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省エネ法とは?2023年改正のポイントと概要をわかりやすく解説

【2023年最新】省エネ法とは?改正の変更点と法人がすべき対策をわかりやすく解説!

※この記事は2024年3月22日に最新の情報に更新されました。

2023年4月1日より改正された「省エネ法」。どういった変更がなされ、法人はどう対策すべきなのか、正しく理解できていない方も多いのではないだろうか。

そこでこの記事では、省エネ法の概要や2023年の法改正のポイントを解説。今後、法人はどう対策すべきなのかをわかりやすく解説していく。

 

省エネ法とは?概要をわかりやすく解説!

省エネ法とは、エネルギーの消費が多い法人に対し、エネルギーの効率的な使用を求めた法律のことである。正確な法律名は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」という。

省エネ法の目的とは?なぜ省エネ法は重要なのか?

省エネ法は何を目的として制定されたのか。これについては、省エネ法の第一章総則(目的)第一条にて以下のように記載されている。

この法律は、我が国で使用されるエネルギーの相当部分を化石燃料が占めていること、非化石エネルギーの利用の必要性が増大していることその他の内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じたエネルギーの有効な利用の確保に資するため、工場等、輸送、建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換に関する所要の措置、電気の需要の最適化に関する所要の措置その他エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等を総合的に進めるために必要な措置等を講ずることとし、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(参照:e-Gov法令検索「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」

上記を簡潔にまとめると、省エネ法の目的は「石油や石炭といった化石燃料に依存する体質の改善」である。

日本では電気の約8割が火力発電によって作られており、そのうち約6割を法人部門が消費してきた。

これを効率化してエネルギーの無駄な消費をなくし、同時に太陽光や風力といった「環境にやさしい非化石エネルギー(再生可能エネルギー)」を有効活用し、健全に経済を発展させようというのが省エネ法の目的である。

関連記事:再生可能エネルギーとは?メリット・デメリット、種類の一覧を簡単に解説!

省エネ法は社会のニーズに応じて法改正が実施されている

制定当初は「経済活動の継続」が主な目的だった省エネ法。しかし、1990年代になって地球温暖化に焦点が当てられると、CO2排出量削減に有効な手段としての役割も担うことになった。このように時勢に合わせて省エネ法は見直されており、2018年までに8回改正されている。省エネ法が制定されたのは1979年のこと。きっかけは、1970年代に発生したオイルショックだ。原油価格が約4倍となり、国民の暮らしや日本経済に大打撃を与えた。

これを機に日本では、エネルギー危機が発生しても経済が止まらない仕組みづくりが必要となった。そこでエネルギーのムダ使いを規制するために省エネ法が制定された。

制定当初は「経済活動の継続」が主な目的だった省エネ法。しかし、1990年代になって地球温暖化に焦点が当てられると、CO2排出量削減に有効な手段としての役割も担うことになった。

このように時勢に合わせて省エネ法は見直されており、2018年までに8回改正されている。そして2023年4月より9回目の法改正が実施された。

 

省エネ法は具体的に「誰が」「何をする」法律なのか?

省エネ法は「エネルギーの無駄をなくす」「再生可能エネルギーへの転換を進める」ものだと説明した。それでは、これらの目的を実現するために、法律では誰が何をすることを求めているのだろうか?

まず、省エネ法の対象となるのは以下の条件に該当する法人だ。

①自社所有の工場やオフィスがある
②運輸事業者または荷主である
⇨貨物や旅客の輸送を行う法人を「輸送事業者」といい、自らの貨物を輸送事業者に運送させる法人を「荷主」という
③一定以上のエネルギーを使用している

省エネ法では、これらの条件に当てはまる法人に対し、「年間のエネルギー消費量を1年ごとに1%以上削減すること」を求めている。

法人側はこの目標を達成するために担当者を用意し、現状のエネルギー消費量の算出、取り組み目標の作成、エネルギー使用状況の報告を行わなければいけない。

具体的にどういった取り組みを行うかについては、エネルギーの消費量が特に多い事業者に対する「直接規制」と、一定以上のエネルギーを消費する事業者に対する「間接規制」の2つに分かれている。

それぞれの規制について、わかりやすく解説していく。

 

エネルギー使用者への「直接規制」とは?

直接規制とは、特にエネルギー消費量が多い法人に対して行われる規制である。対象となるのは「自社所有の工場やオフィスがある法人」または「輸送事業者または荷主に該当する法人」だ。

「自社所有の工場やオフィスがある」法人の場合、年間エネルギー消費量が「1,500kl未満」「1,500〜3,000kl」「3,000kl以上」かどうかで取り組みが異なる。

「輸送事業者の法人」の場合は保有車両数が200台以上、「荷主の法人」の場合は年間輸送量が3,000万トンキロ以上かどうかで対応が変わる。それぞれを解説していく。

省エネ法で定められたエネルギーとは、「燃料」「熱」「電気」の3つ。燃料は原油・ガソリン・天然ガス・石炭・コークスが対象でバイオ由来の燃料は対象外だ。熱は蒸気・温水・冷水が対象。太陽熱や地熱などは対象外である。電気では、石炭火力発電を含む電気が対象で、太陽光発電や廃棄物発電は対象外である。(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ法が規制する分野」

①自社所有の工場・事業場(オフィス)がある、年間エネルギー消費量が1,500kl未満の法人

エネルギー使用量が1,500kl未満の法人に対しては、以下の行動が求められる。

・省エネ法で定められたルールを守ること
・使用するエネルギーの総量を1%以上低減すること

この法人に該当する場合、上図にもある努力義務を行う必要がある。

 

②自社所有の工場・オフィスがある、年間エネルギー消費量が1,500〜3,000klの法人

法人またはグループ全体で年間エネルギー消費量が1,500kl以上ある場合は「報告義務等対象者」となる。法人単体で1,500kl以上ある場合の事業者を「特定事業者」といい、グループ企業の拠点を含めて1,500kl以上となる場合の事業者を「特定連鎖化事業者」という。

これらの事業者に該当する場合、①で説明した努力義務に加えて以下のような対応が必要だ。

・現場管理に関わる企画立案・実施を行う「エネルギー管理者」などの選出
・エネルギーの使用計画書の提出
・エネルギー使用状況の定期報告

つまり、下図のような動きを政府に対して行っていくこととなる。

事業者に該当する場合、努力義務に加えていくつかの対応が必要だ。例えば、現場管理に関わる企画立案・実施を行う「エネルギー管理者」などの選出、エネルギーの使用計画書の提出、エネルギー使用状況の定期報告といった対応が求められる。(経済産業省「エネルギー需要サイドにおける今後の省エネルギー・非化石転換政策について」


また、複数拠点のうち、工場やオフィス単体でエネルギー消費量が1,500kl〜3,000klある場合、その工場またはオフィスは「第二種エネルギー管理指定工場等」に指定される。

これに指定されると、その工場・オフィスごとに「エネルギー管理者」または「エネルギー管理員」といった担当者を用意しないといけない。

 

③自社所有の工場・事業場(オフィス)がある、年間エネルギー消費量が3,000kl以上の法人

法人またはグループ全体で年間エネルギー消費量が3,000klを超える場合、②と同様に「報告義務等対象者(特定事業者または特定連鎖化事業者)」となる。このケースも②と同様の動きが必要だ。

また③では、工場やオフィス単体でエネルギー消費量が3,000klを超える場合、その拠点を「第一種エネルギー管理指定工場等」と指定し、1,500kl〜3,000klの場合は「第二種エネルギー管理指定工場等」とする。

第一種ではエネルギー管理者の選任が必要で、第二種の場合はエネルギー管理者または管理員を任命しなければいけない。

 

④「保有車両数が200台未満の運輸事業者」または「年間輸送量が3,000万トンキロ未満の荷主」の法人

保有するトラックなどの台数が200台未満の輸送事業者や、輸送事業者に委託した荷物の年間輸送量が3,000万トンキロ未満の荷主は、①と同様に、以下の「努力義務」が求められる。

・省エネ法で定められたルールを守ること
・使用するエネルギーの総量を1%以上低減すること

 

⑤「保有車両数が200台以上の運輸事業者」または「年間輸送量が3,000万トンキロ以上の荷主」の法人

輸送能力が一定基準以上(鉄道300両、トラック200台、バス200台、タクシー350台、船舶20,000トン、航空9,000トンのいずれか)ある法人を「特定輸送事業者」という。

特定輸送事業者に該当する場合、④の努力義務に加えて以下の対応が必要だ。

・エネルギーの使用計画書の提出
・エネルギー使用状況の定期報告

また業種を問わず、貨物の年間輸送量が3,000万トンキロ以上の法人は「特定荷主」に分類される。特定荷主の場合、エネルギーの使用計画書の提出に加えて、委託した輸送にかかるエネルギー使用状況を定期的に報告しなければいけない。

 

直接規制に該当する場合の登録方法・手続きの流れは?

直接規制に該当する法人で、前年度のエネルギー使用量が1,500kl以上ある場合、翌年度5月末日までに「エネルギー使用状況届出書」の提出が必要だ。

登録方法や手続きの流れについては、経済産業省「工場・事業場の省エネ法規制」の「提出書類と手続きの流れ」を参考にしていただきたい。

 

エネルギー使用者への「間接規制」とは?

間接規制とは、一定のエネルギーを使用する法人に対して行われる規制である。

対象となるのは「機械器具(自動車、家電製品や建材)などの製造または輸入を行う法人」または「家電などの小売事業者やエネルギー小売事業者」だ。

「機械器具(自動車、家電製品や建材)などの製造または輸入を行う法人」の場合は、機械器具など32品目のエネルギー消費効率の目標を示し、達成を促す(一覧はこちら)。

家電などの小売事業者やエネルギー小売事業者の場合は、消費者に対する適切な情報提供が求められる。

例えば、エネルギー使用量の前年同月値や、過去1年間のエネルギー使用量および使用料金のように「エネルギー使用の合理化」に関する情報は、可能な範囲で提供しなければいけないのだ。

 

2023年4月の法改正で、省エネ法はどう変わった?

それでは2023年4月の法改正で省エネ法はどう変わったのだろうか。主なポイントは以下の3点である。

①エネルギーの定義の見直し
②電気の受給状況の最適化
③再生可能エネルギーへの転換

今回の変更ではまず、規制対象となるエネルギーの種類が見直されている。発電の際にCO2を出さない再生可能エネルギーへの転換が推奨されているのだ。そして、無駄なエネルギーの消費をさらに改善すべく、法人に対して新たな対応を求めている。

それぞれについて詳細を解説する前に、前提条件として「省エネ法が改正される理由」を押さえておこう。

なぜ省エネ法は改正されたのか?その理由とは?

今回、法改正が行われた主な目的は以下の2つだ。

①徹底した省エネの継続
②再生可能エネルギーの導入拡大

2023年4月から施行される改正省エネ法。今回の改正では、徹底した省エネの継続、非化石エネルギーの導入拡大を主な目的としている。(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「今後の省エネ法について」

上図は、政府が公開した今回の法改正のねらいを図にしたものだ。

日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを公表している。カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量をプラスマイナスでゼロにする、という取り組みのことだ。

日本は石油や石炭といった化石燃料に依存してきた。しかしカーボンニュートラルを実現するには、この割合を減らし、再生可能エネルギーの導入量を増やす必要がある。

そこで今回「省エネをして全体のエネルギー消費量を減らすこと」「再生可能エネルギーを増やすこと」といった取り組みを加速させるために省エネ法が改正された。

それでは、具体的な改正のポイントについて説明していく。

関連記事:カーボンニュートラルとは?意味や背景、実現に向けた世界の取り組みをわかりやすく解説

改正のポイント①:エネルギーの定義見直し

省エネ法改正に合わせてエネルギーの定義が見直される。2023年4月からは、化石エネルギーに加えて、再生可能エネルギー(非化石エネルギー)も省エネ法の対象となる。再エネにも算出係数が設けられ、既存の係数も見直されることとなった。今後は、再生可能エネルギーも無駄遣いが許されなくなるのだ。

まず最初に、今回の改正によって省エネ法が定める「エネルギー」の定義が見直される。2023年3月31日まで、省エネ法で「エネルギー」となるのは以下の「燃料」「熱」「電気」に該当するものだけだった。

現行の省エネ法(2023年3月31日までのもの)で規制対象となるエネルギーは、「燃料」「熱」「電気」の3つだ。それぞれに換算係数が設定されている。下図のように、現行の省エネ法では、太陽光や風力、地熱などの非化石エネルギー(再生可能エネルギー)は対象外となっている。(経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ法におけるエネルギー」をもとに弊社作成)

それが2023年4月からは、上記の化石エネルギーに加えて、太陽光や風力といった「再生可能エネルギー」も省エネ法の対象となっている。これによって、今後は再エネの無駄遣いも許されなくなるのだ。

先述したが、省エネ法では「年間のエネルギー消費量を1年ごとに1%以上削減すること」を求めている。しかしエネルギーの単位は、石炭や石油のようにエネルギーごとに異なるため、ただ合計しただけでは正確な算出ができない。

そこでエネルギー消費量を算出するために、全てのエネルギーに換算係数をかけて一度「石油」に換算し、その合計をエネルギー消費量としている。そして、その換算係数が再エネにも充てられ、既存の係数も見直されることとなったのだ。

カーボンニュートラルを実現するには再エネの普及が欠かせない。しかし、再エネに含まれる「水素」や「アンモニア」は、石油や石炭と同じように資源が豊富な海外から輸入する必要がある。

再エネをちゃんと「エネルギー」とみなし、無駄遣いを防ぐためにも、今回の変更が行われることとなった。

 

改正のポイント②:電気の需給状況の最適化

これまでの省エネ法では「電気需要の平準化」が求められてきた。政府は「昼夜を問わず、一日の電力使用量を一定にすること」を良しとしてきたのだ。

しかし今回の改正省エネ法では、平準化ではなく「電気需要の最適化」が求められる。これは「電力の供給量に合わせて電気の使用量をコントロールしよう」という取り組みだ。

太陽光発電の場合、昼間に発電できても夜に発電することはできない。そのため、平準化では昼間の電気を消費しきれず、北海道や東北、九州では、余った再エネ電気を捨てる事象が相次いでいるのだ。

今後、カーボンニュートラルを実現するには、この余った再生可能エネルギーの有効活用が不可欠である。そこで電気使用量を24時間一定にするのではなく、供給に合わせて需要を変化させる動きが求められることとなったのだ。

主なポイントは下記2点だ。

①デマンドレスポンスの実施・報告の義務化
②電気の供給状況に応じ、電気の換算係数が変更

それぞれを解説していく。

 

改正のポイント②−1:デマンドレスポンスの実施・報告の義務化

電気の使用量を、電気の供給量に合わせて変化させる動きをデマンドレスポンス(DR)という。改正省エネ法では、この取り組みの実施・報告が義務化されることとなった。

例えば、電気が余るタイミングには蓄電などを行い(上げDRという)、電気が少なくなった場合は節電などを実施する必要がある(下げDRという)。対象の事業者は、これを実施し、報告する義務が生じるのだ。

電力会社によっては、DRに対応するなどで電気代が割引されるケースがある。

 

改正のポイント②ー2:電気の供給状況に応じ、電気の換算係数が変更

改正省エネ法では電気の換算係数が見直される(9.972MJ/kWhから9.40MJ/kWhへ)。さらに、状況に応じて係数が変動することになった。

blog0213-002-800例えば、太陽光発電の出力制御(電力会社がFIT制度を通した電力の買取を一時的にストップさせること。電気の需給バランスを保つために行われる)が実施された場合、電気は捨てられても、再エネの価値は残る。

そのため、再エネ係数(3.6MJ/kWh)が換算係数として適用される。

逆に需給がひっ迫する場合は、火力平均係数(9.40MJ/kWh)に重み(×2〜5倍)をつけた係数が適用されることとなった。

改正省エネ法では、このように電気需給の最適化がルール付けされる。

 

改正のポイント③:再生可能エネルギーへの転換

3つ目の変更点は「再生可能エネルギーの使用比率の増加」だ。

カーボンニュートラルを実現するには、再エネの使用量を増やす必要がある。しかし、今は国が定める明確なルールがない。再生可能エネルギーを導入するかどうかは、各法人の自主性に委ねられているのが現状だ。

そこで改正省エネ法では、再生可能エネルギーの使用比率を増やすべく、法として明確なルールが作られることとなった。

今回の改正で、対象の法人は再生可能エネルギーを導入する必要がある。さらに「今後、再生可能エネルギーをどう増やしていくか」という中長期計画の作成や、再生可能エネルギー使用状況の定期報告などが必要となるのだ。


再生可能エネルギーは簡単に転換できるものなのか?

再生可能エネルギーを導入するには、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電、地熱発電などの発電方法が挙げられる。

しかし、風力発電は初期費用が高く、設置計画から運用開始までに4〜7年、大規模なものは約10年かかってしまう。

バイオマス発電は運転開始後に資源を収集・運搬する必要があり、発電だけでなく維持コストが非常に高い。

地熱発電も導入コストが高く、秋田県の地熱発電所は調査から稼働までに26年の歳月を要した。

このように、非化石エネルギーの導入はハードルが高いものが多い。その一方、太陽光発電であれば導入費用を安く抑え、1年程度で稼働を開始できる。

契約方法によっては、無料で発電設備を設置することも可能だ。それ以外にも「再エネ由来の電力への切り替え」も、非化石エネルギーを導入する方法として考えられる。

非化石エネルギーを増やすためには、PPAモデルや自己託送など、太陽光発電設備の導入や、CO2ゼロ電力への切り替えが効果的だ。(出典:資源エネルギー庁「令和4年度 第1回工場等判断基準WG 改正省エネ法の具体論等について」


表では評価(案)となっているが、α=1.2とすることが資源エネルギー庁への取材でわかった。オンサイトPPAや自己託送、オフサイトPPAなど「太陽光発電設備」を導入すれば高い評価を得られる。

自己託送とは、自社の敷地外に太陽光発電設備を設置し、送電線を使って自社に電気を供給する方法だ。オフサイトPPAとは、発電設備を敷地外に設置し、そこで発電した電気を、PPA事業者から購入する仕組みである。

それ以外にも、使用する電気を「再エネ100%の電力プラン」や「非化石証書つきの電力プラン」などに切り替えても、省エネの取り組みとして評価されるのだ。

関連記事:非化石証書とは?仕組みや価格、種類や購入方法などをわかりやすく解説

省エネ法の注意点とは?取り組まないとどうなる?

省エネ法で定められた義務に取り組んでいない、目標を達成する見込みがないとみなされた場合、以下のような罰則がある。

エネルギー使用状況届出書、定期報告書、中長期計画書

提出しない、または虚偽の届出・報告をした場合は50万円以下の罰金になる。


エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者、エネルギー管理者、エネルギー管理員の選出

・選任や解任の届出をしなかった場合、または虚偽の届出をした場合は20万円以下の罰金
・担当者を選任しなかった場合は100万円以下の罰金 


判断基準の遵守状況、エネルギー消費原単位の推移

エネルギーの使用の合理化の状況が著しく不十分と認められた場合、以下の3点の罰則を受ける可能性がある。

・合理化計画の作成指示
・指示に従わない場合、命令に加えて企業名の公表
・命令に従わない場合、100万円以下の罰金

 

法人が改正省エネ法に取り組むメリットはある?

改正省エネ法は法律なので対応する義務があるが、省エネ法に取り組むメリットもある。経済産業省は省エネの取り組み状況に応じて、法人をS〜Cクラスに分類し、評価しているのだ(事業者クラス分け評価制度という)。

改正省エネ法に取り組めば、事業クラス分け制度でSランクに評価される。Sランクの場合、補助金で加点されるなどメリットが多い。(経済産業省 資源エネルギー庁「事業者クラス分け評価制度」


省エネの取り組みが評価され、Sクラスに分類された場合、省エネ関連の補助金申請の評価が上がる(太陽光発電設備の導入費用など)などのメリットがある。また、Sクラスの企業名は公表されるため、企業イメージの向上にも繋がるのだ。

 

今回の省エネ法改正で、企業は具体的に何をすべきなのか?

2023年4月から施行される改正省エネ法。企業は主に以下の3点に取り組む必要がある。

①再生可能エネルギーを含めた省エネを実施する
②再生可能エネルギーの増減に合わせて電気の使用を調整する
③再生可能エネルギーの消費量を増やす

そのためには具体的に以下の取り組みを行うべきだ。

①の対応をする場合:節電・省エネの実施
②の対応をする場合:デマンドコントロールシステムの導入、蓄電池の導入
③の対応をする場合:再エネ由来の電気への切り替え、太陽光発電設備の導入

 

企業がすべき対応①:節電・省エネの実施

エネルギーのムダ遣いを減らすには、節電や省エネの取り組みが必要不可欠だ。

オフィスの節電・省エネ方法については「【2023年最新】オフィスですぐできる電気代削減・節電方法を解説」で、工場の節電・省エネ方法については「【2023年最新】工場の電気代削減・節電方法を徹底解説!」で具体的な方法を解説している。

 

企業がすべき対応②:デマンドコントロールシステムの導入

デマンドコントロールシステムとは、電力使用量を可視化し、消費量が多くなりすぎた場合に稼働の少ない設備の運転を制御できるものだ。空調や照明、生産設備などの使用電力をコントロールできる。

また、基本料金は各月の最大需要電力(最大デマンド値)をもとに決定する。そのため、デマンドコントロールシステムを使って最大需要電力を減らせば、翌年の基本料金を下げることも可能だ。

参考:電気代は安くできる!内訳と計算方法、基本料金の下げ方、法人がすべき対策とは?

 

企業がすべき対応③:蓄電池の導入

蓄電池を導入することで、昼間に太陽光発電の供給量が増えた場合に電気を蓄えることができる。

後述する太陽光発電設備と一緒に導入すれば、自社で発電した電気を蓄え、夜間などに安価な電気を使用できるようになるのだ。

 

企業がすべき対応④:再エネ由来の電力プランへの切り替え

電力会社の中には、再生可能エネルギー由来の「CO2排出量ゼロの電気」を提供する会社がある(再生可能エネルギー100%の電力プラン、または非化石証書やグリーン電力証書つきの電力プラン、J-クレジットを活用した電力プラン)。

今後は再エネ由来の電気も非化石エネルギーとして扱われるため、そういった環境価値がある電力プランへの切り替えをすることで改正省エネ法にも対応できる。

しろくま電力の電力小売事業「しろくま電力」では、CO2を出さない証明書(非化石証書)つきの電気を提供している。また「しろくま電力」は市場価格に基づいて電気代が決まる市場連動型プランのため、月々の電気代を安くできる可能性もある。


参考:高圧・特別高圧限定「市場連動型しろくまプラン」
参考:電気の市場連動型プランとは?電気代高騰を防げる?特徴とメリット・デメリットをわかりやすく解説

 

企業がすべき対応⑤:太陽光発電設備の導入

非化石エネルギーの導入量を増やすために検討すべきなのが、太陽光発電設備の導入だ。自社で発電した電気を使用することで、非化石エネルギーの割合を増やすだけでなく、その分の電気代をカットできるメリットがある。非化石エネルギーの導入量を増やすために検討すべきなのが、太陽光発電設備の導入だ。自社で発電した電気を使用することで、非化石エネルギーの割合を増やすだけでなく、その分の電気代をカットできるメリットがある。太陽光発電設備の導入方法は主に下記の3種類だ。

・太陽光発電設備の設置費用を負担する「自社所有型」
・リース会社を介して太陽光発電設備導入する「リース契約」
・PPA事業者が敷地に発電設備を無料で設置し、その電気を買い取る「PPAモデル」

導入方法ごとにコストや管理の手間が変わる。またオンサイトPPAだけでなく、自己託送や、オフサイトPPAも、改正省エネ法の対象だ。

太陽光発電は先述したように、導入ハードルが比較的低い。さらに屋根上だけでなく、遠隔地への設置や、駐車場型の発電設備であるソーラーカーポートなど選択肢が増えている。そのため、非化石エネルギーの導入を検討中の法人は太陽光発電設備の設置を検討すべきだろう。

参考:【図解】自家消費型の太陽光発電とは?メリット・注意点、PPAと自己所有の違いを徹底解説!
参考:【図解】太陽光発電のPPAモデルとは?仕組み・メリット・デメリット・発電量を増やす方法をわかりやすく解説!

しろくま電力は高い施工品質で、CO2排出量・電気代の削減を実現

しろくま電力は太陽光発電所の導入にあたり、適地探しから土地開発、資材調達、施工までを一気通貫で行っている。PPAモデル・自社所有型モデルともに対応可能だ。しろくま電力で太陽光発電設備するメリットは以下の3点だ。

・大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績
・設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力
・日射量データとAIを駆使した適地探し

しろくま電力のPPAのメリット①大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績

しろくま電力は、国内にある発電所の施工を数多く担当してきた。メガソーラーをはじめとする大規模発電所や、店舗の駐車場に設置するソーラーカーポートなど、施工実績が豊富だ。これまでに累計214.9MW分の太陽光発電所を施工してきた。

土地開発から施工にいたるまで、ほぼ全ての業務を内製化する中で培った独自のノウハウを活かし、高品質の太陽光発電所を設置する。

参考:しろくま電力の「EPC事業」の紹介ページ
参考:しろくま電力の「PPAモデル事業」の紹介ページ

 

しろくま電力のPPAのメリット②設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力

2つ目のメリットが技術力の高さだ。しろくま電力は現場の施工に加え、施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。3D設計により、100m横の敷地に立った左の発電所よりも、22%も発電量を増やすことに成功した。

afterFITは現場の施工に加え、施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。3D設計により、100m横の敷地に立った左の発電所よりも、22%も発電量を増やすことに成功した。


また太陽光発電設備は、屋根上や遊休地はもちろん、水の上や遠隔地、駐車場にも設置できる。特に駐車場に設置するソーラーカーポートには強いこだわりがあり、一級建築士監修のもと、2年もの歳月をかけて改良を重ねてきた。

他社とafterFITのソーラーカーポートを比較したイラスト。左が従来の四本足のソーラーカーポートで、右がafterFITが開発した二本足タイプ「しろくまカーポート」。

上図左側のように、従来のソーラーカーポートは4本足で、駐車や扉の開閉がしづらく、相場も高い。しかししろくま電力では、前方に足がない2本足タイプを開発。これによって駐車しやすく、扉の開け閉めが容易になった。

 

実際にケーヨーデイツー姉崎店に設置されている、2本足のしろくまカーポート(実際にケーヨーデイツー姉崎店に設置されている、2本足のソーラーカーポート)


ソーラーカーポートの価格についても、資材の大量輸入や業務効率のいい工法の開発などにより、業界トップクラスの低価格で対応する。PPAモデルを活用すれば、初期費用0円でソーラーカーポートや太陽光発電設備を導入することもできる。

参考:しろくま電力の「しろくまカーポート」紹介ページ
関連記事:【2024年最新】ソーラーカーポートの補助金情報をわかりやすく解説!設置費用3割減!

 

しろくま電力のPPAのメリット③日射量データとAIを駆使した適地探し

しろくま電力には土地開発チームがあるため、オフサイトPPAモデルを行う場合、土地探しから土地開発、施工までを一貫して実施できる。

土地探しの際は、自社で開発した「再生可能エネルギー適地検索システム」を活用。日射量データや該当エリアの系統の空き容量、土地の情報などのデータを学習したAIが、152万に分割した日本の土地の中から発電所の適地を見つけだす。

しろくま電力では、豊富な実績と高い技術力を活かし、国内企業の脱炭素や電気料金の高騰リスク軽減を全力でサポートする。太陽光発電設備の導入(PPAモデルまたは自社所有型モデル)に関するお問い合わせやご相談は「太陽光発電設備の導入に関するお問い合わせフォーム」または下記のバナーから。

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