※この記事は2025年4月11日に最新の情報に更新されました。
「電気代が高い」「また値上げへ」といったニュースをよく目にするが、実際に電気代がどのような推移で上がっているのか、ご存知だろうか?
そこでこの記事では、電気代の推移を解説し、なぜ高いのか、今後電気代がどのようになるかを説明。最後に法人ができる電気代の削減方法を解説する。
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最初に、法人向け(高圧・特別高圧・低圧)の電気代がどれだけ上がっているのか、その推移を見ていく。
以下は新電力ネットが発表した、高圧の電気代(全国平均)の推移だ。
2020年以降、高圧の電気代は値上げが続いており、2023年1月には約2.1倍となる27.49円/kWhまで値上がりした。
2023年以降は燃料費の高騰が落ち着き、電気代は一旦安くなっている。しかし2024年は高止まりが続き、後半からはまた値上げ局面に入った。2025年現在も電気代は高いのが現状だ。
続いて、特別高圧の電気代の推移を見ていく。
特別高圧の電気代は、2020〜2021年には10円/kWhを切ることもあった。しかしそれ以降は値上げが続き、2023年4月の電気代は2021年1月の約2.5倍となる24.20円/kWhまで値上がりした。
高圧電力と同じように、2023年に電気代は多少下落したものの、その後は高止まりが続き、2024年後半から2025年にかけて電気代が値上がりする状態となっている。
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次に低圧電力の電気代の推移を見ていこう。
低圧の電気代は2021年2月に19.43円/kWhまで下がったものの、それ以降はしばらく値上げが続き、2023年1月には31.25円/kWhとなった。この2年の間に、電気代は平均して1.6倍も上がった。
2023年以降は高圧・特別高圧と同じように電気代が下がったが、それでも高止まりが続き、2023年後半からはまた値上がりする事態となっている。2024年には電気代が2022年度並みの水準にまで戻っており、2025年現在も電気代は安くなっていない。
ここまで電気代が上がっていること、大手電力はさらに値上げすることを解説した。法人向けの電気代が高い理由としては、主に下記の6つが挙げられる。
①大手電力会社の「基本料金・電力量料金の値上げ」
②燃料費高騰による「燃料費調整額の値上げ」
③再エネ導入量増加による「再エネ賦課金の値上げ」
④レベニューキャップ制度開始による「託送料金の値上げ」
⑤容量市場開始による「容量拠出金の上乗せ」
⑥電力需給のひっ迫による「発電コストの値上げ」
それぞれの電気代値上げの原因について、わかりやすく解説していく。
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電気代が高い理由の1つ目が、大手電力会社の基本料金・電力量料金の値上げだ。先述したように2023年4月より、大手電力会社7社が高圧・特別高圧向けの電気代を見直し、以下のように値上げを実施している(下図は高圧の電気代値上げ)。
昨今の燃料費高騰や電力需給のひっ迫などにより、発電コストが高騰。大手電力会社は値上げ分を電気代に転嫁できず、2022年度の決算は9社が数百億〜数千億円規模の赤字となった。
その結果、これまで値上がりしていなかった「基本料金」「電力量料金」の大幅な値上げを実施したため、電気代が上がっている。
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電気料金が高い2つ目の理由が、燃料費高騰による「燃料費調整額の値上げ」だ。下図のように、2020年以降、石油と天然ガス、石炭の輸入価格は高騰が続いている。
特に2022年に入って燃料費が大幅に値上がりしているが、燃料費が上がった主な原因は以下の3つだ。
・脱炭素の促進による化石燃料への投資撤退
・2022年ロシア・ウクライナ問題
・急激な円安ドル高の進行
化石燃料を手掛ける企業や火力発電所からの投資撤退(ダイベストメント)、さらにロシアが西側諸国の経済制裁に反発し燃料の輸出を制限した結果、化石燃料の供給量が減少した。
一方でコロナ禍からの景気回復に向けて世界的な需要量が増加しているため、燃料価格が高騰している。また急激な円安ドル高の進行も輸入価格高騰の一因だ。
こういった経緯から燃料費が高騰し、その影響で下図のように燃料費調整額も値上がりしている。
上図は東京電力の燃料費調整額(特別高圧)の推移だ。燃料費調整額は「半年前〜3ヶ月前の燃料費の平均額」を反映する場合が多いため、若干値上がりするタイミングにズレがあるが、2023年には10円/kWhを超えている。その後も燃料費が高止まりしているため、2025年に入っても燃料費調整額は高止まりが続いているのだ。
参考記事:【図解】電気代を左右する燃料費調整額とは?仕組みや今後の推移をわかりやすく解説
参考記事:カーボンニュートラルとは?意味や背景、実現に向けた世界の取り組みをわかりやすく解説
電気料金が高い3つ目の理由が、再エネ導入量増加による「再エネ賦課金の値上げ」だ。
(出典:公表されているデータをもとに弊社作成)
上図は再エネ賦課金の単価の推移をグラフにしたものだ。FIT制度がはじまった2012年度、再エネ賦課金の単価は0.22円/kWhだったが、2025年度には3.98円/kWhとなっている。
再エネ賦課金の単価が年々が上がっている理由は、再エネの導入量が増加し、買い取りにかかる費用が増えているからだ。2023年度には1.40円/kWhまで下がったが、またそれ以降は大幅に値上がりしている。
再エネ賦課金の単価の計算式や、2023年度に単価が下がった理由などは下記記事で解説している。
参考記事【図解】再エネ賦課金とは?仕組みと値上げが続く理由、今後の予想をわかりやすく解説!
参考記事:再生可能エネルギーとは?メリット・デメリット、種類の一覧を簡単に解説!
参考記事:RE100とは?仕組みや日本の加盟企業についてわかりやすく解説
電気代が高い4つ目の理由が、2023年4月から託送料金が上がっているからだ。
託送料金とは送電線の使用料のことで、電力会社から電気を購入する場合に支払う必要がある。この送電線の管理を行うのは送配電事業者とよばれる事業者だが、これまで、送配電事業者の利益は国によって約束されていた。
しかし2023年4月より、送配電事業者の利益を確保せず、各社にコストの効率化を促すことで利益を捻出させる「レベニューキャップ制度」がスタート。これによって2023年4月より託送料金が上がっているのだ。
しかし、この制度で各社ともにコストを効率化させる必要があるため、今後、託送料金は下がっていくものと考えられる。詳しい値上げ幅や、託送料金とレベニューキャップ制度の解説は下記記事で行っている。
参考:【2023年】託送料金とは?概要とレベニューキャップ制度をわかりやすく解説!
5つ目の原因が、容量市場の開始による「容量拠出金の上乗せ」だ。
2020年より、日本では容量市場というものがスタートしている。容量市場とは「4年後に必要となる電気の供給力」を売買する市場のことだ。もっとわかりやすく説明すると、電力が不足しないように前もって発電所のキャパを押さえる、というのが容量市場である。
2024年4月より、多くの電力会社は容量市場で押さえた発電所から電力を供給されている。電力会社はこの対価として「容量拠出金」を支払う必要があるのだ。そして多くの電力会社は、この「容量拠出金」を電気代に上乗せしている。これにより、契約している電力会社によっては電気代が上がっている可能性があるのだ。
6つ目の原因が、電力需給のひっ迫である。電力需給のひっ迫とは、需要量が供給量ギリギリとなり、電気の予備がほとんどない状態を指す。
これは電力会社の仕入れ値が上がる原因のため、直ちに電気代に影響するものではない。しかし、電力会社が赤字となれば、電気代を引き上げざるを得ないため、電気代にも影響する。
上図は、日本の電力供給量の推移だ。図を見ると、2010年以降、日本では供給量が減少していることがわかる。電力供給量が減少した理由は以下の2つだ。
・東日本大震災による原子力発電所の停止
・電力自由化による老朽化の進んだ火力発電所の廃止
2011年に東日本大震災が発生し、原子力発電所の停止が相次いだ。2010年では約25%を占めていたが、2020年には約4%まで減少したのである。これによって、日本では発電量が減少した。
そして2000年から始まった電力自由化により、多くの新電力が小売電気事業に参入。これによって電気代の価格競争が厳しくなり、大手電力会社は老朽化の進んだ火力発電所や、発電効率の悪い発電所を続々と廃止した。
これらが原因で電力の供給量が減少し、電力需給のひっ迫が多々発生している。これにより電気の仕入れ値が上がり、各電力会社は利益を出すためにも電気料金プランの見直しをせざるを得ない状況となっているのだ。
参考:電力需給のひっ迫はなぜ起きる?いつまで続く?
参考:【図解】新電力とは?電気代が安い会社の特徴、契約のメリットデメリットをわかりやすく解説!
参考:【図解】電力自由化とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
それでは、今後電気代はどのように推移していくと予測されるのか。結論から言うと、電気代は今後も上がる可能性が高いと考えられる。その主な理由は以下の3点だ。
①化石燃料費は今後も上がる可能性が高い
②再エネ賦課金が下がる見込みは薄い
③電気代の補助金が終了している
それぞれについて詳しく解説していく。
まず、電気代高騰の原因である「燃料費」について、今後も値上がりする可能性は高いと言えるだろう。これは燃料費高騰の主な原因である「ロシア・ウクライナ問題」が収束の見通しがついていないからだ。
ロシア・ウクライナ情勢以外にも、2023年10月より激化したイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘によってイスラエル産の天然ガスが一時21%値上がりしている。このように化石燃料費は社会情勢に大きく影響を受ける場合が多い。
さらに世界銀行、IEA(国際エネルギー機関)、EIA(米国エネルギー情報局)それぞれの予測を見ても、「石油・石炭・天然ガスの価格は上がり続ける」と結論が出ている。化石燃料を使い続けている限り、今後も電気代が高くなっていく可能性が高いといえるだろう。
再エネ賦課金は、FIT制度やFIP制度を通して国が買い取る再生可能エネルギーの量が多いほど高くなる。太陽光発電の場合、FIT制度は20年間続くため、FIT制度の終了案件が出始めるのは2032年以降だ。
そのため、2023年度のように単価が安くなる可能性はあるものの、基本的にはこの期間までは再エネ賦課金が値上がりするものと考えられる。特に2031年にピークを迎える可能性が非常に高いのだ。
政府はこれまで、以下のように電気代・ガス代の補助金を支給してきた。
電気・ガス価格激変緩和対策事業費補助金 |
・2023年1月〜2024年5月まで実施
・一般家庭が1.8〜7円/kWh、法人は0.9〜3.5円/kWhが補助された |
酷暑乗り切り緊急支援 | ・2024年8月〜10月まで実施 ・一般家庭が2.5〜4円/kWh、法人は1.3〜2.0円/kWhが補助された |
電気・ガス価格激変緩和対策事業費補助金 | ・2025年1月〜3月まで実施 ・一般家庭が2.5〜4円/kWh、法人は0.7〜1.3/kWhが補助された |
しかし、これらの電気代の補助金は現在実施されていない。今後、実施されるかは未定であるため、電気代が安くなる可能性は低いと言えるだろう。ちなみに、初回の補助金に合わせて大手電力などは基本料金・電力量料金を大幅に値上げしているため注意が必要だ。
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ここまで、電気代の推移と値上がりする理由、電気代が今後どうなっていくのかを解説してきた。今後も電気代が上がる可能性が高いが、法人はどう対応すべきなのか?
それは、自社のニーズに合った電力プランを選び、電気代のコストパフォーマンスを高めることだ。
例えば、
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など、法人によって選ぶべき電力プランは異なるのである。
現在、大手電力あるいは新電力が提供する「法人向け電力プラン」を契約中の法人が多いのではないだろうか。実はこのプラン、法人によって多少単価に違いがあるものの、基本的にはどの法人に対しても電気代の仕組みは同じである。
「大手電力=安心」というイメージがあったり、現状から電力プランを見直すのは怖い、と感じるかもしれない。だがこれからは「自社にあった電力プランを選んで効率よく電気代を下げていく」取り組みが非常に重要なのである。
電力会社によっては「プランを会社ごとにカスタマイズできる」「適切な電力プランを提案してくれる」会社もあるため、電力会社選びが面倒な場合は、こうした法人から見積もりをとるのも一つの手だろう。
しろくま電力では、高圧・特別高圧の電力を使用する法人向けに電力プランを提供している。
しろくま電力の強みは「電気代の安さ」と「業界トップクラスのプラン数」だ。
電気代が大手電力より安いのはもちろん、「電気代をとにかく安くしたいから市場連動型プラン」「価格の安定性も重視したいから燃調リンクプラン」など、ニーズに合わせて電力プランを選ぶことができる。中には電気代を45%(1.5億円)削減したプランもある。プランをカスタマイズし、御社だけの電力プランを作ることも可能だ。
以下はしろくま電力を導入する主な企業・自治体である。
しろくま電力は、入札制(価格が安い場合に導入が決まる)を実施する数多くの自治体に対しても電力供給を行っている。多くの法人からも低価格であることが好評で、契約更新率は92%を超えた。
また、しろくま電力の電気は全てCO2を一切排出しない実質再生可能エネルギーだ。電気を切り替えるだけで御社のCO2削減量を減らすことができる。
見積もりは「複数のプランの電気代の提示」や「現在の契約先との電気代・CO2削減量の比較」にも対応している。「どれがいいかわからない」法人にはこちらからプランを提案することも可能だ。
見積もりだけでなく「プランについて説明してほしい」「なぜ安いのか、本当に倒産しないか知りたい」といった面談も行っている。切り替えを検討中でなくとも、気軽にお問い合わせいただきたい。