※この記事は2024年3月22日に最新の情報に更新されました。
大手電力会社が化石燃料費の変動分を「燃料費調整額」として電気代に含む一方、新電力の中には、その代わりに「電源調達調整費(独自燃調)」を組み込むケースが増えています。
この電源調達調整費、ネットでは「高い」「危ない」といわれていますが、果たして本当にそう言い切れるのでしょうか?
そこでこの記事では、電源調達調整費(独自燃調)の仕組み、燃料費調整額との違いを解説。その後、電源調達調整費のある電力会社の見分け方と、プランを選ぶ際の注意点、家庭向けの電気料金を安くする方法を説明していきます。
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目次 ・要注意!新電力の中には電源調達調整費と燃料費調整額を請求する会社も ・電源調達調整費のあるプランの方が燃料費調整額を含むプランより安くなる可能性がある |
電源調達調整費とは、電力会社が電気を仕入れる際に発生した「電気の価格の変動分」を、電気代に組み込んだものです。
大手電力会社とは異なり、大半の新電力(2016年以降に新規参入した電力会社)は自社の発電所を所有していません。JEPX(日本卸電力取引所)という電気の卸市場や、個人で電気を作る発電事業者から電気を仕入れ、それを一般家庭や法人などの需要家に届けているのです。
このJEPXで取引される電気の価格を市場価格といいますが、市場価格はさまざまな条件に応じて30分ごとに変動する仕組みです。
そのため電気代を固定してしまうと、市場価格が上がった場合は電力会社が、市場価格が下がった場合は需要家が損してしまいます。発電事業者から電気を仕入れる際も、購入費用は条件に応じて変動するため、同様の影響が出てしまいます。
そういった事態を防ぐために、新電力は市場価格などの変動分を1kWあたりの単価に落とし込み、「電源調達調整費」として請求しているのです。大手電力会社と電気料金の内訳を比較すると、下図のようになります。
電源調達調整費は、大手電力会社の燃料費調整額(詳しくは後述)と違い、新電力が独自に設定する燃料費調整額です。そのため「独自燃調」や「市場価格調整単価」や「市場価格調整項」などとも言われます。
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料金プランの内訳について語る際「燃料費調整額」という言葉が出てきました。それでは、燃料費調整額と電源調達調整費の違いとは、一体どういうものなのでしょうか?ここからは、それぞれの違いについて解説していきます。
燃料費調整額とは、化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の価格変動分を電気代に組み込んだものです(燃調費ともいう)。大手電力会社や多くの新電力が、電気代にこの燃料費調整額を含んでいます。
燃料費調整制度が導入されたのは1996年のこと。燃料費は世界情勢や為替レートでこまめに変動することから、過去数ヶ月分の変動分を燃料費調整単価とし、それに電力使用量をかけて請求するようになりました。
ちなみに、これまでは料金プランによっては燃料費調整額の単価に上限がありました。しかし、昨今の化石燃料費の高騰を受けて、電力会社は相次いで上限を撤廃しています。
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燃料費調整額とは「化石燃料の変動分」を電気代に組み込んだものだと説明しました。一方、電源調達調整費は「JEPXの市場価格をはじめとする、電気の仕入れ値の変動分」を電気代に反映したものです。
先述したように、JEPXの市場価格はさまざまな条件に応じて30分ごとに変わります。市場価格は、主に下記の要素に影響を受ける場合が多いです。
・燃料費:燃料費が安ければ市場価格が下がり、高ければ上がる場合が多い
・天候状況:晴れなら太陽光発電が増えるため市場価格が下がり、雨や曇りは上がる場合が多い
・電気の需給バランス:需給に余裕があれば市場価格が下がり、ひっ迫すれば上がる場合が多い
・時間帯:昼間は太陽光発電が増えるため市場価格が下がり、夜間は上がる場合が多い
・季節:春秋は需要量が減るため市場価格が下がり、夏冬は増えるため上がる場合が多い
例えば化石燃料費が高騰した場合、燃料費調整額は値上がりしてします。しかし、その日が晴れていて、電力需給に余裕がある場合、太陽光の発電量が増加し、さらに市場で電気が余るため、市場価格は大幅に安くなるのです。
逆に雨が降った場合は太陽光発電ができないため、価格が高くなるリスクもあります。しかし、最近は太陽光発電の普及が進んだことで発電量が増えているため、上図のようにJEPXの市場価格が最安の0.01円/kWhとなる時間帯が増えているのです。
2022年は化石燃料費が過去最高値を記録しました。一方、市場価格は0.01円/kWhとなる時間が増加し、九州に至っては2022年のうち約10%の時間数が0.01円/kWhとなっています。
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ここまで電源調達調整費と燃料費調整額の違いを解説しました。それでは、電源調達調整費はどのように算出するのでしょうか?電源調達調整費の計算方法は会社によって異なりますが、ここでは一般的な計算方法を見ていきます。
まず、電源調達調整費は以下の数式で算出可能です。
電源調達調整費 = 電源調達調整費の単価 × 電力使用量(kWh)
電源調達調整費の単価については、以下のように計算する場合が多いです。
電源調達調整費の単価 ={(エリアスポット価格平均値 × 調整係数)ー 調整基準単価 }
エリアスポット価格平均値とは、JEPXの市場価格の平均額のことです。何ヶ月間の平均とするかは電力会社ごとに異なります。調整基準単価は、過去の市場価格をもとに、各電力会社が設定した基準価格のことです。エリアスポット価格平均値に、各電力会社が定めた調整係数をかけ、そこから調整基準単価を引いた数字が、電源調達調整費の単価となるのです。
簡単にいうと、電源調達調整費は、市場価格から各電力会社の基準価格を引いて算出されるということです。
計算の結果、電源調達調整費の単価がプラスの場合はその分が電気代にプラスされ(プラス調整)、下回る場合は電気代からマイナスされます(マイナス調整)。
ここまで電源調達調整費の計算方法を解説しましたが、電源調達調整費が反映されるタイミングについても注意しておきましょう。反映されるタイミングは電力会社ごとに異なりますが、ここではよくあるパターンをご紹介します。
例えば新電力H社の場合、上図のように3〜5ヶ月前の市場価格をもとに電源調達調整費単価が設定され、反映されるのはその2ヶ月後です。
一方で、しろくま電力は1ヶ月前の市場価格をもとに電源調達調整費単価が決まり、その翌月に反映しています。どの期間の市場価格を参考にし、いつ電気代に反映されるかは電力会社ごとに異なるため、契約時に確認してみましょう。
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それでは、契約を考えている電力会社の電気代は、電源調達調整費か燃料費調整額なのか、どうすれば契約前に確認できるのでしょうか?
各電力会社の料金内訳を知りたい場合は、契約前に提示される「約款」を確認しましょう。電力会社の約款を見れば、電気プランの内訳を見ることができ、そこでどちらが電気代に含まれるのかが確認できます。約款は電力会社のHPで公開されている場合もあるため、事前に確認してもいいでしょう。
また電力会社によっては電源調達調整費ではなく、市場価格調整額や調達調整額、電力市場連動額、エナジー調整費などと名称を変えているケースもあります。
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ここまで、契約を考えている電力会社の料金内訳の確認方法について解説しました。その際に合わせて注意すべきなのが、新電力の中には「燃料費等調整額」などと称して、電源調達調整費と燃料費調整額の両方を請求するケースがあるということです。
電源調達調整費について、ネットでは「高い」「危険」という言葉が散見されます。しかし本当に高い、危険と言えるのは電源調達調整費ではなく、実はこういった二重請求をする電気料金のプランなのです。
そして契約後に2つを請求されていると気づいても、払わないという選択はできません。
「新電力に乗り換えた結果、電気代が高くなった」とならないよう、契約前に料金プランの内訳をしっかり確認しましょう。
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ここまで「電源調達調整費=電気代が高くなる、危険」ではなく、本当に危険なのは「電源調達調整費と燃料費調整額の2つを請求する電力プラン」であると解説しました。
さらに「市場価格が0.01円/kWhとなる時間帯が増えている」と説明しましたが、それでも「JEPXの市場価格は高い」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
上図は、2020〜2023年の市場価格の推移(全国平均)を示したものです。2021年1月を見ると、月間の市場価格だけかなり高値をつけていることがわかります。なぜここだけ、高値になっているのでしょうか?
これは、世界的な寒波によって天然ガスが不足したこと、燃料を運ぶ船が事故にあったことなど、多くのトラブルが積み重なったことが原因です。その結果、1月13日における1日の市場平均価格が154.6円/kWhと、高値をつけました。
また2022年はロシア・ウクライナ問題の影響を受けて燃料費が過去最高値を記録。2020〜2022年のうちに石油と天然ガスが約5倍、石炭は約8倍に値上がりしました。その煽りを受けて、市場価格も高騰。各月の市場平均価格が平均して15円/kWhを超えるなど、値上がりしていたことがわかります。
確かにこれだけ見ると「市場価格=高い」と判断されるのも仕方がないでしょう。
しかし、2021年1月のように市場価格が高値となったのは、JEPXの開始以降、実はこの1回しかありません。さらに、2023年以降の数字を見ると、化石燃料費の値上がりが落ち着き、太陽光発電の導入量も増加しているため、市場価格は下落が続いていることがわかります。
さらに今後、日本では以下の3つの取り組みが行われます。
・余った再エネを捨てずに貯める、大型蓄電池の導入拡大(系統用蓄電池)
・2024年より、電気不足を防ぐために前もって電気を集める「容量市場」が始まる
・太陽光発電の導入量を、2030年までに現状の2倍に増やす
こうした動きにより、「太陽光発電が減る夕方以降は値上がりしやすい」「電気が不足すると値上がりしやすい」という市場価格のデメリットが解消され、一日を通して安定した電気の供給が可能になる見通しなのです。
一方で化石燃料の価格は、ロシアウクライナ問題からもわかるように、社会情勢に左右されやすいです。さらに化石燃料は有限資源のため、今後減少が続けば、その分だけ価格上昇リスクがあります。
これらの観点から、燃料費調整額よりも電源調達調整費の方が安くなっていく、ということは十分に考えられるのです。
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ここまで電源調達調整費は今後安くなっていく可能性が高いことを解説しました。
そこで電気代を安くしたい方におすすめなのが、しろくま電力が家庭・小規模法人向けに提供する「しろくまプラン」です。しろくまプランの主なメリットとして以下の2点があります。
①電気料金が大手電力会社の値上げ後より最大3割も安い
②還付金制度があるので、電気料金の急激な上昇を防げる
それぞれのメリットについて説明していきます。
1点目が、大手電力会社の値上げ後より、電気料金が最大で3割も安くなる点です。しろくまプランは、電気料金の業界最安値を実現すべく、単価を安く設定しています。
上図は4人世帯の場合の、大手電力との電気料金を比較した図です(契約アンペア数が40A、月間電力使用量が450kWhの場合)。
先述したように、大手電力会社は2023年6月より電気料金を大幅に値上げしました。
一方、「しろくまプラン」の電気料金は大手電力の値上げ前よりも安く、便乗値上げも実施しないため、場合によっては約3割も電気代を安くできるのです。
しかし「電気代が大幅に安くなる」と言われても、信じられない方も多いのではないでしょうか。なぜ「しろくまプラン」は大手電力よりも安いのか?その理由は電気料金の内訳にあります。
上図は双方のプランを比較した図です。まずしろくまプランは大手よりも基本料金と電力量料金を安く設定しています(再エネ賦課金の単価は国が定めるため、全ての電力会社で同じです)。
また東京電力の燃料費調整額としろくま電力の電源調達調整費を比較してみましょう。
2023年5月度における東京電力の燃料費調整額が5.13円(政府の7円/kWhの補助金を除いた場合)なのに対し、しろくま電力の電源調達調整費は、政府の補助金を含んでいない状態で1.95円です。
このように大手電力会社よりもお手頃な料金設定にしているため、しろくまプランにすれば電気代を安くできるのです。
2つ目のメリットが、電気料金高騰時に還付金を適用するため、電気料金の急激な上昇を防げる点です。
電源調整調達費は、燃料費ではなく、JEPXの市場価格をもとに決まります。市場価格が平均よりも高いと電源調整調達費はプラスになりますが、平均より安いとマイナスになることもあります。
通常、プラスの場合は電力会社は電気料金にプラス分を上乗せし、マイナスの場合はマイナス分を値下げして請求するのが一般的です。しかしそうすると、電気料金の上下の幅が大きくなってしまいます。
そこでしろくまプランでは、電源調整調達費がマイナスの場合、上図の①のようにマイナス分を「料金高騰準備金」として蓄えます。
そして③のように市場価格が高騰した際、①で貯めたお金を還付金として充てることで、電気料金の急激な上昇を防ぎます。これによって、電気料金の激しい浮き沈みを抑えることができ、しろくまプランなら、年間を通して電気料金を安く抑えられるのです。
またしろくまプランの電気は、発電の際にCO2を出さない「実質再生可能エネルギー(※)」です。ただ安いだけでなく、電気を切り替えるだけで環境改善にも貢献できます。
「電気料金を安くしたい」「電気料金値上げの通知がきた」「キャンペーンについて知りたい」など、ご家庭・小規模法人で電気料金にお悩みの方は、「しろくまプランお申し込みページ」または以下のバナーよりお申し込みください。
またしろくま電力では、電気料金の高騰に悩む法人(高圧・特別高圧)に向けて、昼間の電気使用量が多いほどお得になる電力プランを提供しています。気になる方は、ぜひ「市場連動型しろくまプラン」をご覧ください。
※実質再生可能エネルギーとは、電気に環境価値証書(CO2を出さないという証明書)を組み合わせたもののこと。
ここまで、電源調達調整費について説明してきました。最後に番外編として、電源調達調整費や新電力との契約についてよくある質問を解説していきます。
電源調達調整費と似たものに、市場連動型プランというものがあります。市場連動型プランとは、JEPXの市場価格に基づいて電力量料金が決まるプランのことです。市場連動型プランの内訳を図にすると以下のようになります。
電源調達調整費と市場連動型プランの違いは、市場価格を電気代にどう反映するかです。電源調達調整費の場合、電力量料金は固定で、別に電源調達調整費が追加されます。一方、市場連動型プランは市場価格に経費を上乗せしたものが電気代の単価となるのです。
また、電源調達調整費は数ヶ月分の市場価格の変動分が電気代に組み込まれますが、市場連動型プランは、その時点の市場価格にそのまま経費が上乗せされるケースが多いです。
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電気には質という概念がありません。どれも同じものなので、新電力に切り替えても質が変わることはないと言えます。
また新電力の電気は、大手電力会社と同じ送配電線を通して需要家に届けられます。そのため新電力に切り替えたから停電が増える、ということもありません。電気の質・停電のリスクともに、新電力と大手電力会社と同じなのです。
大手電力会社は収支が悪化していることから2023年6月より、大幅な値上げに踏み切っています。一方でしろくま電力は、大手電力会社の値上げ前よりも価格を安く設定しているため、最大33%も安くすることができます。今の電気代よりもさらに安くなる可能性が高いため、ぜひ下記ページよりお申し込みください。