※この記事は2024年3月22日に最新の情報に更新されました。
電気代やCO2排出量を削減するために、太陽光発電設備の導入を検討する企業が増えている。自己託送は導入方法の1つだが、仕組みが複雑だ。オフサイトPPAとの違いがわからない、という方も多いのではないだろうか。
そこでこの記事では、自己託送の仕組みと利用条件、メリット・デメリット、オフサイトPPAとの違い、自己託送で活用できる補助金情報についてわかりやすく解説する。
参考:【図解】自家消費型の太陽光発電とは?メリット・注意点、PPAと自己所有の違いを徹底解説!
目次 |
自己託送とは、自社の敷地外に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を、送電線を使って電気の需要地点に供給する方法だ。
自己託送制度を利用するには、下記条件を全てクリアする必要がある。
①売電を行わず、電気を自家消費すること
②発電した電気は送電線を使って供給すること
③電気は「自社」「グループ企業」「密接な関係」に該当する企業にのみ供給すること
④電気の供給方法によっては「特定供給」の申請を行うこと
ここでは「密接な関係」や「特定供給」など、聞き馴染みのない言葉をわかりやすく解説していく。
電気事業法施行規則により、自己託送を行う場合、発電事業者(太陽光発電設備の所有者)と需要家の間に何らかの関係性を証明する必要がある。経済産業省の「自己託送に係る指針」をわかりやすく解説すると「密接な関係」に該当するのは以下のパターンだ。
①自社製品の生産において欠かせない企業
⇨原材料の仕入れ先や製造元など、自社製品の生産工程で欠かせない企業は密接な関係に該当する。
②親会社・子会社の関係にある企業
⇨グループ企業だけでなく、親会社・子会社の関係にある場合も密接な関係となる。
③該当企業の役員の過半数が自社役員の場合
⇨A社からB社に役員が派遣され、かつB社の役員の過半数を占める場合、密接な関係となる。
④長期的な関係が証明できる場合
⇨長期間取引が継続されていて、事業において欠かすことのできない企業は密接な関係となる。
⑤発電事業者と需要家が「組合」を設立する場合
⇨2021年に「電気事業法施行規則」が改正され、2社間に取引実績がなくとも、「組合」を設立すれば密接な関係とみなされることになった。
上記5つだけでなく、①〜③を総合的に判断し、単独で条件を満たしていなくても「密接な関係がある」とみなされる場合がある。
組合を設立するためには、経済産業省が定める次の条件をすべてクリアする必要がある(「自己託送に係る指針」をわかりやすく解説した)。
<組合の条件>
①組合が長期間存続することが契約書に明記されていること
②組合員の名簿を作成し、そこに2社間の担当者名が記載されていること
③契約書に電気料金の決定方法や設置工事費用の負担の方法が明記されていること
④運用する発電設備は再エネ由来のものであり、新設されたものであること
一般送配電事業者でない法人が、送電線を使って電気を供給することを特定供給という。特定供給を行う場合、経済産業大臣の認可が必要だ。
自己託送で特定供給の対象となるのは「A社が、A社とB社の太陽光発電設備から電気を供給してもらう場合」だ。それ以外は特定供給の申請を行う必要はない。
自己託送には2種類ある。それぞれについて解説していく。
1つ目が自社所有モデルの自己託送だ。自社所有モデルでは、発電設備の設置費用・メンテナンス費用を需要家が負担する必要がある。
しかし発電設備と発電された電気の所有権は需要家にあるため、電気自体は無料で使用可能だ(別途、送電線の使用料金が必要)。また自社所有モデルの場合、複数の拠点に電気を供給できる。仕組みを図にすると以下のようになる。
2つ目が第三者所有モデル(PPAモデル)の自己託送だ。第三者所有モデルでは、PPA事業者が太陽光発電設備を設置し、発電した電気を需要家が買い取って使用する。この方法は、直接型オフサイトPPAともいわれる。
自社所有モデルと違い、第三者所有モデルは初期費用・維持費用ともに0円で太陽光発電設備の導入が可能だ。しかし設備・電気の所有権はPPA事業者にあるため、電気を買い取る必要がある。仕組みを図にすると以下のようになる。
自己託送(第三者所有モデル)を行う場合、需要家はPPA事業者と組合を作る必要がある。またこの方法では既存の発電所は使用できず、太陽光発電所を新設しなければいけない。
さらに第三者所有モデルで電気を供給できるのは1ヶ所のみである。このモデルで複数拠点への送電を許可すると、小売電気事業者との区別がつかなくなってしまう。そこで制約が設けられた。
参考:オフサイトPPAとは?オンサイトPPA・自己託送との違いをわかりやすく解説
参考:コーポレートPPAとは?仕組みと種類、メリットデメリットをわかりやすく解説!
次に自己託送を活用するメリットを5つ解説していく。
法人個人に関係なく、小売電気事業者から送電線を通して供給された電気には全て再エネ賦課金が発生する。自己託送も送電線を使用するが、小売電気事業者を介さないため再エネ賦課金が発生しないのだ。
再エネ賦課金は再エネの導入量が増えるにつれて値上がりしている。2023年度の再エネ賦課金単価は1.40円/kWhで、2022年度の3.45円/kWhからは大幅に下落した。しかしこれは一時的に下がっただけの可能性があり、2024年度以降は再び値上がりするリスクがある。
これらの費用を負担しなくて済むため、自己託送を活用することで、月々の電気料金が大幅に安くなる可能性があるのだ。
参考:【2024年最新】電気代の再エネ賦課金とは?仕組みと推移、値上げの理由と今後の予想をわかりやすく解説!
参考:【2024年最新】電気代を値上げする電力会社一覧!電気料金はどれくらい高くなる?
2つ目のメリットは、再エネ賦課金が免除されるだけでなく、電気料金自体が大幅に安くなる可能性がある点だ。
例えば自社所有モデルの場合、需要家は託送料金(送電線の使用料金)を支払う必要があるが、電気自体は無料で使用できる。発電量を増やせば増やすほど電気料金を削減できるのだ。複数拠点に電気が供給できるため、企業グループ全体の電気代が安くなる。
第三者所有モデルでは、単価はPPA事業者との契約時に決まるが、通常の電気料金よりも安くなる可能性がある。また単価は契約期間中固定のため、電気料金の高騰リスクも軽減できる。この場合も、発電量が増えれば増えるだけ電気料金が安くなる可能性があるのだ。
参考:【2024年最新】電気代値上げを徹底解説!現状と推移、高い理由、今後の見通し、電気料金を安くする方法とは
3つ目のメリットが、CO2排出量を大幅に削減できる点だ。太陽光発電は二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーのため、発電量が増えれば増えるほど、CO2排出量を削減できる。
そのため「RE100に加盟したい」「グループ全体でカーボンニュートラルを実現したい」「取引先からCO2削減を求められている」といった法人が自己託送に取り組むケースが増えている。
参考:再生可能エネルギーとは?メリット・デメリット、種類の一覧を簡単に解説!
参考:RE100とは?特徴やメリット、日本の加盟企業などをわかりやすく解説!
4つ目のメリットが、以下のように自社敷地内に太陽光発電設備を設置できない法人でも、導入できる点だ。
・自社敷地内に発電設備を設置するスペースがない
・ビルや工場の老朽化が進み、屋根上に太陽光発電設備を設置できない
・オフィスや工場が塩害地域、強風が起きやすい地域にある
自己託送は自社敷地外に太陽光発電設備を設置するため、こういった条件に左右されない。また土地の広さに応じて発電量を増やせるため、電気使用量が多い法人が自己託送に取り組むケースが増えている。
5つ目のメリットが、発電した電気を無駄なく使用できる点だ。これは自社所有モデルの場合に当てはまる。自社敷地内に太陽光発電設備を設置する場合、休日などは余剰電力(電気の余り)が発生する。
蓄電池を併用すれば余剰電力を貯められるが、導入していないと電気を捨てることになってしまう。しかし自己託送(自社所有モデル)なら複数拠点に送電できるため、余剰電力を効率よく消費できるのだ。
次に自己託送制度のデメリット・注意点を説明していく。
1つ目のデメリットが、自己託送では託送料金が発生する点だ。託送料金とは送電線の使用料のことで、通常の電気代にも含まれている。
2023年4月より、託送料金はレベニューキャップ制度の開始で値上がりすることになった。詳しい金額や、託送料金が今後どうなっていくのかについては、下記記事でわかりやすく解説している。
参考:【2024年】託送料金とは?概要とレベニューキャップ制度をわかりやすく解説!
2つ目のデメリットが、電気の需給管理を行う必要がある点だ。
自己託送では送電線を使うため、送配電事業者と契約しなければいけない。契約にあたっては「計画値同時同量」を守る必要がある。30分ごとに「電気をどれだけ作る(使う)予定か」「電気をどれだけ作ったか(使ったか)」を報告しなければいけないのだ。
送電線には容量がある。もし全員が電気を好きなように使うと送電線がパンクしてしまい、大規模停電が発生するリスクがある。それを防ぐために、この対応が必要だ。
インバランスとは、計画した電力量と実績の電力量の差分のこと。インバランス料金には、発電インバランスと需要インバランスの2つがある。
発電インバランスは、計画通りに発電できなかった場合に発生する。発電計画に対して、実際の発電量が多かった場合には「余剰インバランス」、少なかった場合には「不足インバランス」としてペナルティ料金が必要だ。
計画通りに使用しなかった場合に発生するのが「需要インバランス」だ。需要計画に対して、実際の電気使用量が多かった場合には「不足インバランス」、少なかった場合には「余剰インバランス」としてペナルティ料金が発生する。
インバランス料金はJEPXの市場価格をもとに決まる。エリアと時間、また余剰インバランスか不足インバランスかで単価も変わるため要注意だ。具体的な価格は「インバランス料金情報公表ウェブサイト」で見られる。
参考:【図解】JEPXとは?取引の仕組みや市場価格の推移をわかりやすく解説!
4つ目のデメリットが、自己託送の場合、蓄電池を併用しても非常用電源としては期待できない点だ。
オンサイトPPAの場合、蓄電池を併用すれば、貯めた電気を停電時などに使用できる。しかし自己託送では送電線を使うため、停電すると電気が供給できなくなってしまう。非常用電源やBCP対策としての効果が期待できないのだ。
参考:【2024年最新】BCP対策とは?目的や策定方法・運用のポイントをわかりやすく解説!
自己託送の「自社所有モデル」と「第三者所有モデル(直接型オフサイトPPA)」について説明した。これらと似たモデルに「オフサイトPPA(間接型オフサイトPPA)」がある。
オフサイトPPAとは、PPA事業者が需要家の「敷地外」に太陽光発電設備を設置し、送電線を通して需要家に電気を供給する方法だ。PPAモデルの一種で、需要家はPPA事業者から電気を買い取って使用する。
自己託送(第三者所有モデル)と、オフサイトPPAの主な違いは以下の3点だ。
①自己託送(第三者所有モデル)は再エネ賦課金が発生しない。オフサイトPPAは発生する。
⇨オフサイトPPAは小売電気事業者を間に挟む必要がある。そのため直接型、間接型と区別されている
②自己託送(第三者所有モデル)は1つの拠点しか送電できない。オフサイトPPAは複数拠点に送電できる
③自己託送(第三者所有モデル)は高圧以上の発電所でしか活用できない。オフサイトPPAは低圧の発電所でも活用できる
自己託送(自社所有モデル)と自己託送(第三者所有モデル)とオフサイトPPAの違いを図にすると、以下のようになる。
しかし東京都が実施する「再エネ設備の新規導入につながる電力調達構築事業」では、自己託送が助成対象となっている。最大2億円が補助されるため、需要地点が都内の法人は申請するのも手だろう。
参考:【2024年最新】太陽光発電の補助金情報をわかりやすく解説!設置費用6割減!
参考:【2024年最新】東京都の太陽光発電の補助金・助成金情報をわかりやすく解説!
しろくま電力は太陽光発電所の導入にあたり、適地探しから土地開発、資材調達、施工までを一気通貫で行っている。自己託送も対応可能だ。しろくま電力で太陽光発電を設備するメリットは以下の4点である。
・大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績
・設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力
・日射量データとAIを駆使した適地探し
・経験豊富なスタッフが需給管理を担当
それぞれについて、詳しく解説していく。
しろくま電力は、これまでに累計214.9MW分の太陽光発電所を施工してきた。メガソーラーをはじめとする大規模発電所や、店舗の駐車場に設置するソーラーカーポートなど、施工実績が豊富だ。
土地開発から施工にいたるまで、ほぼ全ての業務を内製化する中で培った独自のノウハウを活かし、高品質の太陽光発電所を設置する。
2つ目のメリットが技術力の高さだ。しろくま電力は現場の施工に加え、施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。これにより、100m横の敷地に立った左の発電所よりも、22%も発電量を増やすことに成功した。
また太陽光発電設備は、屋根上や遊休地はもちろん、水の上や遠隔地、駐車場にも設置できる。特に駐車場に設置するソーラーカーポートには強いこだわりがあり、一級建築士監修のもと、2年もの歳月をかけて改良を重ねてきた。
上図左側のように、従来のソーラーカーポートは4本足で、駐車や扉の開閉がしづらく、相場も高い。しかししろくま電力では、前方に足がない2本足タイプを開発。これによって駐車しやすく、扉の開け閉めが容易になった。
ソーラーカーポートの価格についても、資材の大量輸入や業務効率のいい工法の開発などにより、業界トップクラスの低価格で対応する。PPAモデルを活用すれば、初期費用0円でソーラーカーポートや太陽光発電設備を導入することもできる。
参考:しろくま電力の「しろくまカーポート」紹介ページ
参考:【図解】ソーラーカーポートとは?価格相場や導入メリットデメリット、補助金情報を解説!
参考:【2024年最新】ソーラーカーポート、設置費用3割減!補助金情報をわかりやすく解説!
しろくま電力には土地開発チームがあるため、オフサイトPPAモデルを行う場合、土地探しから土地開発、施工までを一貫して実施できる。
土地探しの際は、自社で開発した「再生可能エネルギー適地検索システム」を活用。日射量データや該当エリアの系統の空き容量、土地の情報などのデータを学習したAIが、152万に分割した日本の土地の中から発電所の適地を見つけだす。
参考記事:オフサイトPPAとは?オンサイトPPA・自己託送との違いをわかりやすく解説
自己託送では30分単位の需給管理を行う必要がある。しろくま電力は小売電力事業「しろくま電力」を展開しており、電気の需給予測・管理を手がけてきた。
自己託送でも、経験豊富なスタッフが需給管理を対応する。そのため、安心して太陽光発電設備を導入し、自家消費することが可能だ。
しろくま電力では、豊富な実績と高い技術力を活かし、国内企業の脱炭素や電気料金の高騰リスク軽減を全力でサポートする。
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