※この記事は2024年11月19日に最新の情報に更新されました。
東京電力エナジーパートナーズ(以下:東京EP)は、2023年4月より法人向けの電気料金を値上げしている。
そこでこの記事では、東京EPの低圧(一般家庭向け)と高圧・特別高圧(法人向け)の電気代値上げ・料金改定についての最新情報を掲載。市場価格調整項の概要や、電気代高騰に悩む法人がとるべき対策を解説する。
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目次 2023年4月より、東京電力は高圧・特高の電気料金を大幅に値上げ <法人向け>電気代が上がれば関東エリアの最終保障供給も値上がりする <法人向け>市場連動型プランなら電気代高騰リスクを軽減できる |
2023年4月以降、東京電力は高圧・特別高圧の電気代を値上げしている。今回値上げしたのは「燃料費調整額」「基本料金」「電力量料金」の3点だ。それぞれどれだけ値上がりするのか、詳しく説明していく。
東京電力EPが提供する電気料金の内訳は以下のようになっている。
この料金体系は一般的なものだ。大手電力会社に加え、ほとんどの新電力がこの料金プランを提供している。このプランは定額の基本料金があり、電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金が電気の使用量に応じて加算され、月々の電気代となる。
燃料費調整額とは、数ヶ月前の化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の価格変動分を、1kWhあたりの電気代に反映させたものだ。燃料費調整額の単価は、3〜6ヶ月前の燃料費をもとに毎月変動する。
これまで東京電力は燃料費調整額を「燃料費調整単価×電気使用量」で算出していた。しかし2023年4月より、下図のように「燃料費調整単価の燃料構成比の更新」と「市場価格調整項の新設」を実施。これによって燃料費調整額が値上がりしている。それぞれについて詳しく解説していく。
燃料費調整単価は、以下の数式で求められる。
燃料費調整単価=(「平均燃料価格」ー「基準燃料価格」)÷1000(×基準単価)
平均燃料価格とは、過去3ヶ月分の燃料費の平均価格をさす。基準燃料価格は、各電力会社が定めた燃料費の見込み価格だ。もし平均燃料価格が1klあたり1,000円変動した場合、電力会社が定めた基準単価も含めて単価を計算する。
つまり、電力会社ごとに燃料費の基準を定めていて、平均価格が基準価格より高ければ電気代に上乗せ(プラス調整)、基準よりも安ければ値下げ(マイナス調整)、という形をとっているのだ。
2012年の改定時、LNG・石炭・原油の比率は44%:25%:20%とLNGが最も多かった。しかし今回の改定では、40%:62%:0%へと更新される。
石炭の使用量が増加しており、価格がこの2年で8倍近く値上がりしていることから、石炭の割合が最大となった。
これにより、基準調整単価が44,200円/klから64,900円/klに引き上げられる。また基準単価は、⾼圧が0.224円/kWh から0.15円/kWh、特別⾼圧が0.221円/kWhから0.145円/kWhとなる。
基準燃料価格がプラスとなると悪いことのように思えるが、実際はそうではない。平均燃料価格が上がっている今、燃料費調整単価を安くするには基準燃料価格も上がる必要があるのだ。
そのため、燃料費調整単価は多少下がることが期待される。しかし次に述べる「市場価格調整額の新設」によって料金が上乗せされるため、トータルで見ると燃料費調整額は上がると考えられる。
市場価格調整項は、今回新たに追加される項目だ。東京電力は自社で発電する以外に、JEPX(電気の卸市場)から電気を仕入れている。今回の変更で、仕入れにかかった費用も電気代に組み込まれることとなった。これが市場価格調整項である。
JEPXで売買される電気の価格を市場価格というが、この市場価格は30分ごとに変動する仕組みだ。燃料費調整額と同様に、市場価格の平均価格が、東電が定めた基準を上回るとプラス、下回るとマイナスされる。計算方法は以下だ。
市場価格調整項=(平均市場価格-基準市場価格)×基準市場単価
平均市場価格とは、算定期間における卸電力市場(中国エリア)の平均価格だ。「平均市場価格=全日単価×66%+昼間単価×34%」で算出できる(全日単価は0:00~24:00の平均価格、昼間単価は8:00~16:00の平均価格)。
基準市場価格は、21年7月~22年6月の市場価格をもとに決定されたもので、今回の改定では17.44円/kWhである。それぞれの項目は以下のように求められる。
基準市場単価は、平均市場価格が1円/kWhが増減した場合に発⽣する、電⼒量1kWhあたりの変動額だ。高圧が0.337円/kWhで、特別高圧が0.328円/kWhである。
このように燃料費調整額に市場価格も加算されるため、月々の負担はますます重くなる見込みだ。
ここまで、燃料費調整額が値上げされることを解説した。さらに東京電力EPは下図のように、「基本料金」「電力量料金」を大幅に値上げしている。
①と②を合計すると、法人の月々の電気代は約15~20%ほど値上がりする見込みだ。さらにもし市場価格が高騰した場合、約30~35%上がる可能性も十分に考えられるのだ。
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それでは、なぜ東京電力は値上げを実施したのだろうか?
その答えは東京電力の決算にある。東京電力ホールディングの発表によると、2022年4〜12月期の連結決算は、最終損益がマイナス6,509億円となった。これは東日本大震災後の2011年4〜12月期の連結決算を上回る赤字だ。
収支悪化の原因として挙げられるのが、燃料費の高騰である。ロシア・ウクライナ問題による国際的な燃料供給不足や、急激な円安の進行によって燃料費が大幅に高騰。発電コストが収入を上回る状況が長らく続いたことで収益が悪化し、その赤字分を補填するために、大幅な値上げが行われている。
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東京電力が値上げをした理由は、燃料費高騰によって収益が悪化したから、ということを述べた。2023年に入って燃料費は下落局面に入り、多少下がっている。そのため東京電力の燃料費調整額も下がりつつある。
しかし、燃料費高騰の主な原因であるロシア・ウクライナ問題は解決の見通しがついていない。下記の関連記事にて、今後の燃料費の推移を解説しているが、やはり2020年以前の価格に戻るとは考えにくい。そのため、電気代が今後も値上がりする可能性は十分に考えられるのだ。
実際に、東北電力は2022年11月に高圧・特別高圧の電気代を値上げしたが、2023年4月より再値上げを実施している。同様の動きが他社でもみられる可能性があるのだ。「大手電力会社=安くて安心」という神話は、崩壊しつつある。
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ここまで東京電力の電気代の値上げ幅と、今後も電気代が上がる可能性があることを解説してきた。電気代の値上げに際して、さらに注意すべきなのが、最終保障供給によって電力を使っている需要家である。
2022年9月より最終保障供給の電気代が見直されている。これまでの電気代は「各エリアの大手電力会社標準プランの1.2倍」だった。しかし現在は最低料金を「最終保障供給料金(各エリアの大手電力会社標準プランの1.2倍)」とし、電力自由化の市場価格がそれを上回った場合には、補正項(追加料金)がプラスされる仕組みとなっている(下図参照)。
東京電力EPが値上げを実施するということは、この最低料金の部分が底上げされるということだ。2022年9月1日以降、最終保障供給は30%近く値上げしており、2023年4月以降はさらに高騰するのである。
ラストリゾートともいわれた最終保障供給だが、現在の対策としては有効ではない。しかし、従来の電気契約プランのままでは、電気代は高騰していく一方である。そこで電気代を安くするために検討すべきなのが市場連動型プランだ。
電力契約には、一般的な契約プランに加えて、市場連動型プランというものがある。
冒頭で説明した一般的な料金プランは、いつ使用しても電気料金が同じだ。電気料金を安くしたい場合、節電して電気の使用量を減らすか、電気代が下がるのを待つしかない。
一方で市場連動型プランは、市場価格に経費を上乗せした価格が電力量料金になる。市場価格の変動に合わせて、電力量料金の単価が30分ごとに変わるのだ。市場価格が下がっても一般的なプランの電気料金は変動しないが、市場型連動プランは変動するのである。
市場価格は0.01円/kWになることもあるため、市場連動型プランは条件が揃えば電気料金を大幅に削減できる。昨今は特に太陽光発電でできた電気が市場に増えていて、それらは発電に燃料を使わないため市場価格を安くしている。以下のように、市場価格が0.01円/kWhとなる時間数は年々増えているのだ。
市場価格が0.01円/kWhをつけた時間数 | |||||||||
北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | |
2018年
|
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.5 | 0 |
2019年
|
0 | 0 | 0 | 51.5 | 51.5 | 51.5 | 51.5 | 78.5 | 186.5 |
2020年
|
22.5 | 26 | 13 | 208.5 | 208.5 | 208.5 | 215.5 | 220 | 476.5 |
2021年
|
84.5 | 84.5 | 34 | 108.5 | 108.5 | 108.5 | 114 | 114 | 702 |
2022年
|
370 | 556 | 113 | 267.5 | 293 | 292 | 293 | 293 | 880 |
2023年
|
367.5 | 352.5 | 176 | 464 | 642.5 | 648 | 659 | 717 | 1174 |
上図は弊社電力事業部の担当者が計測した、市場価格が0.01円/kWhとなった時間数の推移だ。
全国的に再生可能エネルギーが増加したことで、最安値をつける時間が増えている。特に2023年の九州エリアでは、年間1,174時間、年間の総時間数(8,760時間)の約13%が0.01円/kWhとなった。
市場連動型プランでは、昼間の電気代が安くなる傾向にあるため、日中に稼働が多い工場やオフィスなどでは、電気代を下げられる可能性が高いのだ。以下は市場価格が0.01円/kWhをつけた際の、2つのプランの価格イメージ図だ。
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しろくま電力では、高圧・特別高圧の法人向けに「しろくま市場連動型プラン」を提供している。ある導入企業では電気代を年間約45%(約1.5億円)も削減するなど、多くのお客様の電気代削減に貢献してきた。
しろくま電力の市場連動型プランはただ電気代が安いだけではない。
翌日の市場価格を毎日午前中にメールで共有し、市場価格が安い時間に稼働を増やしたり、逆に市場価格が高い場合は従業員に在宅勤務を促したりできるよう、電気代の節約を徹底してサポートする。電気代に関する個別での相談にも対応可能だ。
また、しろくま電力の電気はCO2を一切排出しない。非化石証書つきの電気を供給するため、電気を切り替えるだけで脱炭素でき、御社のカーボンニュートラルの実現もサポートする。
以下のように、しろくま電力は多くの企業・自治体に導入いただいている(PPAも含む)。
以下は、実際にしろくま電力の市場連動型プランを導入した企業様の声だ。
【導入事例】電気代の値上げ幅を30%削減し、脱炭素もできた。ウェディング企業の市場連動型プラン実例を紹介 |
お見積もりについては、他の電力会社や最終保障供給を契約した場合の電気代との比較もできる(比較を希望した法人のみ)。年間のお見積もりだけでなく、毎月の電気代を算出するため月ごとの料金比較も可能だ。以下は、レポートとお見積書の例である。
お見積もりは「しろくま電力の市場連動型プランページ」または下記バナーからすぐに完了できる。市場連動型プランに切り替えると電気代がどうなるのか、他社と比較して安くなるのかを試算したい方はぜひお申し込みを。お急ぎの見積もり依頼にも対応できる。契約上のご相談や不明点などにも対応可能だ。
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また、しろくま電力では「市場連動型プランはどうしても不安だ」という法人に向けて「固定単価型プラン」も提供している。このプランは大手と違って「3〜6ヶ月前の燃料費の平均価格」でなく「前月の市場価格」を1kWhあたりの単価に落とし込むため、不透明な値上げリスクがない。
さらに、以下の2点により電気代が大手電力会社よりも「最大25%安くなる」可能性がある。
①基本料金と電力量料金が大手電力会社より安い
②燃料費調整額でなく、電源調達調整費を電気代に組み込んでいる
①について、しろくま電力では電気代の基本料金と電力量料金を大手電力会社よりも低くなるように設定した。そのため月々の電気代を安く抑えることができる。
②については、大手電力や新電力が電気代に燃料費調整額(化石燃料費の変動分だけ)を組み込む一方、しろくまプランでは電源調達調整費を含んでいる。電源調達調整費は、先述したJEPXの市場価格を1kWhあたりの単価に落とし込んだものだ。
燃料費調整額は化石燃料だけを価格に反映するため、燃料費が高騰すると燃料費調整額も上がってしまう。2020~2022年にかけて電気代が高騰したが、この原因は燃料費調整額だった。しかし市場価格は前述したように燃料費以外も参考にされるため、電気代の高騰リスクを軽減できる(当然、電源調達調整費が高騰するリスクもある)。
このように内訳を変更することで、大手電力よりも最大25%安くすることが可能となった。ちなみに市場連動型プランと固定単価型の価格の違いは以下である。
・市場連動型プランは電力量料金が市場価格を元に決まる ・固定単価型プランは従来の電力プランと同じく電力量料金は一定。 ・市場価格は賢く電気を使えば電気代が大幅に安くなる。しかし市場価格高騰時はリスクもある ・固定単価型プランは市場連動型よりも市場価格の影響を受けづらい。安心して電気代を下げたい。 |
「市場連動型だと不安だ」「安心して安い電気代を使いたい」という企業様は、ぜひ下記からお見積もりを。
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