【2025年最新】病院の節電・電気代削減方法をわかりやすく解説!法人がすべき対策とは?
昨今の電気代高騰を受けて「病院でできる節電や電気代削減の方法を知りたい」とお考えの担当者の方も多いのではないだろうか?
そこで本記事では、病院でできる節電・電気代削減のポイントと具体的な方法を解説していく。
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この記事でわかること
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なぜ病院で節電対策が重要なのか
結論をまとめると 病院で節電対策が重要な理由は以下の3つ①病院は消費電力が多いため ②緊急時や災害時もエネルギーが必要になるため ③電気代が上がっているため |
そもそも、なぜ病院で節電対策が重要なのだろうか? まずはその理由を解説していく。
①病院は消費電力が多いため
病院で節電対策が重要な理由の1つ目が、病院は消費電力が多いからだ。
病棟がある施設は24時間稼働しているため、当然ながら同規模のオフィスより消費電力が多くなる。また、緊急の受け入れに備え、常に機器を待機状態にしていることも消費電力が増える原因だ。
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②緊急時や災害時もエネルギーが必要になるため
2つ目の理由は、病院は地域医療の中核を担っており、緊急時や災害時も医療提供ができるようエネルギーを確保する必要があるためだ。
仮に停電が発生した場合にも、人工呼吸器や除細動器などの医療機器は常に稼働させ続ける必要がある。有事の際にも電力を安定供給するためには、日頃から節電に取り組み、電力使用量を抑えて病院を運営できる状態にしておかなければならない。
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③電気代が上がっているため
3つ目に電気代の値上げが挙げられる。2022年のロシアによるウクライナ侵攻によって燃料価格が高騰したことを機に、日本の電気代は著しく上昇した。今後も電気代が下がる見込みは少なく、横ばいか緩やかに値上がりしていくと予想される。
大規模病院では年間の電気代が1億円に及ぶ場合もあり、電気代高騰の影響はかなり大きいだろう。そのため、病院の節電と電気代削減が重要となってくるのだ。
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病院の節電・電気代削減にあたって知っておきたいポイント
結論をまとめると 病院の節電・電気代削減にあたって知っておきたいポイントは以下の4つ①病院の電力使用量は「空調」「照明」が占める割合が多い ②1日あたりと冬場の節電が重要である ③病院では止められない設備が多い ④病院では部門間で消費電力の差が大きい |
ここまで、病院の節電対策の必要性について説明してきた。次に、病院の節電・電気代削減にあたって知っておきたい4つのポイントを解説する。
病院の電力使用量の内訳
まず、病院の電力使用量の内訳を把握しておきたい。なぜなら、内訳の占める割合が大きい設備から優先して節電に取り組むと効率的だからである。
上図は、病院の電力消費量の内訳を表したものだ。最も大きな割合を占めているのは「空調」であることがわかる。先述したように、病院では入院患者の健康や医薬品の品質管理のために、24時間空調を稼働させる必要があるためだ。
その次に「照明」が多くなっている。上位2つが全体の約75%を占めていることから、病院においては空調・照明の節電対策が効果的であるといえるだろう。
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1日単位と1年単位の電力消費の傾向
病院の電力使用量が多い設備を把握した上で、1日・1年単位の電力使用量の傾向も理解しておくといいだろう。電力消費の多い時間帯や季節に集中して節電に取り組むと、より効果的になる。
上図は、弊社が調査した病院の1日と年間の平均電力使用量の推移をグラフにしたものだ。グラフから、病院は平日・休日に限らず1日を通して大量の電力を消費しているとわかる。特に外来患者が多い午前中に電力使用量が増える傾向がある。
また、年間で見ると、夏場より暖房器具を使用する冬の電力消費量が多い。病院においては、1日あたりの電力消費を抑えることに加え、冬場にいかに節電できるかが重要となるだろう。
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病院は止められない設備が多い
次に、病院では止められない設備が多い点も理解しておかなければならない。節電対策に取り組む際にも、以下のような設備は停止しないようにしよう。
目的
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主な設備
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生命維持・集中治療
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人工呼吸器・ECMO・輸液ポンプ
生体情報モニタ・保育器・除細動器など |
手術・救急
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手術台無影灯・手術台電動駆動部・麻酔器の送気とモニタ部
X線装置・CT・MRI・緊急処置室の照明など |
感染防御・環境制御
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陰圧/陽圧室用送排風機・クリーンルームの空気清浄システム
局所換気システムなど |
安全維持・情報共有
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電子カルテ・ネットワーク機器・ナースコール機器
監視カメラ・非常灯・火災報知器など |
薬剤・検体保冷
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血液/臓器保存用超低温フリーザー
薬剤/ワクチン冷蔵庫・病理検体保冷庫など |
給水・透析
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透析用RO装置ポンプ/制御盤
中央滅菌室の蒸気発生装置制御・加湿器など |
電力バックアップ
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無停電電源装置の本体・発電機のバッテリー充電器など
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上図より、患者の命や院内の感染リスク、手術や治療に影響をおよぼす設備は常に稼働させる必要があるとわかる。そのため、これら以外の設備で節電・電気代削減を実施するようにしよう。
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病院は部門間で消費電力の差が大きい
最後に押さえておくべきポイントが、病院は部門間で電力消費量の差が大きい点だ。厚生労働省の「病院における省エネルギー実施要領」によると、病院の部門ごとの電力消費量の内訳は以下のようになる。
部門 | 電力消費量の比率 |
病棟 | 34% |
中央診療部門 | 29% |
外来 | 11% |
管理部門 | 8% |
供給部門 | 8% |
厨房 | 5% |
共用部分 | 5% |
上の表から、病棟が最も電力消費量が多いことが読み取れる。この理由は、病棟では24時間にわたり空調や照明が稼働するためだ。また、高度な医療機器を使用する中央診療部門の電力使用量も多いことがわかる。
病院の節電は、電力消費量の多い病棟・診療部門を優先して取り組むといいだろう。
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病院の空調設備の節電・電気代削減方法
結論をまとめると 病院の空調における節電・電気代対策は以下の8つ①エリアごとに空調の設定温度を見直す ②使用していない場所の空調は消す ③ブラインドなどで外気熱の侵入を防ぐ ④フィルターをこまめに掃除する ⑤サーキュレーターや扇風機を併用する ⑥古い空調設備を更新する ⑦デマンド監視装置やコントローラーを導入する ⑧クールビズ・ウォームビズを実施する |
ここまで、病院の節電にあたって知っておきたいポイントをお伝えしてきた。ここからは、具体的な節電・電気代削減方法を紹介していく。まずは、病院で最も電力消費量の多い「空調設備」の節電対策について解説する。
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エリアごとに空調の温度設定を見直す
1つ目の病院の節電・電気代削減方法が、エリアごとに空調の温度設定を見直すことだ。例えば、患者が過ごす病室では快適な温度を保つ必要があるが、人が少ない階段や廊下の冷暖房は緩やかに設定していてもよいだろう。
冷房は設定温度を1℃上げると約13%、暖房は1℃下げると約10%の節電効果が期待できる。なお、一般病棟は24℃前後、手術室は22℃前後、ICUは22〜24℃が温度管理の目安だ。患者の体調管理にも影響するため、エリアの特性に合わせ温度設定を行おう。
使用していない場所の空調は消す
2つ目の病院の節電方法は、使用していない場所の空調を消すことだ。使用時間外の診察室や会議室などの空調を消すことで、年に5〜7%の節電効果が見込める。
病院には薬剤の管理室や病棟など、空調を稼働させ続ける必要がある場所も多いだろう。そのため、使っていないエリアの空調をいかにこまめに消せるかが節電効果を上げる鍵となる。
ブラインドなどで外気熱の侵入を防ぐ
3つ目が、ブラインドなどで外気熱の侵入を防ぐことだ。これにより、窓からの日差しによる室温上昇を防ぎ、夏場の冷房効率をよくできる。ブラインドや遮熱フィルムを活用するだけでも、約5〜8%の冷房の電力消費量の削減につながる可能性があるのだ。
特に西日が入る部屋は室温が上昇しやすいため、高い節電効果が得られる。
フィルターをこまめに掃除する
フィルターをこまめに掃除することも、病院の節電・電気代削減につながる。
病院では24時間空調を稼働させている場所も多く、フィルターの目詰まりを起こしやすい。空調設備のフィルターや熱交換器などが汚れていると、空調効率が低下してしまうのだ。
フィルターは2週間に1度、熱交換器は年に1〜2回を目安に掃除をするといいだろう。こまめに空調設備を掃除をすれば、約1〜3%の節電効果が期待できる。
サーキュレーターや扇風機を併用する
空調設備の節電対策には、サーキュレーターや扇風機と併用することも効果的だ。サーキュレーターや扇風機で室内の空気を循環させれば、空調効率を高められる。
サーキュレーター・扇風機の追加電力はごくわずかだが、空調との併用で年に約2〜3%の節電効果が期待できるのだ。
古い空調設備を更新する
病院の節電方法として、古い空調設備の更新も挙げられる。新しい空調設備は省エネ性能に優れており、2010年ごろの設備と比べて約20〜50%も消費電力を抑えられる。
特に近年はインバーター(モーターを自動調整する機能)やAIが搭載された設備が標準化されており、的確な温度設定による節電効果が期待できる。病院は空調の消費電力量の割合が大きいため、同規模オフィスよりも1〜2年短く費用を回収できる可能性が高い。
デマンド監視装置やコントローラーを導入する
空調設備の買い替えが難しい場合、デマンド監視装置やコントローラーの導入を検討するといいだろう。デマンド監視装置は施設の使用電力をリアルタイムで「見える化」するシステムで、デマンドコントローラーは監視装置に自動制御機能を追加したものだ。
設備ごと更新すると数百万〜数千万円のコストがかかるが、デマンド監視装置・コントローラーだけの場合は数十万〜数百万円で導入できるだろう。これにより、年に約2〜5%の節電効果が期待できる。
クールビズ・ウォームビズを実施する
クールビズ・ウォームビズを実施することは、病院の節電・電気代削減につなげられる。クールビズ・ウォームビズとは、冷暖房を抑えながら快適に過ごすキャンペーンである。なお、クールビズでは冷房の設定温度を28℃、ウォームビズでは暖房を20℃にすることが目安とされている。
病院では医局や事務室、更衣室など患者が不在のエリアで実施するのがおすすめだ。冷暖房を抑えても職員が働きやすいよう、夏は吸湿速乾の制服やアイスネックリング、冬は膝掛けや厚手インナーの使用を促すといいだろう。これにより、年に約2〜4%の節電効果が期待できる。
病院の照明器具の節電・電気代削減方法
結論をまとめると 病院の照明器具における節電・電気代対策は以下の7つ ①オンオフをこまめに実施する |
ここまで病院の「空調設備」の節電方法を解説してきた。次に、空調に続いて病院での使用電力量が多い「照明器具」の節電・電気代削減方法を紹介していく。
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オンオフをこまめに実施する
まず取り組むべき病院の照明設備の節電・電気代削減方法が、照明のオンオフをこまめに実施することだ。使用していない照明をこまめに消灯するだけで、年に約3〜6%の節電効果が期待できる。
医局や会議室、倉庫など常に人がいるわけではない場所は、最後に退出する職員がスイッチをオフするよう徹底しよう。また、診察室やリハビリルームなど各エリアが使用されるタイミングを整理し、使用時間外には照明をオフすることも忘れないよう注意が必要だ。
LED照明に切り替える
次に挙げられる照明の節電・電気代削減方法が、LEDへの切り替えだ。LEDは蛍光灯より約50%、白熱灯より約80%も消費電力が少ない。院内の照明をすべてLEDに交換すれば、年に約10%の節電効果が期待できる。
また、LEDの寿命は蛍光灯の約4倍、白熱灯の約20倍と長く、コスト削減につながる。切り替えに初期費用がかかるが、通常は2年前後で投資を回収できるだろう。
照明の明るさを見直す
照明の明るさを見直すことも、おすすめの節電対策だ。当然ながら、照明は明るいほど電力を消費する。照度の見直しで、年に約3〜6%の節電効果が期待できる。
処置室や作業場以外の病室や廊下は、照度を抑えても快適さを保てるケースが多い。病室は300lx(ルクス)、廊下は100lxを目安に照明の明るさを調整するといいだろう。
照明を間引きする
次に「照明の間引き」にも取り組むと節電・電気代削減が期待できる。事務室や廊下などの患者があまり滞在しない場所の照明は、約5割を目安に間引くといいだろう。照明の間引きによって、建物全体で約8〜13%の節電につなげられる。
ただし、照明の間引きは暗くなりすぎないように注意しよう。通常の事務作業は300lx以上、細かな文字を読む必要のない事務作業は150lx以上、廊下やトイレは100lx以上が明るさの目安だ。
人感センサーやタイマーを導入する
次の病院の照明の節電対策は、人感センサーやタイマーを導入することである。人感センサーやタイマーで照明のつけっぱなしを徹底して防止すれば、年に約3〜8%の節電効果が見込めるだろう。
人感センサーは更衣室や廊下、トイレなど人の出入りの多い場所に導入すると効果的だ。また、タイマーを使用して、診療時間外の診察室や待合室の照明が自動でオフになるよう設定すれば、切り忘れを防げる。
自然光を積極的に取り入れる
自然光を積極的に取り入れることも、病院で取り組める節電対策の1つだ。自然光が入る部屋はカーテンやブラインドを開け、窓側の照明は消す。これにより、コストをかけずに3〜5%の節電効果が期待できる。
しかし、窓からの日差しで部屋の温度が上がり、空調負荷が上がる場合もあるため注意は必要だ。通常は照明削減分が上回るとされているが、気温が高い日にはカーテンを閉めるなど、状況に合わせて判断するといいだろう。
照明器具を定期的に清掃する
照明器具を定期的に清掃することも、節電・電気代削減におすすめだ。もし清掃せず1年放置した場合、ホコリや汚れの付着によって20〜30%も明るさが失われた事例もある。照明が暗くなれば当然、明るさを維持するために消費電力が増え、電気代が高くなってしまう。
照明器具は月に1度の乾拭きと年に2回の水拭きによって、汚れやカバーの黄ばみを抑えられる。お手入れをしない場合と比べ、照明の消費電力を年に20%前後下げられるため、定期的な照明器具の清掃を検討するといいだろう。
病院の医療機器の節電・電気代削減方法
結論をまとめると 病院の医療機器の節電・電気代対策は以下の2つ①電源を切っても問題ない医療機器はオフにする ②古い医療機器は最新モデルに更新する |
「空調」「照明」と病院において消費電力の多い設備の節電方法を紹介してきた。他にも、病院では消費電力の大きい「医療機器」を使用している。
全体の割合としては少ないが、効率よくムダな電力消費を減らせる分野だ。ここから、医療器具の節電・電気代削減方法を解説していく。
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電源を切っても問題ない医療機器はオフにする
まず取り組みたい節電方法は、電源を切っても問題ない医療器具をオフにすることだ。医療器具はスタンバイ状態でも待機電力が発生している。例えばMRIは定格の消費電力の約15〜20kWのうち、約6kWが待機電力なのだ。
MRIや超音波診断装置、心電計などの常時通電が必要ではない医療機器のリストを作り、夜間や休日は電源をオフにするといいだろう。待機電力を削減すると病院全体で1〜2%節電効果が期待できる。
古い医療機器は最新モデルに更新する
一般的に古い医療機器と比べ、最新のモデルは省エネ性能が高くなっている。古い機器を更新すれば高い節電効果が期待できるのだ。
最新の医療機器には、自動スリープ機能やエコモード、内部ヒートリカバリ機能などの省エネ機能が標準装備されていることが多い。これらは古い機器より消費電力を30〜50%削減できる見込みがある。
更新費用は5年前後で回収できる可能性が高いため、古いモデルを使用している病院は買い替えを検討するといいだろう。
病院のその他の設備でできる節電・電気代削減方法
結論をまとめると 病院のその他の設備でできる節電・電気代対策は以下の9つ ①使用していない機器はコンセントから抜く |
病院での電力消費量の割合が大きい設備以外にも、細かな部分で節電に取り組むことは重要だ。わずかでも消費電力を抑える工夫の積み重ねが、電気代の大幅な削減につながる。
次に、空調・照明・医療機器以外の設備でできる病院の節電・電気代削減方法を解説する。ここまで紹介してきた節電対策と併せて実施すると、より効果的だろう。
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使用していない機器はコンセントから抜く
1つ目の節電・電気代削減方法は、使用していない機器をコンセントから抜くことだ。あらゆる機器は、使用していない間も待機電力を消費している。病院の規模にもよるが、待機電力をカットするだけで年に1%前後の節電効果が見込めるのだ。
病室のベッドサイドの端末や職員が使用するパソコン周辺機器など、まずはコンセントを抜ける機器をリスト化するといいだろう。抜いても支障ないコンセントはテープなどを貼り色分けすると、節電に取り組みやすい。
給湯設備の温度設定を見直す
2つ目に取り組むべきが、給湯設備の温度設定の見直しだ。給湯のたびに電気温水器は電力を消費するが、設定温度を10℃下げれば病院全体で1〜2%の節電につながると期待できる。
また、設定温度の見直しによって、ガス代などの燃料費も抑えることが可能だ。病院では入院患者用のシャワーやトイレ、厨房など複数の場所で温水を使用するため、効果的なコスト削減策となるだろう。
エレベーターを間引きする
3つ目はエレベーターの間引きだ。エレベーターの消費電力は待機電力が6〜8割も占めている。そのため、利用者が少ない時間帯はエレベーターの運用台数を減らすと、待機電力分がごっそり節電できる。
ただし、救急搬送や入院患者の急変などに対応するための医療導線はしっかり確保しておかなければならない。患者の搬送や外来など利用者のピーク時は全台運転させ、夜間などは医療行為に支障ない範囲で間引きをすると効率的に節電できる。
エスカレーターの速度を調整する
次に、エスカレーターの速度調整もおすすめだ。国土交通省によると、低速モードに調整すれば年に15〜25%の節電効果があるとされている。
現状使用しているエスカレーターに速度調整機能がない場合も、簡単な工事で「可変速運転システム」や「インバーター制御」を追加することができる。また、利用者を感知して速度を自動で落とす「感知センサー機能」も便利なので、導入を検討するといいだろう。
節水型設備を導入する
節水型設備の導入によっても節電効果が期待できる。病院ではトイレ、手洗い、医療器具洗浄などで温水を使用するため、節水すれば給湯に必要な電力を削減できるのだ。
先ほど給湯設備の温度調整による節電方法を紹介したが、医療器具の洗浄に使う温水は衛生面から温度を下げられない。温度調整に加え節水も組み合わせることで、水道代・ガス代・電気代が削減できるだろう。設備の導入費用は2〜3年で回収できる場合が多い。
温水洗浄便座の温水・便座の温度を下げる
さらに節電するなら、温水洗浄便座の温水と便座の温度を下げることがおすすめだ。温水洗浄便座の温水や便座ヒーターは待機保温によって使用しない間も電力を消費し続けている。低温設定に変更すれば、病院全体で約1%の節電効果が期待できる。
また、便座に着座時のみ急速に加温する「着座検知器」の導入もおすすめだ。保温に必要な電力をほぼゼロにできる。
ボイラーの稼働台数を見直す
ボイラーの稼働台数を見直し、適正な台数を稼働させることも節電対策に有効だ。
蒸気や温水を作るボイラーは、数台を50%燃焼させるより、台数を減らして100%燃焼させた方が運用効率がよくなる。そのため、夜間や休日など蒸気・温水の需要が少ない時間帯は稼働台数を減らし、50%燃焼のボイラーを1台またはゼロにすることが重要だ。
ボイラーの稼働台数の見直しによって、0.5〜1%の節電に加え、燃料費の削減が期待できる。
自動販売機の照明をオフにする
細かな部分まで節電に取り組む場合は、自動販売機の照明をオフにするといいだろう。
自動販売機1台あたりの照明は70〜90W程度で、年間の電気代は照明分だけで約2万円前後となる。当然ながら、消灯すればその分のコスト削減が可能だ。利用者が少ない夜間のみの消灯でも節電効果を得られる。
太陽光発電設備を導入する
最後に、太陽光発電設備の導入もおすすめだ。初期費用はかかるが、大幅に節電・電気代削減ができる可能性が高い。
実際に太陽光発電設備を導入している病院では、年に約10〜15%の電力を院内でまかなえている事例もある。太陽光発電設備は、地形や日射量のデータをもとに影が発生しないよう設計することで、発電の効率を高められる。そのため、施工してもらう事業者選びにはこだわろう。
なお、しろくま電力は、店舗の屋根や駐車場に設置するソーラーカーポートなど、国内の太陽光発電設備の施工を多く担当してきた。グリーンエネルギーの発電・送電・売電に特化した電力会社であり、設備の設置からメンテナンス、売電まで一気通貫で担当している。
太陽光発電設備を検討している場合には、ぜひ「しろくま電力」にお気軽にご相談いただきたい。
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病院の部門ごとの最適な節電・電気代削減方法とは?
結論をまとめると 病院の部門ごとの最適な節電・電気代対策は以下の通り
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ここまで病院の設備ごとの節電・電気代削減方法を紹介してきた。しかし、病院では、部門ごとに特徴が傾向が異なり、節電方法の優先順位が変わってくるだろう。
ここからは病院の部門ごとに最適な節電・電気代削減方法を解説していく。
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病棟の節電・電気代削減アイデア
病棟は病院に占める面積が大きく、24時間稼働しているため、特に空調の負担が大きい。適切な冷暖房の温度設定や、窓への遮熱カーテンの取り付けにより、高い節電効果が期待できる。春や秋口には、冷暖房を使用せず窓を開けて温度調整を行うのもおすすめだ。
トイレやシャワーなど、水回りの利用者が多いエリアでもあるため、節水型設備の導入や水温調整にも取り組むといいだろう。
外来部門の節電・電気代削減アイデア
外来部門は日中に集中して人が出入りするため、外気の侵入による空調効率の低下が課題となるエリアだ。入り口を二重扉にするなど、外気の侵入を防ぐ対策を検討するといいだろう。
また、手軽にできる節電対策としては、サーキュレーター・扇風機の導入で温度ムラを解消し、冷暖房の設定温度を1℃でも調整すると効果的だ。さらに、待合室は300lxを目安に明るすぎる照明を間引きするのもおすすめである。
診察部門の節電・電気代削減アイデア
診察部門は、MRIなどの消費電力の大きな医療機器を使うエリアだ。休診日や夜間は停止できる機器のコンセントを抜き、待機電力を節電するといいだろう。
処置室の高温滅菌器も電力消費量が多い。バッチ運転(連続運転ではなく運転と休止を繰り返す操作)を行えば、年に30%ほどの節電が期待できる。
管理部門の節電・電気代削減アイデア
管理部門にはパソコンやコピー機などのOA機器による消費電力が多い。使用しない際の電源オフやコンセントのこまめな抜き差しが節電に効果的だ。
また、職員しか出入りしないエリアなので、クールビズ・ウォームビズを実施しやすいだろう。更衣室や会議室、倉庫において使用時間外の消灯と空調停止を徹底することも重要なポイントだ。
最も効果的な病院の節電・電気代削減方法とは
ここまで、病院の節電・電気代削減方法を紹介してきた。節電を行う目的は、やはり、「高騰している電気代を安くしたいから」だという法人も多いだろう。
電気代を大幅に安くするには、節電以外にも効果的な方法がある。それは、電気料金の単価を安くすることだ。
電気料金の単価は、電力会社やプランによって異なる。そのため、今より単価の安い電力会社やプランに切り替えれば、使用する電気の量は同じでも、電気代を下げることができる。節電と違い、電力会社を切り替え手続きをするだけなので手間も少ない。
電力会社の法人向け電力プランには、以下のようにさまざまな種類がある。
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など、法人によって選ぶべき電力プランは異なるのである。このようなプランの中から病院の特性に合ったものを選べば、電気代を抑えながらコストの管理も簡単になる。
「大手の電力会社の方が安心だ」と考えている方もいるかもしれない。しかし、新電力の中にも安心して利用できる企業はたくさんある。大手電力会社から新電力に切り替えたとしても、電気の質や停電リスクは変わらない。それどころか、電気代は安くなる可能性が高い。
まだ電力会社の見直しを検討したことがない法人は、一度、新電力に見積もりを取ってみてほしい。どれくらい電気代が安くなるのかを確認した上で、切り替えを検討してみるといいだろう。
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<病院の電気代削減実績多数!平均22%、最大38%削減>
しろくま電力で御社の電気代を削減しよう
しろくま電力では、高圧・特別高圧の電力を使用する法人向けに電力プランを提供している。
しろくま電力の強みは「電気代の安さ」と「業界トップクラスのプラン数」だ。
上図は、しろくま電力の病院や医療機関の電気代削減事例をまとめたものだ。
電気代が大手電力より安いのはもちろん、「電気代をとにかく安くしたいから市場連動型プラン」「価格の安定性も重視したいから燃調リンクプラン」など、ニーズに合わせて電力プランを選ぶことができる。中には電気代を45%(1.5億円)削減したプランもある。プランをカスタマイズし、御社だけの電力プランを作ることも可能だ。
しろくま電力は、医療施設をはじめ、24時間電気を使用することが多いホテル・旅館などの宿泊施設でも導入いただき、電気代の削減を実現している。以下はしろくま電力を導入する主な企業・自治体である。
多くの法人から、低価格であることが好評で、契約更新率は92%を超えた。
また、しろくま電力の電気は全てCO2を一切排出しない実質再生可能エネルギーだ。電気を切り替えるだけで御社のCO2削減量を減らすことができる。
見積もりは「複数のプランの電気代の提示」や「現在の契約先との電気代・CO2削減量の比較」にも対応している。「どれがいいかわからない」法人にはこちらからプランを提案することも可能だ。
見積もりだけでなく「プランについて説明してほしい」「なぜ安いのか、本当に倒産しないか知りたい」といった面談も行っている。切り替えを検討中でなくとも、気軽にお問い合わせいただきたい。
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