業務用電力とは、法人向けの電力プランの一つだ。オフィスビルや大型商業施設など、電気を多く使う施設に提供されている。それでは、業務用電力は他の電力プランと比較して、どういった特徴があるのだろうか?
そこでこの記事では、業務用電力の基本的な情報から、電気代の計算方法、業務用電力を提供する電力会社の選び方まで、わかりやすく解説する。
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この記事を読んでわかること
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結論をまとめると
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最初に、業務用電力の基本知識について解説していく。
業務用電力とは、オフィスビルや店舗、病院、商業施設といった「業務を行う場所」に提供される、法人向け電力プランの一つだ。オフィスビルや店舗、病院のように、
といった特徴を持つ業種が「業務用電力」の契約対象となる。
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業務用電力プランはオフィスビルや店舗、病院、商業施設といった「業務を行う場所」に提供されると説明した。そして以下のように、業務用電力は条件に応じて「高圧」「特別高圧」に分類される。
高圧電力 | 特別高圧電力 | |
契約電力 | 50kW以上2,000kW | 2,000kW以上 |
電圧 | 6,000V以上 | 20,000V以上 |
主な供給対象 | 中小規模のオフィスビル、店舗、商業施設、病院など | 大規模な病院やオフィスビル、ショッピングモール、デパートなど |
大抵の場合、業務用電力は高圧電力に分類されるだろう。しかし、大規模な病院やオフィスビル、百貨店、大学、空港といった施設は特別高圧に該当するケースがあるため、そうした場合は特別高圧向けの業務用電力が提供される。
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ここまで業務用電力の概要を説明した。業務用電力プランはさまざまな電力会社が提供しているが、新規申込の受付を終了する電力会社も現れている。
例えば東京電力は、2025年3月で新規申込を終了しており、現在契約中の法人に対しても2026年3月で提供をやめることが決まっている。その代わりに、2024年から提供する「ベーシックプラン・市場調整ゼロプラン・市場価格連動プラン」に移行する予定だ。
どの電力会社も収益化に苦戦しており、電力供給の仕組みが変わりつつある。こうした点から、今後、東京電力のように業務用電力を終了する電力会社が増える可能性があることを知っておこう。
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結論をまとめると
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業務用電力は、オフィスビルや店舗、病院、商業施設といった「業務を行う場所」に提供される法人向け電力プランであることを説明した。
それでは業務用電力の電気代にはどういった特徴があるのだろうか? ここからは業務用電力の電気代について解説していく。
業務用電力プランをはじめ、電気代は以下の内訳で成り立っている。
電気料金 = 基本料金 +(電力量単価 ± 燃料費調整単価 + 再エネ賦課金)× 電力使用量
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定額の基本料金があり、電力使用量に応じて電気代が算出される仕組みだ。4つの内訳の内容は、以下の通りである。
基本料金 | ・電気の使用量に関係なく毎月定額で発生する料金のこと ・基本料金の価格は契約時に決定する |
電力量料金 | ・使用した電力量に応じて請求される料金のこと ・単価があり、それに電力使用量をかけたものが請求される |
燃料費調整額 | ・火力発電で使う燃料費の変動分を1kWhあたりの単価に落とし込んだもの ・電力量料金と同じく、単価に電力使用量をかけたものが請求される。燃料費調整単価は毎月変動する |
再エネ賦課金 | ・国が太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」の買い取りにかかった費用を電気代に反映したもの ・こちらも単価に電力使用量をかけたものが請求される ・単価は毎年、国が決定するため、電力会社ごとに違いはない |
電力会社によっては、火力発電で使用する燃料費の平均額を反映した「燃料費調整額」でなく、JEPX(電力の卸市場)で仕入れた電気代の変動分を反映した「市場価格調整項」や「電源調達調整費」といった名目で請求するケースもある。
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業務用電力は4つの内訳から成り立つと説明した。それでは、業務用電力の電気代の特徴としてはどういうものが挙げられるだろうか?
基本料金 | 電力量料金(夏季) | 電力量料金(その他) | |
業務用電力(高圧) | 1,890.00円/kW | 20.32円/kWh | 19.16円/kWh |
高圧電力 | 1,989.00円/kW | 18.94円/kWh | 17.93円/kWh |
(出典:東京電力EP「電気料金単価表」)
上図は東京電力EPの電気代の単価を比較したものだ。ここからもわかるように、業務用電力の電気代は、通常のプランよりも基本料金が若干安く、電力量料金が若干高い傾向にある。
この理由は、業務用電力を扱う施設は電気の使用効率があまり良くないからだ。
オフィスビルなどは待機電力が多く、使ったとしても空調や照明が中心になるなど、工場のように常に多くの電力を消費し続けることはほとんどない。そのため、基本料金を安くする代わりに電力量料金を少し割高にする電力会社が多いのである。
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先ほどの図からもわかるが、業務用電力は夏季(7/1〜9/30)とその他の季節によって料金単価がわかれている。さらに関西電力の「高圧電力AS‑TOU」という業務用電力プランのように、季節だけでなく、時間帯によって電気代が異なるプランもある。
昼間に電力を多く使う場合は「通常の業務用電力プラン」で問題ないだろう。しかしホテルや24時間営業の店舗など、夜間・休日に電力を多く使う法人は「TOUの業務用電力プラン」にした方が電気代が安くなる可能性がある。
ここまで業務用電力プランの電気代の特徴を解説してきた。それでは実際に大手電力会社の単価はどうなっているのかを簡単に理解しておこう。
基本料金 | 電力量料金 | |
北海道電力 | 2,642.60円/kW | 23.29円/kWh |
東北電力 | 2,031.70円/kW | 夏季:31.67円/kWh その他季:30.47円/kWh |
東京電力エナジーパートナー | 1,890.00円/kW | 夏季:19.93円/kWh その他季:18.77円/kWh |
中部電力ミライズ | 1,738.26円/kW | 夏季:19.75円/kWh その他季:18.75円/kWh |
北陸電力 | 1,876.00円/kW | 夏季:27.53円/kWh その他季:27.53円/kWh |
関西電力 | 1,911.80円/kW | 夏季:18.07円/kWh その他季:17.00円/kWh |
中国電力 | 1,996.50円/kW | 夏季:22.17円/kWh その他季:20.73円/kWh |
四国電力 | 1,665.08円/kW | 夏季:28.66円/kWh その他季:27.48円/kWh |
九州電力 | 2,142.78円/kW | 夏季:16.98円/kWh その他季:16.05円/kWh |
このように、業務用電力は季節に応じて単価が分かれていることが多い。しかしこれはあくまでも一般的な単価であるため、正確な単価を知りたい場合は見積もりをとることをおすすめする。
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結論をまとめると
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ここまで業務用電力の電気代の特徴を説明してきた。法人向け電力プランの中には「産業用電力」や「高圧電力」のように、業務用電力と似ている言葉があるが、これらの意味を説明することができるだろうか?
ここからは業務用電力と産業用電力、高圧電力の違いについて解説していく。
まず、業務用電力と産業用電力の違いを見ていこう。産業用電力とは、業務用電力と同じく、法人向け電力プランの一つだ。業務用電力と産業用電力で違うのは「対象となる施設」である。
業務用電力 | ・オフィスビルや商業施設、病院のように「空調や照明など待機電力が大きい設備」を多く所有する施設が対象 ・基本料金はやや安めだが、電力量料金はやや高め |
産業用電力 | 工場や製造業などのように「モーターや工作機械などで連続して多くの電力を使う」設備が対象 ・基本料金はやや高めだが、電力量料金はやや安い |
上図のように、業種や施設によって電力の使用効率や使用量が異なるため、電力会社はプラン名を区分し、電気料金にも違いを持たせているのだ。
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次に業務用電力と高圧電力の違いを解説する。業務用電力と高圧電力は同じ「電力」だが、実際の内容は全く違う。一言でいうなら、業務用電力は「電力プラン」で、高圧電力は「法人の区分」である。
先ほども軽く説明したが、高圧電力とは「契約区分」のことだ。契約電力が50kW以上2,000kW未満で、供給電圧が6,000V以上の場合は高圧に該当する。逆に数値が満たない場合は「低圧電力」、それ以上の場合は「特別高圧電力」に区分されるのだ。
一方、業務用電力とは何度も説明したように電力プランの一種である。「高圧電力の業務用電力プラン」「特別高圧電力の業務用電力プラン」のように語られるのだ。そのため、これらは全く別軸のものであることを理解しておこう。
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業務用電力と産業用電力、高圧電力の違いをまとめると以下のようになる。
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このように、似た用語でも意味が全く違うことを理解しておこう。
業務用電力 | 産業用電力 | 高圧電力 | |
役割 | 電力の契約プラン (電灯や動力を使う 事業所向け) |
電力の契約プラン (動力の使用が中心となる 事業所向け) |
受電電圧の区分 |
対象施設 | オフィスビル、商業施設など | 工場など | 商業施設、工場など (50kW以上 2,000kW未満の施設) |
結論をまとめると 業務用電力を提供する電力会社の選び方は以下の2つ①複数の電力会社比較 ②電気代以外の付加価値への考慮 |
ここまで、業務用電力と高圧電力・産業用電力の違いを解説してきた。電力を使う施設などで名称が変わることがわかったが、業務用電力を提供する電力会社と契約する場合、どのようにして電力会社を選べばいいのだろうか。
ここからは、業務用電力を提供する電力会社の選び方を解説していく。
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まず重要なのが、一社だけの見積もりで契約を決めないことだ。電力自由化により、大手電力会社だけでなく、さまざまな電力会社(俗に言う「新電力」)が誕生している。
新電力の大半は「大手よりも電気代が安い」ことを売りにしているため、こうした新電力からも見積もりをとり、電気代を比較した上で契約先を決めるようにしよう。
中には「新電力は停電が増える」という心配もあるかもしれない。しかし、新電力も大手電力と同じ送電線を使っており、停電リスクは大手と全く同じため安心していただきたい。
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次に重要なのが、環境価値や契約の一本化など、電気代以外の付加価値も考慮することだ。電力会社によっては、CO2を排出しない再生可能エネルギー由来の電力を提供する場合がある。こうした電力会社にすれば、CO2排出量を大幅に削減でき、RE100への参加条件や省エネ法の課題のクリアもできる。
また、複数エリアに拠点がある法人は、契約が一本化できる電力会社を選ぶのも一つの手だ。大手電力会社の場合、エリアが異なれば、その地域の大手電力と契約する必要が発生し、管理の手間になってしまう。
他にも、契約期間や解約条件も確認するようにしよう。家庭向け電力プランと異なり、法人の違約金は数百万円〜数千万円になる場合がある。
このように、電気代に加えて、それ以外の付加価値も考慮した上で電力会社を選ぶといいだろう。
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結論をまとめると
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ここまで業務用電力について色々と解説してきたが、ご理解いただけただろうか?
業務用電力を契約する場合、見積もりをとることが重要だと説明したが、電気代をさらに安くしたい場合は、自社にあった電力プランを選ぶことが大切だ。
近年では法人向けの電力プランも多様化が進み、以下のようにさまざまなプランが生まれている。
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このように、自社に合わせた電力プランを選ぶことで、電気代削減効果を高られるのに加え、電気代の管理なども容易になる可能性がある。
どうしても「大手電力会社=安心」「新電力=不安」というイメージがあるかもしれないが、新電力の中にも倒産リスクがない法人は非常にたくさん存在する。
格安simのように、電力会社を切り替えても「電気の質」「停電リスク」は変わらないため、法人は一度、新電力に見積もりをとり、どれくらい電気代が安くなるかを確認してみるといいだろう。
電力会社によっては「プランを会社ごとにカスタマイズできる」「適切な電力プランを提案してくれる」会社もあるため、工数を減らすためにも、こうしたサービスを活用するといいだろう。
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しろくま電力では、高圧・特別高圧の電力を使用する法人向けに電力プランを提供している。しろくま電力の強みは「電気代の安さ」と「業界トップクラスのプラン数」だ。
電気代が大手電力より安いのはもちろん、「電気代をとにかく安くしたいから市場連動型プラン」「価格の安定性も重視したいから燃調リンクプラン」など、ニーズに合わせて電力プランを選ぶことができる。
平均の電気代削減率は22%で、中には電気代を45%(1.5億円)削減したプランもある。プランをカスタマイズし、御社だけの電力プランを作ることも可能だ。しろくま電力は商業施設・店舗の電気代削減実績を活かし、御社の電気代削減に貢献する。
以下はしろくま電力を導入する主な企業・自治体である。
しろくま電力は、入札制(価格が安い場合に導入が決まる)を実施する数多くの自治体に対しても電力供給を行っている。多くの法人からも低価格であることが好評で、契約更新率は92%を超えた。
また、しろくま電力の電気は全てCO2を一切排出しない実質再生可能エネルギーだ。電気を切り替えるだけで御社のCO2削減量を減らすことができる。
見積もりは「複数のプランの電気代の提示」や「現在の契約先との電気代・CO2削減量の比較」にも対応している。「どれがいいかわからない」法人にはこちらからプランを提案することも可能だ。
見積もりだけでなく「プランについて説明してほしい」「なぜ安いのか、本当に倒産しないか知りたい」といった面談も行っている。切り替えを検討中でなくとも、気軽にお問い合わせいただきたい。