※この記事は2024年3月22日に最新の情報に更新されました。
【図解つき】太陽光発電の仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!
CO2排出量や電気代を削減する手段として、太陽光発電を導入する企業が増えている。実際に今、導入を検討するために、太陽光発電に関する情報収集を行っている担当者も多いのではないだろうか。
そこでこの記事では、太陽光発電の導入を検討中の方に向けて、太陽光発電の仕組みやメリット・デメリットなど「太陽光発電で最低限知っておくべき情報」を、図を交えながらわかりやすく解説していく。
太陽光発電とは?仕組みをわかりやすく解説
太陽光発電とは、太陽がもつ光エネルギーを電気に変える発電方法である。
(出典:経済産業省「日本のエネルギー2022」)
太陽光発電は日本を代表する再生可能エネルギーである。あまり知られていないが、日本の導入量は中国とアメリカに次いで世界で三番目に多い。
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太陽光発電に必要な機器とは?
太陽光発電というと、どうしても「太陽光パネル」のイメージが強いが、それ以外にも使用する機器があるのをご存知だろうか? ここでは、太陽光発電に必要な機器を説明していく。
太陽光パネル(ソーラーパネル)とは
太陽光パネルとは、太陽光で発電するためのパネル状の設備だ。ソーラーパネルや太陽電池モジュールなどいくつかの呼び方がある。詳しくは後述するが、太陽光パネルの内部には半導体という部品があり、これに太陽光が当たることで電気がつくられている。
上図のように半導体にはシリコン系や有機系、化合物系などいくつかの種類が存在しており、素材によって発電効率が違う。発電効率とは「どれだけロスなく太陽光を電気に変えられるか」という数値で、これが高いほど効率よく電気を生み出せていることになる。
太陽光パネルの種類とは?
ちなみに私たちが「太陽光パネル」と呼ぶものも、単位によって正式名称が変わるため簡単に押さえておこう。
上図のように、太陽光パネルは単位によって「セル」「モジュール」「ストリング」「アレイ」と呼び方が変わる。
まず最小単位が「セル」だ。セルとは約10センチ四方の太陽電池で、このセルを組み合わせることで「モジュール」になる。このモジュールが、私たちが一般的に「太陽光パネル」と呼んでいるものである。
太陽光発電所を作る場合、このモジュールをいくつも組み合わせる必要がある。この際、モジュールを直列に組み合わせたものを「ストリング」といい、このストリングを並列に繋いだものを「アレイ」という。
なぜ太陽光パネルを直列に繋いだり並列に繋いだりするのか?
ストリングはモジュールを直列につないだもので、アレイはストリングを並列につないだものだと説明した。なぜ直列や並列など、繋ぎ方を変えるのだろうか?
まず、モジュールを直列に繋ぐ主な理由は電圧を上げるためだ。1枚のモジュールの電圧は約0.5〜1.0Vだが、実際に電気を使って設備を動かすには100Vや200Vほどの電圧が必要となる。そこでモジュールを直列に繋ぐことで電圧を高め、実際に電気を使える基準にまで高める必要があるのだ。
そしてストリングを並列に繋ぐ主な理由は、太陽光パネル全体の発電能力を高めるためである。もし全てのパネルを直列で繋いでしまうと、1枚のパネルが故障した場合に全てのパネルで発電できなくなってしまう。しかし並列接続であれば、1つのストリングに異常が出ても他のストリングでの発電が可能だ。
こうしたリスク回避の理由もあり、ストリングを並列で接続しアレイを作っているのだ。
パワーコンディショナー(PCS、パワコン)とは
太陽光発電において、太陽光パネル同様に欠かせないのが「パワーコンディショナー」である(PCSやパワコンともいう)。
パワーコンディショナーとは、太陽光パネルでつくられた電気を実際に使えるものに変換する機器だ。
太陽光パネルでつくられた電気は「直流」と呼ばれるものだが、私たちが使用するには「交流」に変換する必要がある。パワーコンディショナーがこの変換を行ってくれるのだ。
さらにパワーコンディショナーには、太陽光パネルの発電量を最大化する「MPPT制御」という機能や、異常発生時に事故を防ぐために自動で出力を遮断する「系統連系保護機能」など、重要な機能が搭載されている。
太陽光発電というと太陽光パネルのイメージが強いが、「太陽光発電の心臓」として、パワーコンディショナーは欠かすことができないのである。
太陽光が電気になるまでの流れ
ここまで、太陽光発電には基本的に「太陽光パネル」と「パワーコンディショナー」が必要であることを説明した。それでは、どのように太陽光パネルが電気に変わっていくのだろうか?
上図は太陽光が電気になるまでの流れを図式化したものだ。太陽光発電の流れを簡単に説明すると以下になる。
①太陽光がソーラーパネルの半導体にあたる ②半導体の中に元々あった電子(-)が光エネルギーによって半導体を飛び出す ③飛び出した電子が半導体の裏側にある電子の穴(+)に向けて移動する ④電子が導線を通過する。この動きにより電流、つまり電気が発生する ⑥パワコンによってこの電流が直流から交流に変わり、使える電気になる |
太陽光は、光子という光の粒子が集まったものだ。そして半導体には「n型半導体」と「p型半導体」の2種類があり、n型には電子が、p型には正孔が多い状態である。
ここでいう電子とは「電気の粒子」で、正孔とは、「電子がもともと入っていた穴」のようなものだ。電子はマイナスで、正孔はプラスの性質を持っている。この半導体に太陽光が当たると、光エネルギーによってn型から電子が飛び出す。この現象を光電効果というが、電子は飛び出すと導線を通って正孔に入ろうとする。
この導線を通過する際に発生する電流を「使える電気」に変換するのが太陽光発電なのだ。
太陽光発電はどれくらい発電できるのか?
太陽光発電は、太陽光に含まれる「光の粒子」と半導体の中にある「電気の粒子」を組み合わせることで電気を作っている、ということを解説した。それでは、実際に太陽光発電をするとどれくらいの電気をつくることができるのだろうか?
太陽光発電協会(JPEA)によれば、出力容量が1kWの太陽光パネルを設置すると1日に約2.7kWhの電力を作れることがわかっている(1kWは大体モジュール4枚ほど)。一般家庭の場合、1日の電力消費量は6〜15kWhほど。そのため屋根上にある程度の太陽光発電設備を導入すると、うまくいけば家庭で使用する電力を太陽光でまかなうことも可能なのだ。
そしてこのことは法人にもいえる。余った土地や駐車場などをうまく活用し、より大規模な太陽光発電設備を自社に導入すれば、会社で使用する電気を太陽光発電でまかなうこともできるのだ。
太陽光発電は雨や曇りの日でも発電できるのか?
太陽光発電と聞くと「晴れの日しか発電できない」と考える方も多いのではないだろうか。しかし実際には、雨や曇りの日であっても昼間は日射があるため、ごく微量ながらも発電が可能だ。
(資源エネルギー庁や中部電力が発表した図をもとに弊社が独自で作成。 ※定格出力とは、太陽光パネル1枚あたりの一定の条件下における発電量のこと)
上図は天候別の発電量をグラフ化したものだ。こうして見ると、曇りの場合は晴天時の1/3~1/10程度、雨天時だと晴天時の1/5~1/20程度まで発電量が減るものの、発電自体はできることがわかる。雪の場合でも、パネルに多くの雪が積もらない場合は多少の発電が可能だ。
太陽光の発電量を決める要素とは?
また、太陽光発電の発電量を左右するのは「日射量」だけではない。以下の要素も発電に影響することを知っておこう。
・太陽光パネルを設置する方角
・太陽光パネルの角度
・気温
・パネルの汚れなど、発電設備の状態
太陽光パネルは日射時間が長い「南向き」に設置するのが一般的だ。さらに太陽光をうまくパネルに当てるためには角度も重要となる。
太陽光パネルの半導体は高温に弱いため、暑すぎると発電効率が悪くなることも知っておこう。国立研究開発法人である新エネルギー・産業技術総合開発機構の調査によると、一般的にパネルの表面温度が25度を超えると、1度上昇するたびに約0.45%ずつ発電効率が低下するといわれている。
また太陽光パネルの表面が砂ぼこりで汚れていたり、パワーコンディショナーに異常があると発電量が減ってしまう。このように、太陽光パネルをどう設置するかで発電量が左右されることも知っておこう。
太陽光発電の種類とは?目的別に紹介
太陽光発電は「電気をどう使うか」という目的ごとに区分されるため、その点も押さえておこう。太陽光発電は、大きく以下の2種類に分類される。
①全量自家消費…つくった電気を全て自社で消費すること
②全量売電…つくった電気を全て売ること
もともと太陽光発電は「②全量売電」目的で導入されるケースが多かった。FIT制度を活用すれば最長20年間、つくった電気を高い単価で売ることができたからだ。しかし、2012年度に40円/kWhだった売電単価は年々下がっており、2024年度には約4分の1以下である9.2円/kWhまで下落している。
投資メリットが薄れる一方、注目を浴びたのが「①全量自家消費」目的での太陽光発電の導入だ。2015年以降、世界でカーボンニュートラルの実現に向けた動きが活発化し、2022年度には電気代が過去最高値を記録した。
これによって企業に電気代・CO2の削減が求められるようになり、それらの課題を解決する手段として、自家消費型の太陽光発電の導入が進んだのだ。そのため、現在では「①全量自家消費」が主流になりつつある。
関連記事:自家消費型太陽光発電とは?種類やメリット、補助金情報、注意点をわかりやすく解説!PPAと自己託送の違いとは?
法人が太陽光発電を導入するメリットとは
ここまで太陽光発電の概要を簡単に説明してきた。ここからは法人が太陽光発電を導入する11のメリットを解説していく。
メリット1:電気代が安くなる可能性がある
法人が太陽光発電を導入するメリットの1つ目が、電気代が今よりも安くなる可能性がある点だ。これは全量自家消費した場合のメリットである。
2020年以降、電気代は高騰が続いており、2022年には過去最高値を記録した。2023年にはある程度の落ち着きを見せたが、火力発電に使用する燃料費が一時値上がりするなど、依然として不安定な状況が続いている。
自家消費型太陽光発電の場合、つくった電気は無料または安価な単価での使用が可能だ。特に電力消費が大きい工場やオフィスビルでは、年間数百万円から数千万円の電気代削減を見込むことができる。
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メリット2:電気代の高騰リスクを軽減できる
太陽光発電の2つ目のメリットが、電気代の高騰リスクを軽減できる点だ。
自家消費を行う場合、電気代は無料または安価で使用できると説明した。詳しくは後述するが、太陽光発電をどう導入するかによっては、使用する電気に費用が発生する可能性があるのだ。
しかし、もし費用が発生したとしても、契約期間中は単価が固定されるため電気代が変動することはない。もし電力会社の電気代が上がっても、太陽光発電でつくった分はその影響を受けないのだ。
このように自家消費型太陽光発電は今の電気代を安くするだけでなく、今後の電気代の値上げリスクを軽くするメリットもある。
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メリット3:CO2排出量を削減できる
法人が太陽光発電を導入するメリットの3つ目が、CO2排出量を削減できる点だ。これは先述したように、全量自家消費の場合のメリットである。
火力発電では石油や石炭を使用するため、発電の際にCO2(二酸化炭素)を排出してしまう。CO2をはじめとする温室効果ガスは地球温暖化の原因であり、温暖化が進むと私たちの生活が脅かされるリスクがある。
一方、太陽光発電のエネルギー源は太陽光だ。発電の際にCO2を排出しないため、発電量を増やす分だけ会社のCO2排出量を減らすことができるのだ。
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メリット4:売電収入が得られる
4つ目のメリットが、つくった電気を売ることで収入が得られる点である。これは全量売電を選択した場合のメリットだ。
太陽光発電設備を導入する際、国からFIT制度またはFIP制度の認定を受けることで売電できるようになる(FIT制度は固定単価で売電できるもので利益分は確保されていない。FIP制度は最低限の利益分が確保されているが、単価が変動するもの)。
2024年度、地上に50kW以上の太陽光発電システムを設置した場合、FIT制度の売電単価は9.2円/kWhである。この単価で20年間、電気を売ることができるのだ。
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メリット5:他の再エネよりも導入ハードルが低い
5つ目のメリットが、他の再生可能エネルギーよりも導入ハードルが低い点だ。
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力のように発電の際にCO2を排出せず、かつ繰り返し使用できる「環境にやさしいエネルギー」のことである。太陽光以外にも風力やバイオマス、地熱なども再エネの一種だ。
(出典:経済産業省「基本政策分科会に対する発電コスト検証に関する報告」)
上図は2020年時点の再エネの1kWhあたりの発電コストを比較したものだ。こうして見ると、太陽光発電に比べて他の再エネは単価が高いことがわかる。
また資源エネルギー庁によると、法人向け太陽光発電設備は1〜2年程度で稼働開始できるが、陸上風力は5〜8年、バイオマスは4〜5年、地熱に至っては約10年が必要であることがわかっている。このように、太陽光は他の再エネよりも導入ハードルが低いのだ。
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メリット6:さまざまな場所に設置できる
6つ目のメリットが、太陽光発電設備はさまざまな場所に設置できる点だ。太陽光発電と聞くと、屋根にソーラーパネルを設置する、というイメージをお持ちの方も多いのではないだろうか。
しかし太陽光発電は日光が当たる場所ならどこでも発電できる。屋根や屋上はもちろん、空き地などに発電設備を設置することも可能だ。最近では池の上や農地に設置したり、駐車場を活用した「ソーラーカーポート」を導入する法人も増えている。
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メリット7:企業イメージをより良くできる
7つ目のメリットが企業イメージの向上につながる点だ。近年、SDGsやカーボンニュートラルへの意識が高まっていたり、ESG投資(会社の業績だけでなく、環境やガバナンスに対する取り組みを評価する投資)が活発化したりと、ビジネスを通じて社会に好循環を生み出せる企業が求められている。
(出典:日興リサーチセンター「世界の責任投資市場に関するレポート」)
上図のように世界のESG投資総額は2020年に約4,589兆円(投資総額の約35.9%)まで増えている。2050年には約6,890兆円まで増加する見込みだ。
CO2削減の取り組みは世間のイメージ向上に繋がるのはもちろん、こうした新たな投資も期待できる。実際に日本でも、SDGsに取り組む企業に向けた融資プランを提供する地方銀行も増えている。
さらに大企業が取引条件としてCO2排出量削減を求める企業も増えている。そのため、太陽光発電を導入し、CO2を削減することで、既存取引を継続するのはもちろん、新規開拓のチャンスに繋げることもできるのだ。
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メリット8:蓄電池を併用すれば非常時にも役立つ
8つ目のメリットが蓄電池を併用することで、太陽光発電システムが非常用電源にもなる点だ。これは自家消費の場合のメリットである。
自社敷地内に太陽光発電設備と蓄電池をセットで導入すれば、発電した電気を蓄えることができる。これにより、非常時でも電気を確保することが可能だ。
昨今、BCP対策の策定に取り組み企業が増えている。BCP対策(事業継続計画)とは、予期せぬトラブルによる被害を最小限に抑え、事業を継続または速やかに復旧するためのマニュアルだ。太陽光発電設備の導入は、BCP対策の一環としても非常に有益である。
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メリット9:税制優遇による節税対策につながる
9つ目のメリットが、太陽光発電設備は節税にもなるということだ。太陽光発電設備の導入費用は減価償却費として計上でき、維持管理に関するメンテナンス費用も経費扱いにできるのである。
①中小企業経営強化税制 |
即時償却(設備取得価格の全額を初年度に損金計上)または、設備取得価格の最大10%の税額控除ができる |
②中小企業投資促進税制 |
設備取得価格の最大30%の特別償却、または最大7%の税額控除ができる |
③固定資産税の軽減措置 |
最大3年間、建物を含む対象設備の固定資産税が免税または、最大2分の1が減免される(資本金が1億円以下の法人などに限る) |
④カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 |
最大3年間、対象設備の設備取得価格の5%〜10%の税額控除もしくは50%の特別償却ができる |
上図は税制優遇制度を一覧にしたものだ。自治体ごとに適用条件や税率が異なるが、税制優遇制度によっては「設備費用の全額を初年度に一括償却」できる場合もある。各自治体の支援内容については、中小企業庁「認定支援機関検索システム」にご確認いただきたい。
メリット10:工場立地法対策としても使える
敷地面積が9,000㎡以上あるなど、ある一定の条件を満たす工場では、敷地内に「敷地面積あたり25%以上の環境施設・緑地(そのうち緑地が20%以上)」を設ける必要がある。緑地とは樹木や芝生などで、環境施設には屋外運動場や広場などが挙げられる。
自家消費型太陽光発電の場合、発電設備は工場立地法の「環境施設」に該当する。仮に屋根上に発電設備を設置したとしても25%の数字に含まれるため、工場立地法対策としても非常に効果的なのだ。
メリット11:遮熱効果で室温が下がる可能性がある
11個目のメリットが、ソーラーパネルの遮熱効果により、室温が下がる可能性がある点だ。
屋根上にソーラーパネルを設置する場合、直射日光を遮ることができる。これによって屋根の温度上昇を防げるため、置いていない場合と比較して室温が下がる可能性があるのだ。
室温が上がりすぎるのを防げれば、その分だけ冷房で消費する電力量を減らすことができる。電気を生み出すと同時に電気使用量も減らせるなど、一石二鳥でもあるのだ。
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太陽光発電のメリットをまとめると
ここまで太陽光発電のメリットを11個挙げた。まとめると、以下のようになる。
メリット1:CO2排出量を削減できる
メリット2:電気代が安くなる可能性がある
メリット3:電気代の高騰リスクを軽減できる
メリット4:売電収入が得られる
メリット5:他の再エネよりも導入ハードルが低い
メリット6:さまざまな場所に設置できる
メリット7:企業イメージをより良くできる
メリット8:蓄電池を併用すれば非常時にも役立つ
メリット9:税制優遇による節税対策につながる
メリット10:工場立地法対策としても使える
メリット11:遮熱効果で室温が下がる可能性がある
法人が太陽光発電を導入するデメリットとは
ここまで太陽光発電のメリットを説明してきた。それでは、太陽光発電を導入するデメリットとしてどういうものがあるのだろうか?
ここからは注意点を詳しく解説していくが、デメリットの内容によっては解決できる業者も存在するため、デメリットの対策もあわせて読んでいただきたい。
デメリット1:初期費用・メンテナンス費用がかかる場合がある
1つ目のデメリットが、太陽光発電設備の運用方法によっては初期費用やランニングコストが発生する点だ。
太陽光発電は再エネの中でも安価で手軽に導入できると先述した。しかし法人向けの規模となると、初期費用が数百万〜数千万円、大規模なもので数億円が必要となる場合もある。
また太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの設備交換が発生したり、O&M(太陽光発電のメンテナンス)専門業者への支払いなど、ランニングコストが発生する可能性もあるだろう。
詳しくは後述するが、これらの費用を0円で導入する方法もある。運用にかかる費用と電気代削減効果を比較した上で、どの導入方法にするかを決めるといいだろう。
関連記事:太陽光発電の自己託送とは?仕組みやメリットなどをわかりやすく解説
デメリット2:定期的なメンテナンスが必要
2つ目のデメリットが、太陽光発電設備は定期的なメンテナンスが必要な点だ。50kW以上の太陽光発電所の場合、法律で定期的な発電所のO&M(点検と保守管理)が定められている。
メンテナンス作業の中には有資格者でないと扱えないものもあるため、専門業者との契約が必要な場合もある。施工業者によってはそのままO&Mを依頼できるため、こちらも確認することをおすすめする。
デメリット3:太陽光発電設備を設置するスペースが必要
3つ目が、自社敷地内に太陽光発電設備を導入する場合、太陽光パネルなどの設置スペースが必要な点だ。
太陽光発電設備の主な設置場所として考えられるのは、自社ビルや工場の屋根上、空き地、駐車場などである。ただし太陽光発電設備はどこにも設置できるわけではない。屋根上の場合、老朽化が進んでいると設置できない場合があるのだ。
遠隔地に太陽光発電システムを設置し、送電線を介して電気を供給する方法もある。中には土地探しから任せられるケースもあるため、スムーズに進めたい場合はそういった企業に依頼するといいだろう。
デメリット4:夜間や天気が悪い日は発電量を期待できない
4つ目が、夜間・悪天候の場合、太陽光は発電が期待できない点だ。太陽光発電は太陽が出ない夜間は発電できない。また、先述したように天気が崩れると発電量が大きく減少してしまう。
太陽光パネルやパワーコンディショナーの発電効率はメーカーごとに異なるため、この数字を把握した上で、少しでも効率のいい設備を導入するといいだろう。
デメリット5:業者によってサービス内容に差がある
5つ目が、業者ごとに知識やサービス内容の質に差がある点だ。
再エネのニーズが高まっている昨今、太陽光業界に新規参入する企業も増えている。当然、企業によっては知識がなく、できることが限られていたり、費用が高額になったりする可能性もある。
相見積もりをとるか、その企業の実績を教えてもらうかして、信頼できる企業かどうかを見極めることが重要だ。
デメリット6:逆潮流対策が必要になる場合がある
太陽光発電設備を設置する場合、特殊な電気工事が必要となる。特に全量自家消費の場合、逆潮流に対する適切な対策を講じる必要があるため要注意だ。
逆潮流とは、太陽光発電設備から送電線に電気が流れることである。仮に電気が送電線へと逆走してしまった場合、大規模な停電の発生や電化製品の故障など、予期せぬトラブルが発生するリスクがあるのだ。この事態を防ぐためにも、逆潮流しないように特殊な工事を行う必要がある。
デメリット7:反射光トラブルのリスクがある
7つ目のデメリットが、反射光などにより周辺住民などとトラブルになる可能性がある点だ。太陽光パネルは設置する場所や角度によっては周囲の建物に強い反射光が当たるリスクがある。
周辺に民家やビルがない場合は問題ないが、工場やオフィスの屋根にソーラーパネルを設置する場合、シミュレーションを行い、周辺環境に悪影響が出ないか注意深く計画する必要があるのだ。
これも経験豊富な企業であれば防げるが、知識がない業者の場合は防げない可能性があるため注意しよう。
デメリット8:固定買取価格が低下している
これまで説明したように、FIT制度の買取単価は年々下落傾向にある。FIT制度は「再エネを日本に増やす」ために始まったもので、普及が進むにつれて買取価格が下がっているのだ。
(資源エネルギー庁の情報をもとに弊社作成)
上図はFIT制度の売電単価の推移だ。この先も単価は下がっていく可能性が高いため、売電目的で導入する場合、早めに運転を始めるか、中古の案件を買うことをおすすめする(中古の場合、所有者が変わっても残りのFIT年数をそのまま引き継ぐことができる)。
デメリット9:出力制御が起きる可能性がある
9つ目のデメリットが、出力制御が起きる可能性がある点だ。これは売電においてのデメリットとなる。
出力制御とは、電力が余った場合に、電力会社が電気の買取をストップすることだ。電気は蓄電池がないと貯めることができない。さらに需要と供給を一緒にしないと、電圧や周波数に影響が出て、大規模な停電が発生するリスクがあるのだ。
昨今「電気代は高い」とされるが、実は再エネ由来の電気は全国各地で余っており、それを捨てる状態が続いている。もし出力制御が発生すると、電気をつくっても売れないため、収益が減ってしまうことになるのだ。
関連記事:【図解】太陽光発電の出力制御とは?なぜ必要?今後も増える?わかりやすく解説!
関連記事:【図解】経済的出力制御(オンライン代理制御)とは?対象の太陽光発電所は?わかりやすく解説!
太陽光発電のデメリットをまとめると
太陽光発電のデメリットを9つ説明した。それぞれをまとめると、以下のようになる。
デメリット1:初期費用・メンテナンス費用がかかる場合がある
デメリット2:定期的なメンテナンスが必要
デメリット3:太陽光発電設備を設置するスペースが必要
デメリット4:夜間や天気が悪い日は発電量を期待できない
デメリット5:業者によってサービス内容に差がある
デメリット6:逆潮流対策が必要になる場合がある
デメリット7:反射光トラブルのリスクがある
デメリット8:固定買取価格が低下している
デメリット9:出力制御が起きる可能性がある
太陽光発電のデメリットを解消する方法とは?
ここまで太陽光発電が持つデメリットを9つ解説した。それでは、これらデメリットを解消する方法はあるのだろうか? 詳しく解説していく。
導入費用の対策1:PPAモデルを利用する
まず1つ目の対策がPPAモデル(コーポレートPPA)を活用して太陽光発電を導入する方法だ。
PPAモデル(コーポレートPPA)とは、法人が所有する土地に、PPA事業者が無料で太陽光発電システムを設置し、そこで発電した電気を法人が買い取って使用することである。
上図はPPAモデルのスキーム図だ。PPAモデルは法人が所有する土地を使うが、太陽光発電システムや発電した電気の所有権はPPA事業者側にある。そのため法人側は電気を買い取る必要があるが、初期費用・ランニングコスト(メンテナンス費用含む)ともに0円で太陽光発電設備を導入することが可能だ。
このように企業側が費用を負担する必要がなく、電気代とCO2削減効果も期待できることから、国内ではPPAモデルを導入する企業が増えている。初期費用をとにかく抑えたい企業にはPPAモデルがおすすめである。
また自社敷地内に余裕がない場合、駐車場に発電設備を設置する「ソーラーカーポート」や、敷地外に設置して送電線を介して電力を供給する「オフサイトPPA」を導入するといいだろう。
関連記事:コーポレートPPAとは?仕組みとメリット・デメリットをわかりやすく解説
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導入費用の対策2:リースで導入する
2つ目の設置費用への対策が、リースを使って太陽光発電を導入する方法だ。リース契約の場合、発生するのは月々のリース料金だけで初期費用やランニングコストは発生しない。つくった電気も無料で使用できる。
PPAモデルは契約後に太陽光発電設備の所有権が法人側に移るのが一般的だが、リースの場合は「①返却」「②再リース」「③買取」の3パターンから選択するのが一般的だ。
またPPAモデルは資産計上が不要だが、リース契約は資産計上が必要となる。それぞれのメリットデメリットを鑑みた上で、選ぶといいだろう。
導入費用の対策3:国や自治体の補助金を活用する
3つ目の対策が、国や自治体の補助金を活用する方法だ。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、国や各自治体では補助金制度を実施している。
対象となるのはPPAモデルが対象となる場合が多く、採択されれば補助分が電気代の単価に反映され、さらに電気代が安くなる可能性が高い。法人のソーラーカーポート導入に対する補助金制度を実施しているケースもあるため、導入する場合は活用することをお勧めする。
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発電量の対策:蓄電池を併用する
太陽光発電は太陽光がエネルギー源のため、時間帯や天候によって発電量にバラツキが出てしまう。そうした場合に検討したいのが蓄電池の導入だ。発電設備と合わせて蓄電池を導入すれば、使いきれなかった電気を蓄えることができ、好きな時間にその電気を使用できる。
発電しない時間帯でも再エネのメリットを享受できるのはもちろん、先述したように非常時の電源としても活躍するため、余った電気を有効活用したい法人は併用するといいだろう。
デメリット全般の対策:施工品質が高い業者に依頼する
ここまで対策を解説してきたが、なによりも重要なのが、施工品質が高い、信頼できる業者に工事を依頼することだ。太陽光発電設備は、ソーラーパネルをただ南向きに配置すればいいわけではない。地形や周辺環境、そこで予想される日射量を把握した上で、パネルの角度や高さを意識して設計する必要がある。
稼働後に想定より発電量が少ない事態を防ぐためにも、その会社の施工実績や施工品質へのこだわり、トラブル時のアフターサービスなどについて把握した上で企業を選ぶべきだ。企業によっては補助金の申請も任せられる場合があるため、活用したい場合は会社に確認してみよう。
しろくま電力は高い施工品質で、CO2排出量・電気代の削減を実現
補助金の煩雑な申請も担当者が手厚くサポート
ここまで太陽光発電のデメリットを解消する方法を紹介し、何よりも大切なのは「信頼できる企業に依頼すること」であると説明した。
私たちしろくま電力は、これまでに数多くの太陽光発電所の「適地探し」から「土地開発」「資材調達」「施工」までを一気通貫で行ってきた。しろくま電力で太陽光発電設備を導入する主なメリットは以下の3点だ。
・大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績
・設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力
・日射量データとAIを駆使した適地探し
メリット①大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績
しろくま電力は、国内にある発電所の施工を数多く担当してきた。メガソーラーをはじめとする大規模発電所や、店舗の駐車場に設置するソーラーカーポートなど、施工実績が豊富だ。土地開発から施工にいたるまで、ほぼ全ての業務を内製化する中で培った独自のノウハウを活かし、高品質の太陽光発電所を設置する。
上図は、合同会社NaF(しろくま電力とNECキャピタルソリューション株式会社が出資)が株式会社ヨロズ大分社に設置した、ソーラーカーポートと野立て太陽光発電設備だ。しろくま電力は、設計から施工、運用管理を担当している。
今回、私たちは従業員駐車場328台分の「しろくまカーポート」と野立て太陽光発電設備20基を設置した。総発電容量は1,156kW(しろくまカーポート967kW、野立て189kW)で、想定発電量は130万kWh/年、CO2排出削減量は400t/年で、エネルギー自給率は約8%となる見込みだ。
参考:しろくま電力の「PPAモデル事業」の紹介ページ
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メリット②設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力
2つ目のメリットが技術力の高さだ。しろくま電力は施工に加え、施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。3D設計により、100m横の敷地に立った左の発電所よりも22%も発電量を増やすことに成功した。
また太陽光発電設備は、屋根上や遊休地はもちろん、水の上や遠隔地、駐車場にも設置できる。特に駐車場に設置するソーラーカーポートには強いこだわりがあり、一級建築士監修のもと、2年もの歳月をかけて改良を重ねてきた。
上図左側のように、従来のソーラーカーポートは4本足で、駐車や扉の開閉がしづらく、相場も高い。しかしafterFITでは、前方に足がない肩持ちタイプを開発。これによって駐車しやすく、扉の開け閉めが容易になった。
(実際にケーヨーデイツー姉崎店に設置されている、肩持ちのソーラーカーポート)
参考:しろくま電力「しろくまカーポート事業ページ」
メリット③日射量データとAIを駆使した適地探し
しろくま電力には土地開発チームがあるため、オフサイトPPAモデルを行う場合、土地探しから土地開発、施工までを一貫して実施できる。
土地探しの際は、自社で開発した「再生可能エネルギー適地検索システム」を活用。日射量データや該当エリアの系統の空き容量、土地の情報などのデータを学習したAIが、152万に分割した日本の土地の中から発電所の適地を見つけだす。
しろくま電力では、豊富な実績と高い技術力を活かし、国内企業の脱炭素や電気料金の高騰リスク軽減を全力でサポートする。太陽光発電設備の導入(PPAモデルまたは自社所有型モデル)に関するお問い合わせやご相談は「太陽光発電設備の導入に関するお問い合わせフォーム」または下記のバナーから。