また、データセンターの運営コストを抑えるためには、節電による電気代の削減も重要である。
そこで本記事では、データセンターで節電・電気代削減する際のポイントと、具体的な方法について解説していく。
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 この記事でわかること 
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 結論をまとめると データセンターの節電・電気代削減のポイントは以下の4つ ①データセンターの運営コストの中で電気代は15%を占める  | 
具体的な節電方法を説明する前に、データセンターで節電・電気代削減する際に押さえておくべきポイントを紹介する。要点を把握した上で節電に取り組むと、効率的に成果を出せるだろう。
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最初に、電気代がどれほど負担になっているかを把握するために、データセンターの運営コストの内訳を見ていく。少し古い資料だが、以下は2010年に総務省が発表したデータセンターの運営コストの内訳だ。
上図を見ると、最も運営コストの割合が大きいのは機器費で約55%である。これに続き、電気代・施設費・人件費が約15%ずつを占めている。
さらに、上図のデータが発表された2010年以降にデータセンターの電力消費量は急速に増加しており、実態として施設費・人件費より電気代にコストがかかっている施設は多いはずだ。そのため、運営コストを抑えるには、節電による電気代の削減が効果的と言えるだろう。
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次に、データセンターの電力使用量の内訳を把握しておこう。電力使用量の多い設備から節電すれば、成果を出しやすくなる。以下は、データセンターの設備ごとの電力使用量を示したグラフだ。
上図から「冷却用設備」が最も多く、45%を占めているとわかる。次いで「IT機器」が30%、「電源設備」が25%と続いている。つまり、データセンターの節電に取り組む際には最も割合の大きい「冷却設備」から優先して取り組むことが重要なのだ。
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3つ目に、なぜデータセンターでは電気代が上がっているかを解説する。
最も大きな理由として、2022年に勃発したロシアのウクライナ侵攻をきっかけに世界的に燃料価格が高騰し出したことが挙げられる。特に火力発電の割合が高い日本では、燃料価格が高騰する影響を受けて電気代が値上がりしたのだ。今後も価格が下がる見通しはつかず、電気代価格が高止まりした状態が続く可能性が高い。
また、データセンターの消費電力が年々増加していることも、電気代が高くなる要因だ。特にAI技術の発展に伴う、AIサーバの消費電力量の増加は著しい。さらに、データセンターの消費電力は2018年から2030年にかけて約15倍に膨らむという試算もある。
電気代高騰の背景を考えると、データセンターの電気代は今後もどんどん高額になっていくと予想される。そのため、データセンターの利益を伸ばすには、節電によって電気代を抑えることが重要なのだ。
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最後に、データセンターの節電の必要性についても理解しておきたい。まず、先述したように、節電には高額な電気代を削減する目的がある。
もう1つ、データセンターで節電が必要である大きな理由が「電力不足の防止」だ。このまま人々が利用するデータ量が増え続けた場合、2030年には世界の総電力の30%がデータセンターの消費電力となるとされている。日本でも電力インフラに負担がかかり、慢性的な電力不足に陥るリスクがある。もし、データセンターで電力供給が追いつかなくなり、電力が途絶えた場合、サーバーのデータの一部にアクセスできなくなったり、一部の機能が停止してしまう可能性があるのだ。
ちなみに、データセンターのエネルギー効率はPUEという指標で表される。省エネ法ではデータセンターのPUEの目標値が1.4と定められており、そこを目指して節電を行うべきである。
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 結論をまとめると データセンターの冷却システムの節電・電気代削減の方法は以下の6つ  | 
ここまで、データセンターの節電・電気代削減のポイントを解説してきた。その中でも紹介したように、データセンターの消費電力は、約半分が冷却システムによるものだ。
そこでここでは、データセンターの冷却システムの節電・電気代削減方法を説明する。データセンターの立地や環境などに適した冷却方法を選ぶといいだろう。
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1つ目の冷却システムの節電・電気代削減方法は「液浸冷却の導入」だ。液浸冷却とは、電気を通さない液体にサーバーを丸ごと浸し、冷却する方法である。
液浸冷却は従来のファンによる空冷方式と比べ、約90〜97%の節電効果が期待できる。これは、ファンによる空調の使用電力を削減できる上、一般的な水冷方式と比べても熱を吸収・放出する効率が高いためだ。
ただし、液浸冷却は初期コストが高い点に注意が必要である。初期コストの回収にかかる期間は以下が目安だ。
2つ目は「蒸発冷却の導入」だ。蒸発冷却とは、水が蒸発するときに周囲の熱を吸収する仕組みを使った冷却方法である。蒸発冷却を導入すると、従来の空冷方式と比較して約25〜50%の節電・電気代削減が期待できるのだ。
蒸発冷却には、外気を直接濡らしたパッドで冷却する「直接蒸発冷却」と、冷却パッドで外気を冷やした後に熱交換器などを介して室内に冷気を送り込む「間接蒸発冷却」がある。湿度の影響を抑えたい場合には「間接蒸発冷却」を選択するといいだろう。
ただし、湿度が高い地域では効果を発揮しにくいので注意が必要だ。
3つ目は「アイルコンテインメントの導入」である。アイルコンテインメントとは、サーバ室内で冷気を供給する通路と熱い排気が出る通路をドアやパネルなどで物理的に分け、冷気と熱気が混ざるのを防いで空調効率を高める仕組みだ。これにより、従来の空冷方式と比較して約20〜30%の節電・電気代削減効果が期待できる。
アイルコンテインメントには、サーバーラックの吸気側を密閉し冷気の通り道を作る「コールドアイルコンテインメント」と、排気側を密閉して熱気の通り道を作る「ホットアイルコンテインメント」の2種類がある。
コールドアイルコンテインメントは床下空調に、ホットアイルコンテインメントは天井・側面吸気の空調に適しているため、既存の空調方法に合う方を選択するといいだろう。
次に、ウォーターサイドエコノマイザーの導入によっても節電・電気代削減ができる。ウォーターサイドエコノマイザーとは、湖や川などの自然水源と冷却塔に接続されたチラー(冷水を作る装置)を利用して、空気を冷却するシステムだ。
外気が低い期間はチラーを使用せず、自然水源のみで空気を冷却できるため、節電・電気代削減につながる。具体的には、チラーのみで冷却する場合と比べ約70%も節電できる可能性があるのだ。
ちなみに、導入にかかるコストの回収期間は以下が目安である。
DLC(直接液冷)の導入も、データセンターの節電・電気代削減に有効だ。これは発熱源であるCPU・GPU・チップなどに内部を冷却液が循環する冷却プレートを設置し、熱を液体で吸収する仕組みだ。ちなみにDLCとは、Direct Liquid Coolingの略である。
DLCを導入すると、製品によっては従来の空冷方式と比べ約90%の節電ができる場合もある。また、サーバラックの密度が高いほど、節電効果が高くなるのが特徴だ。
ただし、DLCは導入の初期コストが高額になりやすい。コストの回収期間の目安は以下である。
「自動空調制御システムの導入」によっても、データセンターの節電・電気代削減ができる。
AIとIoTによる空調制御では、リアルタイムで室温の変化を把握して、自動で空調を適切な設定温度にできる。その結果、手動設定や定型運転と比べ空調効率が高くなり、約30%の節電効果が見込めるのだ。
また、自動空調制御システムでは、エンジニアによる見回りや温度計測、空調の設定変更が必要なくなるため、電気代だけではなく人件費も削減できる。さらに、分析ツールを使えば、自動空調システムのデータから温度が高くなる要因分析や運用改善方法が導き出せるだろう。
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 結論をまとめると データセンターのIT機器・給電インフラの節電・電気代削減の方法は以下の4つ ①省電力サーバーの導入  | 
ここまで、データセンターの冷却システムの節電・電気代削減方法を解説した。
データセンターは冷却システム以外には、IT機器と電源に電力を使用している。そこでここからは、IT機器・給電インフラの節電方法を説明していく。
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1つ目のIT機器の節電・電気代削減方法は「省電力サーバーの導入」だ。省電力サーバーは最新世代のCPU・GPU・メモリなどを使っているため、同じ処理を従来より少ない電力で行える。また、熱設計の効率もよく、冷却負荷を抑えられるのも特徴だ。
もし旧式のサーバーから最新の省電力サーバーに更新すれば、サーバーの消費電力を約10〜30%削減できる。さらに、省電力サーバーによって冷却に必要な電力を50%削減できた例もあるのだ。
加えて、最近ではコンピュータ内の回路同士の処理を電気と光で行う「光電融合技術」という省エネ技術が開発されている。光電融合技術は2030年を目処に実用化される見込みであり、実現すれば現在の最先端サーバーと比較しても40%以上の節電効果が期待できる。
2つ目は「エコモード搭載のUPSの使用」だ。
まず、UPS(無停電電源装置)とは、停電や入力電源異常が発生した際に、一時的に電力を供給するためのものである。トラブル時に電力供給が途絶えないよう、UPSは使用しない間も常に稼働させておかなければならない。
そしてUPSのエコモードとは、内部の一部の変換回路を迂回することで、無駄な変換ロスを削減するものだ。必要に応じて省エネのエコモードからフル稼働する電源保護モードに切り替わる仕組みになっており、消費電力を最適化できる。具体的には、約2〜5%の節電・電気代削減が可能だ。
次の節電・電気代削減方法は「高圧直流給電の採用」だ。これは、電圧変換の際の電力ロスを最小限に抑える技術である。従来の給電方式と比べ、高圧直流給電を採用すると5〜15%の節電効果が期待できる。
従来の給電方法では、CPUなどへ給電する際に電圧を変換する必要があり、電圧変換時に大量の電力ロスが発生していた。一方、高圧直流給電では直流の電気を高圧のまま扱う方式であるため、電力変換の回数を抑え電力ロスが減るのだ。
サーバーのピーク電力を削減することも、節電・電気代削減になる。具体的には、電子監視機能が搭載されたチップセットを使用することで、サーバーのピーク電力を16〜18%ほど削減できるのだ。
また、電気代の基本料金はピーク電力によって決まるため、基本料金を下げられる可能性も高い。さらに、ピーク電力を下げることで、1つのサーバーラックに搭載できるサーバー台数を増やせる。データセンターの増設を先延ばしにできるため、電気代以外にも大幅なコスト削減が期待できるだろう。
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 結論をまとめると データセンターのその他の節電・電気代削減の方法は以下の3つ ①データセンターの寒冷地での建設  | 
データセンターでは冷却システムやIT機器、電源装置などの設備を節電する他にも、消費電力を抑える方法がある。
そこでここからは、データセンターのその他の節電・電気代削減方法を解説していく。少しでも施設の電力消費を減らし、安定した電力供給を実現しよう。
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まず、寒冷地にデータセンターを建設すれば、節電・電気代削減になる。
寒冷地への施設の建設が節電になる理由として、寒冷地では気温が低い季節には外気冷却を使って機械式の冷却装置の稼働を抑えられることが挙げられる。また、暑い地域と比べデータセンターの室内外の温度差が小さいため、冷却システムの設定温度を低くできるのだ。
例えば、日本では新潟県に寒冷地型データセンターがある。ここでは、秋口から冬場に外気を活用してサーバーを冷却し、春先から夏場にかけては冬の間に貯めておいた雪を活用している。
次に、排熱利用(ヒートリユース)を採用することでも節電できる。排熱利用とは、データセンターで出たサーバーの熱を回収し、暖房や給湯に利用することだ。排熱利用はデータセンター自体の節電にはならないが、地域全体の電気代・燃料代の大幅な削減が可能だ。
実際に、欧州ではデータセンターの排熱が地域暖房や温水プールに活用されている。また、Googleはフィンランドのデータセンターで回収した排熱を周辺地域の暖房用に無料で提供すると発表している。日本でも東京電力が排熱利用の技術を開発しており、2027年を目処に実用化される予定だ。
再生可能エネルギーを利用すると、従来の電力契約と比べて電気代が割安になることが多い。特に太陽光発電は再生可能エネルギーの中でも初期費用が比較的安めであるため、おすすめだ。
例えば、日照条件がよい場所に屋根や敷地に太陽光パネルを設置した場合、データセンターの使用電力の約5〜20%を太陽光で賄える可能性がある。
太陽光発電設備は、地形や日射量のデータをもとに影が発生しないよう設計することで、発電の効率を高められる。そのため、施工してもらう事業者選びにはこだわりたい。
なお、しろくま電力は、店舗の屋根や駐車場に設置するソーラーカーポートなど、国内の太陽光発電設備の施工を多く担当してきた。グリーンエネルギーの発電・送電・売電に特化した電力会社であり、設備の設置からメンテナンス、売電まで一気通貫で担当している。
太陽光発電設備を検討している場合には、ぜひ「しろくま電力」にお気軽にご相談いただきたい。
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 結論をまとめると 
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ここまでデータセンターの使用電力を節電し、電気代を削減する方法を解説してきた。さらに、電気代を大幅に安くするには、節電以外にも効果的な方法がある。それは、電気料金の単価を安くすることだ。
電気料金の単価は、電力会社やプランによって異なる。そのため、今より単価の安い電力会社やプランに切り替えれば、使用する電気の量は同じでも、電気代を下げることができる。節電と違い、電力会社の切り替えをするだけなので手間も少ない。
電力会社の法人向け電力プランには、以下のようにさまざまな種類がある。
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このようなプランの中からデータセンターの特性に合ったものを選べば、電気代を抑えながらコストの管理も簡単になるのだ。
「大手の電力会社の方が安心だ」と考えている方もいるかもしれない。しかし、新電力の中にも安心して利用できる企業はたくさんある。大手電力会社から新電力に切り替えたとしても、電気の質や停電リスクは変わらない。それどころか、電気代は安くなる可能性が高い。
まだ電力会社の見直しを検討したことがない法人は、一度、新電力に見積もりを取ってみていただきたい。どれくらい電気代が安くなるのかを確認した上で、切り替えを検討してみるといいだろう。
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しろくま電力では、高圧・特別高圧の電力を使用する法人向けに電力プランを提供している。
しろくま電力の強みは「電気代の安さ」と「業界トップクラスのプラン数」だ。電気代が大手電力より安いのはもちろん、「電気代をとにかく安くしたいから市場連動型プラン」「価格の安定性も重視したいから燃調リンクプラン」など、ニーズに合わせて電力プランを選ぶことができる。中には電気代を45%(1.5億円)削減した事例もある。プランをカスタマイズし、御社だけの電力プランを作ることも可能だ。
しろくま電力は、病院や宿泊施設、店舗などさまざまな施設・法人に導入いただき、電気代の削減を実現している。例えば、以下はしろくま電力に切り替えた法人が電気代をどれほど削減できたかの実績の一部である。
さらに、以下はしろくま電力を導入する主な企業・自治体である。
多くの法人から、低価格であることが好評で、契約更新率は92%を超えた。
また、しろくま電力の電気は全てCO2を一切排出しない実質再生可能エネルギーだ。電気を切り替えるだけで御社のCO2削減量を減らすことができる。
見積もりは「複数のプランの電気代の提示」や「現在の契約先との電気代・CO2削減量の比較」にも対応している。「どれがいいかわからない」法人にはこちらからプランを提案することも可能だ。
見積もりだけでなく「プランについて説明してほしい」「なぜ安いのか、本当に倒産しないか知りたい」といった面談も行っている。切り替えを検討中でなくとも、気軽にお問い合わせいただきたい。