発電所を作るにあたって重要なのが「発電量」だ。発電量が増えるだけ、CO2・電気代削減効果を高めることができる。そしてしろくま電力なら、多くの発電量が期待できる発電所の建設が可能だ。

しろくま電力は太陽光発電所の導入にあたり、適地探しから土地開発、資材調達、施工までを一気通貫で行ってきた。しろくま電力に太陽光発電所の建設を依頼するメリットは以下の2点だ。

・適地を見つけ出し、土地ごとに最良の発電所を設計できる力
・ニーズごとに設置場所を提案できる柔軟な対応力

それぞれについて解説していく。

しろくま電力のPPAのメリット①:適地を見つけ出し、土地ごとに最良の発電所を設計できる力

太陽光発電所で重要なのが「いかに発電量を増やすか」だと述べたが、発電量を増やす上で大切なポイントは2つある。「日射量が期待できる場所に設置できるか」「土地の課題をクリアした設計ができるか」だ。

適地探しについては、社内の土地開発チームが自社で開発した「再生可能エネルギー適地検索システム」を活用。日射量データや該当エリアの系統の空き容量、土地の情報などのデータを学習したAIが、152万に分割した日本の土地の中から発電所の適地を見つけ出すことができる。

またしろくま電力は現場の施工に加え、施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。これにより、100m横の敷地に立った左の発電所よりも、約22%も発電量を増やすことに成功した。技術力を活かし、その土地にとって最良の太陽光発電設備を設置する。

afterFITは現場の施工に加え、施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。これにより、100m横の敷地に立った左の発電所よりも、約22%も発電量を増やすことに成功した。技術力を活かし、その土地にとって最良の太陽光発電設備を設置する。(左が従来の太陽光発電設備。右がしろくま電力が開発した影のない3Dタイプの発電設備)

参考:しろくま電力の「PPAモデル事業」の紹介ページ
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しろくま電力のPPAのメリット②:ニーズごとに設置場所を提案できる柔軟な対応力

2つ目のメリットが、ニーズごとに設置場所を提案できる柔軟性な対応力がある点だ。太陽光発電設備は屋根上に設置するのが一般的だ。しかし、屋根上だけでは使用電力を賄えず、状況によっては屋根上に設置できないケースもある。

そこでしろくま電力では屋根上や遊休地だけでなく、幅広い設置場所の提案を行ってきた。しろくま電力であれば遠隔地や駐車場にも発電設備を設置できる。特に駐車場に設置するソーラーカーポートには強いこだわりがあり、一級建築士監修のもと、2年もの歳月をかけて改良を重ねてきた。

従来のソーラーカーポートは4本足で、駐車や扉の開閉がしづらく、相場も高い。しかしafterFITでは、前方に足がない片持ちタイプを開発。これによって駐車しやすく、扉の開け閉めが容易になった。


上図左側のように、従来のソーラーカーポートは4本足で、駐車や扉の開閉がしづらく、相場も高い。しかししろくま電力では、前方に足がない片持ちタイプを開発。これによって駐車しやすく、扉の開け閉めが容易になった。

この対応力により「屋根上の設置を断られたが太陽光発電を導入したい」「もっと多くの使用電力を賄いたい」「追加で別の場所にも設置したい」など幅広いニーズを解決する。

実際にケーヨーデイツー姉崎店に設置されている、片持ちタイプのソーラーカーポート(実際にケーヨーデイツー姉崎店に設置されている、片持ちタイプのソーラーカーポート)

参考:しろくま電力の「しろくまカーポート」紹介ページ
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しろくま電力は、これまでに累計214.9MW分の太陽光発電所を施工してきた(東京ドーム約72個分)。メガソーラーをはじめとする大規模発電所や、店舗の駐車場に設置するソーラーカーポートなど、施工実績が豊富だ。

土地開発から施工にいたるまで、ほぼ全ての業務を内製化する中で培った独自のノウハウを活かし、国内企業の脱炭素や電気料金の高騰リスク軽減を全力でサポートする。

太陽光発電設備の導入(PPAモデルまたは自社所有型モデル)に関するお問い合わせやご相談は「太陽光発電設備の導入に関するお問い合わせフォーム」または下記のバナーから。

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番外編:カーボンニュートラルでよくある質問とは?わかりやすく解説!

これまでカーボンニュートラルについて解説してきた。記事を読む中で「カーボンニュートラルは、カーボンオフセットとどう違うの?」と考えた方もいるのではないだろうか。そこで番外編として、カーボンニュートラルに関してよくある質問を解説していく。

よくある質問:カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違いとは?

カーボンオフセットとは?

カーボンオフセットとは、環境証書(CO2を削減量・吸収量を証書化したもの)を購入することで、温室効果ガスの排出を実質的に減らす取り組みだ。カーボン・オフセットを直訳すると「炭素を埋め合わせる、相殺する」という意味になる。

温室効果ガスの排出を減らそうとしても、排出をゼロにできない場合がある。そこで国や企業が発行したJ-クレジットという環境証書を購入することで、「ウチはこれだけCO2を削減・吸収した」という証明になるのだ。

カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違い

これまで説明してきたように、カーボンニュートラルは「温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取り組み」である。一方でカーボンオフセットは「温室効果ガスの排出量を削減する活動への投資」と言えるだろう。

またカーボンオフセットは排出を埋め合わせる量の指定がないが、カーボンニュートラルの場合は排出量と削減・吸収・除去した量を同一にしなければいけない。こうした観点から、カーボンニュートラルはカーボンオフセットより一歩進んだ考え方であると言える。

 

地球温暖化をストップするため、世界が取り組んでいる「カーボンニュートラル」。今後実現に向けた取り組みは必要不可欠だが、法人が取り組むことで得られるメリットも多い。しろくま電力や、太陽光発電システムの導入に興味がある法人は、ぜひ下記のお問い合わせフォームよりご相談いただきたい

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