私たちが毎月支払う電気代には「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」というものが含まれているのをご存知ですか?
この再エネ賦課金、実は今後の日本のためには欠かせないのですが、どういう費用なのかはあまり知られていません。
そこでこの記事では、再エネ賦課金についてわかりやすく説明し、再エネ賦課金の単価や、今後どのように推移する見込みなのか、そして再エネ賦課金を安くできる方法はあるのかについて、解説していきます。
この記事でわかること ・再エネ賦課金ってなに?なぜ払う必要があるの? |
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再エネ賦課金とは、太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」の買い取りにかかった費用を電気代に反映したものです。正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」といいます(再エネ賦課金の読み方は「さいえねふかきん」)。
賦課金の意味は「国や地方自治体が、国民や企業に対して課す金銭の負担のこと」です。お金の流れについて、詳しくは後述しますが、私たちが支払った再エネ賦課金は電力会社を経て国に納められます。そのため、再エネ賦課金は実質的に税金であるといえます。
上図は一般的な電気料金の内訳です。
このように「再エネ賦課金」は私たちが支払う電気代に含まれていて、法人・個人に関係なく「電力会社から供給された電気」を使う場合は必ず支払う必要があります(太陽光発電など、自家消費する分に対しては発生しません)。
再エネ賦課金の単価は国が一年ごとに見直すため、どの電力会社であっても単価は同じです。その単価に月々の電力使用量をかけたものを、私たちは再エネ賦課金として支払っています。
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それは日本が2050年までに「カーボンニュートラル」の実現を目指しているからです。
カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスを「減らす・吸収する・除去する」などして排出量を実質ゼロにする取り組みのことです。
主要国はどこもカーボンニュートラルの実現に本気で、今後、カーボンニュートラルは世界の常識になると考えられます。実際にアメリカの大企業などは「CO2を出す企業とは取引しない」という取引条件を出し始めています。
一方、日本は電気のうち約8割が火力発電によるものです。カーボンニュートラルを約20年後に実現するには、電気をつくる際にCO2を出さない「再生可能エネルギーの普及」が不可欠なのです。
しかし、いきなり「再エネを増やそう」と言っても再エネは増えません。そこで日本はドイツを見習い、「再エネを作ったら高く買い取るよ」と、再エネに投資メリットを持たせることで再エネの普及を狙ったのです。
2012年から始まったこの制度を「FIT制度(固定価格買取制度)」といい、このFIT制度の買い取りにかかる費用の一部を、私たちは「再エネ賦課金」として負担しています。
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カーボンニュートラルの実現に再生可能エネルギー(再エネ)は欠かせないと述べましたが、再生可能エネルギーとはいったいどういうものなのでしょうか?
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力のように発電の際にCO2を出さず、しかも繰り返し使用できる「環境にやさしいエネルギー」のことです。基本的に自然界のどこでも存在するため、枯渇することがなく、何度も繰り返し使用できる、という特徴があります。
2024年現在、FIT制度の買取対象となっている再生可能エネルギーは以下の7種類です。
太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱やその他の自然界に存在する熱、 |
日本で再エネの導入が進む理由は主に2つあります。
それは「カーボンニュートラルの実現」と「エネルギー自給率の向上」です。
先述したように日本は現状、火力発電が8割を占め、そこで使用する化石燃料のうち9割を輸入に頼っています。電気を使った分だけ、お金が海外に流れているのです。
しかし再エネは日本でも手に入るため、再エネ比率を上げることで海外にお金が流出するのを防ぐことができます。さらに戦争などの緊急事態が発生しても国民の生活を守ることができます。それ以外にも新しい雇用を生み出せるなど、非常にメリットが多いのです。
こういった点からも、エネルギー自給率が低い日本において「再エネの普及」は非常に重要な課題と言えます。
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次にFIT制度についても簡単に理解しておきましょう。
FIT制度とは、再生可能エネルギーでできた電気を、電力会社が一定期間、国が決めた単価で買い取る制度のことです(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)。
この制度の特徴は、発電事業者(電気を作る人)が確実に収益が見込める点です。国の買取単価は申し込む年度ごとに変わりますが、契約期間中は同じ単価で電気を買ってもらうことができます。
例えば2012年度にFIT制度を申し込んでいれば、発電事業者は20年間、つくった電気を40円/kWhで買ってもらえたのです。
「こんな制度は本当に必要なのか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、FIT制度で投資の側面を持たせた結果、日本国内の再エネ導入量は年々増加が続いています。
ここまで「再エネ賦課金とは、FIT制度で必要となった再エネの買取費用を賄うもの」であることを説明しました。再エネ賦課金のお金の流れをまとめると、以下のようになります。
①電力会社が、発電事業者から、再エネで発電した電気を買い取る ②電力会社は、買い取った電気を家庭や企業などに供給する ③家庭や企業は、電気使用量に応じて再エネ賦課金を電力会社に支払う ④電力会社は、受け取ったお金を、再エネ賦課金を管理する国の指定機関に納付する ⑤国の指定機関は、電力会社に、再エネ電気の買取にかかった費用を納付する |
このように、再エネによる発電量が増える分だけ、国に支払う再エネ賦課金も増加する仕組みとなっています。
ここまで再エネ賦課金の仕組みを中心にお話をしてきました。ここからは実際のお金の部分について見ていきます。
ここまで再エネ賦課金の概要を説明してきました。それでは、再エネ賦課金の単価はいくらなのでしょうか?
期間 | 再エネ賦課金の単価 |
2012年8月〜2013年3月 | 0.22円/kWh |
2013年4月〜2014年3月 | 0.35円/kWh |
2014年4月〜2015年3月 | 0.75円/kWh |
2015年4月〜2016年3月 | 1.58円/kWh |
2016年4月〜2017年3月 | 2.25円/kWh |
2017年4月〜2018年3月 | 2.64円/kWh |
2018年4月〜2019年3月 | 2.90円/kWh |
2019年4月〜2020年3月 | 2.95円/kWh |
2020年4月〜2021年3月 | 2.98円/kWh |
2021年4月〜2022年3月 | 3.36円/kWh |
2022年4月〜2023年3月 | 3.45円/kWh |
2023年4月〜2024年3月 | 1.40円/kWh |
2024年4月〜2025年3月 | 3.49円/kWh |
上図は再エネ賦課金の単価を年度ごとに表したものです。FIT制度が始まった2012年度は0.22円/kWhでしたが、2024年度の単価は3.49円/kWhとなりました。
再エネ賦課金は電力使用量に応じて電気代が決まります。
1ヶ月の再エネ賦課金 = 1ヶ月の電力使用量(kWh)× 再エネ賦課金の単価(円/kWh)
例えば2024年10月に電気を400kWh使用した場合、再エネ賦課金の費用は以下になります。
400(kWh)× 3.49(円/kWh)= 1,396円
「月々どれくらい再エネ賦課金を支払っているのか?」が気になる方は、明細書に記載がありますのでそちらを確認してみてください。
再エネ賦課金の単価は年々上昇していましたが、2023年度は1.40円/kWhと、2022年度の単価から大幅に安くなっています。再エネ賦課金の単価が下がるのは、2012年にFIT制度が始まって以降初めてのことでした。
なぜ2023年度の再エネ賦課金は安かったのでしょうか? その理由を解説する前に、再エネ賦課金の決定方法を説明します。
再エネ賦課金単価 =(買取費用等 ー 回避可能費用等 + 広域的運営推進機関事務費)÷ 販売電力量
かなりややこしいですが、それぞれの名称を簡単にまとめると以下のようになります。
・買取費用等とは、FIT制度の買い取りでかかった費用のこと。 ・回避可能費用等とは、FIT制度で買った電気のJEPX(電気の卸市場)での売り上げ(実際の内訳は非公表)。 ・販売電力量は、その年度内に販売が予想される電力量のこと。 |
つまり再エネ賦課金は、「再エネ電気の買い取りにかかった費用」から「卸市場での再エネ電力の売り上げ」を引き、「販売した電力量」で割ることで決まっています。
2023年度に再エネ賦課金の単価が下がった理由は「2022年度に燃料費が過去最高値を記録したから」だと考えられます。
2022年にロシアウクライナ問題などで燃料費が高騰し、JEPXで販売される電気の価格も高くなりました。その結果、2023年度の回避可能費用等は前年の1兆4,609億円から3兆6,353円へと大幅に増額したのです。
市場で電気を売る際に費用を回収できたため、再エネ賦課金が大幅に下がったものと考えられます。
しかし2023年に電気の価格も落ち着いたことから、売り上げが減り、2024年度の再エネ賦課金は高くなっています。
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ここからは、再エネ賦課金でよくある質問を回答していきます。
国が決めたFIT制度の買取費用を国民が負担するのはおかしい、再エネ賦課金を支払いたくない、とお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし個人では大抵の場合、電気を利用する以上は再エネ賦課金の支払いを避けることはできません。しかし、再エネ賦課金は小売電気事業者から電気を買わなければ発生しないため、太陽光発電設備を導入し、電気を自家消費すれば、その分だけ負担を減らせます。
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再エネ賦課金をいつまで支払う必要があるのか、現状、政府は具体的な時期を発表していません。2024年にもFIT制度が実施されること、国が目標とする再エネ導入量にまだ及んでいないことから、この先も継続する可能性が高いといえるでしょう。
一方、再エネ賦課金のピークは2031年ごろとなる可能性があります。2032年はFIT制度20年目であり、それ以降は買取単価の高い案件から固定価格での買取が終了していくからです。それに合わせて再エネ賦課金も下落すると予想されます。
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今後もしばらく値上げが続くとされる再エネ賦課金ですが、負担を軽くする方法が3つあります。最後にその節約方法について解説します。
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1つ目の方法が「節電の徹底」です。再エネ賦課金は電気の使用量に応じて課金されるため、電気の使用量を減らせば再エネ賦課金を安くできます。再エネ賦課金を安くしたい方は以下の節電方法を試してみてください。
エアコン(冷房・暖房)の |
・適温は、夏が28度で冬が20度 |
冷蔵庫の節電方法 |
・冷蔵庫の開閉回数を減らす ⇨ 約12%の節電 ・冷蔵庫の開閉時間を減らす ⇨ 約5%の節電 ・冷蔵庫を壁から少し離す ⇨ 約5%の節電 ・「冷蔵庫を壁から少し離す」「直射日光が当たらない場所に置く」「食品を冷ましてから入れる」「冷蔵庫内は7割程度しか詰めない」も効果的 |
照明機器の節電方法 |
・蛍光灯や白熱電球からLEDに変える ⇨ 約80%の節電 ・こまめに電源をオフにする ⇨ 約5%の節電 |
テレビの節電方法 |
・つけっぱなしや「ながら見」をやめる ⇨ 約2%の節電 ・「テレビの主電源をオフにする」「コンセントを抜く」のも効果的 |
洗濯機・洗濯乾燥機の節電方法 |
・すすぎを2回から1回に減らす ⇨ 約17.5%の節電 ・「月に一度のフィルター掃除」も効果的 |
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2つ目の方法が、太陽光発電設備を自宅に導入することです。先述したように再エネ賦課金の発生条件は「電力会社を通して電気を使用すること」です。
つまり、太陽光発電設備を設置して、そこでできた電気を使用する場合、その電気は再エネ賦課金の対象とはなりません。さらに太陽光でできた電気は無料で使えるため、電気代を安くすることもできます。補助金を出している自治体もあるので、電気代を安くしたい方はぜひご活用ください。
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再エネ賦課金を下げる方法ではありませんが、電力会社を切り替えることで電気代自体が安くなる可能性もあります。
ニュースなどでよく取り上げられていますが、2023年6月より、大手電力会社は電気料金を大幅に値上げしています。
上図は全国各地の大手電力会社の値上げ幅です。特に北陸電力は値上げ幅が大きく、プラン内容によっては44〜46%近く値上がりする可能性があります。
「大手電力会社=安心」というイメージがあるかもしれませんが、その神話は崩れつつあります。先述したように北陸地方は地域別で見ると電気代が最も高いため、特に注意が必要です。
一方、新電力(2016年以降に新規参入した電力会社)によっては、格安の電気プランを提供しているケースがあります。電気代が上がる現在でも安くできる可能性はあるため、特に大手電力会社と契約中の方は、電力会社の切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。大抵の場合、全国どこでも契約できます。
電力会社を選ぶ際に重視すべきポイントや、切り替える上での注意点については下記記事で詳しく解説しています。
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扇風機の電気代を効率よく、かつ大幅に安くする方法は「電力会社の切り替え」だと説明しました。そこで電気代を安くしたい方におすすめなのが、しろくま電力が家庭・小規模法人向けに提供する「しろくまプラン」です。
「しろくまプラン」は大手電力会社より電気代の単価を安く設定しているため、切り替えることで大手電力会社よりも約25%も電気代が安くなる可能性があります。
上図は4人世帯の場合の、大手電力との電気料金を比較したものです。大手電力会社は2023年6月に大幅に電気代を値上げしました。エリアによっては電気代が1.5倍になるケースもあります。
しかし「しろくまプラン」は大手電力の「値上げ前」よりも単価が安く、値上げも実施しません。そのため、電気のご使用状況によっては最大3割近く安くなる可能性があります。
また「しろくまプラン」の電気は、発電の際にCO2を出さない「実質再生可能エネルギー(※)」です。ただ安いだけでなく、電気を切り替えるだけで環境改善にも貢献できます。
「電気代を安くしたい、でも扇風機は思い切り使いたい」とお考えの方は、「しろくまプランお申し込みページ」または以下のバナーよりお申し込みください。
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