※この記事は2024年11月18日に最新の内容に更新されました。
電気代を安くするために、電力会社の変更を検討中の法人も多いのではないだろうか?
そこで検討したいのが新電力だ。新電力とは、2000年以降に新規参入した電力会社のこと。自社に合った新電力を選ぶことで電気代が安くなるなど、多くのメリットがある。しかし、選び方を間違えると電気代が高くなってしまうリスクもあるため注意が必要だ。
この記事では、電力会社選びで失敗しないために、電力会社や電気料金プランを選ぶ上で重視したいポイントを解説。電気代を安くする方法を紹介する。
この記事でわかること ・なぜ電力会社を乗り換えられるようになったの? |
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結論をまとめると ・2000年から始まった電力自由化により、法人は新電力と契約できるようになった。 ・新電力の「電気の質」「停電リスク」は大手電力と全く同じものである。 |
冒頭でも述べたが、新電力とは、電力自由化以降に新規参入した小売電気事業者(電力会社)のことだ。
かつて電気小売業界は、東京電力や関西電力など、各地域にある大手電力会社10社が独占していた。しかし2000年から電力の小売自由化が進められ、2016年に完全自由化したことで民間企業が続々と新規参入できるようになった。
新電力の運営企業はガス会社や石油会社、通信会社や住宅メーカーなど、電力とは関係のない企業ばかりである。経済産業省から認可を受けた法人のみ、電力小売事業の参入を認められている。
新電力は大手電力会社と違い、ほとんどの企業が発電設備を所有していない。JEPX(日本卸電力取引所)とよばれる卸売市場から電気を仕入れ、それを需要家に供給している(JEPXが販売する電気の価格を市場価格と呼ぶ)。流れとしては下記のようになる。
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新電力で多い質問は3つある。「新電力は電気の質が悪い?」「新電力はすぐに停電する?」「倒産したらどうなるのか?」というものだ。
1つ目に対して、電気はどれも同じなので質を心配する必要はない。また新電力の電気は大手電力会社と同じ送配電線を通して需要家に届けられる。停電リスクは大手電力会社と同じだ。
さらに新電力が倒産しても電気は止まらないのでご安心いただきたい。もし電力会社との契約がなくなっても最終保障供給という制度に切り替わって電気が供給されるため、法人はつねに電気を使い続けることができる。
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結論をまとめると ・法人が電力会社を乗り換える最大のメリットは「電気代が安くなる可能性が高い」こと。 ・CO2排出量削減や電力契約の一本化など、価格以外のコスト削減効果も期待できる。 |
高圧・特別高圧の法人が新電力に切り替えることで多くのメリットがある。次にそのメリットを説明していく。
法人が新電力に乗り換える最大のメリットは、電気代が安くなる可能性がある点だ。電力の小売自由化により、大半の新電力は「大手よりも電気代が安い」ことを売りに規模を伸ばしている。
多くの新電力は設備投資をせずにJEPXから電気を仕入れたり、経費を極限まで削減したりすることで、低価格での電力供給を実現しているのだ。そのため、新電力に乗り換えることで電気代が安くなる可能性がある。
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法人が新電力に切り替える2つ目のメリットが、複数エリアの契約を一社にまとめられる点だ。これまでは全国に拠点がある企業の場合、各エリアの大手電力会社と契約する必要があった。
しかし新電力の場合、全国エリアに対応しているケースがある。そういった新電力なら、全国の複数エリアに拠点があったとしても、電気料金の支払いや管理を一本化することが可能だ。
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新電力に切り替える3つ目のメリットが、新電力によってはCO2を排出しない電力プランを利用できる点だ。新電力の中には、非化石証書などの環境価値と電気をセットで販売する企業がある。
こうした電気に切り替えることで「自社で使用する電気はCO2を排出していない」という証明になるのだ。自社で使用する電気を脱炭素化できるため、カーボンニュートラルや脱炭素経営に取り組んでいる企業は、こうした新電力と契約を結ぶのも一つの手だろう。
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新電力に切り替える4つ目のメリットが、地域貢献ができる点だ。新電力は民間企業だけでなく、地方自治体が経営しているケースがある。そのため地元自治体や応援したい地域・発電事業者などを選び、電力契約を結ぶことも可能だ。
結論をまとめると ・電力会社の選び方を誤ると、法人の電気代は上がるリスクがある。 ・倒産リスクも0ではないため、選び方を誤らないことが大切。 |
新電力にはメリットがある一方で、以下のようにデメリットや注意点も存在する。
・電気代が必ず安くなるとは限らない
・新電力には倒産リスクがある
まず注意すべきが、新電力に乗り換えたから必ず安くなるわけではないという点だ。ここについては選び方を間違えないよう、詳しく解説するのでご安心いただきたい。
さらに新電力は大手と違って倒産リスクがある。新電力によっては大手よりも資金力がない場合があるため、2022年のように燃料費が上がって赤字が続くと倒産する可能性があるのだ。
事実、2022年の燃料費高騰などによって苦境に立たされる新電力が増えており、2024年3月時点で706社中119社が倒産している(全体の約16.9%)。こうしたリスクを避ける方法についても後ほど詳しく解説する。
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結論をまとめると ・法人の電力会社の選び方で重要なのは「本当に電気代が安くなるのか?」をちゃんと比較すること。 ・基本料金0円、完全固定単価プランは逆に電気代が上がる可能性があるので要注意。 |
ここまで新電力の概要やメリット・デメリットを解説してきた。それでは、電力会社を切り替えたい法人はどういった点に注意すべきなのか? 法人の電力会社の選び方を解説していく。
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最初に注意すべきは「電気代」だ。多くの電力会社は法人向け電力プランの単価を公表しているため、乗り換えたら電気代が安くなるのか、電気代の単価を実際に比較することをオススメする(法人の場合、契約時の単価は変動する可能性がある)。
また「基本料金0円」「完全固定単価プラン」などの電力プランにも注意が必要だ。つい電気代が安いのだと錯覚してしまうが、他の箇所に電気代を上乗せしたり、そもそも単価が高い可能性がある。
電気代が本当に安くなるのか、不安な場合は見積もりをとるようにしよう。見積もりは一社だけでなく、複数社から相見積もりをとることをオススメする。
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次に注目したいポイントが、その新電力はどういう会社が経営していて、どれくらいの業界のシェア率があるのか、ということだ。
先述したように新電力には倒産リスクがある。契約中の新電力が倒産しても電気は継続して使用できるが、電力会社選びをもう一度行う必要が生じてしまう。特に聞いたことのない新電力は非常に危険だ。
こうした手間を避けるためにも、母体企業は信用に値するのか、資金力がありそうなのかを把握しておこう。
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3つ目のポイントが、その電気に環境価値があるかどうかだ。
環境価値とは、CO2を排出しないなど環境面の付加価値のこと。太陽光のような再生可能エネルギー由来の電気には環境価値がある。
カーボンニュートラルの実現に向け、CO2削減や脱炭素が求められる企業も多いだろう。この場合、環境価値のある電気に切り替えるだけで使用する電気を脱炭素化できる。
電気を脱炭素化すれば、取引先との関係を維持できるだけでなく、新規顧客や投資家、消費者へのアピール材料にもなり、ビジネスチャンスを拡大できるメリットもある。
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新電力の中には対象エリアを限定している企業もあるので注意が必要だ。新電力を選ぶ際は、電気の供給エリアを確認した方がいい。
特に複数の県や地域に支店がある法人の場合、全てのエリアに対応している新電力を選んだ方がいい。そうしないと複数の新電力と契約する必要があり、管理に手間がかかってしまう。
契約にあたっては「契約期間」と「違約金の有無」も重視した方がいい。今後も電気料金が上がるリスクがあり、他の新電力の方が安かったから切り替えたい、というケースも起こりうるからだ。
もし切替を検討する場合、契約期間内に乗り換えると違約金が発生する。違約金は、一般家庭の場合は2,000〜10,000円程度だが、高圧や特別高圧となると価格が一気に跳ね上がる。新電力によっては、1〜3ヶ月分の電気料金を違約金として請求すると定めている場合もあるので要注意だ。
契約後に後悔しないために「契約期間はどれだけあるのか」「途中解約の場合、違約金はいくらなのか」「更新費用やオプション費用などが発生するのか」を確認しよう。
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電力会社を選ぶにあたり、次に重視すべきが支払い方法だ。通常は口座振替やクレジットカード、振込支払い、電子決済などが選べるが、新電力によってはクレジットカードだけを受け付けるなど、支払い条件が特殊な場合がある。
契約前に必ず支払い方法や支払い条件を確認した上で電力会社を選ぶようにしよう。
次にチェックしておきたいのが、電力会社のキャンペーンの有無だ。新電力によっては、新規契約にあたってキャンペーンを実施している場合がある。
キャッシュバックキャンペーンや割引キャンペーンなど、場合によっては電気代を安くできる場合もあるため、こちらについても前もって確認することをお勧めする。
そして最も大切にしたいポイントが、新電力の料金プランだ。
もともと多くの新電力は「大手電力会社よりも電気料金が安い」ことを売りに規模を拡大してきた。しかし2025年現在、電気代高騰によってほとんどの新電力が価格面でのメリットを打ち出せていない。
新電力が提供する電気料金のプランは主に、一般的な料金プランと市場連動型プランの2種類がある。どちらも電気をJEPXから仕入れるのは同じだが、販売方法が違う。まずは一般的な料金プランの内訳を見ていく。
上図は、大手電力会社や大半の新電力が提供する一般的な電気料金プランの内訳だ。
このプランは各月ごとに燃料費調整額が変動するが、それ以外の単価は固定である。そのため、基本的には何時に電気を使っても電気の単価は変動しない。
このプランで電気代を安くしたい場合、節電して電気の消費量を減らすか、電力会社が電気代を下げるのを待つ必要がある。だが現在、電気料金の単価が安くなるどころか、多くの電力会社で値上げを行なっているのが現状である。
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次に市場連動型プランを見ていこう。市場連動型プランとは、電気代の単価(電力量料金)がJEPXの市場価格に連動して決まる電力プランのことだ。
市場価格は「燃料費」「需給状況」「天候状況」などに応じて30分ごとに変動する仕組みである。例えば、燃料費が安く、電気需要が少なく、晴れて太陽光発電の量が増えれば、市場価格は大幅に安くなるのだ。一方で、燃料費が高騰したり需給がひっ迫すれば高くなる。
市場連動型プランは、この市場価格に経費を上乗せした金額を電力量料金としている。市場価格が下がれば、月々の電気代も安くなるのだ。
最近は太陽光発電の導入が進み、市場価格が最安値である0.01円/kWとなるケースも増えているため、条件が揃えば電気料金を大幅に削減できる。特に工場やオフィス、旅館など、昼間に電気を多く使う法人には非常にオススメだ。
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結論をまとめると ・通常の電力プランは、もはや仕入れ値に基づいた価格設定になっていない。 |
先述したように、2025年現在、新電力の倒産や事業撤退が後を絶たない。2025年時点で、新電力の全体の約2割が倒産・事業撤退した。そして不思議なことに、この中には値上げを行ったにも関わらず倒産した新電力の名前もある。
電気代を値上げした新電力が、なぜ倒産や事業撤退に踏み切るのか。
この理由は2つ。1つは、倒産・撤退した新電力のほとんどが一般的なプランを提供しているから。そしてもう1つが、一般的な料金プランでは電気代高騰に対応できないからである。
これまでは燃料費が安いため、一般的なプランでも利益を出すことができた。しかし今は燃料費が高騰しており、仕入れ値が売上を上回り、莫大な赤字が発生する事態となっている。
かといって電気代を値上げしようとしても、市場価格の動きが不透明なため、値上げ幅の見極めが難しい。2022年以降、多くの新電力が高圧・特別高圧の電気代を1.5〜2倍に値上げした。それでも赤字から抜け出せず、値上げ後に倒産・事業撤退を選ぶ企業が増えているのだ。
一方、市場連動型プランは市場価格に経費を上乗せしたものが電気代となる。そのため、電力会社の倒産・契約解除のリスクがほとんどない。
現在はJEPXの市場価格も落ち着きを見せているため、市場連動型プランであれば電気代を安くできる可能性が高く、さらに電力会社の倒産や撤退を気にせず電気を使用できる。下図は2つのプランの料金を比較した図だ。
電力難民になった場合、これまでは最終保障供給を選ぶ法人も多かった。しかし2022年9月以降、最終保障供給の料金体系が変更し、大幅に値上がりしている。
ちなみに電気代については、シミュレーションサイトではなく、電力会社に直接見積もりを依頼することをおすすめする。シミュレーションは簡易的なものが多く、改めて見積もりを出すと想定した電気代と大きく乖離する可能性があるからだ。
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しろくま電力では、高圧・特別高圧の法人向けに「しろくま市場連動型プラン」を提供している。ある導入企業では電気代を年間約45%(約1.5億円)も削減するなど、多くのお客様の電気代削減に貢献してきた。
しろくま電力の市場連動型プランはただ電気代が安いだけではない。
翌日の市場価格を毎日午前中にメールで共有し、市場価格が安い時間に稼働を増やしたり、逆に市場価格が高い場合は従業員に在宅勤務を促したりできるよう、電気代の節約を徹底してサポートする。電気代に関する個別での相談にも対応可能だ。
また、しろくま電力の電気はCO2を一切排出しない。非化石証書つきの電気を供給するため、電気を切り替えるだけで脱炭素でき、御社のカーボンニュートラルの実現もサポートする。
以下のように、しろくま電力は多くの企業・自治体に導入いただいている(PPAも含む)。
以下は、実際にしろくま電力の市場連動型プランを導入した企業様の声だ。
【導入事例】電気代の値上げ幅を30%削減し、脱炭素もできた。ウェディング企業の市場連動型プラン実例を紹介 |
お見積もりについては、他の電力会社や最終保障供給を契約した場合の電気代との比較もできる(比較を希望した法人のみ)。年間のお見積もりだけでなく、毎月の電気代を算出するため月ごとの料金比較も可能だ。以下は、レポートとお見積書の例である。
お見積もりは「しろくま電力の市場連動型プランページ」または下記バナーからすぐに完了できる。市場連動型プランに切り替えると電気代がどうなるのか、他社と比較して安くなるのかを試算したい方はぜひお申し込みを。お急ぎの見積もり依頼にも対応できる。契約上のご相談や不明点などにも対応可能だ。