北海道電力は2023年4月より法人向けの電気料金を、2023年6月より家庭向けの電気料金を値上げしている。
そこでこの記事では、法人と一般家庭の方に向けて、北海道電力の電気料金値上げに関する最新情報を紹介。法人向けに新設される市場価格調整単価や、電気代を安くするためにすべき対策を解説する。
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2022年12月22日、北海道電力は高圧・特別高圧の電気料金の値上げを発表した。北海道電力の発表によると、2020年度の経常利益は411億円、2021年度は138億円と黒字だったが、燃料費高騰の煽りを受けて経営状態が悪化。2022年度の経常利益はマイナス700億円程度の赤字となる見込みだ。赤字転落は9年ぶりで、過去3番目の大きさとなる。
自己資本比率も低下しており、2021年度は13.7%だったが、2022年度は10%を下回る見込みだ。そこで今回、18.5〜19.3%の大幅値上げに踏み切ることとなった。
北海道電力が提供する料金プランの内訳は以下だ。
2023年4月以降、北海道電力は「基本料金・電力量料金の値上げ」「燃料費調整額の算出方法」を行う。それぞれについて、詳しく解説していく。
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2023年4月以降、基本料金と電力量料金は以下のように値上がりする。
基本料金 | 電力量料金 | |
高圧 | +528.0円/kW | +5.12円/kWh |
特別高圧 | +528.0円/kW | +4.97円/kWh |
(北海道電力「電気料金の見直しについて」をもとに弊社作成)
例えば920kWの高圧電力の場合、これまでの電気代は1,149万円だったが、値上げ後は1,361万円(+18.5%)となることが予想される。4,100kWの特別高圧は、3,592万円から4,285万円(+19.3%)へと値上がりする見込みだ。
また2023年4月以降、全国で託送料金(送電線の使用料)の見直しが行われる。北海道電力の発表によると、上記の基本料金・電力量料金の値上げ額に加えて、さらに下記金額が加算されるため要注意だ。これは家庭・法人に関係なく加算される。
基本料金 | 電力量料金 | |
高圧 | +149.6円/kW | +0.14円/kWh |
特別高圧 | +71.5円/kW | -0.31円/kWh |
(北海道電力「託送料金単価表」)
託送料金や新制度であるレベニューキャップ制度のわかりやすい解説は「2023年4月から託送料金が値上げ!レベニューキャップ制度で今後も電気代の高騰が続く?」で行っている。
上記の値上げ額をまとめると、北海道電力の電気代は、2023年4月より下記分だけ値上がりする。
基本料金 | 電力量料金 | |
高圧 | +677.6円/kW | +5.26円/kWh |
特別高圧 | +599.5円/kW | +4.66円/kWh |
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燃料費調整額とは、月々の燃料費の変動分を電気代に反映したものをさす。燃料費が高騰している場合、燃料費調整額はプラスになり、電気代が高くなる。一方、燃料費が下がるとマイナスとなり、電気代は安くなる仕組みだ。
これまで燃料費調整額は「燃料費調整単価×電気使用量」で算出できた。2023年4月以降は以下のように変更される。
今回、北海道電力が行う変更は「燃料費調整単価の算出条件の変更」「市場価格調整単価の新設」の2つだ。それぞれ詳しく見ていく。
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燃料費調整単価の算出方法は以下だ。
燃料費調整単価=(「平均燃料価格」ー「基準燃料価格」)÷1000(×基準単価)
平均燃料価格は、過去3ヶ月分の燃料費の平均価格だ。基準燃料価格は北海道電力が定めた燃料費の見込み価格をさす。平均燃料価格が1klあたり1,000円変動した場合、北海道電力が定めた基準燃料単価も含めて計算する。
基準燃料価格は「各化石燃料の価格 × 燃料構成比」によって決定する。今回、この構成比が見直されることとなった。
現在、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の構成比は47.0%:0%:78.8%で、原油と石炭のみで構成されている。(構成比は省エネ法で定められた原油換算係数をかけたうえで算出する。係数は燃料ごとに異なるため、合計が100%を超えることがある)。
変更後の構成比は19.5%:8.3%:100.8%となる。LNGと石炭の使用量が増加していることから、それらに重きを置く。
また、基準燃料価格が37,200円/klから89,500円/klに引き上げられる。さらに基準単価は、⾼圧が0.189円/kWh から0.188円/kWh、特別⾼圧が0.184円/kWhから0.183円/kWhとなる。
この変更で燃料費調整単価は多少下がることが期待される。しかし「市場価格調整単価」が新設されるため、合計すると燃料費調整額は上がる可能性が高い。
北海道電力は、電気のうち約12%をJEPX(卸電力取引所)から購入したもので賄っている。JEPXが販売する電気の価格を市場価格というが、この市場価格は30分ごとに変動する仕組みだ。
これまでは電気代の中に市場価格の変動分が反映されていなかったが、今回の改定によりその価格を反映した「市場価格調整単価」が新設される。市場価格調整単価の算出方法は下記だ。
市場価格調整項 =(平均市場価格 − 基準市場価格)× 調整係数
平均市場価格は市場価格の3ヶ月間の平均値をもとに決定し、毎月変動する。基準市場価格は市場価格の変動分を反映したもので、北海道電力は23.94円/kWhと設定している。市場価格が23.94円/kWhを上回った場合はその分がプラスされ、下回る場合はマイナスされる仕組みだ。
調整係数は北海道電力が供給する電気のうちJEPXから調達している割合などを反映したもので、高圧が0.229、特別高圧が0.223である。
2023年4月より、燃料費調整額の計算方法は(燃料費調整単価+市場価格調整項)× 電力量となるので要注意だ。
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今回、北海道電力が高圧・特別高圧の電気料金値上げに踏み切った主な原因は燃料費高騰だ。
燃料費の推移については「【2024年】電気代はどれくらい値上げした?推移と今後の予想、法人がすべき対策を解説!」で解説しているが、燃料費は2020年以降高騰が続いており、この2年間で石油と天然ガスが約5倍、石炭は約8倍に値上がりした。
燃料費高騰の主な要因はロシア・ウクライナ問題だが、2023年現在も解決の見通しはついていない。「【2024年最新】電気代は今後も高騰する!企業がしたい値上げ対策とは?」で詳しく解説しているが、今後も燃料費の高騰が続く可能性は十分に考えられる。
電気代を値上げしたとしても、それ以上に燃料費が上がるなどして収益が改善できない場合、さらに電気代が値上がりする可能性は高いといえるだろう。
電力会社との契約が決まらない場合に契約できるのが最終保障供給だ(詳しい解説は「最終保障供給とは?2022年9月から大幅値上げ!概要と特徴、高騰対策を解説!」)。だが2022年9月1日より、最終保障供給の電気代が見直されており、値上げしているため要注意だ。
これまで、最終保障供給の電気代は「各エリアの大手電力会社標準プランの1.2倍」だった。しかし現在は最低料金を「最終保障供給料金(各エリアの大手電力会社標準プランの1.2倍)」とし、JEPXの市場価格がそれを上回った場合には、補正項(追加料金)がプラスされる仕組みとなっている(下図参照)。
今回、北海道電力が標準プランの値上げを実施するため、最低料金も底上げされることとなる。2022年9月1日以降、最終保障供給は大幅に値上げしており、2023年4月以降はさらに高騰するのだ。
最終保障供給の契約を検討していた法人は、電力会社との契約を検討した方が電気代が安くなる可能性があるだろう。しかし、一般的な料金プランは値上がりが続いており、更なる値上げのリスクもある。そこで検討すべきなのが、市場連動型プランだ。
電力契約には、北海道電力が提供する一般的な契約プランに加えて、市場連動型プランというものがある。
冒頭で説明した一般的な料金プランは、いつ使用しても電気料金が同じだ。電気料金を安くしたい場合、節電して電気の使用量を減らすか、電気代が下がるのを待つしかない。
一方で市場連動型プランは、市場価格に経費を上乗せした価格が電力量料金になる。市場価格の変動に合わせて、電力量料金の単価が30分ごとに変わるのだ。市場価格が下がっても一般的なプランの電気料金は変動しないが、市場型連動プランは変動するのである。
市場価格は0.01円/kWになることもあるため、市場連動型プランは条件が揃えば電気料金を大幅に削減できる。昨今は特に太陽光発電でできた電気が市場に増えていて、それらは発電に燃料を使わないため市場価格を安くしている。以下のように、市場価格が0.01円/kWhとなる時間数は年々増えているのだ。
市場価格が0.01円/kWhをつけた時間数 | |||||||||
北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | |
2018年
|
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.5 | 0 |
2019年
|
0 | 0 | 0 | 51.5 | 51.5 | 51.5 | 51.5 | 78.5 | 186.5 |
2020年
|
22.5 | 26 | 13 | 208.5 | 208.5 | 208.5 | 215.5 | 220 | 476.5 |
2021年
|
84.5 | 84.5 | 34 | 108.5 | 108.5 | 108.5 | 114 | 114 | 702 |
2022年
|
370 | 556 | 113 | 267.5 | 293 | 292 | 293 | 293 | 880 |
2023年
|
367.5 | 352.5 | 176 | 464 | 642.5 | 648 | 659 | 717 | 1174 |
上図は弊社電力事業部の担当者が計測した、市場価格が0.01円/kWhとなった時間数の推移だ。
全国的に再生可能エネルギーが増加したことで、最安値をつける時間が増えている。特に2023年の九州エリアでは、年間1,174時間、年間の総時間数(8,760時間)の約13%が0.01円/kWhとなった。
市場連動型プランでは、昼間の電気代が安くなる傾向にあるため、日中に稼働が多い工場やオフィスなどでは、電気代を下げられる可能性が高いのだ。以下は市場価格が0.01円/kWhをつけた際の、2つのプランの価格イメージ図だ。
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しろくま電力では、高圧・特別高圧の法人向けに「しろくま市場連動型プラン」を提供している。ある導入企業では電気代を年間約45%(約1.5億円)も削減するなど、多くのお客様の電気代削減に貢献してきた。
しろくま電力の市場連動型プランはただ電気代が安いだけではない。
翌日の市場価格を毎日午前中にメールで共有し、市場価格が安い時間に稼働を増やしたり、逆に市場価格が高い場合は従業員に在宅勤務を促したりできるよう、電気代の節約を徹底してサポートする。電気代に関する個別での相談にも対応可能だ。
また、しろくま電力の電気はCO2を一切排出しない。非化石証書つきの電気を供給するため、電気を切り替えるだけで脱炭素でき、御社のカーボンニュートラルの実現もサポートする。
以下のように、しろくま電力は多くの企業・自治体に導入いただいている(PPAも含む)。
以下は、実際にしろくま電力の市場連動型プランを導入した企業様の声だ。
お見積もりについては、他の電力会社や最終保障供給を契約した場合の電気代との比較もできる(比較を希望した法人のみ)。年間のお見積もりだけでなく、毎月の電気代を算出するため月ごとの料金比較も可能だ。以下は、レポートとお見積書の例である。
お見積もりは「しろくま電力の市場連動型プランページ」または下記バナーからすぐに完了できる。市場連動型プランに切り替えると電気代がどうなるのか、他社と比較して安くなるのかを試算したい方はぜひお申し込みを。お急ぎの見積もり依頼にも対応できる。契約上のご相談や不明点などにも対応可能だ。
また、しろくま電力では「市場連動型プランはどうしても不安だ」という法人に向けて「固定単価型プラン」も提供している。このプランは大手と違って「3〜6ヶ月前の燃料費の平均価格」でなく「前月の市場価格」を1kWhあたりの単価に落とし込むため、不透明な値上げリスクがない。
さらに、以下の2点により電気代が大手電力会社よりも「最大25%安くなる」可能性がある。
①基本料金と電力量料金が大手電力会社より安い
②燃料費調整額でなく、電源調達調整費を電気代に組み込んでいる
①について、しろくま電力では電気代の基本料金と電力量料金を大手電力会社よりも低くなるように設定した。そのため月々の電気代を安く抑えることができる。
②については、大手電力や新電力が電気代に燃料費調整額(化石燃料費の変動分だけ)を組み込む一方、しろくまプランでは電源調達調整費を含んでいる。電源調達調整費は、先述したJEPXの市場価格を1kWhあたりの単価に落とし込んだものだ。
燃料費調整額は化石燃料だけを価格に反映するため、燃料費が高騰すると燃料費調整額も上がってしまう。2020~2022年にかけて電気代が高騰したが、この原因は燃料費調整額だった。しかし市場価格は前述したように燃料費以外も参考にされるため、電気代の高騰リスクを軽減できる(当然、電源調達調整費が高騰するリスクもある)。
このように内訳を変更することで、大手電力よりも最大25%安くすることが可能となった。ちなみに市場連動型プランと固定単価型の価格の違いは以下である。
・市場連動型プランは電力量料金が市場価格を元に決まる ・固定単価型プランは従来の電力プランと同じく電力量料金は一定。 ・市場価格は賢く電気を使えば電気代が大幅に安くなる。しかし市場価格高騰時はリスクもある ・固定単価型プランは市場連動型よりも市場価格の影響を受けづらい。安心して電気代を下げたい。 |
「市場連動型だと不安だ」「安心して安い電気代を使いたい」という企業様は、ぜひ下記からお見積もりを。