【最新】排出量取引制度(GX-ETS)とは?仕組みや対象企業、2026年以降のスケジュールをわかりやすく解説
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2026年度から、日本でも「排出量取引制度(GX-ETS)」が義務化される。他国と違い、日本ではいきなり重いペナルティが課されることはないが、徐々にルールが厳しくなるため、以下に該当する法人は正しく内容を理解しておくべきだ。
・年間10万トン以上のCO2を排出している法人
・大手企業が主要取引先である法人
・欧州(EU)など海外への輸出を行っている製造業の法人
この記事では、排出量取引制度・GX-ETSについて解説し、該当する法人にどういった課題があるのか、具体的にどうすれば課題をクリアできるのかを説明していく。
排出量取引制度(GX-ETS)とは?わかりやすく解説

最初に排出量取引制度とGX-ETSの概要を解説していく。「排出量取引制度」と「GX-ETS」は中身がわずかに異なるため、その点についても理解しておこう。
排出量取引制度とは?概要と実施される背景を解説
排出量取引制度とは、国が定めたルールのもとで「企業のCO2排出量」を価値化し、その価値を企業間で売買する仕組みのことだ。
(出典:経済産業省「排出量取引制度」)
排出量取引制度では、最初に、国が定めた基準をもとに企業ごとに「CO2排出量の枠」が設定される。
対象企業はCO2削減に取り組み、翌年度のCO2排出量がその枠を下回った場合、余った「排出量の枠」を他の企業に売却できる。一方、CO2排出量が上限を上回った企業は、それらの枠を購入して自社のCO2排出量を枠内に収めなければいけない。これによって、脱炭素に積極的に取り組む企業は経済的インセンティブを受けることができるという仕組みだ。
また、排出量取引制度には以下のように2つの方法がある。
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キャップ&トレード
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国や自治体がCO2排出量の上限を設定する。各企業はその上限を下回るようCO2削減に取り組む。
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ベースライン&クレジット
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国のルールをもとに「削減実施前後の排出量」を比較する
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今説明したのは「キャップ&トレード方式」だ。
一方「ベース&クレジット方式」では、各企業が国の基準をもとに「対策しないとCO2がどれくらい排出されるか?」を算出し、そこから削減できた枠を価値化して売買する。今回はキャップ&トレードを扱うため、「こんなのもあるのか」程度に覚えておくといいだろう。
それぞれ名前がわかりづらいが、簡単にまとめると
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●排出量取引制度とは、企業間で「CO2排出量の枠」を売買する取り組みのこと ●キャップ&トレード方式は、国が排出量の上限を設定する ●ベース&クレジット方式は、企業が、国の基準をもとに排出量の上限を設定する |
ということになる。
なぜ排出量取引制度が実施されるのか?
日本が排出量取引制度を実施する理由は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、国全体でCO2排出量を削減する必要があるからだ(カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスの「排出量」と「吸収・除去量」を差し引きしてゼロにすること)。
法人が出すCO2の割合は全体の約85%あり、カーボンニュートラルを実現するにはこの部分のCO2削減が避けられない。そこで政府は2023年に「GX推進法」を制定し、2026年度より排出量取引制度を本格的に始動させることとなった。
関連記事:カーボンニュートラルとは?意味や背景、実現に向けた世界の取り組みをわかりやすく解説
GX-ETSとは?排出量取引制度と何が違う?
GX-ETSとは、日本版の排出量取引制度のことである。正式名称は「Green Transformation‐Emissions Trading System」という。
排出量取引制度とGX-ETSは同じとして語られることが多いが、排出量取引制度は世界共通の概念であるのに対し、GX-ETSは日本に特化したルールを指す。日本で行う排出量取引制度を「GX-ETS」と呼んでいるのだ。
詳しくは次の段で説明するが、海外の排出量取引制度は「参加は義務。CO2を出したら罰金」的な色合いが強い。しかしGX-ETSは「CO2削減に自発的に取り組む企業の成長を国が応援する」ことを目的としている。
GX-ETSは、脱炭素に早く取り組んだ国内企業が得をするように設計されているのだ。
GX-ETSと海外(EU ETS)の取り組みの違いとは
それでは、世界各国はどのような排出量取引制度を実施しているのだろうか?
現在、排出量取引制度に取り組む国は37カ国あるが、ここでは、2005年に世界で初めて排出量取引制度をスタートした「EU」をはじめ、4カ国の特徴を見ていく。
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国
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開始年
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特徴
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EU
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2005年
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排出枠を超えると高額な制裁金が課される。2005年比で43%のCO2削減に成功。
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イギリス
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2021年
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制裁金がEUより高く、排出枠もどんどん小さくなっている。世界一厳しい。
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韓国
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2015年
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アジア初の実施。国内産業の約70%が対象。制裁金はアジアの中では高い方に分類される。
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中国
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2021年
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電力や鉄鋼などが対象。各国より比較的ゆるいが、2027年度以降はより厳しくなる見込み。
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日本
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2023年
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2026年度より義務化。他国のように罰則はない。
脱炭素で企業が稼げるよう、補助金などが充実している。 |
上図は、それぞれの国の排出量取引制度をまとめたものだ。このように、世界各国は「ペナルティが重い」「排出量の枠を急速に減らされている」など、ムチが優先されるケースが多い。
その一方で日本は比較的ゆるく、「罰則はない」「頑張った企業には金銭面でメリットがある」など、排出量取引制度を経済成長に繋げようとしていることがわかる。
GX-ETSの運営母体「GXリーグ」とは?対象企業は?

ここまで排出量取引制度について解説してきた。日本の排出量取引制度は「GX-ETS」だが、これには「GXリーグ」という運営母体が関係している。それでは「GXリーグ」とは一体どういうものなのか?簡潔に解説していく。
GXリーグとは?わかりやすく解説
GXリーグとは、脱炭素に取り組む企業が参加する政府主導のプラットフォームだ。2023年に、国内の大企業を中心に始動した。GXリーグでは、主に以下の取り組みを実施している。
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①未来社会像対話の場 ②市場ルール形成の場 ③自主的な排出量取引の場 |
名前にリーグとあるので「企業同士が総当たり戦で何か勝負でもするのか」と考える方もいるかもしれないが、このリーグは「連盟」を意味する。「温室効果ガスの排出削減と経済成長を実現するために行動を共にする組織」という意味合いで、GXリーグという名前がつけられた。
関連記事:RE100とは?仕組みや日本の加盟企業についてわかりやすく解説
GXリーグ・GX-ETSの対象となる企業とは?

もともとGXリーグは大企業を中心に設立された。現在、GXリーグの参加企業は700社以上あり、参加企業のCO2排出量をプラスすると法人全体のCO2排出量の大部分をカバーできている。
これに加え、2026年度からは「CO2直接排出量(※)の平均が年間10万トン以上ある」企業の参加が義務化される。
業種を問わないため、2026年度からは電力や鉄鋼、化学、セメント、自動車などを取り扱う300〜400社の法人が、新たにGXリーグに加盟する見込みだ。
※直接排出量とは、自社工場やオフィスで燃料を燃やすことで発生したCO2のこと。スコープ1ともいう。例えば、大手電力会社などは石炭を燃やして電気を作るが、この際に出たCO2がスコープ1の排出量としてカウントされる。
ここまでの記事の中身をまとめると
ここまでGXリーグの概要と対象企業を解説してきた。一旦、ここまでの流れをまとめると以下のようになる。
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・排出量取引制度とは、CO2の排出枠を価値として売買する制度のこと ・GX-ETSは日本版の排出量取引制度のこと。 ・GX-ETSの対象は、GXリーグに参加中の企業 ・GXリーグとは、脱炭素に取り組む企業向けプラットフォームのこと ・2026年度よりCO2直接排出量が年間10万トン以上ある法人はGXリーグの参加が義務に |
2050年のカーボンニュートラルを実現するために「GXリーグ」というプラットフォームがあり、GXリーグの参加企業が脱炭素を加速させるために「GX-ETS」という、日本版の排出量取引制度が行われる。
排出量取引制度(GX-ETS)のフェーズ1・2・3とは?

ここまで排出量取引制度(GX-ETS)に関する語句の解説を行ってきた。ここからは、GX-ETSの中身について説明をしていく。まず、GX-ETSは以下のように3つのフェーズから成り立っていることを知っておこう。
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①フェーズ1:2023〜2025年度に実施。試行期間なので強制ではない。 ②フェーズ2:2026〜2032年度に実施。CO2排出量10万t以上の法人は強制参加。 ③フェーズ3:2033年度より実施予定。排出枠が無料から有料に変わっていく。 |
現在の日本は「フェーズ2」に該当する。では、それぞれのフェーズで何が変わるのか?ここからは各フェーズについて簡単に解説していく。
フェーズ1とは
GX-ETSのフェーズ1は「準備・テスト期間」のようなものだ。まずは強制的にせず、自主的に手を挙げた企業に取引をやってもらい、GX-ETSに慣れてもらうことを目的としている。フェーズ1において、GX-ETSに参加企業に求められるのは以下の4つのアクションだ。

それぞれについて簡潔に解説していく。
①プレッジ(自社の削減目標を明らかにする)
最初に、GX-ETSの参加企業は「どれくらいCO2を削減できるのか」という目標を立てていく。この際に必要となるのが「国内直接排出(スコープ1)」「国内間接排出(スコープ2)」それぞれの削減目標だ。
「国内直接排出(スコープ1)」は先述したように、自社の工場やオフィスで出たCO2のことである。そして「国内間接排出(スコープ2)」は、自社工場やオフィスで使用する電力から排出されるCO2のことを指す。
対象企業は2013年度のそれぞれの排出量を基準とし(それ以外も選択可)、2025年度、2030年度にどれだけ削減できそうなのか「自社の削減目標」を明らかにする。これがプレッジだ。
②実績報告(自社の排出量を測定して報告する)
プレッジの次に実施するのが「実績報告」だ。ここでは「自社が毎年どれくらいのCO2を排出しているのか」を調査し、国内直接・間接排出の排出量の実績を事務局に報告する必要がある。
もし国が定めた排出枠に対して実際の排出量が下回っている場合は、その差分を「超過削減枠」として売却できる。超過削減枠を売りたい法人は「合理的保証」という、第三者の厳しいチェックを受けないといけない。
超過削減枠を売却する予定のない法人は「限定的保証」という、比較的ゆるいチェックを受け、その数値を報告すれば実績報告は完了となる。
③取引の実施(削減できた枠を売買する)
次に、目標を上回って削減できた企業は「超過削減枠」を、目標をクリアできなかった法人に売却することができる。
逆に目標を達成できず、実際の排出量が枠をオーバーした場合は「超過削減枠」を購入するか、環境価値を市場から仕入れるかなどして、排出量を枠内に収めないといけない(GX-ETSで活用できる環境価値については後述する)。もし枠内に収まらないと、罰金や社名公表などのペナルティがあるため注意が必要だ。
④GXダッシュボードでのレビュー(活動実績をGXリーグ内で共有する)
最後にGXリーグ内にある「GXダッシュボード」で、GX-ETSに取り組んだ企業の目標達成状況と取引状況が公開される。こうして社名が大々的に出ることで、対外的なアピール材料になったり、新たな投資や取引が開始するきっかけにつなげたりすることができる。
フェーズ2とは
これまで述べてきたのは、2023〜2025年度にテスト的に実施された「フェーズ1」だ。2026年度からは「フェーズ2」に移行している。
フェーズ2でも基本的に「プレッジ」「実績報告」「取引の実施」「GXダッシュボードでのレビュー」の流れは変わらない。ただし、以下のようにフェーズ1よりも「本気度」「お金の重み」が増している。
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<フェーズ1からの相違点> ・「CO2直接排出量の平均が年間10万トン以上ある」企業の参加が義務に |
このように、フェーズ1と違ってフェーズ2は基準がかなり厳しくなると考えられる。また300〜400社が一気に加わり、排出枠を買い漁る企業なども出てくるので、削減枠の価格が高騰する可能性もあるだろう。
削減枠を創出できるなら問題ないが、そうでない企業は本格的にCO2排出量の削減に取り組むことが求められる。
フェーズ2で導入される「有償割当(発電部門)」とは
またフェーズ2より、火力発電などを扱う電力会社に対してはCO2の排出枠が有料になる。無料でなく有償で排出枠を割り当てるため、これを有償割当という。
日本のCO2の約40%は、石油や石炭などを燃やして電気を作る際に発生している。もともと有償割当はフェーズ3より実施される予定だが、特に電力会社はCO2排出量が多いため、先に有償割当が実施されることになった。
有償割当はオークション形式で実施される。電力会社は最高値を出し、排出枠を購入しなければいけない。
フェーズ3とは
2032年度までフェーズ2が実施され、2033年度より「フェーズ3」に移行する予定だ。フェーズ3からは、「CO2を排出する=お金がかかる」時代に変わっていく。現時点で討論されているフェーズ3の特徴は以下だ。
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<フェーズ3の特徴>
・有償割当の拡大が進む。発電事業者以外も排出枠を購入しないといけない ・「化石燃料賦課金」の新設により、化石燃料を輸入する場合にさらに税金がかかる ・企業が排出枠のために支払った金は、補助金として脱炭素に取り組む企業に還元される ・火力発電で電気を作る電力会社の場合、電気代が上がる可能性が高い |
フェーズ3により、条件はさらに厳しくなると考えられる。カーボンニュートラルを達成するためにも、「CO2の排出」やその根源である「化石燃料の輸出」は減らさなければいけないからだ。
政府は「CO2=お金がかかるもの」という認識を広げ、火力発電よりも安くなっている太陽光などの再エネを増やそうとしているものと考えられる。
GX-ETSをフェーズごとにまとめると
ここまでGX-ETSについて、フェーズごとに解説をしてきた。これまでの内容を簡単にまとめると上図のようになる。

フェーズ1はテスト期間だが、フェーズ2より本格始動し、これ以降は厳しい基準や罰則が定められている。今後、CO2削減は避けられない動きになるため、今のうちに何ができるか考えておくといいだろう。
企業が排出量取引制度(GX-ETS)に取り組む5つのメリット

ここまで「排出量取引制度(GX-ETS)」のフェーズと、法人がいますべきことを解説してきた。
ここまでを読むと、どちらかというと「排出量取引制度(GX-ETS)=面倒臭い、義務、罰金、ペナルティ」などネガティブなイメージを抱いたかもしれない。しかし、GX-ETSに取り組む法人にはもちろんメリットがある。ここからは5つのメリットを解説していく。
①超過削減枠を売れば利益が出せる
1つ目が、自社の努力でCO2排出量を目標以下に抑えられた場合、超過削減枠を売却することで収益をあげられる点だ。これにより、GX-ETSの取り組みそのものを収益源に変えられる。
CO2削減にあたっては、再エネ設備の投資が必要になるだろう。しかし中には、しろくま電力のように「初期費用・メンテナンス費用0円」で太陽光発電を導入できる企業もある。投資方法を工夫するだけで利益をさらに増やせるのだ。
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②補助金や国の支援が受けやすくなる
2つ目のメリットが、GX-ETSをクリアすることで補助金や国の支援が受けやすくなる点だ。GX関連の補助金を受けたい場合、GXリーグへの参加が必須となるケースが増えている。
それ以外の補助金に関しても、GX-ETSを行うことで評価に加点され、採択が優先されるものもある。少しでも費用負担を減らすためにも、GXリーグに参加し、GX-ETSに取り組むといいだろう。
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④投資家や金融機関から選ばれやすくなる
GX-ETSへの参加は、銀行や投資家に対し「カーボンニュートラルに積極的に取り組んでいる」というアピールにもなる。現在は会社の体質に重きを置く「ESG投資」も多く、GX-ETSに取り組むことで投資家から選ばれる可能性が上がるだろう。
また金融機関も脱炭素関連のサービスを増やしている。金利優遇を受けることができる場合もあるため、経営的な観点からも排出量取引制度(GX-ETS)に取り組むことをおすすめする。
⑤新規開拓・取引継続にも活かせる
海外では「脱炭素に取り組んでいない企業とは取引しない」など、脱炭素をしているかどうかが取引の条件になりつつある。CO2削減の取り組みが主流になりつつある今、この動きは今後も拡大するだろう。
逆にいうと、これは新規開拓先に割って入っていくチャンスでもある。まだ日本で本格的に取り組む企業が少ないからこそ、GX-ETSで結果を出せばビジネスチャンスが広がっていく可能性も高いと考えられるのだ。
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知っておくべき排出量取引制度(GX-ETS)のリスクと課題

ここまで排出量取引制度(GX-ETS)のメリットを解説した。排出量取引制度(GX-ETS)はビジネス的なメリットがあることもお伝えしたが、当然、実施するからにはリスクも発生する。ここからは排出量取引制度(GX-ETS)に取り組む上で考えられる課題を解説していく。
①目標が達成できないと費用が発生&社名が公表される
もしGX-ETSで掲げた削減目標を達成できなかった場合、足りない分を市場から自腹で買い取る必要がある。2033年以降は排出枠が高騰する可能性が高いため、今から備えておくといいだろう。
さらに未達成の場合はGXダッシュボードで社名が公表される。ブランド価値や信頼を大きく損なう恐れがあるため注意が必要だ。
②算定や報告に手間がかかり、現場の負担が増える
排出量取引制度(GX-ETS)に取り組む場合、排出量の算定などで莫大なデータ収集や専門知識が必要になるため、現場の負担が重くなる恐れがある。
特に人手不足の企業が排出量取引制度(GX-ETS)に取り組む場合、かなり深刻な問題となるだろう。算定のデジタル化や外部の専門家を活用するなど、効率化を意識した運営が必要だ。
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③世界基準とのズレで、海外から評価されない恐れがある
排出量取引制度は世界各国で実施されているが、脱炭素できているかどうかの判断基準は国によって異なる。海外からの投資を受けたくても、評価されないリスクがあることは理解しておこう。
また現行の制度については討論がなされており、今後ルールが変わる可能性も十分にあり得る。基準をギリギリクリアしていればOK、ではなく、カーボンニュートラルを目指した動きを行うことが求められる。
GX-ETSの対象企業が今すぐ着手すべき3つのアクション

ここまでGX-ETSのフェーズについて解説してきた。それでは、該当する法人は今、何ができるのだろうか? 今後に備えて今すぐ着手すべきアクションを紹介する。
【STEP1】Scope1・2の排出量の可視化と算定
最初にすべきは、「自社がどこでどれだけCO2を出しているのか」を正確に把握することだ。化石燃料による直接排出(スコープ1)と、電気の使用による間接排出(スコープ2)を月別・拠点別にデータ化しよう。
フェーズ2では報告数値に「第三者認証」が求められるため、根拠となる請求書や領収書の管理体制も問われる。少しでもミスがあるとクリアできない可能性もあるため、まずは正確に現状を把握しよう。
【STEP2】GXリーグ参画に向けた社内合意とシミュレーション
ほとんどの企業では、サスティナビリティや経営企画に関連する部署がGXリーグの窓口として対応するのではないだろうか。しかしGX-ETSを行う場合、必ず経営層や経理・財務、工場など、他部署の協力が必要となる。
そのため、削減枠の売却益や目標未達時のクレジット購入費などをシミュレーションし、GXリーグへの参画は単なる「環境問題への対応」ではなく、「経営課題」であることを正しく理解してもらうといいだろう。
【STEP3】削減ロードマップの策定とクレジット調達方針の検討
他部署の合意を得たら、次は具体的に「CO2削除の計画書」を作っていく。
●自社のアクションでどれだけCO2を減らせるか?
●不足分をどうやって外部から調達するか?
この2点について方針を固めておくといいだろう。具体的なCO2削減方法は次の項目で解説するが、不足分を外部から購入する場合、費用が高騰するリスクがある。できるだけ自社のアクションでCO2を減らす方法を模索した方がいいだろう。
法人が取り組みたい3つのCO2削減方法とは?

ここまで、GX-ETSの対象企業が今すぐ着手すべき3つのアクションを解説してきた。コストの観点から「できるだけ自社でCO2を削減すべき」と説明したが、具体的なアクションとしてどういったものが考えられるのだろうか? ここからは、GX-ETSに取り組む法人が検討すべきCO2削減方法を紹介する。
①徹底した節電の実施
まずは徹底した節電の実施から始めよう。無駄な電気の使用をやめる、あるいは、電力を効率化するだけでCO2を削減でき、電気代も下げることが可能だ。具体的な節電のアクションとしては以下が挙げられる。
●照明を全てLEDにする → 消費電力を50〜80%削減できる
●エアコンの温度を1℃上げる(下げる) → 消費電力を10〜13%削減できる
●OA機器のスリープモードを活用する → 消費電力を90%近く削減できる
それ以外の削減方法については、以下の関連記事を参考にしていただきたい。まずは無駄な電力使用を控えるようにするといいだろう。
関連記事:【最新】オフィスですぐできる節電方法を解説!電気代を削減しよう
関連記事:【最新】工場の節電・電気代削減に効果的な方法を徹底解説!
②外部クレジットやCO2排出枠の購入
次に知っておくべきが、外部クレジットやCO2排出枠の購入だ。「不足分をどうやって外部から調達するか?」について先述したが、その方法がまさにこれに該当する。具体的な外部の調達方法として、以下の3つが挙げられる。
超過削減枠は、GXダッシュボード上や相対取引で、排出枠に余裕がある企業から購入できる。J-クレジットは国が認めた証書で、東京証券取引所の「カーボン・クレジット市場」や相対取引、オークションで購入可能だ。
JCMは日本政府が主導する国際的な削減プロジェクトである。政府は、日本企業が途上国のCO2削減に貢献するのを資金・技術面で支援し、削減量を「JCMクレジット」として価値化しているのだ。実際に他国のCO2削減に取り組むか、相対取引で購入できる。
このようにGX-ETSは金銭で解決可能だ。しかしこれらは「CO2排出量の10%まで」というルールがあるため注意しておこう。さらに今後、これらの価格は高騰することが予想されるため「自社で以下にCO2を削減するか?」に重きを置いた方がいいだろう。
非化石証書やグリーン電力証書はGX-ETSで活用できる?
J-クレジットと似たものとして、非化石証書やグリーン電力証書がある。これらはGX-ETSでも活用できるが、今述べたアクションのように「排出枠の穴を埋める」目的では使用できないため注意しておこう。
非化石証書やグリーン電力証書ができるのは「スコープ2の排出量を減らす」ことだ。GX-ETSの目標は「過去の排出実績から〇〇%削減する」といったものが多いため、証書を当てることで簡単に目標をクリアできるのである。
しかし長い目で見るとこれら証書も高騰リスクがあり、今後ルール変更で上限が設けられる可能性もある(現状、2つの証書は上限がない)。あくまでもメインとせず、調整用として使うようにしよう。
関連記事:非化石証書とは?仕組みや購入方法、企業が導入するメリットをわかりやすく解説
③自社に太陽光発電設備を導入する
最後に紹介するのが、太陽光発電設備の導入だ。太陽光発電を自社に取り入れることで、CO2ゼロの電気を自社で使用でき、その分だけCO2を削減できる。近年は電気代を安くする手段として導入する企業も増えている。
太陽光発電には導入方法が2つある。初期費用を自社で負担する「自社所有型」と初期費用・メンテナンス費用0円で導入する「PPAモデル(コーポレートPPA)」だ。
自社所有型の場合、初期費用が数千万円から数億円ほどかかるが、発電した電気は無料で使用できる。経営に余裕がある企業は自社所有型で導入するといいだろう。

一方、PPAモデルは初期費用・メンテナンス費用0円で導入できる。発電した電力を使うにはPPA事業者に電気代を支払う必要があるが、この電気代も通常より安く、かつ単価が固定されるため、電気代削減効果が十分に見込める。もちろん、使用する電気はCO2ゼロだ。
●経営や資金、人員に余裕があるなら「自社所有型」
●初期費用を負担したくない、コストをかけたくないなら「PPAモデル」
こういった点を目安に、どのように導入するかを決めるといいだろう。
また、太陽光発電は補助金が使えるが、PPAモデルの場合、コストでなく電気代がさらに下がるため、必ず補助金を申請しよう。業者を決める場合、こうした複雑な申請も丸投げできるか?といった点も考えることをおすすめする。
関連記事:【図解】太陽光発電のPPAモデルとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説!最新の補助金情報も掲載!
関連記事:自家消費型太陽光発電とは?導入するメリットやデメリットをわかりやすく解説
関連記事:【法人向け】ソーラーカーポートとは?メリット・デメリット、注意点をわかりやすく解説
しろくま電力は高い施工品質で、CO2排出量・電気代の削減を実現 補助金の煩雑な申請なども担当者が全て対応
しろくま電力は太陽光発電所の適地探しから土地開発、資材調達、施工までを一気通貫で行っている。発電設備の導入にあたって、PPAモデル・自社所有型モデルともに対応可能だ。
しろくま電力で太陽光発電設備を設置するメリットは以下の3点である。
・大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績
・設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力
・日射量データとAIを駆使した適地探し
しろくま電力は、メガソーラーを始め、国内にある数多くの太陽光発電所の土地開発から設置工事、運用管理までを一貫して担当してきた。ほぼ全ての業務を内製化しているため、他社よりもノウハウが豊富な点が強みである。

(しろくま電力は、株式会社ヨロズ様の子会社の新工場の屋根上と駐車場に太陽光発電設備を設置した。これにより年間約230万kWhの電力を賄っている。)
また、しろくま電力は施工法の研究や実験にも注力している。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。3D設計により、100m横の敷地に立った左側の発電所よりも22%も発電量を増やすことに成功した。

しろくま電力は補助金申請などの複雑な業務も丸投げできる。採択されれば、御社の電気代をさらに削減可能だ。こうした点から多くの大手企業に選ばれており、現在も国内法人の屋根上や駐車場(ソーラーカーポート)に太陽光発電設備の設置工事を行っている。

特に駐車場に設置するソーラーカーポートには強いこだわりがあり、一級建築士監修のもと、2年もの歳月をかけて改良を重ねてきた。
上図左側のように、従来のソーラーカーポートは4本足で、駐車や扉の開閉がしづらく、相場も高い。しかししろくま電力では、前方に足がない2本足タイプを開発。これによって駐車しやすく、扉の開け閉めが容易になった。



現在も多くの企業・自治体を中心に導入が進んでいる。特に大企業は駐車場が広い場合が多いため、その分だけ土地を有効活用し、CO2削減に活かすことが可能だ。
しろくま電力では、豊富な実績と高い技術力を活かし、国内企業の脱炭素や電気料金の高騰リスク軽減を全力でサポートする。屋根上とソーラーカーポート、併せての導入もできるため、ぜひお気軽にご相談いただきたい。
太陽光発電設備の導入(PPAモデルまたは自社所有型モデル)に関するお問い合わせやご相談は「しろくま電力のコーポレートPPAに関するページ」または下記のバナーから。